インタビュー

サティフォ

ONIGAWARAのサティフォが3月4日(サティフォの日)に実に8年振りとなるソロ音源『BGM』をリリースした。今作には「BGM」「愛の途中」の2曲が収録されており、「BGM」はシモリョーこと下村亮介(the chef cooks me)をプロデューサーに、「愛の途中」では柴山慧(soulkids)をプロデューサー、そしてミックスエンジニアに三島想平(cinema staff、peelingwards)を迎えて制作されている。サティフォが10代で出会った先輩、その後竹内電気として出会った後輩と音楽を通して2022年にひとつの作品を作り上げたことが溜まらなく嬉しい。今回2YOUでは盟友であるサティフォ、下村亮介、柴山慧、三島想平とオンラインミーティングを決行。次は俺たちのCLUB ROCK’N’ROLLで会いたい。そして杏花村で飲みたい。深夜2時を超え大丸ラーメンについて語り合いたい。同じ時間を過ごしてきた仲間との共通言語をもって未来の話をしたい。音楽が繋いだもの全てが最高だ。

2YOU:まずはかなり遡って皆さんが出会ったときの話から訊けたらなと。

サティフォ:一番最初に出会ったのは慧さんなんですけど、竹内電気のライブを観に来てくれていて、僕らがライブ後に配ったアンケートを慧さんも書いていてくれたんですよ。回収したアンケートを見て「soulkidsの柴山慧じゃん!嘘でしょ!?」って。

柴山慧:あははは。

サティフォ:その頃は斉藤(斉藤伸也:現ONIGAWARA)が連絡係をやっていたんですけど、思い切って慧さんに連絡してsoulkidsのライブを一緒に観に行ったんです。それで仲良くなって色んなバンドを教えてもらったりしていたんですけど、「竹内電気と同じ編成のバンドがいるよ」って教えてくれたのがthe chef cooks meで。

下村亮介:そうなんだ。

サティフォ:それでCLUB ROCK’N’ROLLにライブを観に行ったらまんまと大ファンになりまして。the chef cooks meが好き過ぎて夜行バスで東京までライブも観に行きましたから。それが19歳とか20歳とかの頃ですね。cinema staffは少し後で、CLUB ROCK’N’ROLLの本多さんに「いいバンドがいるよ」って教えてもらってライブを観に行ったんですよ。その日は喋らなかったけど『document』のツアーで初めて対バンしてそこから仲良くなりましたね。

2YOU:慧さんは始めて竹内電気を観たときはどんな印象でした?

柴山慧:竹内電気を初めて観た日は本当は他の友達のバンドのライブを観に行ったんですよ。そこにたまたま竹内電気も出ていて。見た目も演奏もパンチがあって、だけど曲が死ぬほどポップで、とにかく印象が強すぎたんです。それで「これは友達になりたいな」と思ってアンケートを書いて提出しました(笑)。

柴山慧

2YOU:シモリョーさんはどうですか?

下村亮介:さっきサティフォが言ってたように名古屋にライブに行ったときに観にきてくれたんですよ。その日はレミ街が一緒だったと思うんだけど、お客さんとしてサティフォと斉藤が来てくれて当時CLUB ROCK’N’ROLLの店員だった慧くんが紹介してくれてデモCDをもらったんです。その竹内電気のデモCDを帰りの車で聴いたんですけど物凄くシンパシーを感じて。当時ってエモやポストロックやハードコアのバンドが僕らが活動していた下北沢ERA周辺には多かったんですけど、僕らは元々J-POPが好きだったし、そういうバンドが周りにはいなかったんですね。それこそキーボードの入ってるバンドとかも当時は全然いなくて。だから竹内電気を聴いて同じようなバックボーンを感じたし、年下でこういうバンドがやっと出て来たなってワクワクした記憶があります。

2YOU:三島さんはこの中で唯一サティフォさんの年下ですが、当時のシーンをどう見ていました?

三島想平:竹内電気もsoulkidsも初めて知ったのは名古屋のタワレコでした。当時滅茶苦茶タワレコに行っていて名古屋のインディーズバンドのCDを買っていたんですけど、その流れでCLUB ROCK’N’ROLLにもしょっちゅう行っていたんですけどthe chef cooks meもよく出ていらっしゃって。

下村亮介:はじめましてですよね。

三島想平:はじめまして。cinema staffの三島です。

柴山慧:え!?ここはじめましてなの?

三島想平:ちゃんとお話しするのは初めてです。ニアミスはよくしてるんですけど意外と対バンも今までなく。勿論ライブは観てますし憧れの先輩というのはお三方全員に対して思っていました。

三島想平

2YOU:逆に皆さんはcinema staffの登場はいかがでした?

柴山慧:僕はライブハウスで働いていたのでcinema staffが名古屋でライブし始めた最初から観ていますけど、僕らの音楽の捉え方とはまた違う角度から僕らの中にはなかった様式美で音楽をするバンドだなって思っていました。そして演奏も歌も超上手いっていう。ちょっと勘弁してくださいみたいな印象でしたね。

サティフォ:僕らは割とハチャメチャだったし先輩にもハチャメチャなバンドが多かったので凄くしっかりしたバンドが出て来たなって印象でした。

2YOU:シモリョーさんからは当時の名古屋のシーンはどう映ってました?

下村亮介:初めて県外でライブをしたのが名古屋なんですよ。きっかけはonsaがsoulkidsと繋いでくれて、soulkidsが名古屋に呼んでくれたんですけど、当時は地方のバンドの知り合いが全くいなかったから、最初に遠征したのが名古屋で良かったなって。どんどん友達が増えたので。soukidsがいて、レミ街がいて、24-two for-や竹内電気がいて、みんな全然違う音楽をやってるのにこの人たちが一緒のライブハウスでやっているのが面白いなって思っていました。東京はライブハウスが多いから住み分けが出来るし歩み寄ったりすることもないと思うんだけど、名古屋はそれがないからそこに混ぜて貰えるのが嬉しかったし楽しかったです。みんな本当に良い音楽をやっていて、当時は多少やっかむ部分もあったかもしれないけど、それも今思うと幸せなことですよね。

2YOU:当時は慧さんが全国のバンドと名古屋のバンドを繋ぐ存在でしたよね。

柴山慧:僕がたまたまライブハウスで働いていたからなんですけどね。でも紹介した友達がそれきっかけで県外にツアーに出るようになったり外に広がっていくのはライブハウスの人間としても仲間としても嬉しかったですね。

2YOU:そんな出会いやそれぞれの活動、沢山の時間を経て、サティフォさんのソロで集結するのもグッときますね。サティフォさんはソロ音源のリリース自体、かなり久しぶりですよね。

サティフォ:8年振りですね。最初にソロを出したのは竹内電気が解散してすぐの2014年に1枚だけ作ったんですけど、実は竹内電気用に書いていた曲をソロにしただけなんですよ。だから自分としてはあまりソロ作品っていう感覚はなかったんです。そんな中、今回は毎年やっていたソロワンマンが去年はコロナで出来なかったので今年のワンマンに向けて作品があったらいいなと思い久々にトライしてました。

2YOU:今作には2曲収録されていますが作品としてはどんなものにしようと思っていました?

サティフォ:8年振りってことにも表れていますけど、ソロ欲は特になくて、ONIGAWARAで自分のやりたいことは完結しているんですよ。あれ以上のものはないんです。でも毎年サティフォの日というソロライブをやっているから、そこに対する記念品みたいな感じで曲を作れたらなって思いまして。で、どうせだったらONIGAWARAではやらないことをしようと思って、誰かにアレンジをお願いすることにしたんです。じゃあ誰に頼もうかなって思ったときに大ファンのシモリョーさんが浮かんだんです。シモリョーさんとは3、4年連絡を取っていなかったんですけど快諾頂いて。じゃあもう1曲はどうしようかなって思ったときにあと1人は慧さんしかいないなと思ったんです。それでせっかくだからエンジニアを三島にお願いしようと。

2YOU:歌詞やメロディそのものはサティフォさんのものなんですけど「サティフォ」という素材を使ってどう料理するかみたいな面白さは滅茶苦茶ありますよね。アレンジする上で拘った部分はありますか?

柴山慧:サティフォからは歌とアコギだけの弾き語りのデータが来ていたので、どうせだったらそれを全然違う感じにしようと思ったから、やろうと思えばもっと沢山音を入れても良かったんですけどんですけど、サティフォ的には出来るだけシンプルな構成でバンドっぽいイメージと言われたので「じゃあ」と思って色々イメージして作りました。それを三島がミックスしたら「そうなるよね」っていう感じになったので成功だなって。

三島想平:僕はミックスだけなんですけど、僕が頼まれてるってことはどういうことなんだろうって凄く考えました。「愛の途中」はギターの感じもアレンジも滅茶苦茶慧さんなんですよ。というかsoulkidsなんです。そこに自分がミックスすることでまた違うものになるというか、やっぱり僕のミックスはドラムが大きくなったりするので、みんなで作るみんなの作品になればいいなと思ってミックスしました。

2YOU:「愛の途中」はサティフォさん、慧さん、三島さんの3ピーズバンドみたいな印象もありました。対して「BGM」は思いっきりシモリョーさん節で。だから2曲でベクトルが全然違うんですよね。

柴山慧:「BGM」は滅茶苦茶シモリョーくんですよね。この曲はシモリョーくんのアレンジが終わった完成版しか聴いていないから最初のサティフォのデモがどんな感じだったかも気になっていて。

下村亮介:そういう楽しみ方もありですね。サティフォのデモの時点で充分曲として完成していたから僕はリミックスのつもりで作りました。

2YOU:シモリョーさんは「BGM」のアレンジで拘った部分はありますか?

下村亮介:ここ最近はアレンジの仕事を色々させてもらっているんですけど、久しぶりにサティフォから連絡があって依頼を受けて「どういう風にしたいの?」って聞いたら「お任せします」っていう感じだったので、本当に好き勝手やらせてもらったんですけど、その中でも一番自分がやって意味のあるものにしようと思ったらサティフォが今までやってこなかったようなタッチにしたらファンの皆さんも嬉しいのかなと思って、そこを意識して作りました。ファンの皆さんが喜んでくれているといいなあ。

下村亮介

2YOU:確かに今までのサティフォさんのキャリアでも「BGM」の感じは新鮮でした。サティフォさんは出来上がった曲を聴いてどう感じました?

サティフォ:ONIGAWARAのときは斉藤に「ここはB’zにして欲しい、ここは岡村ちゃん(岡村靖幸)にして欲しい」とか「SMAPっぽくして」みたいな作り方をしているんですけど、今回は慧さんとシモリョーさんの味を思いっきり出して欲しくて。僕は2人が作る音楽の大ファンなので、それが一番前に出たら嬉しいなって。そう思って依頼したので、出来上がった曲を聴いて何も言うことないです。最高です。もう本当に大満足です。

2YOU:ある意味こんな贅沢なことはないですよね。10代の頃に憧れた人たちが自分の曲を手掛けてくれている訳ですから。

サティフォ:贅沢過ぎますよね。

柴山慧:僕も凄く嬉しかったし新鮮でしたよ。色んな方と仕事はさせてもらっていますけど友達の曲のアレンジをするのはきっと初めてだと思うから。

サティフォ:その曲を三島がミックスしてくれたことも僕の中では凄く大きくて。竹内電気もsoulkidsも、勿論ONIGAWARAも、その全部の歴史の中に三島はいて、僕のことも慧さんのこともよく知ってる三島だからこそ出来るミックスをしてくれたと思っています。

三島想平:名古屋で出会った我々が東京に来て僕も一応音楽の仕事をさせてもらっていて、僕の家で慧さんとサティフォさんが集まってミックスの確認をしたんですけど、その瞬間のカタルシスというか、ここまで来たなっていう感じは凄くありましたね。東京に来てからの僕の歩みを肯定してもらったような、そこは凄くジーンときてます。

2YOU:それがただの同窓会じゃないのが素晴らしいなと。同郷の仲間で思い出話に花を咲かせている訳じゃないと思うですよ。

サティフォ:そうなんですよ。同窓会じゃなくて、みんながそれぞれパワーアップしているからこそ今一緒に出来たと思っていて。逆に誰かひとりでもあの頃のままだったら今回の制作はなかったと思います。

2YOU:もう言葉を選ばずに失礼なことを言いますけど、竹内電気の復活は同窓会だったと思うんですよ。だし同窓会で良かったと思うんです。

サティフォ:あははは。間違いないですね。

2YOU:でも今回はそうじゃなくて、サティフォさんも慧さんもシモリョーさんも三島さんも、あの頃から一緒にやってきた仲間だけど、それぞれがちゃんと進んだ上でのジョイントなので、それはやっぱり楽曲に表れますよね。こうなると皆さんが一緒に演奏している姿も観たいなあなんて思ったりしちゃいますが。

柴山慧:そういうお楽しみも今後あるかもしれないですよね。

サティフォ:サティフォの日とか全然ひとりで歌ってますけどね(笑)。

2YOU:サティフォさんってかなり肝が据わっていますよね。だって今やONIGAWARAのヴォーカルとしてのキャリアも長くなりましたけど最初は半ば無理やり歌うことになった訳で。

サティフォ:何も考えてないだけですよ。サティフォの日だって本当はもっと前から準備していたら慧さんにもシモリョーさんにもフィーチャリングで来てもらえたのに何も準備していなかったからひとりで歌っただけなので(笑)。

サティフォ

2YOU:今回ソロ音源を久しぶりに2曲リリースしたことで、ソロアルバムを作りたいとかソロでライブをしていきたいとか、そういう感情は芽生えたりしたのでは?

サティフォ:うーん。機会があればやりたいけど、僕が一番やりたいことはやっぱりONIGAWARAなんですよね。斉藤と一緒にONIGAWARAをしているのが一番楽しいんです。だからタイミングが合えばって感じです。

柴山慧:サティフォっぽくていいね。でも三島の家でミックスしながら思ったんだけど、本当に身内だけで0から作ってクオリティを下げずに10まで完成させることが出来るのって中々ないと思うんですよ。それこそ僕らの音楽をこうやってインタビューで広めてくれる2YOUの柴山さんだって身内な訳で。だから今回に限らず色んなやり方、作り方で音楽で遊んでいきたいですね。またみんなでやりましょう。

サティフォ:是非!

2YOU:ちなみに斉藤さんは今回の2曲を聴いて何か言ってましたか?

サティフォ:同じ人が書いた曲でもONIGAWARAとは全然違って「俺もONIGAWARAというサウンドを担っていたんだな」と言ってました。斉藤もこの3人とは長い付き合いなので感慨深そうでしたよ。

2YOU:これ、もしかしたら語弊があるかもしれないですけど、今回の2曲に斉藤さんは参加していないじゃないですか。「BGM」はシモリョーさんを感じるし、「愛の途中」は慧さんと三島さんを感じると思うんですよ。でもそこに斉藤さんがいないことで斉藤さんを感じるんですよ。

柴山慧:深いなあ。

2YOU:サティフォさんの曲には付き物である斉藤サウンドがないことでサティフォさんの新しい魅力も感じるし、斉藤さんがいないことで斉藤さんの存在の大きさも感じるという。

サティフォ:なるほど。斉藤、読んでる?(笑)。

2YOU:だから今回のプロジェクトはここにいない斉藤さんも含め、あの頃CLUB ROCK’N’ROLLで朝まで語り合ってた皆さんがあの頃以上のテンションで音楽を作っていることに触れることが出来て本当に嬉しかったです。

サティフォ:ありがとうございます。みんなに助けてもらって本当に良いものが出来たので一人でも多くの人に聴いて欲しい気持ちがあります。僕のことを知らない人にもポップミュージックとして届いて欲しいし、昔竹内電気を観に来てた人にも聴いて欲しい。勿論ONIGAWARAを好きでいてくれる人にも、soulkidsやthe chef cooks meもcinema staffのファンにも聴いて欲しい。最高の音楽を作り続けていくのでこれからも宜しくお願いします!

interview by 柴山順次

サティフォ「BGM」
01. BGM[Produced by 下村亮介]
02. 愛の途中[Produced by 柴山慧 / Mixed by 三島想平]

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