コラム
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RAD CREATION綿谷”wata”剛が自身の経営する「焼きとん 大黒 内山3丁目店」にゲストを招いてお酒を交わしながら対談する企画「大黒で飲もまい。」。第2回のゲストはブランドCLUB SAKENOMITAIのオーナーである木下リョータ。インディーズバンドのスタッフをしていた彼がツアー先で運転の為にお酒が飲めないフラストレーションから始まったCLUB SAKENOMITAIだが、木下がスタッフをしていたバンドこそが綿谷が代表を務めるがTRUST RECORDS所属バンドLUCCIであり、その後もCLUB SAKENOMITAIは綿谷の手掛けるFREEDOM NAGOYAやFor Our Live Housesとコラボレーションも展開。第2回目となる「大黒で飲もまい。」は名古屋発の気鋭ブランドとして活躍する木下を迎えてお酒と言葉を交わした綿谷。場所は勿論、大黒 内山3丁目店。
2YOU:綿谷さんとリョータさんが出会ったのは?
綿谷:最初はLUCCIのスタッフとしてだっけ?
木下:そうだと思います。スタッフをやる前からR.A.Dには遊びに行ってましたけど。
綿谷:元々は東京にいたんだっけ?
木下:そうですね。東京から帰ってきて、まこっちゃん(LUCCI/BUNS RECORDS)に誘われてLUCCIのスタッフを始めたんですよ。
綿谷:それはいつくらい?
木下:『1Kより愛をこめて』をリリースした頃だから2016年ですね。
綿谷:LUCCIのスタッフを卒業したのは?
木下:2019年なんで3、4年やってました。怜華(ex.LUCCI/Watashi Product)が辞めるタイミングとほぼ一緒ですよ。怜華が2019年のDE.BU FESが最後で、僕の最後は開花宣言TOURのファイナルのO-Crestでした。
2YOU:その頃はもうCLUB SAKENOMITAIは始めてましたよね?
木下:やってましたね。LUCCIのスタッフを始めて2年目ぐらいの頃に始めたので。
綿谷:そもそもなんでブランドをやろうと思ったの?元々アパレルをやってたんだっけ?
木下:販売の方ですけどね。だから服を作ったことはなかったんですけど、バンドのマーチを作ったりはしていたので興味はあって。それでたまたまツアーの運転中に閃いてCLUB SAKENOMITAIが出来た感じです。
綿谷:いきなりブランドを始めてどうやってここまで広めれたの?すごくない?
木下:最初の土台は完全にバンドですね。LUCCIのスタッフをしていたこともあってENTHやBACK LIFTに覚えてもらったのがきっかけだったと思います。TOYSであったTRUST RECORDSの忘年会で初めてTRUST RECORDS所属のバンド達に会ったんですけど、その時はまだ誰とも仲良くなかったけど、daipon(ENTH)やみっちゃん(EVER LONG)やBACK LIFTのみんながいたから「もう全裸になるしかないな」って。
綿谷:そんな事もあったな(笑)。
木下:パンチを見せなきゃと思って。そしたらみんな喜んでくれて。
綿谷:確かにあの日のリョータは空気切り裂いてたよね。みんな「誰だこいつ」みたいな(笑)。
木下:まあ、元々高校生の頃から脱ぎ癖はあるので(笑)。で、その日きっかけでENTHたちに服を渡したらバンドマンが着てくれるようになったんですよ。
2YOU:最初から仕事にしていくつもりでした?
木下:そうですね。だからCLUB SAKENOMITAIを始めたときにバイトも全部辞めてフリーになったし稼ぐしかないって状況でした。当時の名古屋って僕ら世代には服を作ってる人があまりいなかったんですよ。勿論上の世代には沢山いるんですけど。
綿谷:最初から仕事として成り立ってたん?
木下:作ってたのが少量なので収入が安定していたわけじゃなかったけど、JOURNAL STANDARDが取り扱ってくれるようになってからは大きく変わりましたね。
綿谷:そうやん。JOURNAL STANDARDはどうやって取り扱いが決まったん?
木下:担当の方から「取り扱いたい」って連絡が来て。でも最初は「本当かな?」って疑ってました(笑)。今思うと本当に大きな転機でしたね。それがCLUB SAKENOMITAIを始めて2年目くらいのことだと思います。彼女に振られたときなので。僕、もう3年も彼女がいないんですよ(笑)。
綿谷:いや、モテるっしょ。
木下:モテないですよ。出会いがないですもん。でも彼女と別れたのも転機でしたね。初期のデザインが彼女がしてくれていたので。
綿谷:でも、男女の関係が終わっても仕事の関係としてやっていくのは無理だったの?
木下:無理ですよ。メンタルがやられてたので(笑)。別れるとき「あなたと一緒にいても幸せになれない」って言われたんですよ(笑)。だからCLUB SAKENOMITAIの第1期はあそこで終わりました(笑)。
2YOU:今CLUB SAKENOMITAIのデザインを担当されているカズトさんと出会ったのはその後ですか?
木下:はい。その頃からヤオさん(ヤオタケシ)とよく飲むようになって「東京に面白い知り合いがいるから紹介するよ」ってカズトさんを繋げてくれました。ちょうどカズトさんもブランドのグラフィックとかを手掛けてみたいって時期だったみたいで。それで生まれたのが今も定番のレターロゴなんです。
綿谷:カズトさんバチバチにハマってるよね。
木下:そうなんですよね。あのロゴは今でも色んな人に褒められるしブランドの顔になってますね。
綿谷:カズトさんはどういう仕事をしているの?
木下:出会った頃はフリーのデザイナーだったんですけど今は自分で会社をやってますね。企業ロゴを作ったりとかしていると思います。あとは音楽方面だとMakiの『creep』のアートワークもカズトさんですね。
綿谷:みんなバリバリ働いてるね〜。
木下:いや、それは綿さんもじゃないですか(笑)。俺は飲んでるだけです(笑)。
2YOU:木下さんの飲みっぷりはCLUB SAKENOMITAIというブランドを体現してますよね。
木下:毎日飲んでますからね(笑)。
綿谷:普段は何してるの?リョータの実態が全然掴めないからさ。
木下:酒を飲んでます(笑)。あとはネタ集め的なことは毎日してますね。
綿谷:実務もしてるでしょ?収支計算とか発注とか催事のやり取りとか、俺が思い付くレベルでも実際にやることって滅茶苦茶あるはずじゃん。でもそういう姿を全く見たことがないから。
木下:そこを見せないほうがかっこよくないですか?毎日馬鹿みたいに酒飲んでるけど、どうやって暮らしてるんだろうみたいな。
綿谷:まあね。でも絶対ミスできない事も多いじゃん?デパートとかとも仕事してるし。
木下:そうなんですけどね。でも毎日飲む余裕はあります(笑)。
2YOU:来年で5年目ですよね?
木下:そうですね。もう5年になりますね。
綿谷:マンネリとかはしないの?
木下:マンネリはないですね。
綿谷:でも大体のフォーマットはあるわけじゃん。Tシャツ、パーカー、スウェットみたいな。毎回差別化してアイディアを出すの大変そうだなと思ってて。
木下:だからオリジナルボディが作りたくなるんじゃないですか。自分の好きなサイズ感のボディに好きなグラフィックを載せるのが一番良いですからね。僕も去年、パンツとか T シャツのサンプルを作ってたんですけど、作るなら拘りたいので。まあ、やれるときにやろうかなって思っています。あとはボディを染めたり、パンツの裾を加工したり、そういう楽しみ方もしてますね。
綿谷:この先何か大きな仕掛けとかはしないの?
木下:お店は出したいですね。服が買えてお酒が飲める店をCLUB SAKENOMITAIがやるのって滅茶苦茶理に適ってるじゃないですか。それこそ来年5周年なのでそのタイミングでオープン出来たら最高だなって思っています。実はもう物件も見つけているんですよ。
綿谷:リョータが店に立つの?大丈夫?(笑)。
木下:何がですか?
綿谷:お酒出すんでしょ?絶対ベロベロになるじゃん(笑)。
木下:綿さん、僕だって仕事はちゃんとしますよ(笑)。一応僕もアパレルとかで働いてきたから経験値だけはあるので(笑)。みんなが僕の過去を知らないだけで僕も仕事はちゃんとやりますよ。40歳くらいまでは。
綿谷:40歳?早くない?
木下:40歳くらいから遊びたいです。
綿谷:でも、絶対に仕事したくなるでしょ。お金も稼がないといけないしね。
木下:お金は欲しいけどそれはお金が欲しいんじゃなくて、欲しいものが沢山あるからお金が欲しいってだけですね。色々欲しいじゃないですか。
綿谷:俺、全然何も欲しくないんだよね。欲しいものが無さ過ぎて困るくらい。お金を使うとしたらお酒とご飯くらいかなぁ。
木下:あ、でもちゃんと美味しいご飯は食べたいですよね。多少高くても良いものを食べたいなって思うようになりました。
綿谷:分かる。それがモチベの1つだったりするよね。東京に行こうとかはないの?
木下:ないですね。でも彼女が東京に出来たらすぐ行きます(笑)。
綿谷:アシスタント的な人はとらないの?
木下:今のところは。でも面白い奴が出てきて本気でやりたいならCLUB SAKENOMITAIは全然継いでもらいたいですけどね。僕が死んだら終わりじゃなくて、次のCLUB SAKENOMITAIが続くみたいなのがかっこいいなって。そうやって残っていくのってかっこいいと思います。その頃僕はCLUB SAKENOMITAIの居酒屋でベロベロに酔っぱらっているみたいな。最高ですよね。
綿谷:確かにリョータらしい(笑)。リョータの店、楽しみにしてるね。
木下:ベロベロにならないように接客します(笑)。
焼きとん 大黒 内山三丁目店
愛知県名古屋市千種区内山3-1-17 水谷ビル 1F
052-753-6644
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interview by 柴山順次