ライブレポート

Maki【TOKYO CALLING 2021】【ライブレポート】

TOKYO CALLING 2021
2021/9/20 @渋谷 CLUB QUATTRO
Maki

TOKYO CALLING 2021、渋谷CLUB QUATTROの大トリを飾ったのは名古屋の3ピースロックバンド、Maki。結成以来ひたすら我武者羅に走り続けてきた彼らに対する期待値はライブを重ねる毎に拡大しTOKYO CALLINGの大舞台であるQUATTROのフロアにはライブ前から熱気が拡がっていくのが分かる。タイムテーブル的にも3日間のTOKYO CALLINGを締めくくるアーティストとしてMakiを選んだオーディエンスも多かっただろう。それだけ今のMakiには人を引き付ける魅力があるしバンドとしての説得力もある。ステージにメンバーが登場するとその存在感の大きさに圧倒された。見違えた、というと失礼かもしれないがいつの間にかMakiは大きなステージが本当に似合うバンドになった。そしてどれだけ規模が大きくなっても彼らがずっと言い続けるであろう「From Party’z」という言葉を合図に山本響がゴリゴリのベースを弾きながら歌い出す。「ストレンジ」だ。走り抜けるように疾走するまっちのドラムの上で軽やかにステップを踏みながらギターを掻き鳴らす佳大。見事なトライアングルを描きながら感情を吐露する山本響の歌を爆音で浴びてMakiというバンドの魅力にすっかり引き込まれていることに気付く。

『グッド・バイ』から「春と修羅」、『creep』から「fall」、『RINNE』から「秋、香る」と立て続けに披露するMaki。「春と修羅」から「fall」に繋がった時点でもしかしたらと思ったけれど「秋、香る」の壮大なイントロが鳴った瞬間に確信に変わったことがある。ここまで書いたらもうお気付きの通り、春、夏、秋と1本のライブの中で季節が流れていくのだ。もしかしたら偶然かもしれないけれど、こういう演出というか遊び心はライブの楽しさのひとつだ。「秋、香る」のイントロで「ほら!!」って声が出そうになったが慌てて抑える。レポートを書きに来ているのに滅茶苦茶楽しんでしまっている。宮沢賢治よりタイトルを引用した「春と修羅」では駆け抜けた春を、「fall」では過ぎていく夏を歌い、「秋、香る」では秋の匂いを感じつつ無情に過ぎていく時を感じている。この3曲をライブで立て続けに演奏することでライブハウスに四季が巡ったような気がした。そして季節を空気や匂いで感じられる日本に生まれたことを今更嬉しく思えた。

続く「斜陽」は短い曲の中に色んな角度から感じられるMaki節についニヤリとしてしまう。佳大とまっちのシンガロングからの流れで「僕らは生きてる」と歌う山本響の歌、表情、全てがグッとくる。悔しいことがあるとすれば、彼らの音楽を同世代として聴いてみたかった。何故そう思ったかというと、渋谷CLUB QUATTROに集まったオーディエンスの表情だ。彼らは、彼女たちは、もしかしたら自分とは違う感情を抱きながらMakiを観ているのかもしれない。そう思うと急に悔しいという感情が芽生えたのだ。いや、ライブに集中しろと思うかもしれないけれど、ライブに集中しているからこその感情だと思って欲しい。そんなことを考えていると目下最新曲のひとつである「Soon」で「一切は過ぎていく」なんて真っ直ぐ、ただ真っ直ぐ前を見て山本響が歌うもんだからもう堪えることなんて無理。あの日のいつかはとっくに過ぎたけど、まだ今もいつかを願ってもいいのかな。100人いたら100人の解釈があって、その全部が違っても全部が正解なのが音楽の素晴らしいところ。僕は渋谷CLUB QUATTROのフロアに立って「Soon」を聴きながら、今のライブハウスを取り巻く環境が頭を過った。そうやってみんな何かをきっと感じながら彼らの歌を聴いていたんだろうな。感受性が豊かな自分はこの流れで披露された「シモツキ」の「ここでまってる 君を待ってる」という叫びがライブハウスのステージを守り続ける男の歌に聴こえてしまったもんだからもう大変だ。思えばMakiはライブハウスを本当に大切にしているバンドだ。地元の名古屋のライブハウスではメンバー3人を本当によく見かける。佳大に至ってはTOKYO CALLING出番前日も当日も本当に色んなライブハウスで色んなバンドを観ている姿に遭遇した。最初に説得力という話をしたが、だからこその説得力なのかもしれない。ライブを観ながら随分感情的になってしまったがラストナンバー「こころ」で感情の全てが崩壊するかと思った。ショートチューンで畳みかけるMakiの真骨頂ともいえる「こころ」でTOKYO CALLING渋谷編、渋谷CLUB QUATTROを見事に締めくくったMakiに称賛の拍手がフロアから巻き起こる。どうかまたどうかまた、もう一度もう一度、平凡な日々に愛を歌えるときがくることを信じてこれからもMakiを追い続けていきたいと思うライブだった。

text by 柴山順次
photo by 清水舞

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