INTERVIEW

ReN

一人多重演奏を駆使する新鋭シンガー・ソングライターReNが2ndフル・アルバム『LIFE SAVER』を完成させた。10代で単身イギリスに渡り、19歳までレーシングカードライバーとして活動を続けるも怪我で選手生命を絶たれてしまったReNが本格的に音楽活動を始めたのが弱冠20歳のとき。歌とギターとループステーションでビートやコーラスなどを 次々に加えひとつの音楽を構築していくスタイルで話題となり2015年には年間102本のライブを行う『百戦蓮磨2015』を達成、音源リリース前にしてFUJI ROCK FESTIVAL’15などにも出演するなど多くの音楽リスナーから支持を受ける。2016年6月に発表された1st Album『Lights』がiTunesオルタナティブ部門で1位を獲得、2017年に入りONE OK ROCK「Ambitions Japan Tour」福岡公演へ参加するなど着実のその名を全国に知らしめてきた中で届いた2ndフル・アルバム『LIFE SAVER』が本当に素晴らしいのだ。ReNが出会った人、触れたもの、見て聴いて感じたことを音に込め積み重ねていくことで生まれるオリジナルな音楽が詰め込まれた『LIFE SAVER』からReNを感じて欲しい。

Q.ReN君の音楽の原体験はどんなものだったのですか?

ReN:小さな頃から音楽に触れることはあったと思うんですけど、最初に自分で音楽を意識したのは小学2年生の頃に観た映画「Back to the Future」が大きい気がします。

Q.マイケル・J・フォックスが演奏する「ジョニー・B・グッド」ですね。

ReN:はい。めちゃくちゃかっこいいなって。あとは「STAR WARS」とか。僕、洋画が好きで色々観ていたんですけど映画の中に必ず音楽って存在するじゃないですか。それで興味を持ったのが入り口かと。子供の頃からギターを触る機会はあったんですけど、演奏するより聴くのが好きでしたね。インターネットで好きな音楽を探したり、友達に教えてもらったり、そうやって自分の好きな音楽をコレクションして聴くのが好きでした。

Q.音楽を始めたのは?

ReN:実は音楽を始める前にレーシングカードライバーをやっていたんです。10歳の頃に鈴鹿サーキットで観たF1ドライバーに憧れて12歳からレーシングカーとを始めたんです。目の前で観た命懸けのスポーツに衝撃を受けたんですよね。それで16歳で学校を辞めてイギリスにレース留学してプロレーサーになったんです。でも19歳のときに怪我をしてしまって。学校も友達も捨ててやっていたので本当に全て失ったと思ったし、命懸けでやっていたものが無くなってしまったことに耐えられなくなって。そんなときに僕が頼ったのが子供の頃から聴いていた音楽だったんです。

Q.音楽が救ってくれたと。

ReN:音楽が持っている力を身を持って実感したんですよね。これまでとは全く違う聴こえ方がしたんです。精神的にも肉体的にもダウンしていたんですけど、音楽で前に進めるって思ったし、音楽をやりたいって気持ちが強烈に湧き上がったんです。それで僕はずっと書いていた日記を手にしたんですよ。

Q.日記ですか?

ReN:9年間レーサーをやってきて感じたことや心情を僕はその都度日記に付けていたんです。それを読み返したらそこには僕の色んな感情が詰め込まれていて。それを歌にしてみようと思ってギターを手にしたんです。僕はずっと速く走ることだけに情熱を注いできたのでそれを失った恐怖が凄かった。「俺はこれだ」っていうものが一瞬で無くなったことが猛烈に耐えられなくて何かを欲するようになったんです。それが音楽だったんですよね。レーサーとしての人生を怪我で失ってしまったけど、音楽だったら自分の声と楽器があれば死ぬまでやれるじゃないですか。手を叩いてビートが生まれたらハッピーになれるじゃないですか。そう思ったときに自分がやりたいことが明確になったんですよね。

Q.それが20歳の頃…。凄い経験ですね。

ReN:そうですね。怪我した直後や休んでいる間は色んなことを考えました。やっぱりレースは僕の全てだったのでそれを失ったことは怪我のダメージより心のダメージが大きくて。そのとき側にあったのが音楽だったんですよね。音楽が「こっち来いよ」って僕を誘導してくれた。それで今度は自分でそういう音楽を作ってみたくなったんです。

Q.最初はその日記からインスパイアされたことを音楽にしていたのですか?

ReN:そうですね。日々感じることを日記に書いていたんですけど、それでも普段はそういう感情って忘れていることが多くて。寂しい、哀しい、痛いって日記に書いても忘れているんです。でもそれを音楽にすることでその感情がフラッシュバックすると思うんです。高校生の頃に聴いていた音楽を聴くと当時の恋愛や友達との喧嘩や黒板のチョークの音が鮮明に蘇るんですよ。そういう感情や記憶を生もののまま引っ張り出してくれるのが僕にとっては音楽なんです。

Q.音楽って聴いていたその瞬間に記憶を旅させる力がありますよね。

ReN:「Back to the Future」じゃないけど、まさにタイムマシーンだなって思います。聴いた瞬間に巻き戻しされる感覚になるじゃないですか。忘れていた記憶とか一気に蘇るし。普段忘れていても記憶ってちゃんと頭の中にあって、その引き出しを開けてくれるのって僕は音楽しか知らない。勿論人によって色々あるんだと思いますけど僕にとってはそれが音楽なので。なので自分の音楽も誰かにとってそういうライフタイムソングになったら嬉しいなって思っています。

Q.その音楽を伝える手段として歌とギターとループステーションを選んだのは?

ReN:バンドに対する憧れも勿論あったのですが音楽をやるきっかけがきっかけだったのでバンドを組む仲間がいなくて。それでどんな音楽をやろうか考えたときに僕の大好きなエド・シーランのような1人で何でも表現する手法でやってみようと思ったんです。ループステーションでギターもリズムもループさせて音を重ねていくことに1人でやるかっこよさを感じたんです。これならバンドを組まなくても理想の音楽がやれるなって。ドラムがいなくてもギターを叩いてループさせたらリズムが生まれるし、コーラスが欲しかったら自分で歌ってループさせればいい。そうやってその場で音を積み上げていくのをリアルタイムで見せながらライブをしたら観てる人も楽しいと思うんですよね。ひとつひとつは繊細で小さい音なんだけど積み上げたときにひとつの大きな音楽になる。それをリアルタイムで作っていくことに魅力を感じるんです。

Q.『Lights』に比べ今作はよりそのスタイルが色濃く出ていますよね。

ReN:『Lights』は僕が経験してきたことから生まれたアルバムだったのでインプットがいっぱいあったんですけど、出し切ったことで全部空っぽになって。それで今回のアルバムはアーティストとしての自分を追及しなきゃなって思ったんです。あとは出会いですね。今年の2月にエド・シーランと話す機会があったんですよ。それで自分のやってきたことが間違いじゃないって思えたんです。ONE OK ROCKのツアーに誘ってもらったことも大きいですし。そういう音楽から派生した出会いが自信になったんですよね。これまでは曲を作るために必死に何かを吸収しようとしていたけど、フラットな感情で日々起きることを噛み締めていれば自然とそれがインプットされるし曲が出来るようになったんです。これまで2通りのやり方があったとしたら今は10通りあるみたいな。そんな発見をした気分でアルバムが作れたと思います。

Q.3月にデジタルシングルとしてリリースされた「Life Saver」を初めて聴いたときに「なんだこれ!」って驚いたんですけど、アルバムでは「What I’m feeling」でまた違う驚きがありました。それは曲の作り方が2から10になった証拠というか。

ReN:「What I’m feeling」は結構自信があります(笑)。この曲はギター1本で作ったコードとサビのフレーズだけあってしばらく温めておいたんですけど「最終的にどうなるかな」って思っていたら自分の想像を超える曲になったなって。中々納得いく形にならなくて結構悩んだんですけど。

Q.ブラックミュージックの要素が強いですよね。

ReN:ソウルとかゴスペルとかクラップするビートとか、そういうブラックミュージックのグルーヴを意識して作りました。ライブやキャンペーンで福岡に行ったときに訪れた「JB’s BAR」っていうジェームス・ブラウン好きのご夫婦が経営するソウルバーがあるんですけど、そこのご主人が物凄くレアなソウルのレコードを朝まで聴かせてくれたんですよ。そこでリズムの取り方を教わったのが「What I’m feeling」には自然と活きていると思います。「Life Saver」を作ったときもなんですけど、歌詞を書こうと思って机に向かってパソコンを開いても何も見えなかったんですけど、トラックを作って目を閉じて浮かんだ言葉を辿っていったら「Life Saver」の歌詞が浮かんだんですよ。「What I’m feeling」もブラックミュージックを作ろうとしたんじゃなくて、コードがあってフレーズが浮かんで、何が合うか辿っていく中でブラックミュージックを見つけた感覚なんですよね。「これ欲しかったやつだ」って。

Q.出会った人や見て聴いて感じたことを重ねることで自分の想像を超える音楽が生まれるのかもしれませんね。

ReN:そうですね。毎日勝手に素材を集めていて、自分が音楽を作るときに勝手に出てくるんです。器用にやれたら楽なんですけど勝手に出てたりすることが多くて。でもそれだけじゃなくて、例えば「Life Saver」だったら自分の思う「Life Saver」ってどうだろうとか、自分の今の心境を重ね合わせたときにどんな「Life Saver」でいて欲しいだろうとか、そこはシンガーソングライターとして思ってること、感じてること、こうであって欲しいと思っていること、そういう自分の考えをちゃんと言葉で音楽に残して、音は景色として残したいなって思いますね。そのふたつがなりたって僕の音楽になると思うので。

Q.確かにReN君の楽曲は聴いていて景色が浮かびます。「Life Saver」は高速道路のトンネルを走ってる気分になりますし。

ReN:スピード出し過ぎないようにして下さいね(笑)。「Life Saver」は最初に作ったトラックの倍速で鳴っているスネアの音が高速道路のトンネルの中のライトが過ぎ去っていく感じがしたんですよ。その景色から入った曲でもあるのでそう感じてもらえるのは凄く嬉しいです。あ、僕のイメージは車なんですけどもしバイクが浮かんだらそこは趣味の違いってことで(笑)。

Q.楽曲からも今日伺った話からも感じるのですがReN君は所謂シンガーソングライターのイメージとは全く違うタイプのシンガーソングライターですよね。

ReN:よく「新しいね」って言って頂くことがあるんですけど、自分では新しいことをしている感覚はなくて。ただ曲を作るときに説明書というか、そういうやり方を見たりしないってだけだと思います。携帯電話を買っても説明書を読まないタイプなので(笑)。自分でやり方を探して上手くいったときの方が喜びが大きい気がするんですよね。だから新しいことをやってるというよりは好き勝手やってるだけっていう(笑)。でもシンガーソングライターという言葉の持つイメージも分かります。だけど僕の中でシンガーソングライターって曲を作って歌う人のことなんですよね。そういう意味では色んなスタイルがあって良いと思うし、ギターを持って歌う人じゃなくても、ドラム叩きながら歌ってもDJしながら歌っても、曲を書いて歌っていればシンガーソングライターなんですよね。だから色んなスタイルのシンガーソングライターがいると思うし、自分のビジョンを持った人がかっこいいシンガーソングライターなんだと思います。

Q.ReN君の音楽はReN君が触れてきた色んなものを音に込めて重ねていくから音自体がReN君の気持ちの連鎖だなって思います。ライブではそこにお客さんの気持ちを足すことでその日しか生まれない音楽になるような感覚がライブを観ていてありますね。

ReN:それ凄く良いですね。ライブをしていて、観てくれている人それぞれの心境や感情がひとつに集まるのが分かると凄く気持ち良いし楽しいんですよ。言葉じゃなくて気持ちが繋がる感覚。それは本当に大切にしたいですね。音楽は触れ合って出来ると思っているので。

アーティスト:ReN

タイトル:LIFE SAVER

■初回数量限定盤(デジパック仕様)
品番:REN-1003

¥2,315(+税)

■通常盤
品番:REN-1004

¥2,315(+税)

2017年6月28日発売

LIVE

7月2日(日)『OTODAMA SEA STUDIO 2017~STORY TELLER 17’~』

8月19日(土)『MONSTER bash 2017』

10月1日(日)『ヨコハマ・アコフェスvol.8』

タイトル:ReN 「LIFE SAVER」ONE MAN TOUR

9/29(金)横浜BAYSIS (神奈川)

10/21(土)仙台 enn2nd (宮城)

10/23(月)松山Double -ustudio (愛媛)

10/24(火)高松TOONICE (香川)

10/26(木)梅田Zeela (大阪)

11/6(月)SR Hall (鹿児島)

11/7(火)BEAT STATION (福岡)

11/11(土)APOLLO BASE (名古屋)

11/15(水)新潟CLUB RIVERST (新潟)

11/21(火)岡山CRAZYMAMA 2nd Room (岡山)

11/23(木)周南LIVE rise (山口)

11/24(金)広島BACKBEAT(広島)

12/15(金)LIQUIDROOM(東京)

http://ren-net.com/

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