ライブレポート

for instance (IMAIKE GO NOW)【ライブレポート】

誰が呼んだか「今池に今、行け」を合言葉に、名古屋のディープタウン「今池」で開催されたサーキットイベント「IMAIKE GO NOW 2022」3STARでのfor instanceのライブをレポートする。

text by  柴山順次
photo by ニイミココロ

しかしとんでもないものを観た。あれから数日経った今もまだ気持ちが踊っている。ムーンライダーズの白井良明率いるfor instance。オータコージ、柏倉隆史のツインドラム、雲丹亀卓人、コイチのSAWAGIコンビ、そしてリビングレジェンドである白井良明が名を連ねたなんとも豪華メンバーによるインストゥルメンタルバンドのIMAIKE GO NOW登場に会場の3STARにはそのライブを一目見ようと沢山の観客が集まる。フロアには出演アーティストの顔も沢山見受けられ、for instanceに対する期待で胸がパチパチするほど騒いでいることに気付く。その期待というか、予感は本物で、もうライブが始まった瞬間から最後の最後まで時間を忘れてひたすら堪能してしまった。サーキットイベントで持ち時間が60分あるのはIMAIKE GO NOWならではというか、所謂ショーケース的なものではなく、1本1本のライブの集合体としてのサーキットイベントであることをタイムテーブルを観てもライブを観ても感じる。そんな中でのフルボリュームのfor instanceだ。楽しくないわけがない。

名うてのメンバーが集まってのインストバンドだ。パブリックイメージではクールでテクニカルなライブを想像していた。いや、勿論全員が全員素晴らし過ぎるテクニックをもって楽しませてくれたのだが、その何倍もの溢れる衝動で「バンドって楽しい!!」を体現しているもんだから、観ている僕らまで嬉しくなってしまう。理屈じゃなく身体が動くこの感じ、だからやっぱりライブハウスは最高だ。オータコージと柏倉隆史という全くタイプの違うドラマーがひとつのバンドにいる時点でどんなリズムが飛び出るか興味津々だったのだけれど、この個性の強いふたりのドラムがひとつのかたまりとして強烈な音を放っていることにまずは驚いた。ドラゴンボールで例えるならば、かめはめ波とギャリック砲という全く違う技をそれぞれ撃っているのに相手に炸裂するタイミングではひとつの大きな技になっているような感覚。それでいてオータコージのドラムでしかないし、柏倉隆史のドラムでしかない感じ。ここに雲丹亀卓人のベースが絡み、コイチの情景豊かな鍵盤が乗り、その上で白井良明がまるでフロアに魔法をかけ続けるかのように踊りまくる。これだけのメンバーが揃った上で、圧倒的なテクニックと初期衝動的を併せ持っているんだからそりゃもうとんでもないライブになるでしょう。

しかし白井良明はとてもチャーミングだ。大先輩を掴まえてチャーミングなんて失礼にもほどがあるが、ライブをしながらメンバーと顔を合わせ嬉しそうにギターを弾く姿は少年そのもの。ロックもレゲエもジャズもオリエンタルポップもあれもこれも全部「最高の仲間と最高の音楽で遊びたい!」が全面に出たライブからは白井良明の音楽愛、バンド愛が駄々洩れしているし、レスポールスペシャルのズンとしながらも浮遊感のある音は白井良明そのものな気がしたし、大人なチルさと子供なやんちゃ感が同居したライブに興奮したし、バンドって最高だな音楽って最高だなってライブを観ながら何度も何度も思った。特にアルバム表題曲でもある「door that wind」では印象的なリフがループする中でメンバー個々がそれぞれの見せ場を楽しみながらひとつの音楽を構築していく流れにドキドキしながらもハンドクラップで自分も演奏に参加している気分になった。本当は大きな声で叫びたかったけど、それは一旦置いておいて、それでもこんなにも音楽を楽しめるんだからどんな時期でもいくつになっても、ライブハウスで遊んでいたい。for instanceがIMAIKE GO NOWで魅せたのはバンドを始めたばかりの中学生が初めてライブをしたかのような瑞々しさを圧倒的な経験値を併せ持った上で叩きつけたRPGでいうところの「強くてニューゲーム」的なライブだった。こんなの誰も敵わない。

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