INTERVIEW

umitachi

結成から僅かな期間で大きく変動し続けるumitachiを取り巻く環境、状況。いつの間にかそこにいて、気が付いたら昔からずっとそこにあったような優しく温かい音楽を奏でるumitachiという少し変わった名前のバンドは結成から数ヶ月の期間にメンバー2人の脱退を経て現在はマキノアンジュ1人で「umitachi」という複数形を担っている。そんな状況の中、結成時のメンバーと作り上げた最後の音源「ぼくたちのはじまり」がリリースされた。言葉を選ばずに書くがこの音源で鳴っているベースもドラムも今のumitachiにはない音だ。ここから鳴る音を聴くことは、それはまるで消える足跡たちに触れるような感覚だ。その中でしっかりとはっきりと歌うマキノアンジュの歌声。これからもきっと、波のように形を変えたり速度を変えたりしながら彼女はずっと歌い続けていくだろう。1人になってより1人じゃないことを確信したというマキノアンジュはこれからも複数形であるumitachiを背負って歌い続けていくだろう。大きく変わっていく日々の中、彼女は今何を思うのか。マキノアンジュに話を訊く。

 

2YOU:結成からまだ数ヶ月とは思えないほど濃い時間を過ごしていると思うのですが。

マキノアンジュ:本当にありがたいです。でもこのスピード感に不安になることもあります。

2YOU:メンバーの脱退も続きましたからね。

マキノアンジュ:はい。だけど想像以上に皆さんが気にかけてくれて、やっと自分の居場所を見つけた気がしています。自分の存在意義を見つけることが出来たというか。私、バンドをやる前は3日に1回くらい「消えたいな」って意味もなく思っていたんですよ。だけどumitachiを始めてからは「この世からいなくなりたい」なんて思ったことがなくて。今は本当に毎日音楽のことだけ考えているし、頭の中がバンドのことでいっぱいなんですよ。周りに面白い人も沢山いるし、そんな環境で音楽が出来ることも本当に幸せだなって。

2YOU:初ライブで配布した音源やライブで歌うことで目に見えて反響を感じたと思うのですが意識の変化などはありました?

マキノアンジュ:ありますね。歌うことはずっと好きだったけど、ステージに立って歌うことで自分の為だけじゃなくて誰かの為にも歌いたいと思うようになったし、日々思っていることを歌にして届けたいと思うようになりました。

2YOU:アンジュさんの歌には不思議な魅力があって、自分自身だったり周りの人のことを歌っていると思うのですが、聴いた人も自分を投影することが出来るなと。

マキノアンジュ:まさに私はumitachiを通して自分自身を表現しているんですけど、そこに共感して頂けるということは凄く嬉しいですね。さっきも言いましたけど私の存在証明というか、生きていることを実感出来るのは歌を歌ってそれが届いたときなんです。

2YOU:「息をしている」もアンジュさん自身が抱えていたことに向き合っているからこそ、同じ境遇の人に優しく寄り添っていると思うし、そこにアンジュさんが歌う意味や意義が生まれているんだろうなと。

マキノアンジュ:私の歌や音楽で誰かの心を楽に出来たらいいなって思っていたんですけど、本当にそんな風になれているのか割と疑問だったんです。でもそうやって言って頂けることで自分の音楽に自信が持てるようになりました。

2YOU:歌に感情が込められているから聴く側も引き込まれる部分があって。例えば「息をしている」の「友達ってなに」というメッセージの投げかけ方とか。

マキノアンジュ:あの「友達ってなに」って部分は実話なんですよ。「友達ってなんだろうな」って考えてTwitterで呟いたことがあるんですけど、そしたら友達が「僕のことだよ」って言ってくれて。その言葉にめちゃくちゃ救われたんです。

2YOU:ライブでもあのパートを歌うときのエモさが物凄いなと。

マキノアンジュ:あそこは感情が溢れちゃいますね(笑)。

2YOU:「君とぼく」では空と海、君とぼくを対比させることで「違ってもいいんだよ」というメッセージを込めているのかなって。

マキノアンジュ:空と海が違ってそれぞれ良いところがあるように君と僕も違っていいんだよっていう。人を羨ましく思うこともあるけど、自分は自分で良いんだなって。

2YOU:この曲を聴いて「君」も「ぼく」もひとりの人間の中にある二面性を歌っていて、その両方を自分として認める歌だと解釈しました。

マキノアンジュ:そうやって色んな捉え方をして頂けるのは凄く嬉しいです。聴いてくれた人の意見や感想を聞くことでその曲をもっと好きになるので。

2YOU:そうやって聴き手に委ねる曲もあれば「maman」のように真っ直ぐ気持ちを届ける曲もあって。「maman」はライブで聴いて号泣してしまいました。

マキノアンジュ:私、お母さんが大好きなんですよ。家の中でも一番距離が近くて。お母さんの愛って凄いじゃないですか。私、自分がお母さんのような母親になれるのかなって考えたら今はまだ絶対に無理だなって思いますもん。

2YOU:「maman」はお母さんに聴かせました?

マキノアンジュ:もちろんです。曲が出来て一番に聴かせました。「maman」は自分の母に書いた曲だけど、全国のお母さんに届いたら良いなって思って歌っています。やっぱり母親は偉大です。

2YOU:umitachiの音楽って本当に優しいですよね。今は名古屋が活動の大半を占めていると思いますけどこんな時代だからこそ真っ直ぐ全国の音楽ファンに届いて欲しいなと思います。

マキノアンジュ:ありがとうございます。結成から本当にまだ数ヶ月しか経っていなくて、その期間に良いことも悪いことも沢山あって、そのスピードに追いていかれそうなときもあるんです。特にひとりになってからはどうしたらいいのか分からなくなっているんです。メンバーが抜けて1人になって人数的には私1人だけど、沢山の方が助けてくれたり支えてくれたりして、私は1人じゃないんだなって感じることができました。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。だけど今は1人の時間が大切だと思います。この1人の時間ってバンドをやることにおいてなかなか作ることのできない時間だと思うので、今しかできない何かを確立できたらなと。毎日考えることが沢山あって私は幸せだなと改めて思います。ここで立ち止まってなんかいられません。これからが本当のumitachiのはじまりです。私は前に進み続けます。

 

umitachi
2ndデモ『ぼくたちのはじまり』
1100円(税込)
NOW ON SALE

https://umitachi.tumblr.com/

interview by 柴山順次
photo by 仲誠司(RAD CREATION/DAWN)

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