INTERVIEW

ヒステリックパニック

2020年の元旦に発表された$EIGOの脱退、そして新型コロナウイルスによるツアー延期と様々な困難を強いられたヒステリックパニック。8月29日(パニックの日)にはツアーの代替え公演として無観客ライブが行われ、その日を最後に$EIGOはバンドを去ることとなった。そして長い沈黙を破り2021年1月。4人となったヒステリックパニックは更なる進化を遂げて我々の前に姿を現した。そんなヒスパニの決意と覚悟を落とし込んだ新体制初音源となる『U2』を完成させたとも、Tack朗、おかっち、やっちに話を訊く。2021年、ヒステリックパニック攻撃再開。

 

2YOU:いやあ、どこから話しましょうね。

とも:僕ら、この1年で起きたことをあまり公には話してないですからね。

 

2YOU:2020年はまず元旦から$EIGOさんの脱退発表があり。

とも:正月から何言ってんだよって話ですよね(笑)。

Tack朗:2019年の10月に『サバイバル・ゲーム』をリリースして、そのツアーの3本目くらいに脱退が確定して。

とも:レコーディング中から空気感的に感じ取ってはいたんですよ。だから本人の口から聞いて「まあそうか」って感じもあって。

おかっち:ツアーが始まる前に一回全員で喋ったんですよね。「実際どうする?」みたいな。とんかつ屋で。

Tack朗:本当に抜けるんだったらどのタイミングで発表していつ抜けるのかって話をしたよね。とんかつ屋で。

とも:今だから言える話じゃないですけど、『サバイバルゲーム』自体も$EIGOが関わってる比重は薄くて。その頃から$EIGOは新しいビジネスも始めていたから言っちゃえば二足の草鞋だったんですよ。で、脱退の話が本格的になって元旦に脱退発表するっていうロクでもない幕開けでした(笑)。

 

2YOU:そんな$EIGOさんの脱退ライブもコロナで延期になり。

とも:卒業式が出来ないまま学校が終わっちゃった人がいるのと一緒で、$EIGOを送り出してやろうと思ってたのが伸びちゃったから煮え切らないけど、どうしようもないし、彼が卒業しないことには俺らも次へ行けないしっていう足止め食らった感じは凄くありましたね。

Tack朗:本来は3月のツアーファイナルで脱退するはずが無理で、5月6月ならって延期したけどそれも駄目で。結果8月29日のパニックの日で落ち着くんですけど、逆に言ったら8月29日まで何も出来てないですからね。4月5月はメンバーとも会ってないですし。水面下で曲作りはしていたんですけど。

 

2YOU:それが今回リリースされた楽曲だと。

おかっち:実はまずタイアップというか、ある案件があって、それ用に曲を作っていたんですよ。まあ、結果駄目だったんですけど。その中の1曲を自分達用にアレンジしたのが「命短かし恋せよ乙女」なんですけど。

 

2YOU:確かにあの曲だけこれまでのヒスパニと毛色が違いますもんね。

Tack朗:聴いてどう思いました?

 

2YOU:何かに寄ってるなって(笑)。

Tack朗:あははは。そこ感じ取れちゃいました?

とも:だから副産物なんですよ。でも結果的に面白い曲が出来たので。

 

2YOU:新しい扉をこじ開けた感じはありますよね。Tack朗さんのキーとか。

とも:このキーで歌うのをTack朗は嫌がっていたんですよ。

Tack朗:嫌でしたね。声は高ければ高いほど正義だと思ってるんで。

とも:馬鹿だ(笑)。

 

2YOU:今作は新体制一発目の音源でもありますが、ライブハウスで会ったTack朗さんに初めて聴かせてもらったとき泣いてしまって。

とも:あははは。それ、聞きました。

 

2YOU:「り」と「StiLL」は新ヒスパニの決意表明だなと。良い意味でシリアスな激しさと重さがグッとくるんですよ。

とも:一発目だし勢いをつけたいから、どうしても激しいやつが良くて。だけど俺が最初に提案したのは速すぎて却下になって。でも自分の中では見えてたんですよ。以前からTack朗とラップで始まる曲が欲しいって話もしていたんですけど、それを具現化していったら「これだ!」っていうのが出来て。

 

2YOU:「り」はトラックも含めてここ数年のヒップホップを取り入れていてめちゃくちゃかっこいいなと。

おかっち:あのトラックを書いてくれたYuppeくんは初期から対バンしてる人なんですけど、満を持してやってもらおうって。

とも:人の力を借りてやろうって(笑)。

 

2YOU:メンバー以外が楽曲に関わることって珍しいですよね。

とも:一回もないと思います。頑固なんで(笑)。

Tack朗:プロデューサー的な人を入れるとか誰かをフィーチャリングで迎えるとかって案はあったんですけど、自分達でやるっていう謎のプライドがあって。だけど力を借りるなら今だなと。ヒスパニに第三者の血を入れてみるのもひとつのチャレンジだなって。それにYuppeくんなら任せられるなって。とものラップを一発目にドーンって押す曲が欲しかったんだけどトラックが書けないんですよね。でYuppeくんならナウい感じでやってくれると思って。そしたらドンピシャでした。

 

2YOU:「StiLL」もYuppeさんのアレンジですが「り」との親和性もあって。

とも:「StiLL」は途中の打ち込みのフレーズで「り」から繋がるようなフレーズを入れて欲しいって提案をしたくらいで、あとは全部Yuppeくんにお任せスタイルでしたね。

 

2YOU:「り」と「StiLL」は元々1曲として考えていたのですか?

とも:いや元々は先に「StiLL」が出来ていて。制作段階で何か新しいことをしたいって話になって「StiLL」に前振りをつけることにしたんです。ブレイクダウンに飽き飽きしてるところはあったんですけど、ブレイクダウンでラップするのはやっていなかったんで、前置きからそこに帰ってくることによって整合性が取れるなって。それで出来たのが「り」なんです。なので「StiLL」は「StiLL」で作って「り」が出来たことでパズルのピースがはまったみたいな感じですね。

 

2YOU:STAR WARSのエピソード1が後から出来たみたいな。

とも:あははは。まさにそんな感じです。

 

2YOU:「り」も「StiLL」も今の状況であったりこれからのヒスパニの気持ちであったり、あとは音楽を取り巻く環境の中で音楽で遊ぶこと、歌うことを宣言していることに心ごと掴まれてしまって。リリックを読みながら聴くと今のところ毎回泣いてます。

Tack朗:たまたまライブハウスで会って聴いてもらったんですけど、後ろから聴いてる姿を見ていたら肩がヒクヒクしだしてやたら目をこすってるなあと思って覗き込んだら本当に泣いてくれていて(笑)。これはとんでもない曲を作ってしまったんじゃないかって思いました。でも凄く分かるんですよ。だって俺もともから歌詞が来たとき泣きましたから(笑)。

とも:これ、ただ二人が年取って涙腺が緩くなってる話じゃないですか?(一同笑)

 

2YOU:「StiLL」を聴いて、色んなことをリセットしてもう一度ライブハウスにライブを取り戻したいと思ったんですけど、その初めて聴いたシチュエーションが閉店後のライブハウスっていうこともあって言葉がズンズン入ってきてしまって。

とも:ああ、なるほど。やっぱりいつもはふざけがちだったりとか、歌詞が聴き取れない面白さが好きだったりするんですけど、今回は歌詞を聴きとれる方に比重を置いたんですよ。

ラップでもファストラップが好きだし、メッセージ性みたいなものは今までそんなに重要視してなかったんですけど、やっぱりコロナを経ての、しかも自分たちも色々あった中での一発目の曲なのでそこはちゃんと伝えられるように書いてますね。

 

2YOU:いつにも増してシリアスだし、だけど要所要所にユーモアもあって、決意も覚悟も感じる。ヒスパニがやってきたことを新しい形で叩きつけた最新型の超ヒスパニだなって。

とも:お得パックです。

 

2YOU:いや、本当に過去イチで好きかも。

おかっち:ああ、良かった。

Tack朗:俺も過去イチで好きなんすよ。

 

2YOU:分かります。

Tack朗:飲みにいきましょう。

とも:飲み屋がやってねえ!!(一同笑)

 

2YOU:あははは。しかし、これからのヒスパニが本当に楽しみです。期待しかしてないです。

とも:せっかくいいタイミングでインタビューしてもらっているので、逆にこっちからひとつ扱って欲しいトピックがあるんですけど。まあ今回の音源にはビクターのマークがないから気付く人は気付くと思うんですけど2021年からヒスパニは自主に戻るんですよ。勿論大人の事情ありつつ、コロナありつつな感じなんですけど。そこも含めてリスタートっていう。本当に初心に立ち返ってじゃないですけど、とは言え原点回帰とは違って。

 

2YOU:前に進んでいるわけですからね。

とも:原点回帰じゃなくて、もう一回最初から作り直して積み上げていくっていう意識というか。コロナやメンバーの脱退もあって、色んなことがリセットされて、2021年からもう一度新しくバンドをやるくらいの気持ちなので。

 

2YOU:「same」の中で「死んで変わる事は何もないが生きて変わる事は有るのかも」という一節があるじゃないですか。そこに集約されていますよね。あまりにもその言葉が色んな状況にハマり過ぎていて、つい自分の言葉かのようにツイートしそうになりましたから。

Tack朗:あははは。

 

2YOU:下書きだけして「あ、まだ世に出てない歌詞だ」って(笑)。

とも:むしろ俺らがパクったみたいになる(笑)。

 

2YOU:変ることって怖いけど、変わらないために変わらないといけないなって。「イキッて「やり切った」と言い切って死ね」という歌詞もめちゃくちゃヒスパニらしい背中の押し方ですしね。これ、「生きろ」じゃなくて「死ね」っていうのがポイントなんですよね。ちゃんとやり切って自分の死を全うするからコロナなんかで死んでたまるかっていう。

とも:死にたいって言ってた奴らは自分含めてめちゃくちゃアルコール消毒していますからね(笑)。でも、ただ生きろっていうのも違うので、生きた上で自分のタイミングで勝手に死ねっていうのは今もあるんですけど。そこでさっき言ってもらったように死にたいって言っても別にコロナで死にたいわけではないっていう。

 

2YOU:ヒスパニ流応援ソングは自分の生き方でちゃんと死ねってことなんですよね。でも同じ「死」という言葉でも少し印象が違って聴こえるのはなんだろう。消毒されているのかな(笑)。

とも:コロナ禍であんまり死ね死ね言ってもね(笑)。

おかっち:やってる俺らもちょっと嫌だよね。

とも:それをコロナ禍のライブハウスで歌うっていうのもあるので、そこは意識が少し変わってきたんだと思います。それこそ世界的に変わってきてる部分なのかなって。でも、だからこそ以前より鬱になる人もいると思うんですよ。仕事が出来ないとか売り上げが立たないとか、凄く難しい時代なので。何も出来ないまま時間だけ経つし、俺のとこにだけバトンが全然回ってこないし。

やっち:歌のやつね(笑)。

 

2YOU:そこはライブで思う存分歌って下さい。2月のライブは4人での初ライブになると思いますが。

おかっち:まずライブ自体が今まで通りに出来ない中で、どう作り上げていくかっていう。

やっち:やってみないと本当に分からないけど、新体制で新曲を掲げて「これからやっていくぜ」という気持ちを提示したいと思っています。まだまだここからなので出来ればついてきて欲しいなと。

とも:凄く弱々しいな(笑)。

やっち:いや、脱退発表したときにエゴサしたら「今後ヒスパニやれんの?曲作れんの?」みたいなことをチラチラ見たんだよ。それにイラっとして、見とけよみたいな気持ちはあってさ。

とも:大丈夫だって。そういう奴に限って「新体制のヒスパニ、最高」とか言うから。すぐ掌返すんだから。

やっち:っていう、ちょっとした怒気も含めつつ、覚悟を持って曲をどんどん作っているのでライブも楽しみにしていてもらえれば。

 

2YOU:ボーカルが三人から二人に変わったことでライブの印象もまた変わりそうですよね。$EIGOさんってともさんとTack朗さんのちょうど真ん中にいたじゃないですか。

 

とも:緩衝剤がいなくなるっていう(笑)。でもヒスパニのスタートはそこだったので。殆どの人が$EIGOのいる状態から僕らを知ってくれたと思うんですけど、そこは元に戻ったのかなって。まあ、僕とTack朗だけで相当変なので、今作で新しい扉も無理やり開いたし、もっと面白くなるんじゃないかなと。Tack朗も「命短かし恋せよ乙女」で新しい扉を開いているし。

 

2YOU:Tack朗さんがあのキーを歌うイメージはないですからね。

Tack朗:僕ら結構試験的に歌ってますからね。前だったら絶対に$EIGOが歌っていただろうし。

とも:ハイトーンじゃないパートはTack朗じゃないっていう概念があったけど今回はもう俺かTack朗のどっちかですからね。

Tack朗:もしかして「おかっちさん歌ってる?」みたいなのもありえるしね。

とも:「ついにリズム隊が!」みたいな(笑)。でも「命短かし恋せよ乙女」がウケたら今後のヒスパニの方向性が大きく変わる事になると思います(笑)。

やっち:まずハイトーンがなくなります(笑)。

おかっち:歌詞に毒もないしね。

Tack朗:それがウケたら今までハイトーンの無駄遣いだったってことか。俺の8年間はなんだったんだろう(笑)。

 

2YOU:この先、ハイトーンが少しずつ無くなっていったら察しますね。

Tack朗:はい。そこは察してください。そして飲みに連れてって下さい。

とも:だから飲み屋、やってないって!(一同笑)

 

ヒステリックパニック
タイトル:U2
2021/01/04 (Mon) RELEASE
iTunes、Apple Music、Spotifyなど各種主要配信サービスにて配信

LIVE
2/13(土) 「Back Again」(FC限定ライブ) @栄R.A.D
2/14(日) 「Once Again」@今池3STAR

 

https://www.hystericpanic.com/

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