ライブレポート

Live!Livee!Liveee!2021 vol.3【ライブレポート】

TOKYO CALLING presents “Live!Livee!Liveee!」2021 vol.3”
2021/08/02(Mon)
下北沢シャングリラ
感覚ピエロ / BRADIO / 忘れらんねえよ

日本最大級のサーキットイベントTOKYO CALLINGによるライブ企画「Live!Livee!Liveee!2021」が3回目を迎えた。会場はお馴染み、下北沢シャングリラ。今回の出演は感覚ピエロ、BRADIO、忘れらんねえよといった1日でTOKYO CALLINGしているかのようなラインラップ。ライブのやり方は三者三様。そんな3組が自身の在り方をぶつけ立った、まさに「Live!Livee!Liveee!」な夜だった。「イベントに出たら対バンに凄いバンドがいた」「目当てのバンドを観に行ったら対バンに凄いバンドがいた」そんな夜をバンドも僕たちもこれまで何度も全国各地のライブハウスで経験してきた。繰り返される緊急事態宣言やまん延防止等重点措置などによりライブハウスの営業時間が圧迫され対バンイベント自体が厳しくなった昨今。「Live!Livee!Liveee!」はライブハウスで行われてきた「対バンの面白さ」をこれでもかと味わうことが出来るのだ。

最初に登場したのは感覚ピエロ。もう最初から最後まで心ごとぶん殴られるようなライブだった。ライブハウスは自由な場所だって、ライブハウスに初めて足を運んだときに思った。あれからもう何十年も経って、自由だったはずのライブハウスが誰かの手によって不自由になっていく感覚を持っていた。だけど感覚ピエロは「誰が悪いとか悪くないじゃなく無力さのせい」だと叫んだ。そう、無力なんだ。無力なんだよな。コロナ初期、感染源だって言われたライブハウスをどうやって守ればいいのか分からなかった。各地のライブハウスでライブが出来なくなった時期を思い返すと本当に涙が出るほど悔しくなる。あれから1年半。今ここ下北沢シャングリラにはそれぞれが個として絶望や葛藤を抱えながらもどうにかして戦おうとしている人間が集まっている。ひとりひとりは個だけれどひとりひとりが放ったパワーが元気玉のようにライブハウスにまん延していくのが分かる。もはや共犯でもある。「俺らに出来ることはギャーギャー騒ぐこと」「俺らは俺らのツッパリ方で戦いに来た」と横山直弘が宣言するとオーディエンスも全力で応戦する。制限はある。制限はあるが、ここにはもはや規制された自由なんて存在しなかった。

「あなたの世界は、何色か?」と何度も問いかけてくる「疑問疑答」では大袈裟でもなんでもなく下北沢シャングリラにいる全員がそれぞれ自分自身の色を放っているように感じた。ライブハウスはそうやって自分自身を解放する場所でもあるのだ。「再生」でも「命が叫ぶ」と歌っていた。ライブを観ながら感覚ピエロが投げかける言葉が耳を突き破って心のずっと奥の方に届いた瞬間、命が叫ばずにいられなくなるのだ。横山の「ぶちかましてみねえか!」との号令に一斉に手が挙がった瞬間のその光景も凄かった。ライブなのに、正々堂々と喧嘩し合った対マンの後のような清々しさがあった。ぶん殴るだけぶん殴ってステージを後にしたメンバーの表情にもちゃんと「対マンした後のあの感じ」が出ていた。これが感覚ピエロのツッパリ方か。本当に素晴らしいライブを観させてもらった。

2番手BRADIOが登場すると会場の空気は一転、SEからもう全力エンターテイメントが炸裂。感覚ピエロとは全く違う戦い方でオーディエンスをパーティーの向こう側へ誘うダンスナンバーを連打し、下北沢シャングリラを文字通りシャングリさせた。「対バンも、イチャイチャするのも久し振り」と真行寺貴秋は対バンライブが出来ていることにたまらなく嬉しそうな表情。ファンクやR&Bを独自の解釈でポップにファニーにハッピーに提示するBRADIO。ライブは「幸せのシャナナ」でのっけから大盛り上がり。「あんたの幸せが一番!」「笑ってくれてサンキュー!」「暗いときゃDance!」と飛び込んでくる言葉が全部ハッピーなのだ。一瞬だって見逃せないショータイムにすっかりディスコ化した下北沢シャングリラ。青春ファンクど真ん中「Time Flies」で涙腺を刺激して「Fintness Funk」で脂肪と筋肉を刺激したら、サザンやTUBEにも匹敵するサマーアンセム「夏のエンジェル」でライブハウスが常夏に。

さっきまでダンスホールだった下北沢シャングリラがいつの間にか海の家に見えてきてしまうから音楽って面白い。天井破りで何処までも連れて行ってくれそうな「Flyers」で高く高く飛びあがったら最後はギンギラギンなキラーチューン「スパイシーマドンナ」でフィニッシュ。「サンキュー!サンキュー!サンキュー!」と会場のひとりひとりに叫んだ後、オフマイクで大声で「音楽って素晴らしい!」と叫んだ真行寺。気付いたら、どれだけ拍手しても仕切れないくらい拍手している自分がいた。

この日のトリを飾ったのは忘れらんねえよ。AKB48の「ヘビーローテーション」が開場に鳴り響き、なんとなくそんな予感はしたけれど「大島優子ぉぉぉ!!結婚おめでとぉぉぉ!!」とステージに現れた柴田隆浩。彼の音楽はいつだってリアル。つまりこの日の柴田にとって大島優子の結婚がどれだけリアルなのかがよく伝わる。「ショックでもなんでもねえし!」と言い切り1曲目の演奏したのは忘れらんねえよのアンセム「バンドやろうぜ」だ。「音楽だけじゃ食べていけない」とここでもしっかり現実を吐露する柴田。だけどそれは負け惜しみとか卑下してとかではなく、夢を見て、現実もしっかり見ているからこその言葉だと感じた。そんな柴田が「家の中でも踊れる曲を書いた」とハンドマイクで「踊れ引きこもり」を歌い出したとき、コロナ以前に書いたはずのこの曲がコロナ禍でこんな活き方をするなんて、この人はどんな環境になっても生き続けていくだろうなと思った。もちろん褒めてます。そんな矢先「別れの歌」では大号泣させられたし、この日ばかりは大島優子に向けて歌ったかのようにしか聴こえない「俺よ届け」「うつくしいひと」でも心がチュクチュクした。柴田くん、あなたは本当に心のうつくしいひとだ。

ライブ終盤に披露された「この高鳴りをなんと呼ぶ」はライブハウスで聴く度に握った拳が硬くなる。何が出来るか分からないし世界は変わらないかもしれないけど、絶対に変える。そう言い切れる柴田が何を信じ、何故生きているか。その答えがこの曲にはしっかりとある。この曲は絶対にライブハウスで聴いて欲しい。そして「忘れらんねえよ」で確実に下北沢シャングリラがひとつになりライブは終了。忘れらんねえよのライブって、最初はいつも笑ってるのに途中で絶対に泣かされて最後は泣き笑いになっている。今日もそんなライブをライブハウスで観れたことがひたすら嬉しかった。

日本最大級のサーキットイベント「TOKYO CALLING」が「Live!Livee!Liveee!」と題しライブハウスで今企画を行っている意味が回を重ねるごとに分かってきた。毎回趣向を変えながら軸は全くブレず、ライブハウスとライブバンドの素晴らしさを原点であるライブハウスで展開する「Live!Livee!Liveee!」。ここまで3回のライブをレポートしてきたが毎回それぞれ違ったドラマがありその1本1本が脳裏に焼き付いている。コロナ禍でのライブがどういうものであったか。数年後にこのレポートを振り返ったときに、「コロナ禍の熱狂」を感じてもらえたら幸いだ。いいことばかりじゃないけど悪いことばかりでもない。またすぐにライブハウスで会いましょう。

text by 柴山順次
photo by プリティ桜子

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