ライブレポート

【でらロック2022】moon drop【ライブレポート】

moon drop
でらロックフェスティバル2022
2022年2月5日 DIAMOND HALL

でらロックフェスティバル2022の初日、DIAMOND HALLのトリに抜擢されたのはmoon drop。もうこの事実だけで胸がいっぱいになるのだが、実際にステージに立っている彼らを観て、それは彼らが地元だからとかレーベル所属だからとかではない、ただひたすらラブソングだけを武器に突き進んできた日々の積み重ねで掴み取ったものだと実感した。彼らのスローガンでもある「愛だの恋だのラブソングだけを歌い続けるバンド」という言葉はもしかしたら彼らのイメージを「そういうバンド」に寄せているかもしれないけど、ライブを観たら全然違って、戦う武器がラブソングなだけで滅茶苦茶攻めたバンドであることが分かる。今年のでらロックもDIAMOND HALLは錚々たるアーティストが名を連ねる中、彼らは彼らの戦い方で真っ向勝負していた。愛だの恋だの歌うバンドと聞いてあなたがイメージするバンドはどんな?もしかしたらそのパブリックイメージを、今日のmoon dropはひっくり返しませんでした?愛を以って恋を以ってDIAMOND HALLに立つその姿はただただ頼もしいものだったと僕は思う。

浜口飛雄也がギターを掻き鳴らし「ex.ガールフレンド」でライブがスタート。イントロから清水琢聖のギターが泣きまくり、坂知哉と原一樹のリズムがしっかりとバンドを支える。「ex.ガールフレンド」なんてタイトルだからやっぱり女々しい曲を想像するけど、いやいや、moon dropのバンド力、とんでもない。なにより飛雄也の歌が真っ直ぐ突き刺さって抜けないのだ。察しの通りもちろんラブソングなんだけど、「忘れたいことの大半は忘れない方がいい」という言葉は色んな状況に当てはまるだろうし僕なんかはラブソングとはまた別角度からやられてしまって1曲目から大号泣。バカみたいでしょ。でもmoon dropのライブを観て色んな世代の人が泣いているのってそういうことだと思うな。その涙を加速させたのは「水色とセーラー服」だ。「終業のベル」とか「セーラー服と黒い髪」とか、僕はもう何十年の前の思い出だけどDIAMOND HALLのフロアで目を閉じると16歳に戻った気がして溜まらなくなる。恋のタイムスリップを体験させてくれるなんて、やっぱり愛だの恋だの歌ってるわ、moon drop。「シーブリーズと君の匂い」なんて「愛とか恋とかどっちでもいいから」とか言ってるけど、そのタイトルだけで心拍数が上がるのが分かる。

moon dropのライブを観ながら、恋とライブって似てるのかもなって思った。初めてライブハウスで音楽を浴びた瞬間、呼吸が止まるような気がしたし、イナズマが走った感覚があった。それは「寝ても覚めても」で恋に落ちた瞬間を表現した言葉だけど、そう思うと恋とライブが似てるというのも、あながち間違っていない気もする。しかし本当に普遍的な恋心を見事に歌うバンドだな。よくあるラブソングで「十年後も」とか言われても遠いいつかの話に聴こえたりするんだけど「寝ても覚めても」で「十年後も」という言葉が飛び込んできた瞬間に恥ずかしながら十年前の妻の顔が浮かんだんですよ。うわ、これ書いちゃった。書いちゃったけど、本当に浮かんだんです。それだけ感情移入してるし、それだけリアルな歌を歌うバンドなんだよ、moon dropは。例えば「リタ」の「よれた洗濯」とか「二日目のトレーナー」とか、本当にリアルだから。「会うまでの数時間 あんなに緊張したこと ずっと忘れないでいたい」という歌詞は目から鱗。いつからそういう気持ち失くしてしまったんだろうなあ。取り戻せるかなあ。まあ、でも、見つめ合うことはもう無くなったけど、同じ方向を見つめていたいな。これも全部、今観てるmoon dropのライブの受け売りだけどね。そんなことを思っているとラスト「君に捧ぐ」が全部代弁してくれたみたいでやっぱり最後まで泣かされてしまった。でらロック2022初日最後のライブにmoon dropを選んで良かった。DIAMOND HALLにmoon dropの音楽が鳴り響く中、この音楽がもっともっと沢山の人の元に飛んでいく光景が頭に浮かんだ。

text by 柴山順次
poto by タカギユウスケ

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