インタビュー
インタビュー
THISTIME RECORDSがアイドルの運営を始めると聞いた時は「きた!」って気持ちと「マジ!」って気持ちが行ったり来たりして、だけど絶対に新しい世界が待ってるだろうなって期待でワクワクしたのを覚えている。彼女たちの名前はさとりモンスター。アイドルの定義とかアイドルのセオリーとか完全に無視してやりたいことをやりたいようにやり続けてきたさとりモンスターが1stフルアルバム『SATORI MONSTER』を引っ提げ5月からツアーを開始する。このツアー中に橘 初華の卒業も決定しているが、その状況下を彼女たちがどう走り抜けるか、期待している自分がいる。cinema staffやナードマグネットが所属するTHISTIMEがアイドルシーンに投下したオルタナティブアイドル、さとりモンスターに、プロデューサーである深水光洋を交え話を訊く。
2YOU:さとりモンスターはどのように始まったのですか?
橘 初華:最初は事務所にスカウトされた3人のメンバーが決まっていて。その中のセンターの子が追加メンバー募集をインスタのストーリーにあげてたんですよ。それに応募した私ともう1人が合格して5人でスタートしました。
2YOU:皆さんが加入したのは?
三栗 なの:私は2020年の4月に入りました。
品乃 美羽:私は2020年の7月です。
響 万里菜:私は2021年の5月29日に入りました。
2YOU:さとりモンスターの所属するNTK CREATiONはTHISTIMEが運営していますが、加入するまでTHISTIMEのことは知ってましたか?
橘 初華:知らなかったです。でもcinema staffさんは知っていて、事務所に入ってからcinema staffさんがいてびっくりしました。
2YOU:後から入った皆さんはさとりモンスターをどう見てました?
三栗 なの:私は元々5人体制の時のファンでライブにも行ったことがあったので憧れのグループっていう感じでした。
品乃 美羽:私はあまり女の子のアイドルを知らなかったので、事務所に候補生として入ってからさとりモンスターを知ったんですけど、MVやステージに立っている姿を見て私もやってみたいなって思いました。
響 万里菜:私は元々さとりモンスターに加入する前はお芝居をやってたんですけど、その時のファンの方から「アイドルで巨人ファンがいて、巨人が好き過ぎて担当カラーをオレンジにしている橘 初華っていう子がいる」って教えてもらって。私も巨人ファンなので「何それ!」ってなって連絡したんです。そしたらライブに誘ってもらって。その流れで加入することになったんですけど。
2YOU:初華さん、巨人ファンなんですか?
橘 初華:はい。滅茶苦茶ファンです。
深水:キャンプとかも行くぐらい好きなんですよ。
2YOU:凄い。そんなアイドルいます?
橘 初華:あははは。本当に大好きなんですよ、巨人が。
2YOU:さとりモンスターってTHISTIMEが運営していることや作家陣を含めても所謂アイドル層とは一線を画しているなと思うのですが。
橘 初華:最初は音楽性でさとりモンスターに入ったわけじゃなかったけど、この事務所以外でアイドルは出来ないなってくらい曲が好きで。色んなアイドルさんを見てかっこいいなって思うことはあるけど、やっぱり私の中でTHISTIMEが一番です。
三栗 なの:同じになっちゃうけど、私もTHISTIME以外でアイドルはやりたくないなっていう気持ちです。
品乃 美羽:私はアイドルアイドルしてるのがあまり好きじゃないので、初めてライブを観た時からここで歌いたいってずっと思っています。
響 万里菜:やっぱりアイドルってヴィジュアルが大事というか、可愛い女の子が人気が出ると思うんですけど、サブスクの時代だからこそ音楽を聴いてかっこいいと思って調べたら実はアイドルだったってこともあると思うんですよ。そういう出会いが起こりうる音楽をやっていると思っているし、THISTIMEきっかけで私たちを知ってくれる人も沢山いるのでそこは凄く有難いですね。THISTIMEはスタッフさんの顔が全員見えるからこそのコミュニケーションが生まれているので、そこも強みかなって思います。
2YOU:そういう意味では運営するTHISTIMEと作家との関係性もしっかりありますからね。例えばcinema staffだったりアルカラだったり、THISTIMEとして培ってきた関係性をさとりモンスターに落とし込んでる感覚があって。それはやっぱり滅茶苦茶面白いですよ。それこそ三島さん(三島想平:cinema staff / peelingwards)がアイドルに楽曲提供する未来なんて想像してなかったですから。
深水:滅茶苦茶面白いですよね。
橘 初華:cinema staff さんのファンの方に「シネマっぽい」と言っていただける時もあれば「三島さんがこんな曲を作るなんて」と驚いてくれる方もいて。あと最初の頃はcinema staffさんっぽい曲やアルカラさんっぽい曲に聴こえていたと思うのですが、最近はそこにさとりモンスターっぽさも出て来た気がしていて、殻を破れたのかなって思っています。
品乃 美羽:さとりモンスターっていう名前と楽曲に良い意味でギャップがあると思うんですよ。名前だけ聞いたら「どんな子たちがやってんの?」って思うかも知れないけど曲を聴いてもらったら名前に反したエモさがあると思うので、そこもさとりモンスターの面白さだなって思います。
2YOU:ちなみにさとりモンスターという名前にはどういう意味があるのですか?
橘 初華:ゆとり世代ってあるじゃないですか。その次の世代がさとり世代っていうらしいんですよ。
2YOU:みなさん、さとり世代なんですね。
橘 初華:いや、私たち誰もさとり世代じゃなくて(笑)。
深水:名前を考える時、略せる名前が良いなって思っていて。最初の案は「さとりクリーチャー」って言ってたんですけど、だんだんポケモンみたいなほうがいいなって(笑)。それでさとりモンスターにしました(笑)。
橘 初華:後付けなんですけど、ポケモントレーナーからアイデアをもらって、ファンのみなさんのことをさとモントレーナーって呼んでるんですよ。私たちがモンスターで、私たちを一緒に育ててくれる人みたいな感じで。一緒に上に行こうっていう。
2YOU:さとりモンスターとして活動を続けてきた中で初のフルアルバム『SATORI MONSTER』はどのようなものになりました?
響 万里菜:この4人になって一番いいものが出来たと思っています。以前三島さんがさとモンの楽曲には一生かかっても解読出来ない音を拘りで入れてるとおっしゃっていたんですけど、それくらい細部まで拘った楽曲たちが詰め込まれているので捨て曲が一切ないんですよ。どの曲を聴いても全部MVになってもおかしくないくらい名曲だらけのアルバムになりました。
三栗 なの:5月から始まるツアーには「Rainbow Bridge to the future tour 2022-Don’t Stop Rain-」というタイトルが付けられているんですけど、このアルバムにも本当にいろんな色の曲があって、まさに虹のようなアルバムになったと思っています。
橘 初華:さっき美羽が言ってたように、以前はさとりモンスターという名前とはかけ離れたようなエモい曲が多かったんですけど、今回はアルバムの半分以上が今までにない明るい曲調で、だからこそタイトルにも『SATORI MONSTER』という名前を掲げられたのかなって思っています。勿論これまでのエモい楽曲も私たちだし、そこもひっくるめてグループ名をタイトルに持ってこれたのは私たちの多面性を打ち出せたのかなって。
2YOU:THISTIMEとしてもがっつりアイドルの運営をするのは初めてだったと思うし、試行錯誤しながらも作り上げてきたさとりモンスターのひとつの到達点がこのアルバムだと思うのですが。
深水:余談ですけど、さとりモンスターを立ち上げのきっかけはcinema staffとアルカラのツアーの打ち上げなんですよ。アルカラの太佑さん(稲村太佑)アルカラサポートギターのたけさん(竹内亮太郎)現さとりモンスターサウンドプロデューサー と三島と話していて自分がふぃに「アイドルやりたいんですよね」って話からオーディションを始めることになって。あと原宿に行って声をかけたり。名古屋のエモちゃん(はしもとたくみ:RAD LIVE)とか岩田さん(mistfes 主催/ハイパーメディアニート)にも色々アイドルのこと教えてもらって。
2YOU:THISTIMEでアイドルの運営をすることには賛否あったのでは?
深水:滅茶苦茶叩かれました(笑)。まあ、うちは元々結構叩かれやすいんですけど(笑)。でも社長の藤澤も「やりなよ」って言ってくれたし三島やタケさんも含めてピースがはまってく感じもあったので「やっちゃえ!」みたいなとこはありましたね。
2YOU:そうやってチームが出来上がっていく中でさとりモンスターは数々の別れもあったと思うのですが、初華さんの卒業も発表されました。これ、突っ込んだ話を聞いてもいいですか?
橘 初華:めっちゃリアルな話でいうと事務所とは3年の契約があって、更新をどうするかってタイミングだったんですけど、やってみたいことが出来たっていうのが理由ではありますね。私だけ今年で大学を卒業することもあって、新しいことを始めるなら早い方がいいなって。それで卒業を決意しました。
2YOU:初華さんが卒業することで初期さとりモンスターのメンバーはいなくなるじゃないですか。3人はこれからのさとりモンスターをどうしていきたいですか?
響 万里菜:正直まだ卒業の実感が湧いていないので「すぐに次の人!」っていうのはないんですけど、いっちゃん(橘 初華)がさとモンの活動を嫉妬しちゃうくらいに大きな存在になりたいと思っています。
三栗 なの:さとりモンスターって良い意味で人間味があると思っていて。みんなあまりアイドルアイドルしてなかったり、だからこそ出てくる温度感を伝えていけるグループになっていきたいです。
響 万里菜:先のことは何も分からないし思い通りにいかないことの方が多いと思うけど、後戻りはしたくないし前に進みたい。それだけは本当に強く思っています。
2YOU:THISTIMEの歴史を振り返ると転機って何回もあって、BROKENSPACEやSKYBEAVERやtotosが作り上げた初期THISTIME、ナードマグネットやcinema staffが加わった時期、そうやって自らにカウンターを打ちながら前に進んできたのがTHISTIMEの在り方だと思っているんですけど、そういう意味ではさとりモンスターの存在は思いっきりカウンターだったんですよ。それが本当に面白くて。その中で初華さんが卒業してオリジナルメンバーがいなくなることもある意味カウンターだと思いますし、語弊があるかもしれないですけど、また面白くなりますよね。さとりモンスターもTHISTIMEも。そして三島さんにもそれは表れるだろうし。
深水:それはめっちゃありますね。三島が書いてるさとりモンスターの曲なんてフィードバックの集大成なので。例えばラップ調の曲があるのもソロで三島がラップしてたりするし。あとはさとモンのメンバーをイメージして曲を作れるようになってきてるんですよ。それはさとモンのライブを観に来て、色んな話をしてることも反映されていると思うし。だからどんどん良い曲が出来ますよね。
2YOU:そうやって出来上がったアルバムだからこそ大切な曲ばかりだと思いますが、ちゃんとアルバムというパッケージでリリースされることもTHISTIMEだなって思います。今って中々アルバム単位で作らないじゃないですか。
響 万里菜:環境に恵まれてるなって思います。その中で自分たち自身ももっと攻めていきたい。さとりモンスターは前衛的だとかマイノリティだって言われるんですけど、逆にさとりモンスターを王道にするような、そういう時代を作りたい気持ちがあって。先が見えないからこそ面白いことをしたいし、ワクワクしています。
深水:コーストのイベントに出た時に、さとモンは一番小さいステージだったけど、そこが一番盛り上がったんですよ。だからそれが逆転してメインになる世界が見えたというか、そうなったら滅茶苦茶面白いなって思ったんですよね。勿論、王道は王道で強いんですけど、それをひっくり返す面白さは絶対あるので。
2YOU:その為にも5月からのツアーは大成功させて欲しいですね。みなさんはどんなツアーにしたいですか?
三栗 なの:えっと…。
品乃 美羽:ツアーですよね。
響 万里菜:どういうツアーにしたいか…。
深水:先過ぎて誰も考えてない(笑)。
三栗 なの:主催での東名阪ツアーは初めてなのですごく楽しみにしています。ツアー開催の5月は今の4人体制になってから1周年になるので、この4人で駆け抜けてきた1年の集大成を、観に来てくれる方に全力で届けたいです!
2YOU:初華さんは最後のツアーになりますよね。
橘 初華:はい。今までどの時代のさとりモンスターであっても、出会ってくれた人にちゃんと感謝を伝えられるようなツアーにしたいですね。是非ライブに遊びに来て下さい!
interview by 柴山順次
photo by 町田千秋
さとりモンスター
SATORI MONSTER
IDR-003 3500円
NOW ON SALE
SATORI MONSTER | rainbow bridge to the future tour2022
現体制ラストツアー
5/14(SAT) 大阪 CONPASS
WITH GUEST
cana÷biss/エレクトリックリボン/グデイ/誰もシラナイ。/パピプペポは難しい/ミソラドエジソン/メルクマールメルマール
開場/開演 :15:30 / 16:00
https://t.livepocket.jp/e/satorimonsterosaka
5/15(SUN) 名古屋 RAD HALL
WITH GUEST
cana÷biss/CYCLONISTA/美味しい曖昧/誰もシラナイ。/ミソラドエジソン/メルクマールメルマール
開場/開演 :15:30 / 16:00
https://t.livepocket.jp/e/satorimonsternagoya
5/22(SUN) 渋谷 Spotify O-CREST〜TOUR FINAL
ONE MAN 公演 全曲披露
開場 /開演 : 16:30 / 17:00
https://t.livepocket.jp/e/satorimonstertokyotourfinal
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