インタビュー

OAU【インタビュー】

OAU結成15周年にリリースされたオールタイムベスト盤『Re:New Acoustic Life』を聴きながらまるで走馬灯のように15年間の自分がフラッシュバックした。あの頃一緒にいた人、もう会えない人、出会った人、別れた人、そして生まれた命。そのときそのときの状況が脳裏に浮かびつつそのときを過ごした人の顔がどんどん目に浮かんでくる。それだけOAUの音楽が、いつの間にか生活に密接していて、15年前の曲も最新曲も、全てが今の自分に繋がっているようにすら思えてしまう。今作に収録されている井上陽水「最後のニュース」のカバーも30年前の曲でありながら今このときの為に作られたように感じてしまう。音楽って本当に凄い。大きく変わってしまった世界の中で変わらないために変らないといけないものがあって、だけど絶対に変らないものもある。それを確信させてくれるのもOAUの音楽だったりする。結成から15年。歌い続けてきたMARTINに話を訊く。2021年、OAUの音楽をライブで体感出来る日を楽しみにしている。

2YOU:この状況下でNew Acoustic Campが開催されたことはとても希望だなと感じたのですが。

MARTIN:出来るとは思っていなかったからね。アーティストもお客さんも人数を減らしてやったんだけど、クレームもなく、今やれることはちゃんと出来たんじゃないかな。それが今後のツアーにも繋がっていくと思うし。今年はフェスもお祭りもCOVID-19で中止になったし、ニューアコもやれるか分からなかったけど、ガイドラインだったり、他のイベントの良かった部分を参考にしたり、それでなんとかやれるなって。

2YOU:色んな状況が変わっていく中で、変わらないために変ることであったり、それでもやっぱり変わらないことであったり、その大切さは新曲の「Change」で歌われているなと。あと守りたいものがはっきりとしているから歌える歌だとも思いました。

MARTIN:「Change」で歌っている大きいポイントは、色々変わった中で変わらない自分の気持ちだったり、自分の家族を大事にしなきゃいけないっていう気持ちなんだけど、COVID-19になって、誰が大事とか、誰が友達とか、自分にとっての大事なことが凄くはっきりしたんですよ。あまり人に会っちゃいけないとか、集まっちゃいけないとか、そんなことこれまでなかったじゃん。そういう状況だったからこそ、余計に大事なものがはっきりしたんだと思う。

2YOU:その中でMARTINにとってOAUは改めてどういう存在だと思いますか?

MARTIN:人生の半分。もう半分が家族だったとして、バンドは人生の残りの半分。2020年ってOAUを15年やってきて初めてBRAHMANより活動が活発だったんだよ。BRAHMANのライブってお客さんの上に乗ってぐちゃぐちゃになるでしょ。だから今はどうしてもライブが出来ないと思うんだけど、OAUはゆっくり座って観るのも楽しいと思うし、一人でも楽しめる。だからちょっと変な言い方になっちゃうけど、今はOAUをしっかりやって、状況がよくなった時にOAUでもBRAHMANでも同じレベルで活動出来るようになったらいいなって思う。

2YOU:OAUが始まった頃とはアコースティックミュージックの受け入られ方も変わりましたよね。ニューアコも含めてですけど、OAUの鳴らすアコースティックが生活に根付いてきた印象もあって。15年かけてOAUがみんなの歌になったというか。

MARTIN:15年前はBRAHMANが好きでOAUを聴く人が圧倒的に多かったし、そういう人も15年経って聴く音楽も落ち着いたり、自分達もソングライターとして成長したり、一緒に成長してきたのかもしれない。あと昔は自分の歌いたい曲しか作りたくなかったけど、それが今は逆になったかもしれない。人が聴きたい音楽を作りたいって思うようになったんだよね。誰が聴いても良いと思える音楽を作りたいんだよ。時代とかも関係ない、昔っぽいけど今っぽくて、ただ良い曲が作りたい。それが前作の『OAU』くらいでスイッチが入ったんだよね。誰が聴いてもパッと分かる音楽を作りたい。そのためにコード感だったり、メロディだったり、色々考えるようになったし。最初の頃はテクニカルなことも含めて頭の中にやりたいことがいっぱいあって、それを曲に全部押し込めようとしていたけど、今はいかに曲が伝わるかを考えているから作り方も変わった気がする。

2YOU:NHK「みんなのうた」で「世界の地図」を聴いたうちの3歳の子供が1、2回聴いただけで一緒に歌っていたんですよ。そこに顕著に表れているなと。

MARTIN:うちの子供もそう。古い曲は全然歌わないけど最近のは歌う。昔の曲は何回か聴くと「なるほど」ってなるんだけど、パッと聴いて良いと思う曲って2、3曲くらいで。

2YOU:いや、2、3曲ってことはないですけど(笑)。

MARTIN:もうちょっとあるかもしれないけど、どちらかというと聴く人を選ぶと思うんだよね。(笑)今はニューアコが家族向けのフェスって意識もあるし、俺らもみんな家族がいるし、OAU自体を家族全員が楽しめるようなコンテンツにしたいんだよね。だから最近は新曲を作ると自分の子供にも聴かせるんですよ。「どう?」って(笑)。

2YOU:反応をみると。

MARTIN:そうそう。「Change」は初めて聴かせたときにサビの歌詞のない部分を歌いだして。今もそれで歌ってるけど(笑)。

2YOU:子供って素直だから忖度ない反応もみれますよね。

MARTIN:「こう言ったら悲しむかな」とか、そういうのがないから、面白くなかったら「あまり好きじゃない」って言ってくれる。でも大人は気を遣って大体「いいじゃん」って言う。だから子供の感想は意外と重要なんだよね。

2YOU:ちなみに「世界の地図」は今の時代にリンクする曲だと感じたのですが曲が出来上がったのはいつ頃ですか?

MARTIN:デモ自体は2019年の11月とか12月くらいかな。だからCOVID-19の前なんだよ。でも今の状況とリンクする部分はあるよね。なんかOAUってそういうことがたまにあって。「夢の跡」も震災前に出来ていて、海に木が1本立っているジャケットも震災前に出来ているんだけど、リリース直前に震災があって、リンクしてくるみたいな。そういうことがたまに起きる。不思議だけど。

2YOU:今作では井上陽水さんの「最後のニュース」もカバーしていますけど、それこそオリジナルは30年前の曲なのに今OAUがカバーすることでまるで今のことを歌っているような気がして。

MARTIN:NHKの「The Coversっていう番組でカバーさせてもらう機会があって、放送直後から多方面から反響いただいたみたいで。基本的に俺はカバー曲はOAUのオリジナルアルバムに入れたくないんだけど、「最後のニュース」は今だったら入れてもいい、入れるべきかなって。それくらい自分達の曲としてもしっくりきたかな。

2YOU:『Re:New Acoustic Life』はベストアルバム的な要素もあると思うんですけど、物凄く2020年を象徴するアルバムだなって。

MARTIN:まあ、ベストアルバムではあるけど、所謂ヒット曲を集めたベストアルバムではなくて、勿論人気の曲は入ってるんですけど、自分たちが今リメイクしたかった曲や良いと思っている曲、あとは今だから歌いたい曲、カバー曲を色んな意味を持って集めたアルバムだと思う。だから流れも大事にしてるし、シングルが並んだベスト盤じゃなくてニューアルバムを作ったつもりではいるよ。

2YOU:バンド名がOAUに変ったり、今までとは違う層がOAUに触れる機会があったりするなかで徐々に変わってきたOAUが、これまでのOAUを音源でアップデートしたような印象も受けました。

MARTIN:「帰り道」の影響で沢山の人がこのタイミングでOAUを知ってくれて、そういう人にこれまでの俺達の曲も好きになって欲しかったんだよね。「Thank You」は1stアルバム『OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND』に入っている昔の曲だけど、ライブで今もお客さんが盛り上がってくれるから入れたかったし、そういう人気のある曲と、「Memories」みたいなライブで「ワー」ってなる曲ではないけど自分達が気に入ってる曲が並ぶことで、バンドの幅広さや奥深さが伝わるといいなと思って入れていて。曲を選ぶのも楽しかったよ。

2YOU:2021年はツアーからOAUの活動が始まりますが。

MARTIN:どうなるんだろうね。いつもみたいなライブは出来ないかもしれないけど、新鮮な気持ちになるだろうし、はっきり言ってこの時代にライブをやれてるバンドも少ないと思うから、俺達が少しでもカタチを残せられたら音楽シーンにわずかでも役立つかもしれないでしょ。だから絶対に成功させたいよね。色んなことが変わったし、元に戻ることは難しいと思うから、この先も新しいやり方を探さないとね。ライブをすること、ライブを観ることが、OAUだったら可能な状況を作れると思うからね。感染対策をしっかりやって。

2YOU:例えばワクチンが出来たり、元の世界に戻ったとしても、マスクをするとか、消毒するとか、この1年で僕らが身につけたものはそのまま活かしていきたいですけどね。

MARTIN:そうだね。でもアーティストとしてはマスクはちょっと辛いかな(笑)。お客さんの表情も分からないからね(笑)。でもマナーとしては残って欲しいね。風邪のときは絶対にマスクをするとか。そういう思いやりをみんなが持てたらいいんじゃないかな。元々日本人は周りに気を遣える人が多いから。

2YOU:まさか世界中の人間がマスクをして外を歩くようになるなんて15年前は想像もしていなかったですけど、そうやって時代と共に変化していく生活に寄り添うようにOAUの音楽があって、この時間で生活環境が変わったり、家族が出来たり、家族と別れたり、人それぞれ色んな時間を過ごしてきたと思うのですが、こうやってOAUの曲を改めて時間軸で聴いたりすると全部今に繋がって聴こえるのが本当に面白いなって思いました。全部今なんですよ。

MARTIN:それが狙いです(笑)。いや、でも本当にこれまでずっとそのときの気持ちを書いてきたから、15年前の曲は15年前の曲なんだけど、不思議と歌ってる側もイメージするものは変わっていくんだよね。例えば「Thank You」なんかは当時の先輩に向けて書いたんだけど、今歌うと若くて頑張ってる人に「頑張れ」って気持ちになったりするし、歌う目線が変わることで若い頃に書いた曲が今の曲になるっていう、その感覚は自分でもあるかな。若い自分が書いた曲が今の自分として考えられるというか。それは自分と一緒に曲も年を重ねて深みが増したからかもしれないけど。音楽ってそういうものだよね。歌詞に今の気持ちが乗っていくっていう。そうやって変わっていくのも音楽の面白いところかもしれない。

2YOU:「all the way」も聴きながら思い浮かぶ顔が全然違って。以前は自然と親の顔が浮かんでいたけど今は子供の顔が浮かぶんですよ。そうやって対象が変わると歌詞の意味もまた変わってきたり。

MARTIN:そこがTOSHI-LOWの歌詞の凄いところだよね。それにそうやって自分のことを曲に照らし合わせて聴いてもらえるのは凄く嬉しい。「こうやって聴いて」っていう気持ちは本当になくて、自分なりの受け取り方をして欲しいんだけど、その中で聴いた人が自分の人生を重ねてくれるなら歌っていてこんなに嬉しいことはないよ。みんながOAUを聴いて何を感じたか、何を考えたか、聞かせて欲しいくらい。

2YOU:聴いた人の数だけ物語がありそうですよね。

MARTIN:うん。正解もなにもないからね。全員が正解だから。「俺はこう感じる」っていうならそれが正解だし、それが人と違っても誰も間違ってないから。まあ、歌ってる俺が実は日本語の歌詞を深くまでは分かっていないから正解も何もないんだけど(笑)。でも色んな人がOAUを聴いて、自分の意味や自分の答えを持ってくれたらそれが俺達は一番嬉しいかな。またライブで直接届けにいくからみんなの答えを教えて欲しいよ。ライブで会えるのを楽しみにしてる。

interview by 柴山順次




OAU
タイトル:Re:New Acoustic Life

■初回限定盤
【CD+DVD】
TFCC-86745
3.800円(+税)

■通常盤
【CD】TFCC-86746
3000円(+税)
OAU TOUR 2021 -Re:New Acoustic Life-supported by BALMUDA

1/9(土) 福岡サンパレス
1/11(月) NHK大阪ホール
1/16(土) 愛知 名古屋市公会堂
1/23(土) 広島 JMSアステールプラザ 中ホール
1/30(土) 新潟 りゅーとぴあ・劇場
2/10(水)東京 Bunkamuraオーチャードホール
2/20(土)北海道 札幌サンプラザ
2/23(火)宮城 仙台電力ホール

TOUR 2021 -Re:New Acoustic Life-FINAL supported by BALMUDA
4/18(日) 日比谷野外大音楽堂

https://oau-tc.com/

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