インタビュー

molly【インタビュー】

mollyが「アウトサイダー」を本日7月27日に配信リリースした。そのタイトル通り、切ない夏の記憶を唄った夏の新定番曲となるであろう「アウトサイダー」を完成させ、8月にはツアー『夢見た生活は炭酸のよう』を東名阪にて開催するmolly。そんなmollyだが、今ツアーを以ってオリジナルメンバーである有坂生夢の脱退が発表された。結成時からmollyを支え続けた生夢の脱退はバンドにとってもファンにとっても大きな出来事だ。しかしバンドは決して止まらないし生夢の人生だってまだまだこれからだ。前に進むための決断をした4人がお互いの道の先でそれぞれどんな景色を見るか。バンドの中心人物である近藤芳樹に話を訊いた。

interview by 柴山順次


2YOU:まずは生夢さんの脱退、びっくりしました。

近藤芳樹:そうですよね。実は去年の12月ぐらいからそういう話が少しずつ出ていて。

2YOU:それは生夢さんから?

近藤芳樹:生夢発信というよりか、メンバー全員で話し合って今の状況や自分たちの音楽を見直した時にお互いが考えていることの違いというか、そういう片鱗が見えかけていて。それが楽曲制作にも表れるようになったんです。音源を作っていく段階で楽曲的な部分で伝わらないことが出て来たり。

2YOU:曲作りにも作用してきたと。

近藤芳樹:今年の3月に僕らの集大成のようなミニアルバムを出したんですけど、その作品のレコーディングで自分たちのやりたい音楽や好きな音楽を見直す作業をしていくなかで距離が出来てしまって。でもそれは決して悪いことだと思っていなくて、僕たちも生夢もそれぞれやりたいことがあるのは当然で、ただそこで差が生まれてきてしまったなっていう。

2YOU:正式に脱退が決まったのは?

近藤芳樹:全員が納得しなきゃ嫌だったので結構ギリギリまで全員で話し合って決めたんですけど、最終的に決断したのが4月ですね。

2YOU:mollyは近藤さんと生夢さんが学生の頃に友達同士で組んだバンドじゃないですか。バンドの状況が変わっていく中で元々友達で始めたバンドのオリジナルメンバーは近藤さんだけになる訳で、でもそれはmollyが次のステップにいくことや意識的な部分も含め変わらなきゃいけない時期にバンドが来ているのかなと。

近藤芳樹:本当にその通りですね。やっと自分たちのやりたいことが明確に固まってきた中で、生夢は生夢でやりたい音楽が違うものなんだったら、今決断しないとなって。勿論友達だから寂しいですけど。でもmollyの為にも生夢のためにもこれが一番じゃないかと思います。

2YOU:目指していることのイメージが共有出来ないと表現者としてお互い辛くなりますからね。生夢さんはデモ時代から動物シリーズのジャケットのイラストも手掛けてきましたがそういう意味も含めて『moment』はジャケットも含めて集大成だったのかなと。ある意味、そこまでが第1章mollyみたいな。

近藤芳樹:確かにそうかもしれないです。mollyを組んだときから生夢がずっと隣にいて、生夢と考えて動物シリーズのジャケットを描いてもらっていて。だからここまでのmollyから新しいmollyが始まるような感覚は僕もあります。

2YOU:改めて『moment』を聴くと、このタイミングでmollyの中の何かが決定的に変わっている気がするんですよ。それは覚悟であったり責任であったり、音楽的な部分以外にも表れているのかもしれませんが、その結果、ライブが圧倒的に変わったなと。

近藤芳樹:変わりましたよね。それは僕らもそんな気がしています。

2YOU:これは良い意味で捉えて欲しいのですが、以前のmollyってもっとフワッとしてたというか、きつい言い方になってしまいますがライブを観ていても頼りない部分があったというか。本当に失礼な言い方ですけど。

近藤芳樹:いや、ずっと観てくれてますからね。情けなかった時期やなよなよしていた時期は確かにありましたし。じゃあさっき言ってもらったような覚悟や責任みたいなものが何故できたかっていうと、胸を張ってやれる曲が増えたからだと思っていて。自信を持ってライブで歌える曲がどんどん出来ているんですよ、今のmollyは。

2YOU:正直な話、初めて「グッバイ」を聴いたときに「この曲を超えるのは難しいだろうな」って思ったんですよ。それくらい「グッバイ」には当時衝撃を受けて。

近藤芳樹:ずっと言ってくれてましたもんね。「グッバイを超える曲を書かないと駄目だよ」って話もよくしてもらいましたし。

2YOU:だからライブでも「グッバイ」がハイライトになっていたと思うのですが、最近のライブではセットリストに「グッバイ」が入っていないこともあるじゃないですか。それで成り立つようになってきたことは凄いなと。勿論僕の主観ですけど、例えばX JAPANのライブで「紅」をやらないとかTHE BLUE HEARTSのライブで「リンダリンダ」をやらないくらいのことだと思っていて。

近藤芳樹:「グッバイ」がmollyを広めてくれたし大事な曲であることは変わらないんですけど、『moment』の制作の中で「グッバイ」を超える曲を作りたいと思ったし、「逢いの唄」が出来たときに、この曲はmollyの新しい代表曲になるなっていう認識がメンバー全員にあったのは良かったですね。

2YOU:次はまた「逢いの唄」を超えなければいけないですし、そうやってバンドの代表曲がこれからも生まれていくんだと思いますが、今回リリースされた「アウトサイダー」もまたmollyの新しい魅力が炸裂しているなと。この曲は特に歌詞の書き方がmollyとしては新鮮でした。

近藤芳樹:個人的にも歌詞はすごく挑戦した曲で。歌詞を書くにあたって初めてくらい苦戦したんですけど、夏の情景が浮かび易い昼でも夜でも聴ける夏の歌が出来たと思っています。

2YOU:この歌詞を書いてる頃には今年の夏がこんなに猛暑になるとはきっと思ってなかったですよね(笑)。

近藤芳樹:ちょっと暑過ぎですよね。

2YOU:でもそんな夏に「アウトサイダー」を聴くと体感温度をちょっと下げてくれるような涼しさや爽やかさもあって。だけどちょっと切なさもあるっていう。

近藤芳樹:夏曲を書くって決めた時に爽やかな感じは勿論欲しいんだけどmollyで夏曲を書くんだったらどんなものが良いのか客観的に考えた時に、やっぱり虚しさや切なさを一番核の部分に持っておきたいなと思って。それを上手く表現できたかなと思っています。

2YOU:今回、やますけさんのギターが凄くいいなと。

近藤芳樹:あいつ、めちゃくちゃ進化していて。聴いてきた音楽が違うからmollyにやますけが入った頃は大丈夫かなと思うこともあったんですよ。やますけのギターとmollyの楽曲をどうリンクさせるか考えた時期もあって。だけど今はもう完全にmollyに欠かせないギターを弾いてくれるようになったので、本当にありがとうって気持ちです。

2YOU:七海さんが加入して1年以上経ちましたが楽曲制作の上で感じることはありますか?七海さんはバンドのムードメイカーな印象もありますけど。

近藤芳樹:曲のデモを送ると七海ちゃんは「歌詞のここが好き!」とかめっちゃ褒めてくれるんですよ。でもやますけは不器用だからスタンプ一個みたいな(笑)。でも直接スタジオで話すと「この曲いいね」って言ってくれて。ちゃんと自分の作った曲を愛してくれるメンバーと一緒にバンドが出来るのは楽しいですね。あと生夢は生夢で辞めるってなってから、より真剣にアレンジを考えてくれていて。不思議なんですけど。

2YOU:生夢さんはプレイヤーとしても人間的にもライブを観ていても丁寧なイメージが強いですからね。やっぱりmollyで近藤さんの横でずっとベースを弾いてきたのは生夢さんだし、脱退は凄く寂しいのですが、これからのmollyを考えるとワクワクする部分もあって。『moment』も「アウトサイダー」もそうでしたけど、当初のイメージだった疾走感のあるギターロックバンドというmolly像から世界観がどんどん広がっていっているじゃないですか。これでまた新体制になることでさらに進化すると思いますし。

近藤芳樹:5枚目のデモ『yes』を出した時に、正直周りの反応がそんなに良くなかったんですよ。きっとmollyに疾走感を求めている人が多かったからだと思うんですけど、僕らの中では挑戦的なデモで。唯一褒めてくれたのが柴山さん(2YOU)だったんです。「めっちゃ良いじゃん」ってわざわざ連絡をくれたじゃないですか。それまでは「駄目かな」と思っていたんですけど、凄く自信を持てたんです。それで新しいことに挑戦するのが怖くなくなったというか。

2YOU:MVがアニメーションだったことも含めて「ウィンターガール」とかはmollyのポテンシャルの高さを決定付けたと思うのですが、ライブハウスに来る客層も広がったのではないですか?

近藤芳樹:全然変わりましたね。僕らのライブってそれこそ「グッバイ」の影響とかもあってギターロック好きだけじゃなくメロコアキッズも来てくれていたんですけど、『yes』と『moment』を発表した頃から客層が変わったなと思います。勿論ずっと来てくれている人もいますけど。

2YOU:近藤さんの声って凄く特徴的じゃないですか。「グッバイ」なんかは分かり易いのですが、疾走感のある曲の中で元気いっぱいに歌うんじゃなく、切なさを帯びた歌声を響かせるのがmollyの魅力だと思っていたんですけど、今は近藤さんの歌声を最大限に活かす曲が生まれている気がしていて。mollyの最大の武器を最大の武器として発揮しているというか。

近藤芳樹:その切ない歌声が自分でも武器だと思っていたんですけど、それ以外にも武器を見つけなきゃと思って元気な歌い方も勉強したんですよ。そしたらより自分の武器がなんなのかはっきりしたんです。周りが元気良く歌うバンドが多いから近付きたいって気持ちがあったと思うんですけど、元気過ぎても自分に合わないと思うし、自分って良い声してるかもって思えるようになって。それからは自分の声がより好きになれましたね。

2YOU:ファルセットの使い方とか唯一無二な武器だと思いますからね。歌声も含めてどんどん磨いていって欲しいですが、mollyとして目指しているものってあったりしますか?

近藤芳樹:名古屋を代表するバンドになりたいです。この前、04 Limited SazabysのRYU-TAさんに招待してもらってYON FESに遊びに行ったんですけど、04 Limited Sazabysって本当に名古屋を背負ってライブしてるなと思って。ライブが終わってRYU-TAさんに「僕らもフォーリミみたいになりたいです」ってメッセージを送らせてもらったら「mollyはmollyだから、俺らとはまた違うベクトルで頑張ってね」って返事がきて。だから僕らは僕らで、僕らの名古屋を背負ったバンドになることが目標です。フォーリミってもはやフォーリミというジャンルがあるじゃないですか。だから僕らもmollyというジャンルを作り上げたいですね。

2YOU:mollyは現場叩き上げでここまで活動してきたじゃないですか。

近藤芳樹:そうですね。RAD SEVENでしごかれてきたので。

2YOU:RAD SEVENだけで月に何本もライブをしていた時期もあったと思うのですが、バンドが加速し出した頃にコロナ禍に突入してしまいました。あの当時はどう思っていました?

近藤芳樹:ライブは勿論大事なんですけど、ライブだけになってしまってもなと思っていた自分もいたので、ライブが出来ないんだったらその期間で良い音楽を作ることを念頭に活動しなきゃなと思っていました。あと面白かったのは名古屋のギターロックシーンはコロナ禍で逆にバンドが増えたっていう。

2YOU:それまではmolly、blanc.がいて、amplestがいて、だけどシーンと呼べるものではなかったと思うんです。でもこの2年間で確実にシーンが生まれましたよね。

近藤芳樹:本当に。mollyとblanc.は当時若手2バンドだけでずっと一緒にやってましたからね。毎回ノルマを払って、朝までお酒を飲んで、ずっと一緒にやってきたので休止が本当に寂しくて。

2YOU:新しいバンドが生まれることもあれば、コロナ禍で活動休止や解散も沢山ありましたからね。それぞれの物語を沢山見てきましたが、mollyも七海さんの加入があって、全国流通があって、生夢さんの脱退が発表されて、濃い時間を過ごしてきたと思うのです。でも凄く思うのは、そういった経験を経てmollyがどんな音楽を聴かせてくれるか、それが本当に楽しみなんですよ。それだけの経験値は積んできたと思うので。

近藤芳樹:本当に波乱万丈ですよね。それこそ僕ら、FREEDOM NAGOYA 2022-EXPO-のオーディションで落ちたんですよ。自分の中では今年は絶対に出れると思っていたので、本当に落ち込んでしまって。でもメンバー全員でちゃんと挫折出来たのも大きくて。僕ら、Party’zでオーディションライブだったんですけど、結果が出てすぐにRAD SEVENに向かったんですよ。そしたらTakuyaくん(RAD SEVEN/AFTER SQUALL)が「この瞬間にどういう曲を書けるかが大事だと思うよ」って言ってくれて。それですぐ曲にしたんですけど、これが凄くいいので楽しみにしていて下さい。僕らは先輩にも恵まれているんですよ。

2YOU:良い話ですね。最近では更に若手バンドも出てきていますが。

近藤芳樹:10代や高校生のバンドも実際に増えていますよね。正直、10代の頃からライブハウスに出れるのは羨ましいなって思います。僕はずっとバンドがやりたかったけど、大学で軽音サークルに入って生夢とバンドを組んでやっとライブハウスに出れるようになったので、高校生の頃からライブが出来るなんて本当に羨ましいです。

2YOU:その頃から一緒に活動してきた生夢さんが脱退するのはmollyにとっても近藤さんにとっても大きいと思いますが、ここからがmollyの見せどころでもありますよね。

近藤芳樹:僕の曲を一番好きでいてくれたのは最初からずっと、今も生夢なんですよ。だからmollyを辞めたとしても生夢にはmollyを好きでいて欲しいし、僕の曲を聴いてもらいたいです。あいつが残念がらないようにmollyはもっといいバンドになっていこうと思っています。

▼リリース情報

molly夏の配信シングル「アウトサイダー」
7/27(水)配信リリース
各ストア配信リンクはこちら
https://orcd.co/out_cider

▼ツアー情報
molly夏の東名阪ツアー
『夢見た生活は炭酸のよう』
8月4日(木)下北沢 MOZAiC 
w/バイリンジボーイ/初恋モーテル/fusee
8月10日(水)心斎橋BRONZE 
w/ofulover / Bye-Bye-Handの方程式 / ココロオークション
8月20日(土)新栄RAD SEVEN 
w/アルステイク / ルサンチマン and more..

https://molly.jp/

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