ライブレポート

THE BOYS&GIRLS【TOKYO CALLING 2021】【ライブレポート】

TOKYO CALLING 2021
2021/9/20 @渋谷TAKE OFF 7
THE BOYS&GIRLS

TOKYO CALLING 2021、3年連続で渋谷TAKE OFF 7でのライブを見せてくれたのは北海道出身、札幌在住のボイガルことTHE BOYS&GIRLS。2019年3月にワタナベシンゴ以外のメンバーが全員脱退、そしてコロナ禍に突入。サポートメンバーを迎えた新体制でアルバム『大切にしたいこと』を作り上げるも全国各地を回るはずだったワンマンツアーは全て中止に。それでも歌い続けたワタナベシンゴ。彼が何故歌い続けることが出来たかといったら、待っているファンと、彼を支える関係者と、そしてサポートメンバーで友達でもある今同じステージに立って一緒に音を鳴らしている3人の存在が大きいと思う。勿論勝手な想像ではあるけれど。札幌メンバーでのライブは東京では実に2年振りだという。しかも会場は2年前と同じTAKE OFF 7。そう全ては繋がっているし、パレードは続くのだ。THE BOYS&GIRLS、ぶっちゃけ今が無敵だった。

ライブは「その羅針盤」でスタート。「やれるだけやってみよう」「今近くにいる仲間と果てしなく笑ってみよう」という歌詞でいきなり涙腺をやられる。だけどTHE BOYS&GIRLSに涙は似合わない。HEY HO LET’S GOだ。灯せ、シンゴ・ラモーン。しかしなんて前向きな曲なんだ。そりゃ傷を負ってない訳ない。きっとこれからも刹那はふいに訪れるだろう。だけどワタナベシンゴは、THE BOYS&GIRLSは、新しいコンパスを手に入れたのだ。無理矢理だって、擦りむいたって、あの場所へレッツゴーだ。ワタナベシンゴ、いきまーす!みたいなライブを開始3分で魅せられて、余計な心配をしていた自分に往復ビンタ。ワタナベシンゴが歌うことを諦めるわけなかった。それは次に演奏された「一炊の夢」で痛感した。初期騒動なんか何回だって起こせる。ありたっけの激情を詰め込んだ「一炊の夢」をライブで観る度に感じる「ここにいるよ」という言葉の重さ。ずっと叫んできた這いつくばってでも歌うことを諦めないという決意と覚悟が今こそ突き刺さる。シンガロングしたかったけれど精いっぱいの拳で歌ったからワタナベシンゴに、THE BOYS&GIRLSに届いていたら嬉しい。

いきなり馬鹿みたいなことを書くが、音楽って本当に凄くて、ライブを観ていてたまに「俺のために歌ってくれてるかもしれない」「これは俺の歌なのかもしれない」って本気で思うときがある。そんな訳ないって思うでしょ。だけどやっぱりそれは間違いじゃなかったことを「ロックンロール」を聴きながら思ってしまった。こっちは勝手に俺のためだけに歌ってくれていた気がしていたけど、ワタナベシンゴは「ロックンロール」で「君のためだけに歌っていたような気がする」と言っている。今、ここ渋谷TAKE OFF 7に何人いるのか分からないけど、それは1人だろうが10人だろうが100人だろうが1000人だろうが、きっとTHE BOYS&GIRLSはたったひとりに向けて歌っている気がする。1体1が何個もある感じ。またそんなこと言って、と思うでしょ。いいからTHE BOYS&GIRLSのライブに来てみてって。「ミスターラッキーオールド」では「燃え尽きて灰になってでもロックンロールを知りたいよ」と歌うワタナベシンゴ。俺には俺の、君には君の、ワタナベシンゴにはワタナベシンゴのロックンロールがあって、それを見せ合うのがTHE BOYS&GIRLSのライブだとずっと思っていた。しばらく彼らのライブを観れなかった間、「ミスターラッキーオールド」はTHE BOYS&GIRLSと僕らを繋ぐ交換日記のように思って家で聴いていた。それをライブハウスで聴けたことがただただ嬉しかった。嬉しかったよ、シンゴくん。

「メンバーが俺しかいなくなって何も出来なくなったけど、去年の夏から俺と音を鳴らしてくれた友達が居たから続けられた。友達が居ない人も居ると思う。けど俺はたまたま彼らがいただけです。」とサポートメンバーであり友達である3人がいるからこそ今のTHE BOYS&GIRLSが在ることを語り、「毎日状況は変わって、バンドを辞めていった仲間もいるけど、続けて良かった。北海道の俺達を渋谷のセンター街ど真ん中で選んでくれてありがとう。」と告げたワタナベシンゴ。ラストの「階段に座って」を観ながら思ったことがある。ライブはバンドとオーディエンスで作るもので、ステージ担当はバンド、フロア担当はオーディエンスみたいな、それぞれの場所でそれぞれの役割を果たしながらひとつのライブをしている。全員が当事者で全員が表現者だ。その先導を切るのは、THE BOYS&GIRLSのライブならワタナベシンゴだし、たまに勢いあまってオーディエンスが主役みたいになることもあるけれど、それはそれで最高で、そうやってライブハウスでずっとやってきたんだよなって、TOKYO CALLINGのステージで暴れまくる彼らを観ながら考えていた。ライブが終わって鳴りやまない拍手の中でワタナベシンゴは何を考えていたのかな。あなたがやってるロックバンドがいてくれて良かった。

text by 柴山順次
photo by 清水舞

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