ライブレポート

【FREEDOM NAGOYA 2021-EXPO-】WOMCADOLE

13:00、az.on STAGE。何かとんでもない景色を見せてくれるんじゃないか――そんなフロアの期待感を受け、ただならぬオーラを纏いながらセッティングを終えたWOMCADOLEは、肩慣らしと言わんばかりに「ドア」「YOU KNOW?」でリハーサル。本編スタートのジングルが鳴ると、円陣で想いをひとつにした4人の爆音の狼煙に続き、樋口侑希(Vo/Gt)が静寂を切り裂くように「フリーーーダーーーーーム!!!」と雄叫びを上げた。安田吉希(Dr/Cho)がドラムセットを縦横無尽に乱れ打ちするなか、駆け付けた大観衆に向けて樋口が「たまってんだろ!! たまってんだろ!! かかってこいよーー!!!」と血管むき出しのがなり声で発破をかけたかと思えば、安田の4カウント→強靭な打撃音で“人間なんです”へ。赤と紫の照明が淀んだ心を投影し、「どこまでやっていいの? どこまでもやっていいにきまってんだよ! おーい!」と煽る樋口。FREEDOM NAGOYAに特別な思いがあるのだろうか、ド頭から飛ばしまくるWOMCADOLEは、「てめえが持ってるひとつのもんでいい。それを持ってこい。かかってこいフリーダム」と樋口が吐き捨て、“応答セヨ”を投下。アディダスの赤いジャージを着たマツムラユウスケ(Gt/Cho)がイントロのフレーズを情感豊かに弾き倒し、黒野滉大(Ba)がバンドの土台となる躍動的なベースラインを展開。矛盾にまみれたこの時代を“生き抜く”――そんな<与えられた唯一の試練>を体現する4人の姿に心を打たれた。

“応答セヨ”の曲終わり、伸ばし続けるロングトーンに被せた「外はあいにくの雨ですね。外でもやりたかったけど、今日はこの場所でフリーダムやれてよかったです。ありがとうございます」という言葉に、盛大な拍手で歓迎するホールA。すると樋口がカッティング、すかさず「何かが足りない!」と絶唱。そこに地響きのようなバンドが加わると、「突き放すな! 強く生きろ! 今日からまたこの日のことを、“アオキハルヘ”と呼ぼうぜ!!!」と鼓舞し、百戦錬磨のライブハウスで歌い継がれてきた“アオキハルヘ”が鳴り始めた頃には、ステージに向かって突き上げられた拳の波がフロア一体に広がっていた。まだ見ぬ景色を掴み取るためには止まってはいけない――そんなバンドのポリシーを性急なビートに乗せていく。<僕の人間不器用です>のパートでは「おれとあんたの人間 どこまでも不器用にやりゃいいんだよ!」とぶちまけた樋口。中間部からのラストスパート、樋口、マツムラ、黒野はバンドの中心に向けて体をよじらせながら音を放ち、再びメインコーラスに回帰すると、スポットライトを浴びた安田のブリッジに感化されるように、ラストの<俺達のアオキハルヘ>まで一心不乱に駆け抜けた。

ぶっきらぼうにチューニングを終えると、樋口がFREEDOM NAGOYAの思い出話を語り始めた。「個人的に覚えてんのは、3,4年前かな。外でやってた頃、あのときは何してもよかったじゃないですか。声出したり、モッシュしても、ダイブしたってなんでもよかったし。そういうライブをしてたときに、上空に土と煙で雲が出来てたんですよ」とかつての大高緑地公園の光景に思いを馳せる。一言一句を聞き逃さまいと静まり返ったフロアに「頑張る必要はないです。頑張らなくてもいい、十分頑張ってるんで。気負いしなくてもいいです。ただただ目の前の行きたい場所へ……それで今日ここを選んでくれてありがとうございます」と語りかけ、拍手が起こると同時に紡がれていく“アルク”のコードに乗せて、「とどまってたっていいんだよ。こっからどうにかしてえと思えるだけでも歩けるんだよ。その心を大事にしてください。その心を、その気持ちを、その歌を大事にしてください」と祈りのような言葉を届けた。イントロパートで「自分のペースは自分がいちばん知ってんだよ! それでも! それでも! 一緒に歩いてくれますかーー!!!」と樋口が切実に投げかけ、ぐいぐいと突き進むバンドの推進力を安田の2ビートがさらに加速させる。ラストに向けて声を嗄らしていく樋口の魂の宿った言葉たちは観る者の琴線に触れ、その目と耳と全身に鮮明に焼き付いたことだろう。そして曲終わりからの流れで鳴らされた温かくも鮮烈なディストーション、この繋ぎはあの曲に間違いない。人の価値観の違いについて触れた樋口は、「人に何かを伝えるときは、やっぱおれはこう思ってますって言うのが礼儀やと思うんやわ。ずっと真剣に聞いてくれてどうもありがとうございました!!」と自身の思いを吐き出し、「全員来いよ!! あんたに届けに来たんだよ!!!」と告げて“綺麗な空はある日突然に”へ。身を削って音楽を放つむき出しのWOMCADOLEを支える大観衆のハンドクラップに、「ありがとう、フリーダム。またいつでも来いよ。待ち合わせしような!」と応える樋口。マツムラはステージ前方のお立ち台でギターソロを奏で、黒野は大舞台を噛み締めるようにフロアを見つめ、安田は満足げな表情でバンドの核となるビートを刻む。ラストは樋口がハンドマイクに持ち替え、下手ポールにつかまり、フロアにマイクを向ける――これもライブハウスさながらのパフォーマンスだ。樋口が極限までかすれた声で「おれは死なない! なんべんだって! この声がなくなるまで!!」と叫び、「ありがとうございました!! WOMCADOLEでした!!!」と感謝を伝えて終演。

30分、5曲入魂。すべての瞬間がハイライトと言って間違いない。“アオキハルヘ”の一節の歌詞を変えて「おれは音楽のことを信じてる」と歌ったように、まさに音楽とともに生死をかけたような渾身のステージだった。

FREEDOM NAGOYA 2021 -EXPO-
az.on STAGESET LIST
SET LIST
1.人間なんです
2.応答セヨ
3.アオキハルヘ
4.アルク
5.綺麗な空はある日突然に

text by栄谷悠紀
photo by toya

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