INTERVIEW

中嶋イッキュウ

2010年の結成以来、唯一無二な世界観を叩き付けながら所謂「ガールズバンド」の価値観ごとひっくり返してきた爆裂バンドtricot。縦横無尽に行き来しまくる展開と変拍子を駆使したキレッキレのエモーショナルが爆発するそのサウンド、パフォーマンスでバンドシーンの第一線を入り続けているバンドのヴォーカル/ギターとして活動するのが中嶋イッキュウだ。そして彼女のソロプロジェクトである SUSU by Ikkyu Nakajima。これが実に面白い。所謂ソロプロジェクトは一線を画すSUSUはファッションと音楽の融合をテーマに自由な発想で活動しており、音楽活動だけではなくブランドとしてのアパレル展開もしており、販売したアイテムの全てが入手困難となっている。さらにBSスカパー!「BAZOOKA !!!」のプロジェクトとして始まったジェニーハイでは小籔千豊、くっきー ( 野性爆弾)、川谷絵音(indigo la End・ゲスの極み乙女。・ichikoro)、新垣隆といった個性豊かなメンバーに名を連ねて活動もしている。カルチャー、ミュージック、ファッションを独自のセンスで発信する中嶋イッキュウ。彼女の魅力に迫る為の中嶋イッキュウ解剖論として音楽の原体験から話を訊くことにした。

Q.イッキュウさんが最初に音楽に目覚めたのは?
イッキュウ:それが全然覚えてないんですけど、幼稚園の卒園式で書いた将来の夢に「歌手」って書いてたんですよね。たぶんテレビの影響だと思うんですけど。テレビって有名人とかタレントさんが出てるけど、その中でみんなに拍手をもらってるのって歌ってる人だなって子供ながらに思っていて。「私もみんなに拍手されたい」って。目立ちたがり屋だったので(笑)。

Q.意識的に興味を持ったアーティストは?
イッキュウ:がっつりハマッたのはモーニング娘。ですね。SPEEDとかも聴いていましたけどまだ自分でCDを買える年齢でもなかったので。モーニング娘。は小学校の低学年くらいからハマッて親にCDを買ってもらっていました。あとは歌番組が好きだったからアイドルとかソロシンガーが好きでしたね。宇多田ヒカルとか島谷ひとみとか浜崎あゆみとか。

Q.バンドを聴くようになったのは?
イッキュウ:私、お兄ちゃんが二人いるんですけど、お兄ちゃんが沢山CDを買ったりしていて。その中にあったJUDY AND MARYとかを聴かせてもらっていました。お兄ちゃんが聴いてるバンドの音楽のMDを作ってもらったり。

Q.初めてバンドを組んだのはいつ頃ですか?
イッキュウ:高校の軽音楽部です。歌手になりたくてオーディション系の雑誌を買ってデモを送ったりしていたんですけど反応がなくて。どうやったら歌手になれるか分からなくて軽音楽部でヴォーカルをしようと思って、軽音楽部がある高校に入ったんですよ。でもその軽音楽部が割と伝統的なしっかりしたところで、入るためのオーディションがあるんですよ。まず全員「STAND BY ME」を発表して合否が出るんです。あとTHE BEATLESとかTHE EAGLESをやると顧問に喜ばれました(笑)。その軽音楽部でキダ先輩に出会いました。みんな1回はオーディションで落とされるんですけど、キダ先輩は何年かに一人だけ1回で合格した天才でした(笑)。

Q.軽音楽部時代にキダさんとバンドを組んでいたんですか?
イッキュウ:いや、キダ先輩が先に卒業して、私が高校を卒業したタイミングで誘ってくれました。でも私、最初は断ったんですよ。

Q.それは何故ですか?
イッキュウ:私は高 2からギャルバンを組んでいたんですけど、そのときのバンドメンバーだったハットリクミコ(シナリオアート)と新しいバンドをやっていこうと決めていたんですよ。それで高校を卒業した後も2年くらい活動をしていて、tricotのベースのヒロミさん(ヒロミ・ヒロヒロ)がやってたバンドともよく対バンしていました。でもあの頃のギャルバンってお互いバチバチしてたから打ち上げでもほとんど喋らなくて。そこにガンガン突っ込んでいくのがキダ先輩だったんです。あまり女子女子してなかったので(笑)。それでみんなそれぞれのバンドが解散したタイミングで3人で組んだのがtricotの始まりですね。21歳のときでした。


-tricot

Q.tricotの登場は凄くセンセーショナルで、変拍子ばりばりの中で歌うイッキュウさんの歌がとにかく衝撃でした。NUMBER GIRLで女の子が歌ってるみたいな。
イッキュウ:あははは。私以外のメンバーはみんなNUMBER GIRLが大好きですからね。私はtricotを組むまで知らなかったんですよ。あと変拍子のバンドって実は京都に結構いて。だから自分たちとしては普通やと思っていたんですけど、私が浜崎あゆみとかに影響を受けていたからそこが他のバンドとは違ったのかもしれません。実際tricotの前に私がやってたバンドも変拍子のバンドだったけど私のメロディがダサいって言われて解散したので(笑)。でもそこを面白がってくれたのがキダ先輩とヒロミさんなんです。

Q.いい話ですね。イッキュウさんから見たキダさんとヒロミさんはどんな人ですか?
イッキュウ:音楽的な面では凄くマニアックですね。あと音楽がめっちゃ好き。私はもうちょっとライトだと思うし。そんな二人がメロディを良いって言ってくれるのはめっちゃ嬉しいし、私もこのメンバーが最強だと思っているんですよ。喧嘩もしたことないし、昨日も私の家でゲームしてましたから(笑)。凄く自然にマッチしてるんですよ。

Q.曲作りはどう行っているのですか?
イッキュウ:スタジオでセッションしてまずインストを仕上げてから歌を乗せます。私が原曲を持っていったのはこれまで2曲だけですね。基本的にはキダ先輩のギターから広げていきます。ドラムが抜けてセッションが出来なかった時期は3人で私の家に集まってガレージバンドで打ち込んで作っていました。『A N D』は全部そのやり方で作ったアルバムですね。

Q.バンドとソロでは曲の作り方は違いますか?
イッキュウ:そうですね。ソロは自分で曲を作ってアレンジャーに投げるやり方をしています。


-SUSU by Ikkyu Nakajima

Q.SUSUの在り方が凄く面白いなって。ソロプロジェクトとして音楽活動もアパレルも行っている訳ですよね
イッキュウ:元々は前のドラマーが抜けたときにtrcotのマネージャーから「全員ソロをやってみたら?」って言われて面白そうだなって。私はいつかネタに困ったときに使おうと思って書いていたけどtricotではないなって曲が何曲かあって。それをみんなに聴いてもらったらどんな反応があるかなと思ってSUSUを始めたんですけど、気付いたらソロをやっていたのは私だけだったっていう(笑)。

Q.SUSUとして洋服を作るようになったのは?
イッキュウ:tricotの物販も私が作っているんですけど、バンドの物販だと好きなように作るには原価が上がっちゃうから限界があるじゃないですか。それに失敗したらメンバーにも迷惑をかけるし。だから自分でリスクを背負って好きな物を作ってみたいと思ってSUSUとして作り始めたのがきっかけです。

Q.もともとファッションに興味はあったのですか?
イッキュウ:興味はあったけどセンスはないと思っていました(笑)。気合いを入れるとミスるタイプというか(笑)。でも物を作るのは好きです。

Q.かなりの反響ですよね。
イッキュウ:最初はtricotのファンの方が買ってくれていたんですけど、バンドマンの友達やtricotを知らない方も買ってくれるようになって凄く嬉しいです。特にロゴのリングの反響が凄くて、私の実家が宝石屋さんなんですけど、あのリングはお兄ちゃんがひとつひとつ作ってくれているんですよ。なのであまり無理も言えないからいつもすぐ売り切れちゃいます。

Q.服を作ろうと思ったのは?
イッキュウ:服屋さんに服を買いに行っても欲しいものがなかったり、こういう服があったら良いなって思うことが多くて。「このレースがなかったら着たいのに」とか。だったら自分で着たい服を作ろうって。売れる売れないより、自分が着たいかどうかですね。それを「良かったらみんなもどう?」っていう感じ。

Q.SUSUのロゴもいいですよね。
イッキュウ:あれは私の声紋なんですよ。Tricotの「おやすみ」って曲があるんですけど、その曲の「おやすみ」って声の声紋からロゴを作りました。だからあのリングは「おやすみ声紋リング」って名前なんです(笑)。

Q.なるほど。そして2017年からはジェニーハイとしての活動も始まりました。
イッキュウ:「BSスカパー!」の「BAZOOKA!!!」っていう番組にレギュラーで出演しているんですけど、番組に出演している小籔千豊さんはドラムが叩けるしくっきーさん(野生爆弾)はギターが弾けるので、打ち上げで「このメンバーでバンドやれるよね」って話になって。それで曲が書ける人が欲しいってなり川谷絵音さん(indigo la End・ゲスの極み乙女。・ichikoro)にオファーしたらまさかのOKで。さらに小籔さんの知り合いだった新垣隆さんも加わってジェニーハイが始まりました。最初は番組の企画でやると思ってたんですけど、まさかここまでやるんやっていう(笑)。

Q.メンバーが濃過ぎますよね(笑)。
イッキュウ:濃いです(笑)。曲の作り方もこれまでとは全く違って、tricotもSUSUも自分の正解に向かって作っていくんですけど、ジェニーハイは全て川谷さんがディレクションしているのでそこも面白くて。かなり練習していったら求められているものと違ったりとか、自分だったらウィスパーで歌う部分をもっと強く歌って欲しいって言われたり。正解が別の脳みそにある感じなんですよね。そこが本当に面白いし勉強になります。


-ジェニーハイ

Q.ジェニーハイでの経験がtricotやSUSUに作用することってあります?
イッキュウ:ちょっと柔らかくなったかも。ここはどう歌ったら聴き易いかなとか、考えるようになったかもしれません。逆にもっと癖をつけてやろうって思うこともあるし。どっちの面でもプラスになった気がしますね。

Q.川谷さんによって中嶋イッキュウの潜在能力が解き放たれたのかもしれないですね。
イッキュウ:それはあるかも。やっぱりジェニーハイは勉強させてもらってる場所だなって思うので。違う世界の人が混ざってる楽しさもあるし。そこに対してtricotは思いっきり自分を出せる場所なんですよね。キダ先輩とヒロミさんと吉田さんのセンスが私の好きなタイプなので、そこで好きに歌えることが本当に嬉しくて。そしてSUSUはただ私が個人的に作りたい音楽や服を作ってるだけっていう、特にバランス良くやろうとは思ってないけど、全部楽しんでやりたいなって思っています。だって「こんなに恵まれた人いる?」って自分で思いますもん。やりたいことをやりたいようにやらせてもらって、それに対して否定的なことを言われることも殆どなく、みんなが受け入れてくれることが本当に嬉しいですね。

中嶋イッキュウ
https://www.ikkyunakajima.com/

tricot
http://tricot.tv/

SUSU by Ikkyu Nakajima
https://susubyikkyunakajima.com/

ジェニーハイ
http://genie-high.com/

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