鷲山和希(Suspended 4th) × 細川尚弥(KADOMACHI)

Suspended 4thにてボーカル、ギターを担当する鷲山和希。KADOMACHIにてボーカル、ギターを担当する細川尚弥。ふたりの共通点は自身がアーティストでありながらエンジニアであることだ。音源制作においてアーティストと一番近い距離にいてアーティストの表現したい音を具現化する大切な役目を担うエンジニア業をアーティストの顔を持つ者が行うことはある意味理に適っている。今回2YOUでは名古屋を拠点にエンジニア業とアーティスト活動を並行して行っている鷲山、細川に話を訊いた。
2YOU:おふたりの出会いは?

細川:僕が高校生の頃にやっていたバンドで鷲山さんにレコーディングしてもらったのが最初ですね。4、5年前?

鷲山:大体それくらいかな。だからバンド同士の繋がりというよりかはエンジニアとして出会った感じですね。

細川:対バンはしてましたけどね。前のバンドのときにイベントにぶっ込まれたら対バンに怖そうな人がいるなって。

鷲山:俺は正直あまり覚えてないんだよね。

細川:でしょうね(笑)。

鷲山:その1年後ぐらいに細川が名古屋芸術大学に入ってエンジニアをやりたいとか言い出したくらいに認識した感じかな。それまでは高校生のバンドが頑張ってオリジナルやってるなって印象くらいで。

細川:本番前に学生服から着替えてライブしてましたからね(笑)。

2YOU:エンジニアを目指したのは?

細川:それこそ鷲山さんに録ってもらったときに「エンジニアってかっこいいな」って思ったのがきっかけで。元々興味はあったけどあまり分かっていない状態だったんですね。そんなときに凄く詳しい人が大学に録音に来てるっていうからぶっ込まれにいったんですよ。それでがっつり影響を受けました。

2YOU:鷲山さんはどうでしょう。

鷲山:結構昔に遡るんですけど、中学生のときにゲームのドラムマニアにハマってドラムを買ったんですよ。普通の住宅街だったけど家で叩いていて(笑)。それでドラムの動画をYouTubeにアップするための音作りからエンジニアに興味を持つようになりました。機材のことなんて全く知らなかったから最初はハンドカメラのマイク端子に無理矢理マイクを繋げるっていうアナログなやり方から始まって(笑)。でもそれで良い音が録れたときに純粋に嬉しかったんですよね。それがエンジニアを目指したきっかけだと思います。

2YOU:おふたりともエンジニアでありながらバンドマンでもあるじゃないですか。そこで意識することってありますか?

鷲山:バンドのスタジオ音源を所謂市場に並ぶクオリティまで持っていくことが僕らの役目だと思っているんですけど、その過程に携われることが一番の醍醐味なんですけど、僕も細川もエンジニアでありアーティストでもあるので音を録るだけじゃなくてプロデュース的な側面も持っているのかな。少し口出ししたくなっちゃうんですよ。「ギターのプレイをこうしたほうがいいよ」とか。そうやって自分の中で見えているものをバンドと一緒に作っていくっていう。

細川:プリプロ込みな部分はありますね。鷲山さんとのレコーディングでは「ここのギターはこうしたら?」とか「それいいじゃん!」みたいなやり取りが多くて。それが本当に楽しかったんですよ。

2YOU:エンジニアでありつつもうひとりのメンバーのような。

鷲山:あ、でもメンバーというかセッションする感覚かも。

2YOU:それはレコーディングしてもらうときも同じ感覚ですか?

鷲山:僕らは自分の思想を全て理解してくれているエンジニアとやっているので余計にセッション感はありますね。実際に僕はレコーディングのことをレコーディングセッションと呼んでいて、録るときも録ってもらうときもエンジニアとセッションするような作り方を意識していますね。

細川:僕もエンジニアとは深い関係で音楽を作っているから全くの外注での経験がなくて。逆に僕が録るときもある程度の関係性がある上で録ることが多いですね。

2YOU:知らないバンドとのレコーディングはやり辛いですか?

鷲山:いや、それはそれで凄く楽しいですね。僕はtoeの美濃さんに録って頂いたことがあるんですけど、まさにレコーディングセッションなレコーディングだったんですよ。色んな会話をしながらお互いリアクションを取りつつ録音していくっていう。まさにセッションだなと。

2YOU:ちなみに今お互いの音源を録るとしたらどういうレコーディングをします?

細川:マイキングとか録り方とか、僕の手の内を鷲山さんは知ってるから、そこじゃない部分で勝負したいですね。全然違うシステムを手に入れて持っていくみたいな。それで「意外といいじゃん」って言われたい(笑)。

鷲山:俺は滅茶苦茶なことを言うと、思いっきり経費をかけて録ってみたいですね。ポップスの音源ってキラキラ具合がバケモンなんですよ。で、KADOMACHIがやっている音楽はポップスなので、色んなバジェットが用意されている中でのレコーディングをしたいですね。それがきっと次のステップに繋がると思うので。

2YOU:なるほど。では最後にエンジニアを目指す人にメッセージをお願いします。

細川:やっぱり楽しさを見出すことが大事だと思います。僕も最初は安いインターフェースを買って「弾いてみた」をYouTubeに上げたりしていたんですけど、それが楽しくて仕方なかったし、その延長で今に繋がっているので。

鷲山:楽しさの本質が分からないまま音楽でメシを食うためにエンジニアになる人もいると思うけど、まずは音楽を楽しむこと、その上でどんな場所でどんなバンドを録りたいか考えることが大事だと思います。俺は色んなバンドの彼女になりたいと思っているんですよ。自分が録ったバンドが他のエンジニアと仕事をしても「やっぱり鷲山が良かった」って返ってくるような(笑)。そんなエンジニアになりたいと思ってます。あとは色んなバンドを録ることは絶対に自分のバンドに返ってくるので、とにかく色んな人に出会いたいですね。

細川:その通り。バンドに返ってくる。

鷲山:あとはやっぱりレコーディングを通して色んなバンドとセッション出来るんだから、こんなに楽しいことはないと思います。それがエンジニアの醍醐味でもありますね。

 

Suspended 4th
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KADOMOACHI
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interview by 柴山順次