インタビュー

カネヨリマサル【インタビュー】

カネヨリマサルが3rdミニアルバム『突き動かされてく僕たちは、』を完成させた。配信シングル「春」、「南十字星」で感じた予感は的中、バンドがよりバンドとして固まったことを決定付けた作品を作ぢ挙げた彼女たちが何かに突き動かされ行動に起こしたその衝動は、更なる衝動に繋がっていく。衝動のその先にあるものが何なのか、メンバー3人に訊いた。

2YOU:コロナ禍で色んなことが制限される中、カネヨリマサルとしては着実にステップアップしてる印象があるのですが。

ちとせみな:ありがとうございます。カネヨリマサルのことを知ってくれている人が増えたなって印象は自分達でもあります。ライブで対バンするバンドの方が曲を知ってくれていたり、会ったことのない人が私たちのことを知ってくれていたり。そういう驚きが多くなりましたね。

いしはらめい:SNSでの発信に対する反応も以前より沢山感じるようになりました。以前はライブハウスに来てくれたお客さんとのやり取りが多かったんですけど、今は色んな人がカネヨリマサルを知ってくれているんだなって。

ちとせみな:コロナ禍でライブハウスに中々来れない人から「絶対にライブに行きたい」って声をSNSを通して聞いたり。

もりもとさな:コロナじゃなかったらもっと色んなことが出来たと思うけど、コロナの状況だからこそみんなが SNSで発信してくれたりYouTubeを見てくれる機会が増えたと思うし、聴いてくれる人を身近に感じることが増えた気がします。

2YOU:現状何が出来るかを模索しながら最善を選択してきた結果、バンドを前進させたのがカネヨリマサルだと思っていて。それを決定付けるのが今作『突き動かされてく僕たちは、』だなと。アルバムの制作はいつ頃から行っていたのですか?

ちとせみな:曲だけで言えば「南十字星」とかは2016年からある曲なんですよ。さなちゃんが入る前からある曲なので。

2YOU:ライブでもやってきた曲なんですか?

ちとせみな:ライブでは1、2回しかやってないですね。

2YOU:「南十字星」を作った当時と今では歌っていて違いを感じたりしますか?

ちとせみな:作った当初は自分の心の内を外に出さないとやっていけないとか、自分の心を高めるためだけに作っていたんですけど、今は聴いてくれる人にちゃんと届くんじゃないかなって思いながら歌えるようになりましたね。

2YOU:歌詞は当時のままですか?

ちとせみな:はい。全く変わってないです。「南十字星」を作ってから6年くらい経ってるんですけど、その頃はバンドも私自身もこれからどうなるか分からない状態だったので怖かったんですけど、今はやりたいことをやれてるし、この曲があったからこそ今の自分達があるのかなって思えるというか、前より進んだ気持ちで歌えている気がしています。

2YOU:途中の語りは当時からあったんですね。

ちとせみな:そうなんですよ。あそこは当時から語っています。

2YOU:カネヨリマサルとしては凄く新鮮な手法だと思ったのですが、新しい挑戦というより当時やっていたことをブラッシュアップさせたような。

ちとせみな:まさに。あの語りの部分、お気に入りなんですよ。

2YOU:今作には『突き動かされてく僕たちは、』というタイトルが付けられていますが、どういう意味があるのですか?

ちとせみな:私は自分の心が動いた時に作曲をするんですけど、そうやって心が突き動かされたときに私は音楽をやるしかなかったんですよ。だから今回のアルバムもですけど、自分の曲には突き動かされた結果生まれるものが多いなって。

2YOU:『突き動かされてく僕たちは、』に続く文章は聴く人によって色々当てはまりますよね。ちとせさんが『突き動かされてく僕たちは、音楽を作る』であるように、『突き動かされてく僕たちは、料理をする』とか『突き動かされてく僕たちは、旅に出る』とか、その人の環境や状況によって色々変わっていくなって。

ちとせみな:まさにその通りですね。聴いてくれた人が何を感じて、ここにどんな自分の物語を加えてくれるか。そうやって聴いてくれたら凄く嬉しいです。

2YOU:今作のアレンジで拘った部分はありますか?

いしはらめい:少しずつ新しいものを取り入れたり進化させていきたい気持ちが強かったので今作は結構細かい部分まで3人で話し合って決めたんですよ。今までは結構フィーリングでやってきた部分も多かったんですけど、そこをもう少し作り込むというか。

もりもとさな:「このビートならこのフレーズは?」とか「歌詞が一番伝わるリズムは?」とか、3人で話し合いながら作ったので「いつもの」とか「ネオンサイン」とか決して音数が多い訳じゃないんですけ、ひとつひとつの音が凄く重要になっている気がしています。

2YOU:「いつもの」の歌の後ろで歌っているようなベースラインや「春」の切なさを助長するドラムのフレーズとか、そういう細かいポイントが散りばめられている気がして。そういう各パートの個性がぶつかったときのバンドのアンサンブルが凄く気持ち良いんですよ。あとはコーラス。「ネオンサイン」の最後のコーラスのイノセント感というか、あの世界観は凄いですよね。

ちとせみな:あのコーラスがやりたくて、そこに向けて曲を構築していったんですよ。あのフレーズだけずっと頭にあって、そこに合わせていったんです。

2YOU:フレーズに引っ張られて曲が出来るパターンもあるんですね。

ちとせ:何が気持ち良いかですよね。私が作った主旋律を2人に歌ってもらって、そこに気持ち良いと思うコーラスを付ける時もあります。そっちの方が多いですけど。

いしはらめい:ちとせと話してイメージを擦り合わせて作ることが多いですね。

2YOU:コーラスもハモリもちとせさんの歌詞を引き立てる役目があると思うのですが、歌詞が本当に素晴らしくて。誰にでもわかる言葉で誰もが書けるわけじゃない言葉を届ける歌詞だなって。

もりもとさな:みなさんの歌詞って状況は違えど自分に当てはまる部分もあると思っていて。自分が書いた歌詞じゃないのに自分で書いた歌詞のように感情移入出来るというか。

いしはらめい:自分が気付かない自分の気持ちに気付かせてくれる歌詞なのかなって。本当は弱いんだけど強い。そこが自分にも合うなって。自分を奮い立たせるために書いていると思うけど、それが結果的に聴いた人のためにもなっているというか、誰かにちゃんと届いているのが凄いなってメンバーながら思います。

2YOU:細かいシチュエーションが自分を投影し易くなるんですよね。「春」の「君とのおもいではこのままもう増えることはないよ」とか、昔の写真を見る度に思ったりすることで。「春」は特にそういう思い出が沢山フラッシュバックする曲でした。

ちとせみな:完全に成仏し切れていない気持ちをこの曲に落とし込んだんですけど、「二人は終わったらしい」の「らしい」のように「終わったんだ」って言えないところとも含めてしんどい時期に書いたのが分かる曲ですね。でも音楽的には前を向いている真っ直ぐさもあるので、その両方を出せているのは自分でも気に入ってます。

2YOU:その音楽的に真っ直ぐな部分は最後の「もう春らしい」の「もう」の部分で鳴るギターの音に滅茶苦茶表れているなと。あの瞬間、涙がブワーッと出ましたから。

ちとせみな:ありがとうございます。あそこのギター、本当に良いですよね。

2YOU:泣きポイントでいえば「ネオンサイン」の「誰の名字分けてもらうかなんて」という歌詞がありますけど、小学生の頃って好きな子の名前を自分の苗字で書いたりしたじゃないですか。

ちとせみな:あははは。ありますよね。

2YOU:それを思い出してグッときたんですけど、その直後に「本当はどうでも良いよ ただ心が欲しいだけ」という大人になっている瞬間にもグッときてしまうんです。

ちとせみな:この曲は本当に自分の気持ちをそのまま書いているんですよ。自分の感情に突き動かされて「今、音楽にしなきゃ」と思って東京から大阪までの帰り道に書いた歌詞なんです。

2YOU:この曲からは恋愛中のハッピーさより、どこか哀しさを感じます。

ちとせみな:自分としては諦めの曲でもあって。「君の隣にいられたらどれだけ幸せだろう」っていう気持ちもあるんですけど、恋愛バカみたいな気持ちじゃなくて「どうなっても受け入れるしかないな」っていう、結構思い詰めた感じは出ている気がしますね。

2YOU:「今のわたしはそれだけです」とか「今のわたしはこれがすべてです」とか、どこか開き直りと言うか無理なことを分かりながら強く気を持たなきゃいけない心情が表れていますよね。

ちとせみな:その通りですね。多分きっと無理してるんですよ。あとは「心が壊れるくらいならもうずっと前から壊れてるよ」って部分もポイントで、曲の最初ではそこまで分かり易く表現していないのに最後には分かり易い言葉になっていくのが肝なんです。後半、感情がドバドバ溢れているので。

2YOU:その流れで聴く「今日の歌」もかなりエモーショナルだなと。ちゃんと終わらせてまた始める、決意の歌でもある気がしたのですが。

いしはらめい:この曲は歌詞がグサグサささりますよね。昔のちとせだったら書いてないんじゃないかってくらい言い切っているなって。

2YOU:弱さと強さが両方出ていますよね。

ちとせみな:この曲はアニメ「Sonny Boy」に書き下ろした曲なんですけど、「Sonny Boy」の台本を読んで受け取った気持ちで書いたので自分だけでは書けなかったと思います。昔の自分だったら絶対無理だし、今この環境で色んな経験をさせてもらっているからこそ強く書けのかなって。

2YOU:そしてアルバム最後を飾る「本当はどうでも」ですが、この曲こそ弱さと強さが同居している曲だなと。

ちとせみな:今作の中で一番自分の思っていることを書けたと思っています。言葉にお化粧させることなく素直な自分の気持ちを書いていますね。体は動くけど心的に無理で動けないような本当にしんどい時期に、自分の心を知るために書いた曲ですね。

2YOU:「今日を生きるしかないし」という言葉が出てくるのは今日を生きるしかないと思わないといけない状況にいるわけで、でもそこから這い上がろうとしていないと出てこない言葉でもあるじゃないですか。だからこそ最後に前を向いていることに救われるんですよ。これは自分も重ねて聴いた感想ですけど。

ちとせみな:凄く読み取ってくれてる。そうやって聴いてくれた人が自分と照らし合わせて聴いてくれたら凄く嬉しいですね。

2YOU:みなさんそれぞれ今作のタイトルに続きの言葉を付けるとしたら何が入りますか?

もりもとさな:私は『ライブハウスに行く』ですね。自分の人生において真ん中にあるのがバンドで、そこに生きるために仕事しなきゃいけないとかお金を稼がなきゃいけないっていうのがあるんですけど、たまにその比率が難しなることがあって、仕事で嫌なことがあったりきつい言葉を言われたりすると、全部を受け止めるのがしんどい時もあって。でもそれを受け止めた上で全部をプラスに持っていけるのがバンドだし、それをライブハウスでぶつけられるので、私は『突き動かされてく僕たちは、ライブハウスに行く』です。

ちとせ:バンドマンの鑑のような答えだね。

いしはらめい:私は『突き動かされてく僕たちは、求め続ける』にします。何かから影響を受けることや好きなものに触れることって忙しい日々の中で忘れてしまうことが結構あって。でもそれがなくなると自分大切なものまでなくなると思うんです。そういう意味でも突き動かされることが一番大事だと思っているし、その衝動を止めずに求め続けることが大切かなって思います。

ちとせみな:このタイトルは自分が決めたので、それが答えにならないように今の気持ちで話すとしたら、『突き動かされてく僕たちは、今の心を歌う』にします。

2YOU:カネヨリマサルは大きく捉えるとテーマとして青春が真ん中にあると思うんです。でも本来青春って振り返りじゃないですか。だけどカネヨリマサルの歌う青春は今なんですよね。青春って過去じゃなく前にある。それがカネヨリマサルだと僕は思っていますし、一生青春でいるためのヒントがカネヨリマサルの音楽にはあると思っています。

ちとせみな:嬉しい。ありがとうございます。そんな風に感じてもらえる歌をこれからも歌い続けていきたいです。

3rd Mini Album『突き動かされてく僕たちは、』
2021年10月6日(水)発売
品番:DTOT-1009
価格:¥1,760(税込)
<収録楽曲>
1.南十字星(TBS『よるのブランチ』エンディングテーマ)
2.いつもの
3.春
4.ネオンサイン
5.今日の歌(TVアニメ『Sonny Boy』劇中曲)
6.本当はどうでも


3rd Mini Album 「突き動かされてく僕たちは、」リリースパーティー
カネヨリマサル presents. 「音楽、明日からのこと」
2021年10月22日(金) Veats Shibuya

3rd Mini Album 「突き動かされてく僕たちは、」リリースツアー 2021-2022
“息継ぎをする”
10/16(土) 広島ALMIGTY
10/17(日) 福岡Queblick
11/25(木) 新潟GOLDEN PIGS RED STAGE
11/26(金) 金沢GOLD CREEK
12/3(金) 京都MUSE
12/4(土) 静岡UMBER
12/15(水) 名古屋APOLLO BASE
1/10(祝月) 心斎橋JANUS
1/28(金) 渋谷CLUB QUATTRO

intervew by 柴山順次
photo by takeshi yao

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