インタビュー

ビレッジマンズストア【インタビュー】

ビレッジマンズストアがバンド初のデジタルシングル「TV MUSIC SHOW」を配信リリースした。コロナ以降、バンドの在り方を誰もが模索した中で彼らはその歩みを止めずアルバムのリリースやツアーを積極的に行ってきた。そのバンドの衝動性が落とし込まれたのが「TV MUSIC SHOW」であり、キャリアを重ねてきたビレッジマンズストアが今もなお14歳のような表情でロックンロールを鳴らす真髄を感じることが出来る楽曲となっている。意識的な変化を進歩と捉え着実に前に前に進んできたビレッジマンズストア。彼らが今何を思うのか。ツアー真っ最中の彼らを訪ねた。

interview by 柴山順次
photo by タカギユウスケ

2YOU:まずはコロナ禍におけるバンドの在り方ややり方について、この数年ビレッジマンズストアがどんな活動をしていたか伺いたいのですが。

水野ギイ:俺達はバンドマンとしての立場以外、特に何かある訳でもないから止まる訳にもいかないというか、止める理由がなかったので、バンドマンとして出来ることは全部やろうという前向きなスタンスでした。勿論出来ないこともあったけど、その時その時で何が出来るかをみんなで考えてやれることからやるみたいな。だからよく聞くような「コロナで何も出来なくて辛かった」って感じはあまりなくて。

岩原洋平:何だかんだ手を変え品を変えお客さん達の前に現れることが出来たのかなって。そのひとつひとつがどうだったか考えることは勿論あるんですけど、色んなことがありながらもお客さんの目の前に居続けることが出来たのは良かったですね。

坂野充:曲を作って練習をしてライブするっていう大枠は変わってないんですよ。ライブが配信になったりはあったけど、本当にそれくらいで。あとは何も変わってないですね。

水野ギイ:やることは変わってないけどそこに対しての気持ちみたいなものは個人的には変わったかな。こういう言い方は好きじゃないんですけど、時間は有限じゃないですか。だから生きている間にやれることは限られていて、そこに無頓着でいちゃ駄目だと思うようになったんです。どんな状況や環境であれ、やれることをやっていく姿勢にバンドがなったし、メンバー同士でも「新しいことをしよう」みたいな話がよく出るようになって。

岩原洋平:新しい事をやろうってときに「それは無理」っていう空気感にバンド内でならなかったんですよ。「じゃあやってみよう」ってみんながドキドキしながら思えたのは大きかったですね。

2YOU:具体的に何か新しいことってありました?

水野ギイ:ライブでやれることは減ったけど、そこに対して「減った」というより「変わった」という認識でいれば楽しいことをまた考えるだけじゃないですか。そういう話をメンバーでよくするようになったのは俺たちの中では新しいことですね。大体俺が何か新しいことをしようとすると、乗ってくる奴とブレーキをかける奴に分かれるんですけど、そのブレーキが減った気がします。

岩原洋平:そのブレーキを踏むのは大体俺だったんですけどね(笑)。

水野ギイ:あははは。でもブレーキを踏む奴がいないと暴走しちゃうから。俺がやりたいことを本当の意味で実現させるには乗ってくる奴もブレーキを踏む奴も大事だと思う。そのバランスが俺たちは凄く良い。

2YOU:バンド内だと皆さんどんな役割を担っています?

ジャック:僕はみんなが考えたアイデアを実現させたいタイプなので、実現させる為に何をするかを考える役だと思っています。

水野ギイ:それは祐太朗も一緒だよね。誰かの意見を否定したことがないもんね。

荒金祐太朗:俺は人の意見を肯定することが得意かもしれない。そういうことを考えるのがそもそも好きなんですよ。

岩原洋平:考え方は水野に近いよね。

水野ギイ:感覚的な部分がヴォーカルっぽいんだよね、祐太朗は。

荒金祐太朗:そうなのかな(笑)。でもライブでの満足するポイントは、沢山知り合いがいる中でギイくんが一番近いなって思う(笑)。

2YOU:充さんはどうですか?

坂野充:俺は割と見守ってるパターンが多いと思います。誰かが何かやりたいときにその意見を肯定することが多いんですけど、逆に言うとブレーキをかける側にも加担するので「これはどう着地するかな」って思いながら一歩引いた状態で見るポジションなのかもしれません(笑)。

岩原洋平:さっきも言ったように大体ブレーキを踏むのは俺なんですけど、何故かというと俺は完全に技術者目線だからなんです。技術的に出来るかどうかで考えるから、無理だと思ったらブレーキをかけるんです。だから感覚的に判断することが苦手なのでそういう部分はメンバーに任せています。

2YOU:ビレッジマンズストアはコロナ禍でも積極的に活動することを選択していたと思うのですが、ライブの本数もそこまで変わってないですよね?

水野ギイ:いや、減りましたよ。まあ、減ったとはいえ多いは多いですけど。

岩原洋平:活動の中身を考えてやっているので、ライブ本数の数字が減ってもバンドとしての活動が減ったなぁとかは無いですね。

2YOU:その中で今回の新曲「TV MUSIC SHOW」はいつ頃から制作していたのですか?

水野ギイ:曲が出来て即出しぐらいの感じなので本当に最近です。今回、凄く早かったんですよ。大体俺が「こういうことをやりたい」と曲を持っていくと賛同してくれるメンバーもいるけど「ちょっとまだ分からない」って言うメンバーがいて。だけど今回は「じゃあやってみよう」っていう、そこまでの決断が早かったんです。それは自分がやりたいこともだけど、何をやったら喜んでもらえるかを考えるようになったのが大きいかもしれなくて。でもそれって凄く難しいんですよ。でも、だからって「どうしよう、どうしよう」って考え込んでしまうんじゃなくて、だったらシンプルに何をどんなメロディで歌いたいかだけを考えて作ったのが「TV MUSIC SHOW」なんです。

2YOU:みなさんはアレンジで拘った部分はありますか?

荒金祐太朗:この曲はギイくんの歌詞を受けて感じたことを素直にギターで弾けたなって。「最初はサビから始めたい」ってギイくんに言われたときに「良い曲になる」って感覚的に思ったんですよ。その時にイメージしたものを崩さないようなギターが弾けたと思います。

坂野充:俺は逆に試行錯誤することが多かったですね。感じたままに叩いたら曲の雰囲気とハマらなくて。それでテンポを下げたり細かいアレンジを変えたり、そういうパズルみたいなことをしたので最初のアレンジとはかなり変わっていますね。

岩原洋平:俺は結構アレンジを考えるタイプなんですけど、この曲はあまり複雑に考え過ぎないで野生的に弾いてみたらどうなるかワクワクしながらギターソロも弾いていて。そうやって作ったものなので普段の作り方とは全然違うんですけど、自分で聴いていても気持ちいい曲になったと思いますね。

2YOU:曲として衝動的な部分が凄く出ていると思うのですが、シングルとして曲を打ち出すのとアルバムとして打ち出すのでは作り方は違ったりします?

水野ギイ:全然違いますね。好きなバンドの新譜を聴くときに何を聴いているかって俺はそのバンドの方向性を聴くんですけど「今回こう来たか」とか「そっちいくんだ」みたいなことにワクワクするんですよ。だから俺たちもより分かり易くお客さんに「今これがやりやいんだよ」と分かって貰える音楽を作っているんですけど、シングルの場合は1曲でそれを提示する必要があって。対して全体を通してそれを感じて貰うのがアルバムで。だから同じことのようで、伝え方が違うんですよね。その中で「TV MUSIC SHOW」に関しては今悶々としていることに対して反発した曲を作りたかったし、そういう時にうじうじした曲は聴きたくないと思ったから、とにかく気持ち良い曲を作りたかった。これがアルバムだと全体を通して伝わるように考えないといけないからまた難しいんですけど、シングルだからこその分かり易さは提示出来たかと。

2YOU:「TV MUSIC SHOW」はあれもこれも蹴っ飛ばして突っ走るような曲ですが、それは今のビレッジマンズストア自体がそうなんだろうなって。

水野ギイ:時期によってクールにやりたかったりカッコつけたかったり色んなアプローチをしてるんですけど、今回は凄く良い雰囲気で衝動的に自分たちを打ち出せていると思います。

2YOU:ビレッジマンズストアの変化として、以前は嫌いで仕方なかったはずの名古屋のことをライブで「この街が好きだ」って話すようになったじゃないですか。いつの間にか大事な人が増えて、ビレッジマンズストアを大事に想う人も増えて、その結果生まれた心境の変化が音楽にも表れているのかなと。

水野ギイ:自分たちの姿勢というか立場的なものはあまり変わってないと思うんですけど、無責任なことは言っちゃいけないなって思い始めたのかも。俺が「この街が嫌い」って言うことに対して以前は面白がるぐらいの雰囲気や状況だったんですよ。でも今俺がこの街をちゃんと好きになれないと悲しむ人がいると思うんです。だから色んなものをちゃんと好きになろうとしてるんだと思います。それは反骨精神がなくなったとかじゃなくて、俺たちを好きになってくれる人に対する礼儀だと思うから。でもこんなことを考えるようになったらロックバンドとしてダサいかな(笑)。

2YOU:いや、だって全く牙を抜かれた訳じゃないし大事な人が出来ることはダサくないですよ。現に尖っている部分は尖っているじゃないですか。

水野ギイ:相変わらず許せないことばっかりですからね(笑)。

2YOU:だからそういう局面は何も変わってないと思うんです。でも大事に想える人が増えたことがビレッジマンズストアをより強くしている気がするんですよね。それはメンバーに対しても。

水野ギイ:ああ、そうですね。やっぱりメンバー全員が自分のやりたいことやっていけるようなバンドでありたいし、そのやりたいことの中心にビレッジマンズストアがあったら嬉しいし、結局ずっとバンドを続ける為にはバンドを続けて幸せになる環境を作っていかないといけないと思うんですよ。それはバンドもメンバー個人個人も。その為に周りに居てくれる人の存在が大きいんですよ。だって周りに誰もいなかったら尖っていても仕方ないじゃないですか。尖っていることを周りに理解されなきゃ尖る意味がないから。

2YOU:なるほど。周りにそれを認知させることで「尖ったもの」として出来上がると。

水野ギイ:自分を形付けるのは周りなんです。でもそういう人が元々俺たちには居なかった。だから昔の俺たちは自分の形がどんな形かすら分からなかったんですよ。今は俺たちを知ってくれている人が増えて、仲間もファンも面倒見てくれる人も、こうやって話を聞いてくれる2YOU MAGAZINEも、目の前に居てくれる人が増えたから、そういう人たちのお陰で自分たちがどんなバンドなのか分かるようになったんです。

2YOU:今、楽しいですか?

水野ギイ:え、あ、うん、楽しい…ですね。

坂野充:あははは。何その歯切れの悪い感じ(笑)。

水野ギイ:いや、色々考えちゃうの。「楽しいですか」って質問に無責任に楽しいって言えないし、極論、もし俺が仮に辛かったとしても、俺はみんなを楽しませないといけないから。だから俺が楽しいかどうかは二の次なんです。そりゃ楽しいですよ。だけど楽しいで終わる活動をしたくない。俺が楽しいかどうかはどうでもいいのかも。でもそれはメンバー全員そうじゃないかな。俺は幸い色んなとこで話す機会があるからこうやって伝えることが出来るけど、メンバーも俺と同じだけ責任を持ってバンドをやっていて、それを表に出さなかったとしても同じ熱量でやっていると思うから。裏を返せば俺が言ってること×5人分あるぞっていう。

2YOU:今ちょっと本当にグッときてます。メンバーのことをそんな風に想えることが素敵だなと。

水野ギイ:メンバーのことは本当に考えるようになりました。だって全員を尊重したいし全員に幸せになって欲しいから。ロックバンドとしての理想はありますよ。理想はあるけど、それを追うことで理想自体に苦しむメンバーが居たらそれは違うから。最近本当にそう思うようになりましたね。

岩原洋平:そういう部分も含めてですけどコロナ以降やっぱり考え方が変わったんだと思いますね。コロナ前のライブって牙を剥いて「この野郎!」みたいなライブをしていたし、その牙を磨くことでバンドが良くなると思っていたんですよ。でもコロナ以降、ライブが出来ない時期を経てまたお客さんの前でライブをするときに単純にみんなに喜んでもらえることに目を向けるようになったんです。そしたら面白いことに、牙を研ぎ続けてたとき以上に良くなったんですよ。だから牙の研ぎ方が変わったんだと思いますね。

水野ギイ:俺はそういう変化に対してワクワクしてるんです。それは曲にも表れていて、間口を広げるって言い方は好きじゃないけど、もっと沢山の人に聴いてもらえるポテンシャルが俺たちにはあると思うし、そういう意識があるからまだまだバンドを続けていきたいと思うし。

2YOU:これは語弊があるかもしれないですが、ビレッジマンズストアってもっとニッチなバンドだったじゃないですか。だけど良い意味で大衆に向けたバンドになってきているなって。

水野ギイ:そう思ってもらえるのは嬉しいです。俺もそう思ってるので。

2YOU:それって何か心境の変化があったのですか?

水野ギイ:結局人に認められたのが嬉しかったからです。かと言ってバンド自体が変わってしまったら喜んでもらえないけど、俺たちは変わらないまま変わっている。ニッチなものが好きだし、以前はニッチであればあるほど優れてると思ってました。でもそういう尖り方をするよりも、全てを巻き込んでいくパワーに対する憧れが強くなった。そうやって全部を呑み込むことに今はドキドキするんです。前は引かれたら引かれただけ勝ちだと思っていたけど、それよりもっと大きく呑み込みたい。そういう感覚的な変化をしているんだと思います。

2YOU:これも良い意味で捉えて欲しいのですが、ビレッジマンズストアってもっとヒールだったじゃないですか。でも今は誰も置いていかないライブをするなって。

水野ギイ:それはきっと荒金祐太朗が入ったことが大きいんですよ。祐太朗加入後のビレッジマンズストアは「ヒールでいいや」って気持ちがなくなったんです。

岩原洋平:誰も置いてかない気持ちは昔からあったけど、その気持ちの伝え方や伝わり方は確実に変わりましたね。

水野ギイ:だから変化じゃなくて進歩かな。そこにずっと行きたかったけど行き方が前は分からなかったんです。

2YOU:それは色んな人にビレッジマンズストアが愛されるようになって愛することを知ったからじゃないですか。

水野ギイ:うん。そうですね。愛を知ったんだと思います。だから俺も、俺たちを愛してくれる人を愛していきたい。勿論メンバーも。最近はそんなことをよく考えています。

▼リリース情報

1st Digital Single
TV MUSIC SHOW
LDCD-752
[Living,Dining&kitchen Records]
※テレビ東京系”ゴッドタン”6月度エンディング・テーマ
NOW ON SALE
https://orcd.co/villagemansstore

▼ツアー情報

“「有」ツアー”
2022年6月10日(金) 心斎橋 JANUS  GUEST:Atomic Skipper
2022年6月23日(木) 八王子 MATCH VOX  GUEST:CRYAMY
2022年6月25日(土) 盛岡 the five Morioka  GUEST:w.o.d.
2022年6月26日(日) 仙台 MACANA  GUEST:w.o.d.
2022年7月7日(木) 神戸 太陽と虎  GUEST:WOMCADOLE
2022年7月9日(土) 広島 CAVE-BE  GUEST:セックスマシーン!!
2022年7月10日(日) 福岡 OP’s  GUEST:Mercy Woodpecker
2022年7月18日(月祝) 札幌 BESSIE HALL  GUEST:プッシュプルポット
2022年8月5日(金) 名古屋 ElectricLadyLand  GUEST:a flood of circle
2022年8月11日(木祝) 金沢 vanvanV4  GUEST:THEイナズマ戦隊
2022年8月26日(金) 新宿 LOFT  GUEST:THEイナズマ戦隊
2022年8月27日(土) 新宿 LOFT  GUEST:フラワーカンパニーズ

“ツアーファイナルワンマン「在」”
2022年9月3日(土) 渋谷 Spotify O-WEST

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