ライブレポート

BiSH 2021年5月25日(火) 日本ガイシホール【ライブレポート】

BiSHが名古屋では初のアリーナ公演となる「BiSH SPARKS “This is not BiSH except BiSH” EPiSODE 4」を2021年5月25日(火)、日本ガイシホールにて行った。この公演が発表されたとき、そして会場に向かいながらもEPiSODE1、2、3を思い出していた。しかし何も思い出せなかった。自分がド忘れしているのか、はたまたBiSHがすっ飛ばしているのか。そんなことを考えながら席に着くと開演とともに巨大なスクリーンに映像が映し出され唐突にメンバーが話し始める。映像には09 22、10 16、12 04、05 25、06 19、07 20の数字。考える間もなくカウントダウンが始まりライブがスタートするとステージ上に確認出来るのはバンドメンバーの姿のみ。「もしや!」と思いステージ後方に目を向けるとそこにはBiSHの姿が。「こういうのX JAPANの東京ドームで観たことある!」とテンションが爆上がりする中始まったのはバンドサウンドにより攻撃力マシマシの「BiSH-星が瞬く夜に-」だ。アリーナ後方で歌い始めたメンバーは徐々に移動をはじめ、アリーナ席を囲むように作られた花道で縦横無尽に歌う6人。様々なアーティストのアリーナ公演を見てきたけどこんな花道は初めて見た。アリーナ席もスタンド席もそれぞれの楽しさがあるけれどそれとはまた違った楽しませ方をしてくれるBiSHは根っからのエンターテイナーだなと思った。

セントチヒロ・チッチの開幕宣言を合図に「stereo future」が始まる。この曲のリリースはコロナ以前の2018年。しかし「壊れそうな街が泣いてんだ」「抜け出そう 走り続けなくちゃ」と今日、今この瞬間のメッセージとしてアリーナに響き渡る。そして「GiANT KiLLERS」「DEADMAN」とお馴染みの鉄板パンクナンバーから最新パンクナンバーである「ZENSHiN ZENREi」に流れ込む。「あなたへ届け」「あなたを思う」という言葉とは裏腹に炸裂するパンクな曲調に会場のボルテージものっけから最高潮。そりゃそうだよな。やっぱりライブってとてつもなく楽しい。

毎週のように行っていたライブも中々出来ない状況になり1年以上経つ。BiSHに限ったことではないが、筆者はどうしてもライブにエモーショナルな感情を持ち込んでしまうようになっている。昨年12月24日、332日ぶりに行われた有観客ライブ「REBOOT BiSH」ではオープニングの「LETTERS」で既に感情が堪えきれなかった。しかし今日のBiSHのライブはひたすら「楽しい!」の感情が爆発している。もう何回も何回もやってきたであろうメンバーの自己紹介も噛み噛みだけど、それが最高に楽しい。「声が出せなくたって楽しめるように」とアイナ・ジ・エンドが提案したタオルではなく髪を掴んで振り回すパフォーマンスを強要される清掃員たち。その中にスキンヘッドを見つけ、ちゃんと映像で抜くカメラマン。もう最高に楽しい。これがBiSHのライブだ。

BiSH史上最もキュートなダンスソング「DA DANCE!!」はライブで観るたびにあの頃と今のメンバーの進化を対比出来るのが非常に面白い。清掃員たちが楽しそうにダンスしている姿をメンバーも嬉しそうな表情で見つめているのが印象的だった。「粉々の世界を変えていけるだろう」と歌う「MORE THAN LiKE」ではBiSHから慈悲の愛のような大きさを感じた。一人じゃ何もできないかもしれないけど、BiSHがいて清掃員がいたら何だってできる気がする。絆なんて言葉を本気で信じられるのはBiSHと清掃員の関係を知っているからだ。価値観ごと引っ繰り返ってしまった世界でそれでも前に進まないといけない。新しい何かを目覚めさせ、世があけるのを待つんじゃなく自分自身で世をあけることが大事なんだと噛みしめながら「スパーク」を聴く。もう何回も何回もライブで聴いてきた曲なのに聴く度に更新される「スパーク」をこれからもみんなで歌い続けたい。そんなことを思わせてくれた。セントチヒロ・チッチが「どんなに遠く離れていてもこの空は繋がっています。みんなの心も強く繋がっていますように」と話し披露した「オーケストラ」はこの日のハイライトのひとつと言っても過言ではない。ギターのアルペジオと絡み合うセントチヒロ・チッチの歌声、感情をスパークさせたかのようなドラムロールとバンドセットでのライブの魅力を十二分に発揮した「オーケストラ」。アリーナを覆うペンライトの光は夜空に浮かぶ星のようだ。

感動的な「オーケストラ」の後はBiSHのライブではお馴染みのコントコーナー。毎回滑り倒すもはや「滑り芸」的要素満載のコントだが、正直今回はめちゃくちゃ面白かった。声が出せたら爆笑していたと思う。ハシヤスメ・アツコが「テバサキヤスメ・アツコ」というピヨピヨひよこになり、後にコケコッコーなニワトリになる。そして気付くとまた時が戻りひよこに戻り先程と同じ時間が繰り返されるというタイムリープコント。文字では伝わらないと思うがこれが本当に面白かった。そして巻き添えをくらったアイナ・ジ・エンドの絶叫でコントが終わるとそのまま「TOMORROW」へ。このときのアイナ・ジ・エンドの切り替えが凄かった。アイナだけじゃなくアユニ・Dのコント中のキャラもPEDROをやることで開花した彼女の更なるポテンシャルを感じさせるものだったし絵本「し(も)もたろう」で新たな才能を発揮したリンリンの世界観も雰囲気から見え隠れする。BiSHは本当に多彩だ。続く「SMACK baby SMACK」でのモモコグミカンパニーとハシヤスメ・アツコのビンタ芸も健在。今日、ずっと言ってるけど、めちゃくちゃ楽しいぞ、BiSHのライブ。

BiSHのアーティスティックな面が押し出された「遂に死」「in case…」「FREEZE DRY THE PASTS」はただただ圧巻だった。VJである山田健人とBiSHが作り出す圧倒的な世界観には毎度感動させられる。特に「FREEZE DRY THE PASTS」で魅せるメンバーの常軌を逸した表情。ここまで楽曲を完璧に表現できるのは本当に凄い。息をするのをわすれるほど見入ってしまった。

「BiSHはライブに来てくれる人の想いをもらって前に進めてきました。そんな想いを追い風にしてきたけど、これからはそんな想いを包み込めるくらい大きくなってみせます」とモモコグミカンパニーが語って披露されたのはBiSHのアンセムである「プロミスザスター」だった。この曲をライブで観るときはいつもBiSHを光に感じる。その光はどんどん大きくなって僕らを照らし続けてくれる。気付いたらBiSHはそういう存在になっている。

「STAR」では落ちサビのセントチヒロ・チッチのパートで会場が一斉に青く染まる。彼女の誕生日を祝う企画として清掃員からの粋なプレゼントだ。終演後「青いサイリウム、ありがとう。私のためなのか知らないけど」と照れ隠し発言をしていたが、隠し切れないほど満面の笑顔を見せていたのは会場の全員が見ていたはずだ。こういうところがBiSHと清掃員の絆だと感じる。「もうなんにも失いたくはないけれどなにができるかな」「始まる景色の先を見ていたいだけ」と歌う「Nothing.」も紛れもなく今の歌だったし「スーパーヒーローミュージック」はまさにBiSHそのものを歌っている気がした。BiSHの音楽は常に今にアップデートされ今のメッセージとして放たれる不思議なパワーを持っている。今日披露された曲だって全部が全部今日の為に書かれた曲だと思うほどだ。そして本編ラストとなる「beautifulさ」では再びアリーナ側面の花道でメンバー各々が清掃員と会話するかのように歌う。ソーシャルディスタンスという言葉が引き裂いた距離をBiSHが縮めてくれる。BiSHを近くに感じる瞬間だった。アンコールでは夜明けを願う「I’m waiting for my dawn」、そして自分と向き合い、自分に問いかけ、明日へと繋げることを宣言する「ALL YOU NEED IS LOVE」を披露。こうしてBiSH初の日本ガイシホール公演は幕を下ろした。

ライブが終わると同時にスクリーンにはオープニングで流れた映像の続きが映し出される。そこから読み解くに、どうやらEPiSODE 4とは今日のガイシホール公演で、EPiSODE 5が0619の暗号から6月19日の沖縄公演、EPiSODE 6が0720の暗号から7月20日の大阪公演と捉えられる。そうか、オープニングでアユニ・Dが歌っていた謎の鼻歌はスター・ウォーズのテーマソングだったのか。確かにメンバーはジェダイの騎士のような衣装を着ている。となるとこの後EPiSODE 1、EPiSODE 2、EPiSODE 3と続くはずだ。先の楽しみがあること、ライブの予定があることは本当に嬉しい。この状況下でやれる最大限のやり方とアイデアで清掃員を楽しませてくれるBiSH。あの日、ヒーローに憧れて謳っていた6人は紛れもないヒーローになっていた。

photo by sotobayashi kenta
text by 柴山順次 

BiSH SPARKS “This is not BiSH except BiSH” EPiSODE 4
2021年5月25日(火)@日本ガイシホール

セットリスト
1.BiSH-星が瞬く夜に-
2. stereo future
3. GiANT KiLLERS
4. DEADMAN
5. ZENSHiN ZENREi(新曲)
6. DA DANCE!!
7. MORE THAN LiKE
8. スパーク
9. オーケストラ
10. TOMORROW
11. SMACK baby SMACK
12. 遂に死
13. in case…(新曲)
14. FREEZE DRY THE PASTS
15. プロミスザスター
16. STAR
17. Nothing.
18. スーパーヒーローミュージック
19. beautifulさ
EN
1. I’m waiting for my dawn
2. ALL YOU NEED IS LOVE

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