ライブレポート

Live!Livee!Liveee!2021 vol.1【ライブレポート】

TOKYO CALLING presents ”Live!Livee!Liveee!2021 vol.1″
2021/06/03 (Thu) 下北沢シャングリラ
ビレッジマンズストア / WOMCADOLE

8月が終わり夏が過ぎ9月に入ると真島昌利の『夏のぬけがら』を聴きながら過ぎた季節を思う。それが20年以上の恒例行事だった。そう、TOKYO CALLINGが始まるまでは。2016年以降、毎年9月がやってくることにどうしようもなくワクワクしてしまう。それは日本最大級のサーキットフェスTOKYO CALLINGが行われるからだ。コロナ禍である昨年は無観客での開催となったTOKYO CALLINGだが、今年は有観客での開催が発表され、このような状況下だからこそ音楽が放つ力を必要とする音楽好きを歓喜させた。そのTOKYO CALLINGが仕掛けるイベント「Live!Livee!Liveee!2021 vol.1」が6月3日(木)に下北沢シャングリラにて開催された。

1回目の開催となる「Live!Livee!Liveee!2021 vol.1」にはビレッジマンズストア、Maki、WOMCADOLEの3組が出演。ありそうでなかったこの組み合わせはTOKYO CALLINGだからこそのラインナップ。開場前に下北沢の街を少し歩いてみると会場である下北沢シャングリラ付近には思い思いのバンドTを着た音楽ファンの姿が。付近のライブハウス近松に寄るとそこも盛況の様子。音楽の街、下北沢に活気が戻ってきているようで嬉しくなる。下北沢シャングリラに戻りフロアを眺めながら開演を待つ。当たり前だったことが当たり前じゃなくなった今、ライブハウスで過ごす当たり前だったことのひとつひとつに興奮する。

1バンド目にはMakiが登場。結成からずっと歌い続けてきた「シモツキ」でライブが始まると「ここでまってる 君を待ってる」とどんな状況下でもライブハウスで歌い続けてきたMakiだからこそのメッセージが今2021年に突き刺さる。響が「1番取りに来たぜ!さぼってんじゃねえぞ!」と煽ると一斉に拳が上る下北沢シャングリラ。声は出せないかもしれない。間隔だってあけないといけない。だけど新しい戦い方で、新しいやり方で、新しい在り方で、ロックバンドは前に進もうとしている。当たり前だった日常を歌った「秋、香る」を披露し、振り切るように前進する速度を加速させる「斜陽」「ユース」のツービートが炸裂すると気持ちが更に高揚する。このスピード感の中で叫ばれる言葉のひとつひとつはまるで心のずっと奥の方に直接投げかけられているかのように真っ直ぐ届く。

7月21日に発売となる1st E.P『creep』より新曲「soon」が初披露され、「ストレンジ」「平凡の愛し方」とライブで幾度となく演奏してきた曲に繋いでいく。「ライブハウス、楽しんでるか。来て分かったと思うけど、いつも通りじゃない。それでも変わらず音楽をやっている。間違いなく音を鳴らしてるバンドがここに立っているので心配より期待してライブハウスに来て下さい」と語る響。「どうかまた どうかまた」と連呼する「平凡の愛し方」がまるで今この瞬間のために生まれた曲かのように感じる。ライブハウスが在って、バンドがいて、そこに集まる音楽好きがいる。そんな世間的マイノリティな僕らにとっては祈りのような曲だ。最後は「こころ」で心の大シンガロングが下北沢シャングリラを包む。何度も言うが声は出せない。だけどその場にいる全員からとんでもないパワーが溢れまくっていた。トップバッターを見事に飾りフロアを嬉しそうに眺めるメンバーの顔が印象的だった。

空気を一変させたのは2番手、WOMCADOLEだ。ヒリヒリしたギターとダイナミックなリズムを叩きつける「YOU KNOW?」で初っ端から魂全開放。不要不急とされいつしか奪われてしまった僕達の自由。だけどいつの間にかそれすら当たり前になってしまっているのはないか。「心臓が鳴る方角へ」「退屈をぶち壊すためのピストルを握れ」と張り切れんばかりの声で叫ぶ樋口侑希のメッセージは、彼がライブキッズをアジテーションする存在であることを証明していた。「応答セヨ」ではその投げかけに起死回生の魂の歓声でオーディエンスが応える。「目を覚ませ本体よ 応答を鳴らせ」と会場に響くと下北沢シャングリラ自体がライブハウスとして大きな雄叫びを上げているかのようにすら感じる。これだ、これがライブハウスだ。間髪容れずに「絶望を撃て」「レイテンシー」へと続く。2020年以降ずっと何処かに何かを置いてきてしまったような感覚がずっとあった。だけどもうそれを拾い集めるんじゃなくて新しいものを抱いて次のステージへ行くことが大事なんじゃないか。そんなことを思いながらステージを注視する。

今が夜明け前だとしたらここから先はもう希望しかないんじゃないかと「夜明け前に」で胸を打たれる。「心があるからしんどいんだよ。不器用だっていいじゃんか。どうしようもなくたっていいじゃんか。俺はまだロックをやめねえんだよ」とステージから全身全霊で投げかけた「アオキハルへ」はこの日のハイライトのひとつだ。ラスト「少年X」をやり切りステージを後にするバンド。鳴り止まないギターのフィードバックが永遠に続けばいいと思った。

この日、ラストを飾ったのはビレッジマンズストアだ。雪崩れ込むようにステージにメンバーが現れ、ドラムセットに腰を下ろした坂野充の雄叫びとともに一気に真っ赤に染まる下北沢シャングリラ。「うっぷんを晴らしにきてやったぞ!」と水野ギイが叫ぶと「夢の中ではない」で盛大にスタート。「なんか派手にブッ放したくて打ってみた弾が君に当たる」って、これ、まさに、ライブハウスだ。水野ギイはいつもライブで「おまえに歌っている」とひとりひとりに向けて言葉を発している。それをライブの最初の最初の最初の言葉で実証していることがたまらなくかっこいい。以前の無観客のライブに対し「おまえのいないライブハウスはめちゃめちゃつまらんかった」と本音を漏らす水野ギイ。「サーチライト」「ビレッジマンズ」と下北沢シャングリラの熱狂も最高潮に達している様子。「ライブって楽しいな。音楽を止めたらいかんな」と新曲「猫騙し人攫い」を披露。来るアルバム『愛とヘイト』への期待も高まる。

ライブハウスの醍醐味であった大きな声で歌うこと。それが出来なくなって、新しい価値観が生まれ、だけど何も変わっていないこともある。声こそは出せないがきっとみんなにも「Love Me Fender」の大合唱は聴こえてきたはずだ。ライブハウスがあって音楽がある。俺がいておまえがいる。水野ギイがずっと、ずっとずっとライブハウスで言い続けてきたことが今本当に心に響く。はみ出しちゃった末路かもしれないけれど、ライブハウスを必要としてる僕らにとって今目の前で繰り広げられているこの光景は愛の様だ。優しく温かく力強く「PINK」を歌い上げ本編は終了、アンコールでは「WENDY」を披露。ライブハウスに上がる拳ひとつひとつに強い意志を感じずにいられなかった。

無数の拳、ではなくひとりひとり、ひとつひとつの拳から明確な意思を持って掲げられ放たれたエネルギーがライブハウスに蔓延する。防止する必要なんてない。東京のライブハウスを繋ぐサーキットイベント「TOKYO CALLING」が今改めてライブハウスで音楽が鳴ることの意味を提示してくれる企画「Live!Livee!Liveee!」。そのタイトルは至ってシンプルだけど、これ以上ないほど素晴らしい名前を持ったこの企画シリーズはここからまだまだ続いていく。これからもライブハウスが、ロックが続いていくように。


TOKYO CALLING presents ”Live!Livee!Liveee!2021 vol.1″
2021/06/03 (Thu)
下北沢シャングリラ
ビレッジマンズストア / WOMCADOLE / Maki

text by 柴山順次
photo by プリティ桜子

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