インタビュー

新栄、終わらない夜【インタビュー】

2022年3月を以って閉店する新栄APOLLO BASE。コロナ禍の厳しい状況下でありながらも連日閉店を惜しむ全国各地のバンドやオーディエンスがAPOLLO BASEを訪れ日夜メモリアルなライブが行われている。そんな中、RAD SEVEN長尾氏がAPOLLO BASEで最後に手掛けるイベント「新栄、終わらない夜」が2月16日、21日、28日の3日間に渡り開催される。長尾氏とAPOLLO BASE木田氏はでらロックフェスティバル×Shinonome Circuit presents「でらノメサーキット」を共催しており若手バンドの育成を含め新栄の町で共闘してきた間柄。そんな長尾氏がAPOLLO BASEにて企画する最後のイベントが若手バンドを引き連れて乗り込んでくるなんて、この時点でもうドラマがあり過ぎる。イベント開催に向け、数々の夜を共にしてきた長尾氏、木田氏の対談を決行。新栄の夜は終わらない。

2YOU:APOLLO BASEの閉店を受けてRAD SEVENによる「新栄、終わらない夜」というイベントが3日間に渡り開催される訳ですが。

木田:肝臓がもたないです(笑)。

長尾:あははは。

2YOU:長尾さんはAPOLLO BASEの閉店を知ったときはどう思いました。

長尾:率直に「マジか」ってなりました。しかも経営的にどうって訳でもないということで余計に。うん。「マジか」ですね。

2YOU:木田さんは発表したときはどのような心情でした?

木田:一先ずやっと言えたなっていう。2020年の11月か12月には決まっていたのでやっと人に言えた安堵が大きかったですね。本当に誰にも言ってなかったので。そこからは連絡が途絶えない日々が続きました(笑)。

2YOU:閉店発表後は本当に色んなバンドがライブをしに来てますもんね。もう観れないと思っていたバンドが復活したり。

木田:本当にありがたいです。

2YOU:その中で長尾さんが企画したのが地元バンドが集結する「新栄、終わらない夜」を3回に分けて開催するという。

長尾:僕らも新栄でRAD SEVENというライブハウスをやっているんですけど、コロナ期間中に若いバンドが沢山出てきたんですよ。それこそ「7th Wonder」というコンピを作らせてもらってツアーを回ったりしたんですけど、それくらい若手のギターロックバンドが沢山いて。そんな中、APOLLO BASEが終わっていく訳で。僕の中でAPOLLO BASEはロックバンドが目指す聖地みたいな存在でもあるんですけど、じゃあそこに対して今のシーン、これからのシーンを今いる若手バンドたちにしっかり見せたいなと思ったんです。だから自分が最後にAPOLLO BASEでイベントを打つとしたら次の世代のバンドたちと作れたらいいなと思って企画しました。

2YOU:木田さんはコロナ以降のRAD SEVENの動きをどう見ていましたか?

木田:「なんでこんなに新人いるの?」って思ってました(笑)。コロナ以前でもこんなに若いバンドが来たら凄いことだったのになって。長いことライブハウスをやっていると波ってあるじゃないですか。急にバンドが増える時期ってあるんですよ。でもこのタイミングでこんなにも新人が出てくるのはシンプルに凄いなって思いました。持ってるなって。

長尾:うちでギターロックがここまで定着するとは思っていなかったからびっくりはしてますけどね。

木田:R.A.Dはメロディックパンクのイメージが強かったけどRAD SEVENはギターロックがどんどん強くなってきたもんね。

2YOU:お互い情報交換などはしたりします?

木田:はい。意外と会ってますからね。

長尾:ちょこちょこ会うし、電話もするし、ライブを観て欲しいバンドがいたら連絡しますね。GOLD RUSHでもまだ活動初期のねぐせ。を観てもらいたくてAPOLLO BASEのトッパーにしたり。

木田:そのねぐせ。が思いっきり遅刻してきて、初対面で滅茶苦茶怒るっていう(笑)。

長尾:ねぐせ。の初期もですけど、まだ社会人としての常識すらないような若者がRAD SEVENに駆け込んでくるんですよ(笑)。

木田:ねぐせ。に関しては人気が出そうなバンドだって聞いてたし新人のバンドをGOLD RUSHのうちのトッパーにしているには意味があると思ったからこそ怒ったんだけどね。どうでも良かったら何も言わないし。ライブハウスとして、バンドの将来を見据えた上での話っていうか。まあ、うちは無くなるから嫌われ役をやるのに何のリスクもないので(笑)。

2YOU:APOLLO BASEとRADSEVENの関係性も今回のイベントに集約されている気がします。木田さんと長尾さんは一緒にサーキットイベントを行ったりもしていますがRAD SEVENで起きたことを次のステップとしてAPOLLO BASEで爆発させるような印象もあって。

長尾:そこは意識的にやってますね。RAD SEVENで育ったバンドがAPOLLO BASEに挑戦するっていう流れは去年の12月26日に自身のツアーファイナルを開催したmollyもですけど意識しています。RAD SEVENで修業を積んで、勝負するタイミングはAPOLLO BASEっていう。

2YOU:その流れが定着してきたからこそAPOLLO BASEの閉店が悔やまれますが、この3日間、長尾さんが木田さんに今見せたいものが凝縮されたイベントになりそうですね。

長尾:本当は3日連続でやりたかったんですけどね。木田が肝臓を気にしちゃって「3日連続だけは絶対嫌です」って(笑)。

木田:死んじゃいますから(笑)。

2YOU:木田さんはラインナップを見てどう思いましたか?

木田:さっき言ってくれたRAD SEVENで修業してAPOLLO BASEにくるって流れは僕も凄く感じていて。バンドにもよく言うんですけど、うちなんて季節に1回で良いんですよ。毎月RAD SEVENで修業して半年に1回とか来てくれたらなって感覚もあったので、今回のイベントにはそういう流れを汲んだバンドもいるし、まだちゃんとライブを観たことがないバンドもいて、最後まで面白いなっていう。閉店付近は死ぬほど観てきたバンドしか出ないので、RAD SEVENには最後まで楽しませてもらってます。

2YOU:ライブハウスとしてもバンドとしてもこの期間は関係値の深いバンドが連日名を連ねる中、ここにきてまだ出会いがあるのは、最後までAPOLLO BASEがライブハウスであることを証明するような気がしますね。

長尾:本当に最後のチャンスみたいなところがあるので。APOLLO BASEでやれる最後の世代のバンドなので。やっぱり僕にとってもAPOLLO BASEは原点なんですよ。実は僕が名古屋に出てきて初めて行ったライブハウスがAPOLLO BASEで。しかもそれが弊社の綿谷のイベントで。昼から夜まで10バンドくらい出ていて、しかも無料のイベントだったんですけど、今じゃ考えられないくらいパンパンに人が入っていて。

木田:地獄だ(笑)。

2YOU:人生が狂った日ですね(笑)。

長尾:完全に。

木田:APOLLO BASEのせいでここまできてしまったのか(笑)。

2YOU:長尾さんが一番思い出に残ってるイベントはありますか?

長尾:思い入れが強いのは2012年の「名古屋ど真ん中計画」ですね。僕もTHIS MORNING DAYで出演しているんですけど、04 Limited Sazabys、BACK LIFT、THREE LIGHTS DOWN KINGS、PipeCut Weddingも出ていて。あの日のことは強烈に覚えています。

2YOU:ある意味「新栄、終わらない夜」は「名古屋ど真ん中計画」を彷彿とさせるイベントなのかもしれないですね。

長尾:確かにそれはあるかもしれないですね。木田の肝臓が心配です。僕はまだ大丈夫なので。

木田:いや、そろそろこっち側な気が(笑)。

2YOU:あははは。ちなみに木田さん、本当に色んな人に聞かれていると思いますがAPOLLO BASE閉店後はどうするか決めてるのですか?

木田:それ滅茶苦茶聞かれますが気になります?

長尾:みんな知りたいでしょ。

木田:まだはっきりとは決めてないですが、業界は辞めないです。閉店に伴って色んなバンドのライブを観ている中で、やっぱりまだやり残したことがあるなって凄く思うし、まだやれることも多分あるし、それが何なのか具体的な話はこれからですけど、やり残したことはまだまだあるので辞めないです。

2YOU:閉店まで2か月切りましたが実感は湧いてきました?

木田:そうですね。APOLLO BASEで会うのはこれが最後かなって人も出て来たので。

長尾:スケジュールを観ていても懐かしいバンドや縁の深いバンドの名前が並んでて、本当にいよいよなんだなって思いますね。

2YOU:最後の日まで思い入れの強いバンドのライブが続く中、長尾さんが若手を沢山引き連れて乗り込んでくる感じとか、凄くRAD SEVENらしいですよね。

木田:本当に。怯えてます、肝臓が。

長尾:このインタビューを読んだ人はAPOLLO BASEに大量のウコンの差し入れをお願いします(笑)。

2YOU:閉店は本当に寂しいですが今までAPOLLO BASE、APOLLO THEATERで観て来たライブ、閉店発表後に観れたライブ、全部良いライブしか観てないので、最後の最後までAPOLLO BASEを楽しみたいし、最後の最後までAPOLLO BASEして欲しいです。

木田:宜しくお願いします。肝臓鍛えておきます。

長尾:新栄の夜は終わらせないので。

interview & photo by 柴山順次

新栄、終わらない夜
新栄APOLLO BASE
■2月16日
May Forth / kurage / Alstroemeria / カロテン / 日日是好日
■2月21日
ねぐせ。 / ハローモンテスキュー / Lander / 00’s Club
■2月28日
molly / amplest / amanojac / blanc.

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