インタビュー

ザ・モアイズユー【インタビュー】

大阪発センチメンタルロックバンド、ザ・モアイズユーが前作ミニアルバム『想い出にメロディーを』より約2年半振り、そして1stフルアルバムとなる『Storage time』を8月に完成させた。コロナ禍で思うような活動が出来ない中、昨年8月より4ヶ月連続でリリースした「すれ違い」「環状線」「悲しみが消える頃」「19」が話題となった彼ら。今作はその4曲を含めた全13曲のフルボリュームの作品となっている。涙を誘う切ないライブソング、自身を奮い立たせるような楽曲と、自身に向き合いながら綴った楽曲群は聴く者の心にすっと浸透していくことだろう。待望の1stフルアルバムを完成させたザ・モアイズユーに話を訊く。

2YOU:コロナ以降、バンドの活動にも大き影響があったと思うのですが。

本多真央:はっきり言ってめちゃくちゃ影響はありましたね。自主企画やツアーを予定した上でリリースも組んでいたけどそれも出来なくなって。去年配信シングルを4ヵ月連続でリリースしたんですけど、当初はあの4曲を1枚の配信EPとしてリリースしてツアーを開催しようと思っていたんですよ。でもそれも出来なくなってしまって。でもそんな中でもどうやったらお客さんが楽しんでもらえるかをずっと考えていて。

以登田豪:突然ライブが出来なくなって最初は戸惑いましたけど、僕らは発信する側としてお客さんに喜んでもらえる方法を考えなきゃなって。それが4ヵ月連続配信とかにも繋がったのかなと。

オザキリョウ:普通のことが普通じゃなくなって、ミュージシャンとして正直ショックは大きかったです。でも令和の戦い方というか、そこに合わせてやっていかないとなって気持ちでやってきましたね。

2YOU:あの時期、本当に辛かったけど、毎月ザ・モアイズユーが新曲を発表してMVが公開されることが希望というか救いだったんですよ。しかもMV曲とも繋がっていくじゃないですか。先の楽しみがあることってあの時期には凄く意味のあることだったなと。エンターテイメントとしてエンターテイメントしつつ希望になっていることにも感動しました。

本多真央:嬉しい。喜んでくれる人たちの反応を見て僕達も救われていました。

2YOU:曲としては失恋の曲が多いのに救われるっていう。

本多真央:あははは。確かに(笑)。

2YOU:初のフルアルバムですが、今作はキーボードやブラスを取り入れるなど、楽曲の世界観がより伝わり易くなったなと。

本多真央:今まではメンバー3人で表現出来ることに拘ってきたんですけど、始めて色んな楽器を取り入れたことで進化したザ・モアイズユーを感じてもらえると思います。

2YOU:ずっと3人で表現してきた部分から踏み込んだのは?

本多真央:僕らのルーツにある音楽も色々聴いてきた中で、自分たちの楽曲でもそういう表現をしてみたいっていう好奇心みたいなものが大きかったと思いますね。

2YOU:曲の表情が豊かになったことで失恋ソングがいつも以上に刺さるんですよ。ちなみに歌詞は実体験が多いですか?

本多真央:僕は結構ノンフィクションが多いかな。でも全部が全部って訳じゃなくて、実際にあった何かひとつの出来事からきっかけをもらって広げていくイメージですね。なので、そこから先はフィクションだったりします。

以登田豪:僕はなんでこんなに失恋ソングばかり書くんだろうって考えたんですけど、自分の恋愛観において上手くいかないことが多いんですよ。そうやって自分が経験したことを曲に落とし込んで膨らませていく感じですね。

2YOU:そういう意味では本多さんも以登田さんも歌詞の書き方が近いのかも。お互いの歌詞をどう捉えていますか?

本多真央:自分にはない表現だったり発想があるなって。だけどかけ離れている訳じゃないから共存出来る部分も多いと思っています。

以登田豪:真央ちゃんの書く歌詞は自分に書けない部分があるんですよ。真央ちゃんって自分の弱い部分をそのまま歌詞にするじゃないですか。僕も挑戦したことはあるんですけど、全然上手く書けないんです。あと共通点としてはお互い劣等感を持ってるので、そこは凄く近いのかなって思います。

2YOU:オザキさんはおふたりの書く曲をどう思いますか?

オザキリョウ:コード感にふたりの違いを感じます。それぞれ得意なコード進行があるからそこははっきり分かれてると思いますね。以登田の好きなコード進行とか本多の好きなメロディとか。僕は歌詞よりそっちの方が強いかな。

2YOU:歌詞の書き方で言えば「秒針に振れて」の「すぐにわかったんだ 僕のじゃない時計をしてるのも」という描写だけで物語やお互いの空気感が読み取れるじゃないですか。その瞬間に映画のオープニングが流れてくるみたいな。「すれ違い」の「君が言う会いたいって誰だって」とかもですけど。もう本当に、沢山失恋して良い言葉をどんどん生み出して欲しいです。

以登田豪:ありがとうございます!

2YOU:でも「いいことばかりじゃないけれど、」の歌詞のような幸せな時間が流れる曲もあって。

以登田豪:言いたいことも言えず、相手に気を使いながら付き合っていても長続きしないだろうし、それを避けるために思ったことをそのまま言ったりしたら喧嘩になってしまう。でもその喧嘩があるからこそ良い部分も見れる気がするし、そういう長く付き合っていく中で感じること、生まれることを意識しながら書きました。全てを受け入れるからこそ、相手のことをもっと好きになれるんじゃないかなって。

2YOU:「月明りの夜に」もいいですね。月や夜って言葉はやはり失恋を連想させるなと。

本多真央:基本的に振られるのって夜なのかなって印象があって。「基本振られる」ってやばいですけど(笑)。でも、悔しさや悲しさが襲ってくるのって夜の方が多いし、そういう時に昔の恋愛を思い出すんですけど、思い浮かぶ情景は夜時は情景とかって基本的に夜なんですよね。

2YOU:「movin’ on」では「最低な夜」という歌詞も出てきますが、恋愛だけじゃなく、自分自身と向き合うのも夜が多いですよね。

本多真央:そうなんですよ。「movin’ on」は自分自身に対する怒りというか、戦うべき相手は自分だなっていう、そこと向き合うことで前に進むための曲なんですけど、結局夜なんですよね。

2YOU:動き出すための曲でもある「movin’ on」から「19」での「前を向け」というメッセージに流れるのも素晴らしいです。「正解か不正解はこの目で決める」という歌詞も刺さりました。つい自分の言葉かのようにツイートしそうになりましたから。

本多真央:全然してください(笑)。

2YOU:「19」の歌詞にはハッとすること、忘れてしまったこと、思い出したこともありました。

本多真央:僕もちょうど今日moon dropのライブを観ながら若い時の我武者羅な気持ちを思い出したんですけど、そういう気持ちって不意に思い出したりするんですよね。忘れたくないなって。

2YOU:「MUSIC!!」を聴く限り、全く忘れてないですけどね。「MUSIC!!」はバンドのテーマというか、ライブバンド、ザ・モアイズユーのテーマソングだなって。それをバンド史上一番ポップに仕上げているのが最高です。

本多真央:真っ正面からポップに表現したのは初めてだったし結構勇気のいることだったかも。これまでロックバンドとしてやってきた故にポップに振り切ったことをやるのが今までのザ・モアイズユーとのギャップが良い意味で働いたらいいなって。結果的に新しい武器になったんじゃないかなって思っています。

2YOU:でもその振り切れ方ですよね。振り切りつつも軸はブレていないので結果色んなザ・モアイズユーを楽しむことが出来るアルバムだなと。

本多真央:全部が全部、自分たちの中にあるものなので、何処かだけに偏らず、ちゃんと並べて提示することが出来たアルバムになったと思っています。

2YOU:新しい要素を加えたというより、見せてなかった部分を見せたっていう。そしてまだ何か隠し持っていると思いますし。次回の作品ではいきなりハードコアの曲があったり。

本多真央:あははは。ブレイクダウンを取り入れるかもしれません(笑)。

2YOU:今作には「理想像」という曲がありますが、ザ・モアイズユーが思うバンドの理想像ってどんなものでしょう?

本多真央:僕が一番かっこいいと思うバンドは、ステージに立って音を鳴らした瞬間に説得力があるバンドなんですよ。そういうバンドに3人でなれたらなって思ってます。

2YOU:ザ・モアイズユーをサーキットやフェスで観て思うのはまさにそれで、ザ・モアイズユーのライブが始まると空気が一変するんですよ。音が、音楽が、浸透していくのが分かるというか。

本多真央:曲の世界観をライブでしっかり届けていきたいと思っているし、そこをどう伝えていくかを考えてライブをしているので、届いているのであれば凄く嬉しいです。

2YOU:ライブが出来ない時期もありましたが、今改めてみなさんにとってライブとはどんなものだったりしますか?

オザキリョウ:僕にとってライブは人生です。人生っていいこともあれば悪いこともあって、でもどんなことがあっても音楽って楽しいってとこに落ち着くので、僕は人生かなって思っています。音楽もライブも。

2YOU:「環状線」では「繰り返した日々の中 何度も見失った希望」「繰り返した日々の中 確かに見つけ出した希望」と歌われていますが、そうやって悪い時もあるからこそ良い時が輝くのかなと。

本多真央:ライブが当たり前に出来ていたときにはそれが当たり前過ぎて気付いてなかったことが、今の状況になったことで分かったというか。以前は考えたこともなかったんですけど、ライブがないと曲が中々生まれないんですよ。ライブで感じたことが曲になって、その曲をライブですることでまた新しい曲が生まれる。音楽を作る人間として、ライブは僕たちの音楽を作る上での種だなって思うようになりました。

以登田豪:ライブは自分の感情を全部ぶつけることが出来る場所だと思っていて、それはバンドだけじゃなくて来てくれるお客さんもそうなのかなって思うんですよ。感情を僕らにぶつけてくれるから、ステージからそれを感じられるライブが凄く好きです。やっぱりないと駄目な存在ですね。

2YOU:ないと駄目な存在を、恋愛であったり音楽であったり、色んな角度から歌ってくれるのがザ・モアイズユーだと思うので、これからも色んな事を経験しながら、色んな事を感じながら、何が大切だったか、何を失ったか、何に気付いたか、音楽で届けていって欲しいです。

本多真央:嬉しいなあ。色んなことに触れて音楽を作っていこうと思います。

2YOU:泣きたい時に泣ける映画を観るようにザ・モアイズユーの音楽って「今日はどのシチュエーションで泣こうかな」っていう聴き方が出来ると思うんですよ。今回は13曲もあるから感情が大変でした。

本多真央:あははは。でもこんなに作ったのに早く次を作りたいなと思ってるので、また新しいのも取り揃えておきますね(笑)。

intervew by 柴山順次

ザ・モアイズユー
1 stフルアルバム「Storage time」
¥2,750(税込)
NOW ON SALE

収録曲
M1.秒針に振れて
M2.すれ違い
M3.MUSIC!!
M4.ブルースカイブルー
M5.悲しみが消える頃
M6.求め合うたび
M7.movin’on
M8.19
M9.いいことばかりじゃないけれど、
M10.環状線
M11.月明かりの夜に
M12.理想像
M13.Afterglow

https://themoaisyou.com/

関連記事

ONLINE SHOP