インタビュー

ALBATROSS【インタビュー】

1998年の結成以降、名古屋のライブハウスシーンの中核を担う存在として年間100本以上のライブを全国各地で行っていたalbatross。当時絶大な盛り上がりをみせたミクスチャーシーンにおいて音楽スタイルの変化を繰り返しながら活動を続けた彼らがメンバーの脱退を経てその活動を休止したのが2009年。時が流れ、それぞれの人生を歩んできた5人が再集結したのは他でもない、彼らのホームであったライブハウスAPOLLO BASEの閉店がきっかけだったという。2022年3月20日、APOLLO BASEで行われたG-FREAK FACTORYとの2マンライブにてオリジナルメンバーによる復活ライブを行った彼らは活動再開を発表し実に14年振りとなる新譜『ECHOED~Re PLUGGED PROLOGUE~』を完成させたのだ。高校の同級生であり、始まりの3人でもある海部 洋、一見 樹、小林 雅也に話を訊く。今回の再始動を機にバンド表記はALBATROSSへ。「あの頃」ではなく「これから」の5人の意志を感じて欲しい。

interview by 柴山順次
photo by Suzuki Shunsuke

2YOU:まずは復活の経緯から訊きたいのですが、ALBATROSSをもう一度始めようとなったのはどういうきっかけだったのですか?

海部:色んなことが重なったんですけど、一番大きいのは名古屋のAPOLLO THEATER(APOLLO BASE)というライブハウスが閉店することになって店長の野口さんから「ライブをやらないか?」と誘って頂いたことですね。それまでも2年に1回ぐらいは集まってライブをしたりはしてたんですけど、それでも10年以上ちゃんと活動してなかった僕らに声を掛けてくれたことが嬉しくて。しかもその日一緒にステージに立ったのが当時一緒にツアーをよく回っていたG-FREAK FACTORYだったし「これはもう気合い入れてやるしかないな」と。

2YOU:あの日、APOLLO BASEのステージに立つ前からそれ以降も続けていくことは決めていました?

海部:バンドをもう一度始めようみたいな話は改めてしなかったんですけど、APOLLO BASEに誘ってもらったことや最前線で活躍していて、昔の僕らも知っているバンドと一緒にやるってことで、そこで一発ライブをやって終わりっていうのは失礼だなって思ったんですよね。それに言葉には出さなくても、もう一度何かやりたいっていう気持ちはメンバーそれぞれが思っていたと思うんですよ。だから割と必然的な感じでこうなったのかなと。

一見:でもまさかまたこんなにハードに活動出来るとは思っていなかったのでびっくりしてます(笑)。

小林:遊びではちょくちょくやってたりしたんだけど、この座組で一緒にやるとなるとちゃんとしたクオリティまで持っていかないといけないし、せっかくやるならしっかりやりたいなって。

海部:結構プレッシャーはあったよね。

小林:あったね。

海部:僕らは20歳ぐらいからAPOLLO THEATER(現 APOLLO BASE)に入り浸っていて、APOLLO THEATERに育ててもらったようなもんなんですよ。この前教えてもらったんですけど僕らAPOLLO THEATERで66回ライブをしてるらしくて。そんなにやってるバンドもそうそういないと思うし、本当にAPOLLO THEATERに育ててもらったと思っているんですけど、きっと野口さんが僕らがサボれないようにプレッシャーを与えてくれたんじゃないかな(笑)。

2YOU:ちなみに当時活動休止の決断をしたのは?

海部:僕らは高校の同級生で組んだバンドなんですけど、高校を卒業してインディーズで1stアルバムを出した以降、ライブ中心の生活を無我夢中でしてきた中で、26、7歳になって周りを見れば家庭を持ったり就職したりする人が増えていて、焦りがあったんですよ。ただ自分たちが10年間の活動の中で積み上げてきたものもあるし、もうちょっといけるんじゃないかっていう気持ちもあって。そういう感情がぐちゃぐちゃになってしまったんです。そんな中、家族だったり環境だったり色んな変化もあって歯車が合わなくなったというか。その歯車がちょっと狂うことで、それが大きくなっていくみたいな。割とそれで壊れてしまった感じですね。

2YOU:休止以降、連絡は取っていました?

一見:当初はなかったですね。

小林:3年くらいは取ってなかったよね。

一見:喧嘩別れな感じだったしね。

海部:磯丸水産で再会したよね。住吉の。

一見:そうだっけ?

海部:僕が個人でやっていた活動でキーボードの島崎敦史と一緒にたまたまステージに立つ機会があって。その時に軽いノリで島崎から「もう一回やってみない?」みたいな話をされたんですよ。ただやっぱり休止した頃はまだ26、7で若かったし、16の頃から一緒なんで、辞めるってなったら「ふざけんな」みたいに、喧嘩別れのようになるわけですよ。そうやっていがみ合って終わっているので、そんなにシンプルに戻れないだろうなってみんな思っていたと思うんです。ただやっぱり、それと同じくらい活動していた頃の時間も大事だったし、何よりみんな元々高校のツレだし、また一緒に音を鳴らしたいなとは心のどこかで思っていて。それで一度みんなで話してみようってさっきの磯丸水産で集まったんです。その時はみんなどういう顔して会ったらいいんだろうって色んなことを考えながら会ったんですけど。それからちょこちょこ知り合いのイベントに呼んでもらってライブはしていたんですけど、ちゃんと練習してライブをするっていうより酔っ払いながらやるみたいなノリで2年に1回くらいやっていて。

2YOU:APOLLO BASEでのライブがもう一度ちゃんとやろうと思わせてくれたと。

海部:そうですね。当時から僕らに関わってくれていた人にそういう場所を作ってもらえたことが大きいです。

2YOU:今回新譜がリリースされますが新曲はいつ頃から制作していたのですか?

海部:APOLLO BASEのライブが終わってからですね。3月のライブをやるまでは既存の曲のリアレンジをやったんですよ。10年経ってるので自分達も成長してる部分もあって、そうすると当時の音をそのまま鳴らすことに違和感もあって。それで去年の10月からAPOLLO BASEでのライブに向けてアレンジし直していたんですけど、その日まではそれで精一杯で。なので新曲を書き始めたのはAPOLLO BASEでのライブ以降です。

2YOU:「ECHOED」には今のALBATROSSの決意表明というかもう一度バンドを始める今の気持ちが落とし込まれていますよね。

海部:完全に赤裸々に。今回、オリジナルメンバーがもう一度集まってALBATROSSをやれることって色んな偶然が重ならなかったら出来なかったと思うので凄く大切に噛み締めたくて。だから決意表明もあるんですけど、その時だからこそ産まれる衝動や、その時だから言える言葉や旋律を詰め込んだ感じです。

2YOU:活動期も解散後も含めて、それぞれの人生を皆さんが歩んできた中でこうやって再集結している感じがちゃんと音に出ている気がしたんですよ。それこそ『BALLY HOO!』のヤンチャな頃とはイメージも全く違うじゃないですか。

海部:あの頃は18、9歳ですからね(笑)。

小林:何回野口さんに怒られたか(笑)。

海部:あの頃から25年ぐらい経ってますからね。年齢とともにやりたいことも変わってるし、あの頃出していた音と今出している音が違ってないと嘘だと思うので。そういう意味では今のALBATROSSだから鳴らせる音が今回のシングルには出せているんじゃないかなって思いますね。

2YOU:ALBATROSSを始めた頃はどういう音楽に影響を受けていたのですか?

海部:あの頃はやっぱりミクスチャーですね。

一見:Rage Against the MachineとかLimp Bizkitとか。

小林:Kornとかあの辺だよね。

海部:今聴いてもかっこいいもんね。その辺の影響は大きいと思います。

2YOU:その流れで今回のシングルを聴くと随分旅をしてきたんだなっていう。

海部:年齢を重ねると共に音楽との距離感とか携わり方とか変わっていくじゃないですか。若い頃は感情の起伏も激しいし、刺激の強いものが好きだし、背伸びもしたいし。でもいろんな事を経験したりして、人間的にも生活的にも、落ち着いていったりすると、もっと日常にフィットしたり、ふとした瞬間に寄り添ったりする音楽を好むようになっていくんですよね。

2YOU:当時は当時であれが日常だったと思うんですよ。だからアウトプットの仕方が変わっただけでやってることは一緒なのかも。

海部:そうかもしれないですね。元々、小さい頃から色んな音楽が好きで振れ幅も広く聴いていたのでジャンルで音楽を分けて聴いているわけでもないし、もしかしたら来年は全然違うことになってるかもしれないし。でもそれが自分たちの個性じゃないかなと思ったりします。

2YOU:個人的には今のALBATROSSで再録してほしいですけど。あのメドローアみたいなジャケット込みで。

一見:あははは。メドローア(笑)。

小林:めちゃくちゃ怒ってますからね、ジャケットも(笑)。

2YOU:でもいろんな時代を経て今のALBATROSSがあるのは音楽を通して人生を観ているようで面白いですね。

海部:そこも楽しんでもらえると嬉しいですね。

2YOU:バンドと一緒にリスナーも時間を重ねてきていると思うんですよ。生活も環境も変わっただろうし子供が生まれたりする中でALBATROSSの音楽を聴きながら自分の人生を重ねたり振り返ったりする人もいると思っていて。特に今回のシングルはそういう要素が含まれているなと。

海部:B’zとかサザンとかのライブを見てると、ほんとに様々な年代の人がそれぞれ、それぞれの思いを馳せながら楽しんでて、ほんとに素敵な空間だなと。だからこそ、背伸びも回顧も迎合もせずに、今だからこそ鳴らせる一番ナチュラルで嘘のない音を出していきたいなと。

2YOU:そういう意味では今回のシングルは物凄くリアルですよね。

海部:だから同世代の人には特に聴いて欲しいなって思います。40歳にもなると日常で音楽を聴く人って本当に音楽が好きな人だと思うんですよ。生活がある中で中々音楽を聴く時間を作るのって難しいと思うんです。でもこの年代の人が聴いて共感する音楽が世の中にあっても良いと思っていて。

2YOU:ALBATROSSが再始動することで同年代の人がライブハウスに久しぶりに足を運ぶきっかけにもなると思うんですよね。

海部:そういうきかっけになるのは嬉しいですね。コロナもありましたしね。僕らがAPOLLO BASEでライブをした3月も緊急事態宣言下で制限もあったので、元々あった空間の大切さを実感したし、やっぱりライブハウスがはやく元通りになる事と、もっと日常的に色んな人が出入りできる場所になってほしいですね。

2YOU:そんな中で活動を再開した訳ですが、ALBATROSSとしてどんな活動をしていきたいですか?

海部:当時は年間100本とかのペースでライブをしていた時期もあったんですけど今はもう中々そういう活動が難しいので、数を打つというより一本一本のライブを凄く純度の高いものにしていきたいと思っています。音源は今回のシングルがあって、年内もしくは年明けにもうちょっと大きいサイズのものをリリース出来たらなと。

一見:頑張ってギター弾きます(笑)。

小林:日常に追われてしまう事もあるんですけど、やれることを着実にやっていけたら良いなと。

2YOU:それはライブに遊びにくる人もそうだと思うんですよ。年齢的にも仕事で責任が出てきたり家族が出来たり中々時間が取れない中で、同じ境遇のALBATROSSがバンド活動していることは凄く希望になると思います。

海部:そういう風に投影してもらえたら本当に光栄ですけどね。いつだって「もう1回始められるよ」っていう、それは僕らのメッセージだったりもするので。それは音楽だからって話じゃなくて、誰にでも当てはまると思うんですよ。やっぱり僕らは20代の頃、ある意味一度諦めている訳じゃないですか。それでもまたこうやって戻ってきてステージに立つことが出来ているのは周りの助けがあってこそなんですけど、また始まることって別に恥ずかしいことじゃないし、やれば何かあるし。音楽としては、そういう事とは関係なく、純粋に楽しんでもらえたらなんですけど、その裏側にあるそういうストーリーも楽しんでもらえたら嬉しいです。

2YOU:そういえば今回の再始動にあたってバンド表記がalbatrossからALBATROSSに変わってますよね。これはどういう意図があるのですか?

海部:僕らの中で今回の復活は当時を焼き直したい訳じゃないんですよ。焼き直しんするくらいならやらなくていい気がしていて。そういう意味での心機一転というか。当時を再現するつもりは全くないし当時以上のものを作れている自信もありますしね。あの頃とは次元の違うことをやっていきたいしそういう意味でも過去にあまり縛られたくないので、そういう意図が込められてます。

2YOU:音源を聴いて感じたのは活動していない時期があったにも関わらずバンドがちゃんと前に進んでいるなと思ったんですよ。最先端の音楽を取り入れつつALBATROSSらしさも残しながらオリジナルなものに消化しているなと。

海部:3月のライブが終わってから曲作りが始まったんですけど実は凄いプレッシャーだったんですよ。バンドを離れている間も音楽は好きだったし携わってはいたんですけど、ちゃんと人に届けられるレベルで曲が作れるか不安だったんです。でもやっぱり当時以上の事がやりたいし、この10年間で吸収してきたことって山ほどあると思っているんです。それは音楽的にも人としての部分も。それが音として出せるかっていうプレッシャーがあったんですけど、仕上がったものには現時点のALBATROSSの音が鳴らせていると思っているので、そうおっしゃって頂けて嬉しいです。

2YOU:皆さんがバンドを離れている期間、どういう人生を歩んできたかがちゃんと楽曲に落とし込まれていて2022年のALBATROSSになっている気が凄くしました。

海部:それがやりたいというか、そういう音楽が好きなんです。今の自分から自然に出てくるものを自然に届けるのがリアルだし、逆に言えば経験値以上の事は出ないので、今自分たちが出せるものを、丁寧に純度高く出して行きたいなと思ってます。

2YOU:もしかしたら60歳でバリバリのミクスチャーが出てくるかもしれないですし。

海部:いや、ありますよね。

一見:どうしてもそっちにいきたいんですね(笑)。

2YOU:でもそれはそれでリアルですからね。

海部:変な話、30代の頃って20代の反動もあり歪んだギターが嫌いだったんですけど今は好きだったりするんですよ。だから年齢とかあまり関係なくて、その時自分が置かれている環境とか心境とか、いろんな事が関係して、変化って起きると思うんですよね。だから60歳の時にどういう事をやってるかは分からないですよね。

2YOU:復活したからには60歳になっても続けていて欲しいです。

海部:やばいな(笑)。でもメンバーとは16歳から一緒で、30歳手前で喧嘩別れして、それが40代になってまた集まっているのって、一つの人生として考えた時に凄く豊かなことだと思うんですよ。そこは凄く大事にしたい。60歳になってもやれているのなら、それがどんな形であったとしても、やれているという事が大事だと思います。そのときに鳴らせる音楽とか、メッセージやストーリーって貴重だし、きっと誰かの為にはなるものだと思うので。

一見:それぞれの生活とか家庭とかで見ると絶対接点のない40歳くらいのおじさんたちがここでもう一度交わったのは、元々ALBATROSSとして音楽を作っていたというそこだけなんですよね。たぶんALBATROSSとか音楽っていうキーワードを抜きにしちゃうと、性格も生活もバラバラだし、もう絶対交わらなかったと思うんですよ。それが色んな人の助けもありつつ奇跡みたいなタイミングでみんなの事情が噛み合って今の活動があるんだなって思っています。

2YOU:今回ALBATROSSが復活したことで名前も知らないけど当時ライブハウスで顔を合わせていた人同士の再会もあると思うんですよ。そうやって人生が再び交差するのも素晴らしいなと。

海部:もしそういうきっかけ作りを担えているなら光栄ですよね。今一緒にやってくれてるスタッフも10年くらい離れていたけどALBATROSSをもう一度やるってなったら集まってくれて。そうやって何かがあるって何かを生むんですよね。

2YOU:本当にその通りで、今回こうやってALBATROSSが動き出したことで絡みがないままきてしまった僕とALBATROSSの関係性も生まれましたから。20年ずっと僕のCDラックの「あ行」のところに『ALBATROSS』がいるわけですよ。それが今回復活してくれたからこうやって話すことが出来て。

海部:そういう輪が広がったら嬉しいですよね。こういうことをきっかけに当時の人たちとか今やっている子達とか繋がっていけるといいなって思います。

2YOU:でも本当に3月のライブと今回の音源でALBATROSSがまた始まったことを実感出来たのでこれからの活動も楽しみにしています。

海部:若い子たちとも世代を超えて色んな繋がりが生まれていったら面白いなと思っています。宜しくお願いします。

▼リリース情報
ECHOED~Re PLUGGED PROLOGUE~
2022年7月10日配信リリース


約14年ぶりとなるNEW DIGITAL EP「ECHOED – Re PLUGGED PROLOGUE – 」が2022年07月10日に各種配信プラットフォームにて一斉配信開始!ライブバンドとして培った、生音が奏でる熱量と普遍的なメッセージ性はそのままに、ソウルやR&Bが持つしなやかなグルーヴ感に、ブラスやオーケストレーションが躍動するその音楽表現の幅は、ジャンルのボーダーをさらに超えて、豊かに大きく飛躍し、年齢を重ねた円熟味と再結成における音楽への初期衝動が共存し、その輝きは増している。

[ 収録曲 ]
1.ECHOED
2.夕凪とカーテン
3.ストーリー

▼ライブ情報

2022年09月24(土)@名古屋 今池 BLcafe

本EPの発売を記念したレコ発パーティの開催が2022年09月24(土)@名古屋 今池 BLcafeにて決定!地元名古屋のBL Cafeにて、ゲストに同じく地元名古屋の「ORLAND」を迎え、2バンドのみで届けるステージ。本EPに収められた楽曲はもちろん、新旧楽曲を織り交ぜたラインナップにてたっぷりと彩ります。

→チケットのご購入はこちらから

https://t.livepocket.jp/e/xc7ed

▼ALBATROSS OFFICIAL SITE

https://ALBATROSS-web.com/

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