ライブレポート

Dramatic Night【ライブレポート】

Dramatical Records
Dramatic Night -dramatical Records 6周年記念イベント-
2022年2月17日 APOLLO BASE

群雄割拠のアイドルシーンにおいて波乱万丈ながらそれでも前に進み続けてきたDramatical Recordsが6周年イベントをAPOLLO BASEにて行った。Paradox Risk、WONDER SNAKE、Otto、研究生であるドラマティックガールが所属するDramatical Recordsを主宰するてるなはバンド、アイドル問わずイベント運営などに関わりながら2016年にレーベル設立。当初はバンドも所属していたが現代はアイドルをメインにレーベル活動を展開、所属グループがそれぞれの個性をそれぞれの打ち出し方で放出する個性派集団として名古屋を中心に活動している。

そんなDramatical Recordsが3月で6周年を迎える。群雄割拠とは言いながらもある観点からは飽和状態とも見えるアイドルシーンで6年間生き抜くことは容易ではない。勿論Dramatical Recordsもこの6年間順風満帆だった訳ではなく、数々の挫折、苦悩を繰り返してきた。メンバーの脱退もそう。ライブの欠席が目立つ時期もあった。ときにはメンバーひとりでステージに立つ日もあった。だけど彼女たちは何も諦めなかった。歩むスピードは関係ない。前を向いているかどうか。Dramatical Recordsが前だけ見て6年間歩み続けてきたことを集約するライブ。それが2月17日にAPOLLO BASEで行われたDramatic Nightだ。

Paradox Risk

まずステージに登場したのはParadox Risk。メンバー脱退、そして新メンバー加入によりポイズンラットからParadox Riskへと転生した彼女たちが最後のAPOLLO BASEでどんなライブを見せるか。ポイズンラットとしてDramatical Recordsを背負ってきたからこそ、Paradox Riskとしてこの日のイベントのトッパーを任せられた4人が見せてくれたのはグループの経験値と新たな血が加わった初期衝動だった。

ブラッシュアップ且つパワーアップした「Magic Party tonight」でライブはスタート。とびきりのポップと毒を併せ持った楽曲はParadox Riskの真骨頂。印象的なのはオクターブ違いのコーラスワーク。これがライブでハマるのが滅茶苦茶かっこいい。そして最後の極悪ビートダウン。曲の最後の最後でこの展開がくるのも凄すぎる。かっこいいぞ、Paradox Risk。そして間髪容れずに「もぬけのから」に突入すると亞呪。の「いくぞ、拳!」の掛け声で一斉に挙がる拳の数々。この光景をてるなはAPOLLO BASEで作りたかったんだと思う。祭りビートの中「ヨイヨイヨイヨイ!」の展開もParadox Riskらしさ全開だ。ここで飛び出したのはOttoのカヴァー「L.Y.N」だった。男装アイドルであるOttoの楽曲をどう表現するのかと思ったらこれがとんでもなくかっこいい。セリフのような歌も「左!左!右!右!」の振り付けも新鮮過ぎてParadox Riskの新しい扉を開いたような気がする。打って変わってラストは激重スクリームナンバー「Salem」でフィニッシュ。ポイズンラットを継承しつつParadox Riskへと生まれ変わった意味をしっかり提示したライブだった。

Otto

男装アイドルというアイドルとしての在り方として新たな可能性を打ち出しているOttoがステージに登場するとAPOLLO BASEがまるで宝塚のように感じた。「全ての性に価値がありヒカリが今すぐ訪れる」と歌うOttoのアイデンティティともいえる「Mrs.KINGMAN」は2020年代の生き方を問う大きなテーマを含んだメッセージソング。男装アイドルという新ジャンルは生きるだけで矢が飛んでくるような今の時代をどうサヴァイブするか、その上で新世界を作ろうとするOttoの、Dramatical Recordsの強いメッセージを感じる。「アタシがKINGMAN」なんてライブでかっこよくキメられたらもうガッツポーズだ。禁断の恋の呪文「オン・レーカ・トピーカ」で始まる「拝啓、お姫様」はライブで観るとまるで4人が「花より男子」のF4に見えるから面白い。究極のツンデレソングをかっこよく歌うOtto。これは女性ファンが沢山出来る訳だ。こんなにかっこいい4人に「僕の愛情は君のモノだからさ」とか言われたら、ねえ。

そしてOttoが活動開始からずっと目指している夢を歌った「0から8へ」に続く。七転び八起きなんて言葉があるけれど、転んだって立ち上がって想いをぶつけていくことがどれだけ大事かってことはDramatical Records が身をもって伝えてきたことでもある。それをこうしてOttoがステージから投げかけること、そしてそれがAPOLLO BASEに響き渡っていることはてるなの想いが広がっていく瞬間だと思う。少しの勇気が輝くチャンスだ。一歩踏み込むパワーをOttoは男装という手法で僕らに与えてくれているのかもしれない。最後はWONDER SNAKEのカヴァー「P!C!G!2」を披露し、その圧倒的な存在感をアピールしたOttoのライブは幕を下ろした。

WONDER SNAKE

3番手はWONDER SNAKE。もうはっきり書くけどWONDER SNAKEに起こる様々な出来事に「これ、呪い?」って思う時期もあった。だけどオーキュペテー・スイミンもキマイラ・レバー・クラウンも歪・アイリス・聖も折れなかった。いや、折れたかもしれないけどその都度立ち上がってきた。3人になったことでパワーダウンしたと思われることが何よりも嫌だとメンバーが語っていたように今のWONDER SNAKEは苦悩や挫折をエネルギーにして思いっきりポジティブに発信する姿に涙腺が刺激される。初めて披露したときはメンバーが5人いた「HOPE」を3人であのワンマンのとき以上に力強く歌う3人は本当にかっこ良かったし本当に強くなったと思う。

WONDER SNAKE流ロックンロールナンバー「嫌いになっていく」も破壊力抜群だ。3人になったことでメンバー個々の求められるものも多くなったと思うのだが、それを全部飲み込んでひとりひとりが確実にレベルアップしたことがライブのパフォーマンスやメンバーの表情から感じることが出来てグッとくる。ここでParadox Riskのカヴァー「ダーリンデスダーリン」を披露。WONDER SNAKEとはまた違う打ち出し方の楽曲を歌詞を噛みしめながら歌っているのが印象的だ。そしてラストはWONDER SNAKEの代表曲「ロンリーゴースト」でAPOLLO BASEが熱狂。この曲の持つパワー、本当に凄い。歌詞は決して明るいものではないのだけれど、イントロもサビもダンスもトラックも、その全部が楽曲を、WONDER SNAKEそのものを、ポジティブに押し上げる力を持っている気がする。サイリウムを持った手が沢山挙がっているのがその証拠だ。短いライブながらWONDER SNAKEの底地からを見せつけられる圧倒的なパフォーマンスだった。

ポイズンラット

WONDER SNAKEがステージを後にすると入れ替わるようにポイズンラットの「毒69」がAPOLLO BASEに鳴り響く。するとParadox Riskの愛音ゆらと亞呪。がステージに登場しポイズンラットとして「毒69」を披露する。これは勿論Dramatic Nightだからこそだと思うし、それ以上に、Paradox Riskとしてポイズンラットを更新した自信があるからこそポイズンラットとして愛音ゆらも亞呪。もステージに立つことが出来たんだと思う。この日のツーステはこれまで観た「毒69」のどのツーステよりもかっこ良かった。

そしてここからはDramatic Nightの祭りタイムに突入。Dramatical Recordsてるなも含めたメンバーシャッフルによるカヴァー大会が始まったのだ。これもレーベル主催イベントの醍醐味だ。Ottoの八汰泉貴、八雲悠、八角鷹恭、Paradox Riskの愛音ゆら、WONDER SNAKEのキマイラ・レバー・クラウン、そしてDramatical Recordsのてるなの6人でバキバキにキメた「踊」を披露、「青春カラダダダダッシュ」はParadox Riskの亞呪。、うゆ、WONDER SNAKEのオーキュペテー・スイミン、Ottoの八ツ橋玲音の4人でポップに歌い、Paradox Riskの嫁伽子むこ、うゆ、Ottoの八汰泉貴、WONDER SNAKEのオーキュペテー・スイミン、歪・アイリス・聖は「眼鏡の男の子」を演劇も交えて展開、さらにParadox Riskの愛音ゆら、亞呪。、WONDER SNAKEのキマイラ・レバー・クラウンで「Danceでバゴーン!」をかっこよく表現し、Ottoとてるなで「クイーンオブハート」を踊り、最後はDramatical Recordsオールスターで「ラブリーの定理」を披露しAPOLLO BASEが興奮の渦に。

代わる代わる飛び出てくるメンバーのシャッフルにDramatical Recordsの仲の良さ、ポテンシャルの高さを感じたし、そこに代表のてるなも一緒に歌って踊っていることが本当に最高だと思った。そしてアンコールではDramatical Recordsの始まりの曲ともいえる「8bit」を全員で熱唱してAPOLLO BASEでの最後のイベントは大団円を迎えた。

Paradox RiskもWONDER SNAKEもOttoもそれぞれの戦い方でDramatical Recordsを支えている。さらにコロナの影響で出演出来なかった研究生のドラマティックガールもいる。6周年を迎えたDramatical Recordsがその存在を叩きつけたことがAPOLLO BASEの歴史にしっかりと刻まれた1日になったと思う。

text by 柴山順次
photo by そらおあきら

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