インタビュー

BRAHMAN【インタビュー】

今年6月に開催された新型コロナウイルス蔓延以降初のツアーとなった「Tour 2021 -Slow Dance-」ではバンドの持つ「静」の部分に焦点を当てるという、当たり前が当たり前じゃなくなった中での規制を逆手にとった発想でライブを展開したBRAHMAN。そして現在全国8カ所9公演に渡って開催中の「Tour -slow DANCE HALL-」では「Tour 2021 -Slow Dance-」を更に進化させたBRAHMAN史上初のホールツアーを展開している。結成から今の今まで全てが地続きにあり、同じ道を走り続けてきたBRAHMANが2021年、そして2022年にどのような走り方をしているか。ツアー真っ最中のTOSHI-LOWを訪ねた。

2YOU:新型コロナウイルスが蔓延し始めた2020年当時、様々なことが大きく変わっていく状況をTOSHI-LOWさんはどう捉えていました?

TOSHI-LOW:どうにもならないって思ってたよ。どうにもならない時にどうにかしようとするのは自然の摂理じゃないから、どうなってもいいように考えてたかな(笑)。

2YOU:2011年、2016年の震災とはまた状況が違うわけで。

TOSHI-LOW:そうだね。動けるものじゃないし、動かないことが正しいんだったらそりゃ動かないっていう。でも動かないっていうことは何も出来ないってことじゃないじゃん。じゃあ何をすべきかっていうことを毎日考えていたんだけど、それって実は毎日同じ生活が続いていくこととさして変わらないんじゃないかっていう。

2YOU:確かに。例えば去年と今日じゃ常識も習慣も変わりますからね。

TOSHI-LOW:そうなんだよ。10年経ったら世間の常識なんて思いっきり変わる。俺達の子供の頃って何処だって煙草をバンバン吸えたでしょ。そういうことだって時代がちょっと変われば変わるんだから、ニューノーマルなんて言葉も時代によって変わっていくものだから、それ自体に対して別に抵抗がないというか 。

2YOU:今じゃ考えられないですけど携帯電話なんて誰も持っていなかったですしね。

TOSHI-LOW:だけどちゃんと待ち合わせ場所に来れてたわけでさ。今思うとどうやってたんだろうって思うけど、そうやって当たり前は変わっていくし、逆にあと10年経ったらスマホとかも古いものになるだろうし。YouTubeだって古くなるかもしれないけど、じゃあそこで何を見ていたかってことが本質的なものになっていくんじゃないかな。ソフトが変わっていくのはずっと変わっていくけど、そうじゃなくて自分というハードや自分の中の核の考え方を持ってるってことは、別に100年前も1万年前も、生き方はそんなに変わらないんじゃないかって。っていうのを初めから考えてたから焦りもそんなになかったよ。だからライブも焦ってやらない選択が出来たと思うし。

2YOU:ライブが出来ないんじゃなくてライブをしないことを選択したと。

TOSHI-LOW:うん。あの時はライブハウスでぐちゃぐちゃになるようなライブをやらないって判断をまずしたし、でもそのぐちゃぐちゃなライブハウスの光景を生み出す音楽が俺達の武器だから、今がそういうときじゃないんだったらやらない方がいいのかなって思いつつ、人と距離を取らなきゃいけないとか声を出しちゃいけないっていう静かな世界に対して自分たちがどう対応していくかってことは考えていて。

2YOU:それが「Tour 2021 -Slow Dance-」に繋がったんですね。

TOSHI-LOW:そう。コロナの状況下でやれることはまだあるんじゃないかって。例えばずっと雨が降り続けたとして、だからって雨で根腐れしちゃうんじゃなくて、じゃあ雨の中でどうやって水分を排出しようかってことで生物になるわけじゃん。じゃないと結局腐っちゃうでしょ。逆にかんかん照りだったら水分を溜め込まなきゃいけないけど、その溜め込む仕組みを作らないと生物として死ぬじゃん。それと一緒でさ、じゃあ今この静かな世界、距離を取らなきゃいけない世界、声を出せない世界の中でどう適応していくかってことだと思うんだよね。

2YOU:適応した結果がBRAHMANの持つ「静」と「動」の「静」の部分をフィーチャーしたライブに繋がったと思うのですが、あのツアーを経てTOSHI-LOWさんは何を感じましたか?

TOSHI-LOW:これまでのライブじゃ自分たちでも気付かなかったようなことに気付くんだよね。やっぱり凄く静かだから小さな音にも気付くんだよ。喧騒の中で忘れてしまっていたことがあったんだなって。結成当初からずっと大きい音ではやってきたけど、静かにやらなきゃいけないっていう状況は初めての経験だから。俺たちは「静」と「動」の「動」の割合がめちゃめちゃ大きいから「動」に対しての理解力はむちゃくちゃあって。こんな激しいのもあるし、あんな激しいのもあるっていう。だけど「静」に対しては捉え方が薄かったんだと思う。でもそれは今までそこに時間をかけてなかっただけなんだよね。

2YOU:「静」を磨いたら「動」と並ぶ武器になったみたいな。

TOSHI-LOW:右パンチが得意なボクサーがちょっと怪我しちゃって苦手な左パンチに時間をかけたら凄いパンチが誕生したみたいなことが今バンドに起きえてるっていう。そうなると今度は音楽への理解度が深いものになるし、ましてやOAUもあるし、今まで二次元に見えてたものが三次元に見えたり四次元に聞こえたりするんだよね。そうなると今度は昔作った曲がまた違って聴こえてくるんだよ。

2YOU:前回のツアーでは初期の曲が新しい表情、表現で演奏されていましたもんね。

TOSHI-LOW:昔作ったときに出来ないまま終わっていたことを全部伏線回収してまた新しいものにしてやれるってのは、バンドとして、表現者として、自分たちの中にひとつとして無駄なものがなかったと言い切れるというかさ。勿論進むために無駄なものを排泄して進むべきときだってあると思うけど、あれもこれも大事なパーツだったことが分かり得たなって。

2YOU:起きてしまった状況の中でどう活路を見出すか、その状況の中でどう立つかということはBRAHMANから学ぶことが多いです。

TOSHI-LOW:ポジティブシンキングみたいなのってあまり好きじゃないの。起きたことを何でも喜びとして取れないし。現実的に人の死と向かい合ったときに「起きてよかった」なんて思えない。だけど、人生ってやるかやらないかの2種類しかないんだよね。何かが起きてしまったときに、自分に何が出来るか考えて行動するか、それともそこでずっと悔やんでいるかの2種類しかないの。生きていく以上、黙って泣いて座っていても時間は過ぎてしまうし、歳は取ってしまう。周りの社会はどんどん悲しいことですら忘れて進んでいく。そうするとどんどん自分も一人ぼっちみたいになっていくし、またそこで孤独を生んでしまう。だから人生ってものにどう対応しなきゃいけないかは見えてるんだよ。それは各個人自由なんだけど、やっぱり人は人生の中で幸せを感じて生きてるべきだと思うし。

2YOU:刹那だけじゃなく、幸せを感じることも大事だと。

TOSHI-LOW:そうなんだよね。それは20代の頃じゃ分からなかったかもしれないし、自分が想定している時間の倍くらい生きたから分かったことだと思う。刹那に生きていくことだけが人生ではないってことを自分自身にも問いかけたいし、自分以外の人にも、矛盾せず経験を経た説得力をもって話していけたらなと思っている。だからライブにしてもそうなんだけど、BRAHMANは変わったんじゃなくて、全部続きの話なんだよ。あれがあるから今こうなってるし、今こうなってるのももしかしたらそうじゃなくなるっていう全部同じ道の話。俺たちはそれをひとつも捨ててない。音楽性ですら、精神性ですら、メンバーですら仲間ですら、ひとつも捨ててないまま、いやもしかしたら何処か知らないところで捨ててしまってるかもしれないけど、でもそれを裏切ったり首切ったりしないで進めているというのがバンドという共同体としてひとつの誇りであると思っているから。

2YOU:それは決して「肩組んでひとつになろう」って意味ではなく。

TOSHI-LOW:「みんなでひとつ」とかクソだと思ってるからね(笑)。そうじゃなくて、自分たちが生きているところに道が少しだけ寄り添ったり、遠くに離れていても空を見上げてその人を想うことに繋がるような、そういう繋がりが各個人でなければいけないと思っていて。

2YOU:あくまでも個だと。

TOSHI-LOW:全てがね。だけど個でありながら、生きていくってことは他人がどうしても入ってくるわけで。自分達の命だって全く知らない人たちがいなかったら実はないっていうか。親が2人いるわけじゃん。その親にもそれぞれ2人親がいて、10代遡れば1024人いるからね。20代遡ると100万人だよ?それだけ自分に関わってる人がいる中で「僕は1人で生きています」なんていうのは馬鹿の極致だよ。通信簿0だろってくらい馬鹿なわけ。でもさ、瞬間でしか人間は生きてないから、孤独感とか繋がりを感じなくなってしまうのも分かるんだよ。だからこそ心の中で繋がりをちゃんと作っておくことが大事なんだよね。それが俺たちは不要不急と呼ばれた歌っていうものだし、そういう歌が何曲も何十曲もあるわけじゃん。それがあるとないとでは全然違うと思うよ。

2YOU:それが僕らにとってはBRAHMANの音楽であって、この状況下で「Tour 2021 -Slow Dance-」を体験したことがその想いを更に強くさせました。そして今回、全開のツアーの続編ともいえる初のホールツアーを開催中なわけですが。

TOSHI-LOW:前回のツアーを回りながら、今やってることをホールに持っていったらもっと見え易くなるんじゃないかなって思ったのね。だから単に前の続きでしょって思ってる人は全然違って、前のツアーとは全然違って見えるような工夫をどんどんしていくし、それこそ曲順を変えるだけでも全然違うだろう、みんなが忘れているような曲もやるだろうし、そうやって自分たちの中でもロールをリフレッシュしてくというか、そういうものが起き得てるんだよね。百聞は一見に如かずじゃないけど、やっぱり情報だけ見てる奴は経験や体験には勝てないんだよ。だからこそライブっていうものがどこまでいっても大事で。新しいことをやるのは凄く大変だし、やっぱり好きになってくれた人はその好きなものに安定を求めるから、俺たちが今新しく打ち出している「静かな曲をホールでやる」って表面的に言われてる事に魅力を感じない人もいるかもしれない。だけど、俺たちの中では今までずっとマイナーチェンジを繰り返してきてるし、誰も気付かないようなバンパーの流線形の部分をちょっと変えるみたいな、そういうことを実はずっとやってきていて。その地続きに今があるわけだから。

2YOU:BRAHMANというひとつの車をこねくり回して走ってると。

TOSHI-LOW:もちろん自分たちが一流のスポーツカーだとは思ってないし、ポンコツの国産だと思ってるよ。だけども、それがずっとまだ走り続けられたり、若いスポーツカーみたいなスピードも出ないのに意外とずっと馬力があったり、燃費が良かったり、それはその中のひとつを凄くケアしてるっていうか、そうやってマイナーチェンジを繰り返してきたからなんだよね。でもそれは世の中にはとっても伝わり辛い。だけど、瞬間瞬間の出来ることを考えていったら俺らはそれですら意味があると思っているし、雨は絶対にいつか上るから、いつか晴れてぬかるみじゃない道を走ったときにはまた凄いスピードが出る車になってると思うから。逆に言えば、晴れたからって調子こいてスピード出してたらまたいずれ雨が降るっていう。その繰り返しだと思っている。その中で本当にいろんなものを換えてきたけど、車自体を買い換えようとは思わないっていう。どれだけ年季が入ってきてもね。伊藤かずえのシーマかってくらい(笑)。でもだからこその愛着があるし、ブッ潰れるとこまで走ってみたいと思う。その中で今、俺たちの車はめちゃくちゃ面白い道を走ってるから、そこを見に来たら面白いんじゃないかなって思うよ。

interview by 柴山順次

Tour -slow DANCE HALL-
2021/11/13(土) 福岡 福岡国際会議場メインホール
2021/12/6(月)大阪 オリックス劇場
2021/12/10(金) 石川 石川県・本多の森ホール
2021/12/14(火) 名古屋 日本特殊陶業市民会館フォレストホール
2021/12/17(金) 岡山 岡山市民会館
2021/12/19(日) 宮城 仙台サンプラザホール
2021/12/22(水) 北海道 札幌市教育文化会館大ホール
2022/1/12(水) 東京 中野サンプラザ
2022/1/13(木) 東京 中野サンプラザ
https://smash-jpn.com/live/?id=3556

Single『Slow Dance』
【初回限定盤 A】(CD+BD2枚)
6600円(税込)
TFCC-89714~89716
【初回限定盤 B】(CD+DVD2枚)
5500円(税込)
TFCC-89717~89719
【通常盤】(CD)
1320円
TFCC-89720

BRAHMAN オフィシャルサイト
https://brahman-tc.com

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