ライブレポート

【FREEDOM NAGOYA 2021-EXPO-】バックドロップシンデレラ

リハから「歌わなきゃジャクソン」「フェスでれた」「はたらくくるま」とワンマン定番曲を1コーラスずつたたみかけ、フロアの踊りたい欲求を早くも刺激していくのはバックドロップシンデレラ。本編スタートのジングルが鳴ると、豊島”ペリー来航”渉(Gt/Vo)が“およげたいやきくん”の一節に合わせて<毎日毎日コロコロコロナでよ~>とギター1本でかき鳴らし、様々なイベントやフェスが中止になったりならなかったり、やれたりやれなかったり、“やらなかったり”する情勢を嘆きつつ、2021年6月19日のFREEDOM NAGOYA開催を讃えた。そして直前まで隣のaz.on STAGEで熱狂のステージを届けた豆柴の大群と対バンできる唯一のフェスであることに満足げな表情を浮かべ、<フリーダムでウンザウンザ 今夜もよろしくね>と結び「バックドロップシンデレラです!」とこの日のための口上を終えると、間髪入れずに“バズらせない天才”に突入。2ビートと4つ打ちがめまぐるしく展開するこの曲は、群雄割拠のFREEDOM NAGOYAにおいてオープニングに最もふさわしい楽曲と言えよう。ステージを前後左右に、自由に動き回るでんでけあゆみ(Vo)のツーステップに導かれるように、各々の囲いの中でめいっぱい踊りふけるフロアの精神性は、続く“フェスだして”でさらに強固なものになっていく。

あゆみの「さあ踊ろう!」の呼びかけに、合いの手やツーステで音楽に純粋に身を委ねていく大観衆。中間部では、「何かが変わりつつある! つつある!」のおなじみの掛け声をハミングで唱え(急遽「ハミングで!」と言われ戸惑いつつもしっかりできていたのはさすが)、今年すでに開催された別のフェスで迷走を重ねた結果黙祷をしてどんずべり→今日はそうならないように1曲増やそうと提案→「コロナのおかげです!」とペリーが歓喜する茶番的な一幕も。鬼ヶ島一徳(Dr/Cho)による高速ダンスビートに回帰すると、アサヒキャナコ(Ba/Cho)による「よいーん! さめぬうち!」も炸裂してエンディングを迎えたかと思えば、さらにBPMを振り切った一徳の合図で“2020年はロックを聴かない”へなだれ込んだ。高速ゆえに先ほどまでの一体感が思い思いのノリ方にバラけていったさまは、逆にフリーダムっぽくて眩しい。苦難の2020年を忘れることなく心に刻み、<近い将来 密密放題で>とライブハウスの未来に希望を託したところで、ペリーは「いろんなフェスが中止になってるなか、FREEDOM NAGOYAが今日開催するという決断を下してくれました。バックドロップシンデレラはその決断を全面支持します」と敬意を表し、「でも開催することで日本中からめちゃめちゃ注目されてると思うんですよ。普段とは違うルールですけれども、ちゃんと守って、しっかり楽しんで、最高にかっこよかったということで来年にきれいに繋げられたらと思います」と述べ、ホールAを大きな拍手が包み込んだ。

フロア後方まで響き渡るハンドクラップがこの日のFREEDOM NAGOYAの成功を印象付けた“サンタマリアに乗って”、ライブハウスで灼熱のモッシュピットが発生するキラーチューン“台湾フォーチュン”と続き、バックドロップシンデレラのライブでは外せないアンセム“月あかりウンザウンザを踊る”へ。タンクトップ姿になったあゆみのコサックダンスが飛び出し、中間のブレイクではあゆみが「いつの日かー! そのマスクを取って! 思いっきり笑っていこうぜー! その日が来るまで今日は! 思いっきり! 思いっきり! 思いっきり! 踊ろうぜーーー!!」と割れんばかりの声で叫び、<踊るヤツがエラいのだ それがここのルールさ>を体現するかのように呼応し合うステージとフロアの距離感は限りなく近く、目の前に広がるどうにも代えのきかない時間を惜しむかのように踊り続けた。

ラストは“さらば青春のパンク”。ワンマンライブでも終盤に演奏されることが恒例のこの曲のアティテュードは、メロディックパンクバンドがラインナップに多く名を連ねるFREEDOM NAGOYAでこそより一層浮き彫りになった。まぶたに焼き付いて離れない、あのクラウドサーフが絶えず発生するライブハウスの光景が、今この瞬間目の前で繰り広げられている4人の全身全霊のパフォーマンスと重なって胸がいっぱいになった。昂ったあゆみはハイジャンプを繰り返し、まさにライブハウス叩き上げのバンドとして誇れる熱演を見せてくれたバックドロップシンデレラ。祝祭的な空間に包まれながら30分の持ち時間を終えた。

FREEDOM NAGOYA 2021 -EXPO-
NSM STAGE
SET LIST
1.およげたいやきくん
2.バズらせない天才
3.フェスだして
4.2020年はロックを聴かない
5.サンタマリアに乗って
6.台湾フォーチュン
7,月あかりウンザウンザを踊る
8.さらば青春のパンク

text by 栄谷悠紀
photo by Daiki Miura

関連記事

ONLINE SHOP