INTERVIEW

SOUTH BOUND

2013年愛知県にて結成されたSOUTH BOUND。名古屋は今池にてメンバーの友人が営む沖縄そば屋「麺屋 玉ぐすく」の周年を祝う為に結成された所謂「企画物」バンドのはずがあれよあれよと活動と月日を重ね沖縄のレーベル「iZAKOZA DiSCOS」よりアルバム『沖縄チャンプルお囃子コア』をリリースすることになったという。活動の場は毎年行われる玉ぐすくの周年イベント「玉ROCK」と「今池祭り」といった超地域密着バンドであるSOUTH BOUNDだがその音楽性はとても面白くメンバー個々のバックボーンと沖縄民謡が奇跡的にドッキングした楽曲が人生を楽しい方向に向かわせてくれる。レペゼン玉ぐすく、南向きの陽気なお祭りバンドSOUTH BOUNDに玉ぐすく…ではなく同じく今池の名店「貝焼き さかもと」にてインタビュー。

Q.SOUTH BOUNDは少し変わった結成だったと聞きましたが。
伊田:名古屋の今池という街に沖縄そば屋の「麺屋玉ぐすく」という僕の古い友人が営んでいるお店があるんですけど、そこの女将が昔からの知り合いでめちゃくちゃ音楽好きなんですよ。それで玉ぐすくの1周年のときに「何かやって欲しい」と声をかけてくれて。最初は何をするかも考えてなかったんですけど、たまたま僕の奥さんが三線を持っていたし、玉ぐすくは沖縄そばのお店なので沖縄っぽい曲を歌おうと思って昔からの仲間の郁基たちに声を掛けたのがSOUTH BOUNDの始まりですね。

Q.最初は友人のラーメン屋を祝うのが目的だったと。
伊田:それだけの為ですね。玉ぐすくのことしか考えていませんでした。
郁基:しかも誘われた僕らは当時玉ぐすくのことを知らなかったですからね(笑)。
伊田:あははは。
郁基:でも伊田さんとは昔にピナクルボーヤというバンドをしていた経緯もあったので、伊田さんが何かやるっていうんだったら絶対に面白いだろうなって。
伊田:その女将は当時僕らのライブを観に来てくれていたので郁基のことは知っていたんですけどね。出会いは20年くらい前で本当に長い付き合いなんですよ。その頃から音楽が大好きな人だったので音楽で祝えるのは幸せなことですよね。

Q.玉ぐすくの為に集まったバンドがCDをリリースすることになるまでの経緯は?
伊田:何年か玉ぐすくの周年イベントだけでライブをしていたんですけど、沖縄民謡×パンクというスタイルで音楽をやっているうちに段々楽しくなってきたんですよ。三線もやってみたら面白かったし。
郁基:ギターを持って歌っていた伊田さんが弾いたこともなかった三線を持って歌うっていうのが凄いなって。今でこそ三線ボーカルって言ってますけど、最初は弾いたことなかったわけですから。バンドの始まりの動機としても変わってるし、伊田さんも変わってるなって(笑)。
伊田:僕はただ玉ぐすくのふたりに面白がって欲しいだけなので。そこが最初のきっかけだし僕らの最終目的なので。

Q.ちなみに最初から今のスタイルだったんですか?
伊田:最初のライブは昔やっていたバンドの曲に三線を加えたり、BEGINのコピーなどをしていました。今の形には次第に変わっていった感じですね。
郁基:はっきり言って結成当初はこのバンドがこんな風に続くなんて思っていなかったので(笑)。オリジナルをやるとかより、本当に玉ぐすくの1周年を祝う為だけの企画物バンドだったので。

Q.玉ぐすくはどんなお店なのですか?
伊田:僕からしたらただの友達なんですけど、麺に対する拘りやクオリティは流石ですね。あのストイックさからは狂気すら感じますから。あと、本当に音楽が大好きな夫婦がやっているってことはお店に行けばすぐに分かると思いますよ。とくにHi-STANDARDに対する愛がお店のあちこちに溢れ出ているので(笑)。
郁基:97年のAIR JAMのビデオが常に流れてたり(笑)。
伊田:振り切ってるよね。ある意味大丸ラーメンみたいなとこはある(笑)。
郁基:ソウルが大丸だよね。今池という場所にあるのも偶然じゃない気がする。

Q.今作には「Theme of MENYA TAMAGUSUKU~麺屋玉ぐすくのテーマ~」という文字通り、玉ぐすくのテーマ曲まで収録されていて。
伊田:あれ、実は2年前くらいの今池祭りで玉ぐすくには内緒で作ったサプライズソングだったんですよ。
郁基:いつも美味しい麺を食べさせてもらっているので何かお返しできないかなって。
伊田:で、僕らに出来る恩返しはやっぱり音楽だなと、テーマソングだなと(笑)。だけどその年の今池祭りがまさかの台風で中止になるっていう(笑)。

Q.残念過ぎますね(笑)。最初に玉ぐすくのおふたりに聴かせたときはどんな反応でした?
伊田:今池祭り自体は台風で中止になったんですけどスタジオで録音した一発録りのCD-Rがあったから僕の車にふたりを乗せて聴いてもらったんですよ。でもなんかふわっとしてました(笑)。
郁基:あははは。そうなの?
伊田:なんかね、ふわっと(笑)。でも改めて玉ぐすくの周年で披露したときは喜んでくれてましたね。
郁基:この曲、純粋に曲としてもかっこいいよね。

Q.この曲からはハードコアの影響も感じますが皆さんはどんな音楽がバックボーンにあるのですか?
伊田:メンバー全員バラバラだと思うんですけど、僕は基本的にJ-POPが好きで、リンドバーグやザ・ブルーハーツ、あとは昔の松田聖子さんみたいな日本人っぽいメロディのある音楽が好きですね。自分でやるのはパンクやハードコアが良いんですけど。葉ともJ.U.U.M.というハードコアバンドをやっていますし。
葉:僕も根底にはハードコアやパンクがずっとあります。SOUTH BOUNDとJ.U.U.M.以外にもLOST COMMITMENTとLASTBOSSというUSハードコアのバンドもやっているんですけど、HIP-HOPやレゲエも好きだし、かっこいい音楽を吸収して今の自分が形成されていると思っています。
郁基:僕も沢山バンドをやっているんですけど、センスレスチャイルドはサイケだし、ピナクルボーヤはファストコアだし、Beermenはプログレだし、音楽的には見事にバラバラなんですよ。それより僕は好きな人とバンドをやることのほうが重要だったりしますね。打楽器を通して好きな人と何をするか。そこを大事にしています。

Q.なるほど。ちなみにメンバーの中で沖縄の民謡や俗謡歌を聴いてきた人はいるのですか?
伊田:全然いないです。BEGINがかっこいいなくらい。そこは完全に玉ぐすくに寄せました。
郁基:玉ぐすく入りだよね。
伊田:今回のアルバムでは「ヒヤミカチ節」「豊年音頭」「十九の春」「唐船ドーイ」という沖縄民謡や沖縄俗謡歌をカバーしているんですけど、こういう音楽を知ったのはSOUTH BOUNDをやるようになってからなんですよ。
葉:僕もSOUTH BOUNDに入ってから知りましたね。
郁基:僕も僕も。

Q.音源を聴いたりライブを観たらSOUTH BOUNDを沖縄のバンドだと思う人もいそうですよね。
伊田:むっちゃ言われます(笑)。
郁基:沖縄のレーベルからのリリースですしね。沖縄のバンドかと思いきや全員愛知県民っていう。

Q.THE BOOMが「島唄」のヒットで沖縄のバンドだと思われているような。
伊田:我々も玉ぐすくに愛が迸っているだけです(笑)。

Q.オリジナル曲である「SOUTH BOUND」はメンバーに対する愛も迸っていますよね。「それぞれ違う物語ほんのちょっと重ねてみれば」という曲の冒頭の歌詞の、メンバーそれぞれが別の場所で生きてきて集まってくる感じとか、まるで聖闘士星矢の1巻のようだなと。
郁基:あははは。この曲はメンバーそれぞれを歌った曲なので演奏している自分でもメンバーの顔を見ながらグッときますね。
伊田:曲にメンバーを登場させたかったんですよ。それでひとりずつ紹介していく曲を作ることにしたんです。この曲が出来たときはみんなで玉ぐすくでラーメンを食べて、その後お店の前の駐車場でギターを持って歌って聴かせたんですよ。迷惑!(一同笑)
葉:しかも結局玉ぐすくっていう(笑)。

Q.あと凄く漫画「ワンピース」っぽいですよね。
伊田:お!!きました!!
郁基:この人、「ワンピース」が大好きなんですよ。

Q.バラバラの個性を持つみんなが同じ船に乗って同じ方に向かっていく。まさに「ワンピース」ですよ。
伊田:すみません、もう1回言ってもらってもいいですか?(一同笑)

Q.しかし本当に仲が良いし、バンド内に愛が充満していますよね。
郁基:今日のインタビューで僕が言いたいのは愛が全てってことなんですよ。愛でしかないです。玉ぐすくに対しても音楽に対してもメンバーに対してもそうなんですけど、バンドの原動力って、決して誰かを負かすことじゃなくて、誰かに対する愛だと思うんですよ。そこに笑顔が生まれるし、その笑顔が今度は僕らを笑顔にしてくれる。こんな最高なことはないですよ。
伊田:そこが大事なテーマですよね。自分とメンバーと家族、あと玉ぐすくがみんなが楽しくいるためにバンドをやっている。だってそれが最高ですから。

Q.インスタグラムでたまにメンバーの家族が大集合している写真を見ますけど、SOUTH BOUNDという村を見ているような気持になりますしね。
伊田:僕、仲良し村を作りたいんですよ。
郁基:それ、ずっと昔から言ってるよね。
伊田:仲良し村でみんな仲良く歌って踊るの最高ですよ、絶対。
郁基:だけど、こんな活動の仕方をしているバンドがCDを出させてもらうことになって、やっぱり不安もあったんですよ。良いのかなって。

Q.SOUTH BOUNDは音楽としてめちゃくちゃ面白いですから。さっきの玉ぐすくのテーマとかも特定の誰かに向けたピンポイント過ぎるメッセージ故のリアリティと、そこにちゃんとあるユーモア。このバランスが秀逸なんですよ。
郁基:歌詞はメンバーから見ても本当に秀逸だなと思いますね。言葉選びも言葉遊びも最高なんですよ。
伊田:歌詞を書くにあたってリアルを引き出そうと思って玉ぐすくのふたりを家に招いて家ぐすくをしたんですよ。勿論歌詞を書くってことは内緒で。だけど散々っぱら飲んで酔っていたので後からメモを見ても読めなくて(笑)。でもそうやって書いた歌詞なのでふたりの顔がパッと浮かびますね。

Q.「うちなー魂meets今池」という歌詞も素晴らしい。でも玉ぐすくや今池という街を知らない人には何も伝わらないという(笑)。
郁基:何のことか絶対分からいですよね(笑)。でもそれで良いんです。分かってくれる人がクスッとしてくれたらそれで良いんです。

Q.歌詞を100%理解したい人は今池に来いと。だけど今池なのに沖縄っていう。
郁基:意味が分からないですよね(笑)。でも玉ぐすくがある限り今池に沖縄の風が吹いているので。僕らはその玉ぐすくが吹かす今池の風を後ろから追い風にする役目のバンドだと思っています。始まりも玉ぐすくなので。そんなバンドがCDを出すなんて面白くないですか?でもこれはひとつの到達点ではあるけどゴールじゃないんですよ。これを経てここからどうなっていくか、ワクワクが止まらないですね。

Q.ここまでがドラゴンボールでここからがドラゴンボールZみたいな。
郁基:あははは。でも本当にそういう感じですね。ドラゴンボールZになって仲間も増えたし、SOUTH BOUNDも仲間が増えて家族が増えて、普段はバラバラだけどSOUTH BOUNDとして集まっているみんなのことを思うと泣けてきますからね(笑)。

Q.「ほんのちょっと重ねてみれば」の「ほんのちょっと」がポイントだと思っていて。みんなそれぞれの人生を送っていく中でほんのちょっと時間を共有するそのほんのちょっと重なった部分に大事なものが見えてくる気がするんです。それが絆になるんだろうなって。
伊田:ちょっと今意識がナメック星に飛ぶくらい驚いています。まさにそういう意味であの曲は書いたんですよ。本当に。今めちゃくちゃびっくりしてます。凄い。
郁基:でも伊田さんが言いたいことって本当にそういうことだよね。僕らはメンバー全員が子持ちだし、ローンを抱えていたり、会社でも管理職になってきたり、確実に昔とはバンドをする環境は変わってきていて。だからこそ全員がほんのちょっとの瞬間に全てを捧げられるんです。それもある意味僕らの強みだなって思いますね。
伊田:それもこれも全部玉ぐすくが繋いでくれたんですよ。玉ぐすくのお蔭でこのバンドは生まれたし続けられているしCDも出せたので。本当に玉ぐすくに感謝です。

Q.なのに今日はなんで玉ぐすく休みなんですか(笑)。
伊田:そういうとこなんですよ(笑)。よし、じゃあ僕らのアーティスト写真は玉ぐすくの前で撮りますよ。その日に一緒に沖縄そばを食べましょう。

リリース情報
SOUTH BOUND
タイトル:沖縄チャンプルお囃子コア

2019年2月27日発売
1380円(+税)
KOZA04

LIVE
2019.04.21(日) 今池 HUCK FINN
TAMAROCK2019

https://southbound.nanpu.co.jp/


麺屋 玉ぐすく
〒464-0850 愛知県名古屋市千種区今池1丁目6−8
TEL:052-734-4660
LUNCH:11:30 – 14:00(L.O.13:50)
DINNER:18:00 – 22:30(L.O.22:00)
定休日:日曜,月曜


SOUTH BOUND are
伊田英生(三線&ボーカル)
市川郁基(パーカッション&コーラス)
ザ☆ひでかず(ドラム&コーラス)
BJ(ベース)
ショウ 鈴木(ギター&コーラス)
葉(ギター&コーラス)
土井大輔(ギター&コーラス)

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