インタビュー

日暮愛葉【インタビュー】

SEAGULL SCREAMING KISS HER KISS HER、LOVES.、THE GIRL、ソロ名義など幅広い音楽活動を続けてきた日暮愛葉。2021年で音楽活動30周年を迎えた彼女が音楽の表舞台を離れ画家としての活動を本格化したのが2020年7月。Instagramに毎日のように投稿される作品を観ていると日暮愛葉という表現方法が変わっただけでそこにはしっかり音が鳴っていることに気付く。2021年には初の個展「彼女とわたしの頭の中」を名古屋はIF I FELLで開催。多くのファンが足を運び彼女の作品に触れ、それを受けた日暮愛葉は更なる刺激を受け日夜絵を描き続けているという。何故彼女が画家に転身したのか、何故絵を描くのか。音楽活動30周年を迎えた今、日暮愛葉という人間に触れるべく話を訊く。

2YOU:愛葉さん、今日はよろしくお願いします。

日暮:よろしくお願いします。今日はなんと柴山さん(インタビュアー)と私が初めて会った日なんですよね。

2YOU:LINEでは毎日のようにやり取りしてるので初めましての感じが全然しないんですけど(笑)。

日暮:お互い顔も見てますし。

2YOU:いや、そんなこと言ったら僕はもう20年以上前から愛葉さんを見てますので。

日暮:あははは。そうですよね。でもやっと会えて嬉しいです。

2YOU:今回愛葉さんには画家に転向された経緯などを伺いたいなと思っているのですが、SNSの発信を見れば分かるように毎日作品を発表されていますよね。

日暮:毎日描いてますね。

2YOU:絵はいつ頃から描き始めたのですか?

愛葉:ちゃんと描き始めたのは1年5ヶ月前ぐらいです。叔父が絵描きだったこともあって子供の頃から絵は好きだったんですよ。その影響もあって小学生の頃はイラストレーターになりたかったんですね。でも大人になって美大生のボーイフレンドが出来たんですけど、その彼に「愛葉は絵心がない」って言われて。それで「もう二度と描かない」って封印しちゃったんです。それからしばらくしてコロナとは関係なく私は音楽の表舞台から降りて、毎日子育てしながら、っていっても娘大人なので、一緒に料理とかしながら日々普通の生活を送っていたんですけど、ある日朝起きたら突然「今日から絵が描けるわ」って思ったんです。本当に突然。

2YOU:何の前触れもなく。

日暮:はい。私、ギターを始めたときも一緒でそういう閃きがあったんですよ。だから今回も「これは続くな」って思ったんです。英語もそうなんですけど、全部閃きで動いていて。そんな訳ないって思う人もいると思うけど私の場合朝起きたときの急に「今日から出来る」って思うことがあるんです。努力はそこからするんですけどね(笑)。

2YOU:なるほど。ちなみに少し突っ込んだ話になってしまうと思うのですが、音楽の表舞台から降りたのはどういう経緯だったのですか?

日暮:これは結構深い話になるんですけど、19歳くらいから長い間ずっと精神を病んでいまして。それで表舞台に上がることで精神的にパニックを起こしてしまう状態になってしまったんです。ライブが決まった時点で緊張しちゃったり予定を入れただけでビビってしまったり。勿論ステージに上がることは快楽でもあるんですよ。でもその反面、ステージに上がることが本当に怖くて、ステージドリンクさえ手が震えて飲めない状況になってしまったんです。それでそろそろ活動歴も30年になるし、一回休もうかなと思って。休むことをわざわざ宣言したのはそうでも言わないと表舞台から降りることが出来ない気がしたからなんですけど、だからってまたやりたくなったらやればいいし、逆に言うといつだってやれるし、無理してやるものではないと思ったのが大きいですね。やってる私が無理してたら聴いてくれる人も楽しめないだろうし。

2YOU:音楽の表舞台から降りる決断をされてから絵を描き出すまではどれくらいの期間があったのですか?

日暮:1年半ぐらいですかね。その間は病気と戦いながら自分のケアというか、自分を大切にする期間にしていました。それで病気がちょっと落ち着いてきた頃に「絵を描きたい」と閃いたんです。当時は休んでいたからお金も全然使っていなかったし、じゃあ絵にお金と時間をかけてみようと思ってありとあらゆる道具を一気に揃えたんですよ。

2YOU:作品を見てもアクリルから油絵まで多彩ですもんね。

日暮:ひとつに限りたくないんですよね。そうすると作風が狭くなっちゃうので。最初はデジタルで描いていたんですけど、NUMBER GIRLの中尾憲太郎が「愛葉さんの絵は凄くいいからフィジカルで描いたほうが伝わるんじゃないか」って言ってくれて。それと同じタイミングでskillkillsのスグル(Guruconnect)にも同じタイミングで「フィジカルやってください」って言われて。そうやって大好きな2人が言ってくれたこともあってフィジカルでもやってみたんですけど、そしたらめちゃくちゃハマってしまって。フィジカルだとアウトプットの仕方が無限にあるなって。

2YOU:アウトプットの仕方といえば愛葉さんは音楽活動においてもSEAGULL SCREAMING KISS HER KISS HER、LOVES.、THE GIRL、ソロ名義と様々な発信の仕方をしていましたよね。

日暮:言われてみれば(笑)。私ってきっとひとつは駄目なんでしょうね。シーガルの曲にしても物凄いバラエティに富んでいると自負してたんですけど、そこを面白がっちゃう人なんですよ。人の目を気にしないでやりたいことをやっちゃうタイプなので。

2YOU:当時から次はどんな音楽が聴けるんだろうって本当にワクワクしてましたから。

日暮:驚かされました?

2YOU:それはもうめちゃくちゃ。その感覚がこの1年半くらい毎日アップされる絵を観ながら「次何が来るんだろう」って感じるワクワクと似ているんですよ。それでどうしても愛葉さんの絵に触れたくなってツイートしたらリプライ頂いて。

日暮:ツイートって流れてっちゃうじゃないですか。でも本当にたまたま柴山さんのそのツイートを見たんですよ。それでご連絡させて頂いてあれよあれよと一緒に個展を開くことになって。

2YOU:本当にご縁だなって思います。

日暮:私も柴山さんのお陰で色んな方に絵を観て頂いて、その方々とSNSで繋がって楽しい時間を過ごさせて頂いているので本当に感謝してます。

2YOU:SNSってネットの世界でありながら現実がちゃんとリンクしてる感じもあって、温度の通ったやりとりが出来ると距離が一気に縮まるなって。

日暮:まさに温度の通ったやり取りが最近は私も出来ているのを実感しています。そこで繋がれる人とはあっという間に繋がれるので。柴山さんとの距離の縮まり方とかも凄かったですよね(笑)。

2YOU:この数ヶ月ほぼ毎日LINEしてますからね(笑)。

日暮:本当に(笑)。個展に関しても色々細かく対応して下さって、「こんな良い待遇ないよ。お姫様待遇じゃん」って友達にも言われてます(笑)。

2YOU:でもこれは正直に話しますが愛葉さんだからって絵に何も感じなかったらアクションを起こさなかったと思います。やっぱり作品が素晴らしくて、絵から感じる愛葉さんのキラキラした少女性と、悲し気な部分と、少しの毒と、そういった色んな側面が描かれている女の子の表情から感じ取れたのでひとつひとつにストーリーを感じて目が離せなくなったんです。

日暮:ちょっと震えが。鳥肌立っちゃった。

2YOU:きっと愛葉さんの絵を観た人の数だけ捉え方はあると思うのですが、僕は結構女の子の表情に愛葉さんを投影して見ているので「良いことあったのかな」とか「今日はちょっと悲しいのかな」とか、勝手にストーリーを作りながら楽しませてもらっていて。

日暮:嬉しい。そうやって感想を訊けることって中々ないじゃないですか。だから個展の開催中も柴山さんが絵についてツイートしてくれているのが本当に嬉しくて。本当に観てくれてるし、そういう方からのレスポンスって凄く響くんですよね。

2YOU:個展に来てくれた方に愛葉さんへのメッセージノートを置いていたのですがそこにもびっしり感想が書かれていましたよね。

日暮:ノートを開くのが怖かったんですけど本当にみなさん沢山書いて下さって。絵を描いてきて良かったなと思いました。

2YOU:愛葉さんが絵を描くときはテーマがあって描き始めるんですか?

日暮:テーマよりツールをまず決めますね。鉛筆で描くのかボールペンで描くのかっていうツールを決めてそこからポーズを考えます。私は女の子を育ててきたから、足を伸ばしたらこうだなとか、そういうイメージが湧き易くて。そこに今度は色を載せていくっていう。

2YOU:音楽の作り方とは違ったりします?

日暮:実は違わないのかもしれないです。音楽の場合、ツールっていうほどのツールが使えないタイプなので鼻歌始まりなんですけど、閃きって部分では共通点もあるし、あと音数が少ない音楽が好きなのは絵にも出ているのかなって。

2YOU:確かに愛葉さんの作品には余白がありますよね。勿論良い意味で。

日暮:そうなんですよ。色をべったり塗るっていうことが殆どないんです。それは私の音楽にも共通している部分だと思いますね。

2YOU:表現活動を絵という手法で続けてくれていることはファンとしても凄く嬉しいです。愛葉さんの絵が公開される度に新曲を聴いている気分になるので最近は毎日リリースがあるみたいな感覚なんですよね。

日暮:気が狂ったように毎日描いていますからね。1年5ヶ月で1400枚くらいは描いてますから。

2YOU:1400枚!?

日暮:自分でも信じられないんですけど。娘からも「ママ、大丈夫?」って心配されちゃって。家事もおろそかになるぐらいずっとアトリエにいるので。

2YOU:その作品をアーカイブ出来る愛葉さんのZINEとか個人的には手元に欲しいです。

日暮:ZINE作りたいです。凄くタイムリーなんですけど、本当に最近ZINEいいなって思ってたんですよ。それ、一緒に作りません?

2YOU:作りましょうよ。あの個展の続きをご一緒出来たら凄く嬉しいです。最終日、ボロボロ泣きながら1枚ずつ作品を壁から剥がしていったんですけど、それくらい作品に愛着が湧いていたので。数日間ずっと一緒にいたので。

日暮:ずっと居ても飽きないってツイートしてくれてたじゃないですか。本当にそれだけで本望でした。だから一緒にZINEとか作れたら私も作品も喜びます。やりましょう!

2YOU:愛葉さんの絵からは音楽が聴こえるんです。それはSEAGULL SCREAMING KISS HER KISS HERだったり、LOVES.だったり、THE GIRLだったり、ソロだったり、色々なんですけど、こうやって愛葉さんが絵を描き続けてくれたらこれまでの愛葉さんが作ってきた音楽がずっと鳴り続けると思ったんです。最新の音楽だけが今の音楽じゃなくて、数年前の音楽だって今出会えば今の音楽として新鮮に聴こえると思っていて。だから愛葉さんが絵を描いてくれることはイコール音楽活動なんです。僕にとっては。

日暮:本当にそうですよね。新鮮か新鮮じゃないかっていうのは人それぞれだと思っていて。今聴きたいと思ったものがその人の旬じゃないですか。だからそうやって言ってもらえると私が作ってきた音楽も喜びます。本当に嬉しい。バンドとしての終わりが来ても音楽は残りますからね。

2YOU:愛葉さんが音楽の表舞台から降りたこと、そして絵を描き続けていること。それは僕がずっと観てきた愛葉さんの表現活動として全く何も変わっていないと思っています。今日はそれが伝えたくてお宅までお邪魔してしまいました。

日暮:本当に勇気が出ました。またいつでもいらしてください。私の手料理でよければ振る舞いますので。

2YOU:そんな贅沢な。次の展開も楽しみにしています。

日暮:はい。絶対に実現させましょう。

interview & photo by 柴山順次

[日暮愛葉第2回個展開催!決定!]
「彼女とわたしの頭の中~東京編~」
IF I FELL & Like a fool records presents
場所 新代田 Like a fool records /えるえふる
期間2022.January 19th㈬-26th㈬
時間 14:00-23:00 (変動あり※要お問い合わせ like a fool records/えるえふるtel 03 6883 7180)
当日原画、グッズ販売あり。
Like a fool records とえるえふるの営業は通常通りになります

日暮愛葉コメント
みんなたちー!とうとう東京での愛葉の夢の個展が開催されます!
名古屋での初個展が大成功に終り
次は大好きなレコード屋さんと飲み屋さんでの個展ができるなんて
本当に幸せです!過去作から最近の作品まで展示もしますし、
販売も致します(その場でお持ち帰りできます)
是非新代田に足を運んでくださいませ!
宜しくお願いします!
愛葉もほぼ毎日在廊予定です。
そして名古屋でお世話になった
IF I FELLの2YOU MAGAZINE に
インタビューも掲載されておりますので是非読んでみてください!
私の熱い想いが伝わるのではないかと思っております。
皆様ぜひ原画を見に来てくださいませ!

日暮愛葉×IF I FELL Tシャツ販売中

https://savoytruffle.base.shop/categories/3973559

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