ライブレポート

Dizzy Sunfist “Welcome to DIZZYLAND” TOUR 2021-22【ライブレポート】

Dizzy Sunfist “Welcome to DIZZYLAND” TOUR 2021-22
岐阜 柳ケ瀬Ants w/Northern19

2021年7月に発表されたいやまの卒業。HPに記載されたコメントであやぺたが言っていたように思わず「正気かよ」と声が出た。そして考えた。新型コロナウイルスの発生以降、本当に何もかもが変わってしまった。少しずつ落ち着いてきたとはいえ依然として油断出来る状態ではないのは周知の事実だ。コロナ初期にライブハウスが取り沙汰されたことで音楽シーンは多大な影響を受けてしまった。不要不急の名の下にまるで音楽=悪のような風潮まで起きてしまった。その状況下できっと誰もが生活を、人生を考えただろう。いやまの卒業に新型コロナウイルスが直接関係あるのかどうかは分からないが、いやまの選択をあやぺたとmoAiが卒業という形で見送ったことも、梅田、名古屋、渋谷と、いやまとの最後の東名阪クアトロツアーに「Happy Graduation to IYM!!!」TOURと名付けられていたことも、このどうしようもない世の中で愛を持って仲間の旅立ちを見守るふたりの気持ちが込められまくっていたと思う。自分は10月12日名古屋クラブクアトロのライブを観たが最初から最後まで愛しかないライブだったし、いやまとの最後のライブとなった10月15日渋谷クラブクアトロでのライブはきっと素晴らしいものだっただろう。そしていやまと別れふたりとなったDizzy Sunfistは休む間もなくツアーを開始した。その名も「“Welcome to DIZZYLAND” TOUR 2021-22」だ。もうこのタイトルだけでガッツポーズしてしまう。そしてこのスピード感。今までのDizzy Sunfistから新しいDizzy Sunfistに前向きにひた向きに変わるこの感じ。サンクスそんでもってハローだ。不安もなにもかも丸ごと飲み込んでノッてる奴をみんなまとめてDIZZYLANDに招待する。いやまの卒業からたった数週間で始まったツアーでDizzy Sunfistがどんなライブを見せてくれるのかこの目で確かめたくて岐阜 柳ケ瀬Antsに足を運んだ。

この日の対バンはNorthern19。彼らもまた16年間活動を供にしたベース井村知治が2019年に脱退しており、あやぺたはいやま卒業のことやこれからのことをNorthern19に相談していたという。現在自身のツアー中でもあるNorthern19がDizzy Sunfistの新たなスタートとなるこのツアーに参加していることからも両バンドの関係性を伺うことが出来る。なんて真面目なことばかり考えてしまっていると笠原健太郎の影アナによる注意事項という名の、北野武のモノマネという名の、やっぱり注意事項が流れてくる。コロナ禍におけるライブハウスでは様々なガイドラインが設けられ、バンドもオーディエンスもルールとマナーを守った上でライブを行っている。だからこそ注意喚起は必要だが、どうしても固くなってしまいがちなこの時間を愛とユーモアでしっかりと届けた笠原健太郎、流石だ。会場の空気が変わったところでNorthern19のライブが始まる。オープニングを飾ったのは「君の笑顔はみんなを笑顔にする」「君の行動は決して裏切らない」と歌う「BELIEVER」だ。まるでDizzy Sunfistに向けて歌われたかのようなメッセージにライブが始まったばかりで胸がいっぱいになる。

ど直球なメロディックパンクを叩きつける「NOTHING BUT MY HEART」に続き、敦賀壮大がボーカルをとる「MORATORIUM」は新たなメンバーを迎えて活動をしていくという面でDizzy Sunfistの背中を押しただろうし、「MOVE ON」「STILL ALIVE」「DRAIN」とNorthern19の最新型である新曲群をどんどんライブで演奏する姿にも希望を感じたことだろう。こうやって背中でDizzy Sunfistに語り返るNorthern19の姿にただただ痺れる。「SUMMER」「STAY YOUTH FOREVER」「NEVER ENDING STORY」とバンドと一緒に成長してきたような曲が続きAntsのフロアにも沢山の拳があがる。声が出せなくたってパンクロックのライブはこうやって意思表示が出来るんだ。「バンドは元気にロックする。ロックしようぜ!」と叫ぶ笠原健太郎。バンドは勿論、この日Antsに集まったオーディエンスもみんながみんなそれぞれのロックを体現していたのが本当にかっこいいと思った。コロナ禍コロナ禍って言い飽きたし聞き飽きた。やっぱりパンクロックが元気じゃなきゃ。ラストの「MESSAGE」を全身で浴びながらNorthern19がオーディエンスに、そしてDizzy Sunfistに投げかけたメッセージに心が震えるライブだった。

Northern19からバトンを渡されたDizzy Sunfist。今ツアーではサポートベースに山口メイ子を迎えた新体制でのライブを展開しており、まずはこの短い期間でバチバチに仕上げてきていることに驚かされる。ライブはニューアルバム『DIZZYLAND -To Infinity & Beyond-』のオープニングを飾る「The Proof」からスタート。疾走するエモーショナルが炸裂するとオーディエンスも拳で応戦。あやぺたの哀愁メロディに山口メイ子、moAiのコーラスが混ざった瞬間声を出しちゃいけないのに声が出そうになった。前に進んでいる。めちゃくちゃ前に進んでいる。Northern19が「BELIEVER」で届けた「前に進むこと」というメッセージがDizzy Sunfistにしっかりと伝わっている。今日、このライブが観れて本当に良かった。なんて感傷に浸っているところに追い打ちの「No Answer」だ。「迷ってる場合じゃない」「自分には出来る」と力強く歌うこの曲に今まで何度励まされただろう。そして今、自分自身に言い聞かせるように歌うあやぺたの表情といったら。これが見たくて岐阜まで来たんだ。

OK、もう充分受け止めた。ここからはひたすらパンクロックを、大好きなメロディックパンクを楽しむことにする。「The Magic Word」「Someday」と続くナンバーにモッシュもダイブも出来ないけど心が弾けるほど踊っているのが分かる。俺達のライブハウスの歌「Our House」をザ・ライブハウスな柳ケ瀬Antsで聴けたことも嬉しかった。いつのまにか悪ものにされてしまったライブハウスを俺達の手に取り戻すためのDizzy Sunfistの決意表明。ライブハウスなめんなってこの2年くらいずっと思っている。ニューアルバムから「Dinosaur」「STRONGER」とDizzy節炸裂ナンバーが続き、ずっと連れ添ってきたような「Summer Never Ends」に流れるという新旧織り交ぜたセットリストにバンドのこれまでとこれからを感じる。ヤーマンポーズを布教(あやぺやは教布と言っていた)したりNorthern19への愛と感謝を語ったり、相変わらず噛み噛みなMCだけどあやぺたの言葉は心に真っ直ぐ突き刺さるから不思議だ。不思議といえばMVの見過ぎで「Life Is A Suspense」でライブでは鳴っていないリコーダーの音まで聴こえてしまうのも不思議だ。あのビデオには何度も笑わせてもらったけどライブで観るとめちゃくちゃかっこいいのも不思議だ。ライブ中盤はニューアルバムから立て続けに「Drama Queen」「Never Again」「N.i.n.j.a」と披露。アルバムのレンジの広さというかDizzy Sunfistのポテンシャルの高さを改めて思い知る。アルバムではGARLIC BOYSのPETA氏、LARRY氏を迎えてニンニクマシマシハードコアを聴かせる「N.i.n.j.a」はライブでも圧倒的だった。「抜き足差し足忍足!」なんてシンガロング、GARLIC BOYSのそれでしかなくてニヤけてしまう。イントロのギターフレーズが印象的な「Little More」も初期衝動大爆発な「Dizzy Beat」も「SHOOTING STAR」も、新しいDizzy Sunfistを観ているつもりが新しいんじゃなくこれまでの地続きにあるDizzy Sunfistを観ているんだってことに気付かされる。Dizzy Sunfistは変わったんじゃなくて更新したんだ。

バンドのアイデンティティともいえる「夢は死なへん」を体現する「The Dream Is Not Dead」ではその夢がいつしかバンドだけじゃなくて俺達の夢になっていることも実感する。やってやろう精神はバンドを前進させるし加速させる。まるで元気玉のようにオーディエンスが掲げた両手からパワーが放出された「Tonight,Tonight,Tonight」の光景も素晴らしかった。支え合って、与えあって、そうやってバンドとオーディエンスとライブハウスが作り上げる時間や関係性。そんなのめちゃくちゃ美しい。と思ったところでラストナンバー「So Beautiful」だ。こんなの泣いてしまう。泣いてしまうよ。ライフ・イズ・ビューティフルだし、ライフをビューティフルにしてるのは間違いなく音楽だし、ライブだし、Dizzy Sunfistだ。いやまの卒業だってちゃんとライフだしライブだった。今、目の前でひた向きに歌っている3人だって、いや3人こそ紛れもなくライフだしライブだ。アンコールでは超ハッピーな空間を作り上げた「Everyting’s Gonna Be Alright」、友達と肩を組んでいるような気持ちになる「Andy」、そしてファストナンバー「FIST BUMP」で大団円…のはずがWアンコールで泣きのメロディックパンク大炸裂の「We Can!!」で締め。「夢は死なへん」って言い続けてきたDizzy Sunfistだけど、ただ夢を見ているだけじゃなく、しっかり現実も食らって、その上で夢を見ているバンドだからこその説得力が「夢は死なへん」の言葉にあるんだと思う。「夢見がち」なんて言葉もあるけれど「夢見たもん勝ち」だと思えるのは、ライブハウスで夢を歌うDizzy Sunfistがいるからだ。ツアーはまだまだ始まったばかり。夢を目一杯大きくさせてひとまわりもふたまわりも大きくなったDizzy Sunfistにまたライブハウスで会いたい。

text by 柴山順次
photo by 岩淵卍郎

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