ライブレポート

ウソツキ【TOKYO CALLING 2021】【ライブレポート】

TOKYO CALLING 2021
2021/9/19 @下北沢CLUB251
ウソツキ

TOKYO CALLING 2021、2日目となる下北沢編。駅開発によりすっかりその姿を変えた下北沢駅に降り立つと楽器を背負ったバンドマンやTOKYO CALLINGのパンフレットを片手に移動する人達の姿が目に飛び込んでくる。この景色を作り上げたTOKYO CALLINGに拍手。まさにサウンド・オブ・下北沢。すれ違うバンドマンと「やあ」なんて手を振り合いながら向かったのはCLUB251。トッパーを飾ったのはウソツキ。11月のワンマンツアーをもってドラムの林山拓斗、ベースの藤井浩太が脱退することがアナウンスされており、昼の12時30分、早い時間にも関わらず続々と集まるオーディエンス達。サーキットイベントという性質上、今のウソツキを見届けようと集まった人もいれば、今日初めてウソツキを観る人もいるかもしれない。それぞれの想いを持ってそれぞれの向き合い方で、このタイミングで観るライブ。一体どんな気持ちになるのかと思っていたがウソツキがウソツキとして積み重ねてきたことを叩きつけるような良い意味でいつものウソツキを感じることが出来た。

ライブは「夏の亡霊」からスタート。軽やかでアーバンで印象的なリズムの上で踊るように歌う竹田昌和。ディレイのかかったギターも心地いい。しかし「夏の亡霊」を聴く度に古い記憶の扉が開く感覚になる。目の前にいる人ともういない人、色んなことを思い出しながらライブを観ていたら11月のツアー以降にこの曲を聴いたらどういう気持ちになるのだろう、なんて余計な想像もしてしまう。すると「今、目の前のライブに集中しろ」と言わんばかりの歪んだギターソロで突然ぶん殴られハッとする。続く「コンプレクスにキスをして」では自分の嫌いな部分を含めて自分なんだなって思わせてくれる優しくて暖かい曲。それはきっと上っ面な優しさなんかじゃなくて、コンプレックスを見せ合って、コンプレックスを愛し合って、そうやって話が出来たら殻が破れるんじゃないかな。右に左にステップを踏みながら演奏するバンドとそれに合わせて右に左に揺れるオーディエンスの姿こそ会話だし、見せ合ってるし、ライブだなと感じた。

恋なんて存在しないという研究をしている学者が恋に落ちることをテーマにした「恋学者」はライブで聴くと一気に物語に引き込まれる。恋は理屈じゃないし、有り得ないことが有り得ちゃうのが恋だし、それって音楽もライブも一緒だなって思う。もうはっきり書いちゃうけれど、メンバーの脱退の発表を見てライブを観るのが正直怖かったし、楽しめるのかなって不安もあった。でもCLUB251に集まったオーディエンスの身体は揺れているし僕自身滅茶苦茶楽しんでる。勿論みんなの心の中までは分からないけど、目の前で繰り広げられている素晴らしいライブを前に理屈なんか簡単に超えてしまう。ライブ中盤で披露されたのは「一生分のラブレター」だ。軽快な4つ打ちでハッピーな印象もありつつ、曲が進むにつれ大切な人の顔が浮かんできて涙が出てくる。恋人なのか、家族なのか、きっとライブを観ながらオーディエンスのひとりひとりが色んな人の顔を思い浮かべたんじゃないだろうか。あと何回言えるか分からないけど何回だって好きな人には気持ちを伝えたいな、なんて柄にもないことを思っていたけれど、その流れで「名もなき感情」がくるから少し笑ってしまったけれど。愛とか恋とか好きとかを超越したバーンってなってグーってきてぎゅーっとなって泣けてくる感じ。こんなにも擬音だらけでこんなにもリアルな歌詞、中々ない。で、その擬音だらけの言葉は紛れもなく愛だし、この歌詞は発明だと思う。発明といえば「新木場発、銀河鉄道」だ。汽笛を上げ列車が走り出す様をギターで表現するという発想は本当に面白いし、より疾走感の増すライブでは汽車のは知っている姿が鮮明に浮かぶ。ライブを観ながら色んな感情が行ったり来たりしたけれど、最初から最後まで引き込まれっぱなしの30分だった。否が応でもエモーショナルな感情になるであろう11月のツアーの前に、TOKYO CALLINGのステージでフラットな気持ちでウソツキのライブを観れたことも自分にとっては意味のあることであった。

text by 柴山順次
photo by 石村 燎平

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