池下CLUB UPSET

名古屋は池下CLUB UPSETが15周年を迎えた。池下の雑居ビルの5階、その長い階段を昇った先にあるライブハウスでは数えきれないほどのライブが繰り広げられ、幅広いジャンルのバンドが日夜しのぎを削っている。2020年に設立15周年を迎えたUPSETでは様々なアニバーサリー企画も予定されていたが新型コロナウィルスの影響によりその殆どが開催出来ていない状況である。今回2YOUでは、過酷な状況下で15周年を迎えたCLUB UPSETを代表して「おっさん」のニックネームで愛される近藤寛氏、長年ライブハウスで数多くのバンドを輩出してきた中井俊輔氏を迎えUPSET15周年インタビューを決行。ライブハウスネバーダイ、UPSETネバーダイ。

 

2YOU:15周年おめでとうございます。

近藤:ありがとうございます。この状況下、周年の何も始まってないけど(笑)。

 

2YOU:UPSETはどのように始まったのですか?

近藤:実は最初はオーナーが別にいたんだよ。僕の友達が自分の土地で音楽スタジオをやりたいって言いだして、音楽関係の連れが僕しかいなかったから相談にきて。その頃からうちはライブハウスをやっていたし、リスキーはリスキーだけど、ライブハウスだったらノウハウもあるし楽しいよって話をして。うちとしてもそれまでは100人キャパのライブハウスしかやったことがなかったから、もう少し大きめのライブハウスには興味もあったし、そこが一致して、その連れと始めたのがUPSETだったんだよね。

 

2YOU:それまでおっさんはどのようなライブハウスを経営していたのですか?

近藤:最初は新栄のSONSET STRIP。それから浜松のMESCALIN DRIVE、あと松本で1年だけRIDEOUTというライブハウスもやってました。で、UPSETを始めた感じかな。

 

2YOU:中井さんがUPSETに合流したのは?

中井:UPSETが始まった頃は、HUCK FINNを辞めてちょうどブラブラしてたんだよね(笑)。APOLLO THEATER(現APOLLO BASE)でイベントはたまにやってたんだけど。そんなときに池下で新しいライブハウスが出来るっていうからイベントをやらせてもらったりしていて。それからしばらくして近藤さんに「俺を使わないか」って話をしたんだと思う。

2YOU:中井さんがHUCK FINNを辞められたのはいつ頃ですか?

中井:2001年だから19年前だね。だから4、5年はぶらぶらしてたんだと思う(笑)。

近藤:UPSETを始めた頃から中井さんには「俺どうだ?」って話はされていたんだけど、正直自分もバンドで中井さんにお世話になっていたし、HUCK FINNの中井さんから電話がかかってきて「ライブやらない?」「はい!」みたいな間柄だったからちょっとやりづらいんじゃないかって思っていて。

中井:あははは。それはそうだね(笑)。

近藤:「雇わない?」っていうより「いつ雇うの?」って感じだったしね(笑)。でもうちもブッキング出来る人間は欲しかったので、最初のオーナーが退くタイミングで未経験の人より経験者の方がいいだろうということで中井さんにお願いすることにしたっていう。それがちょうどオープンして1年くらい。

 

2YOU:UPSETの最初の公演ってどのアーティストだったのですか?

近藤:THE RYDERSかCOBRAだったと思う。当時はとにかくジャパンパンクロックが多かったね。

中井:ちなみに俺が最初にブッキングしたのはPEALOUTの近藤智洋がやってたバンドだったと思う。UPSETで最初に観たのは何のライブだった?

 

2YOU:僕はOi-SKALL MATESを観にきたのが最初でした。

近藤:元々UPSET立ち上げのときにやってた人間がパンク界隈の人なんでやっぱりパンクが多くて、僕はスカとかレゲエのバンドと交流が深かったからオイスカもだし、スカのバンドに出てもらうことは多かったね。その後中井が来て「どういう店にしたいですか?」って話をしたら「ロックの店にする」って言っていて、そこから現在に至るまでロックバンド中心の店になっているんじゃないかなって思います。未だにパンクのバンドにも来て頂いてはいるけど、中井が窓口になってギターロックのバンドは確実に増えたと思う。割と歌もののポップス寄りのものというより、エッジの効いたオルタナティブなバンドが多いんじゃないかな。勿論ジャンル分けをするつもりは全然ないんだけど、大きく分けるとそんな感じじゃないかな。

 

2YOU:中井さんとしては当時どういう店を目指していたのですか?

中井:最初はどうしてもHUCK FINN時代の繋がりでブッキングしていた部分はあるんだけど、HUCK FINNとはお店が近いっていうのもあるし基本を教わった店なのでそことはバッティングしないようにしなきゃなっていう思いがあって。あとは他のライブハウスを見たときに当時はどこのライブハウスもギターロックをやっていなかったので、そこに突出してやればライブハウスとして新しいものを生み出せるんじゃないかって思っていたかな。

 

2YOU:UPSETでは地元バンドが全国区の有名なバンドのオープニングアクトを努める公演も数多くあると思うのですが。

中井:俺が古い人間なので、頑張ってるバンドや上ってくるバンドにチャンスを与えたいと思っているんだけど、また今は時代が少し違ったりもするから難しいけどね。でもガッツがあるバンドにはチャンスを与えたいと思っているかな。それも古い考えなのかもしれないけど。

近藤:いつの間にかふたり合わせたら100歳超えているからね。もう全然若者じゃないから。

2YOU:おっさんはUPSETをどういうライブハウスだと思っていますか?

近藤:通過点かな。キャパ的にもうちは大きなライブハウスにいくまでの最後のステップだと思うから、ずっと出てくれるのは嬉しいけど、小さなライブハウスからうちに来たバンドが早く次のステップにいくのが一番良いことだと思っている。イベント1回、ワンマン1回くらいで卒業してくれるのがベストかな。凄く身勝手なことを言うけど、本当にみんな売れて欲しいんですよ。だからうちは通過地点としていかに印象を残せるようなお店にしたいなと今は思っています。何組かはいつまでも卒業出来ないでずっと出てるバンドもいるんだけど、そういうバンドは何回も出てるから仲良くもなるし、アーティストの性質は分かるようにはなるけど、本当は、早く売れて原点回帰ツアーとかでうちに寄り道してくれるのが理想かなって。

 

2YOU:SUPER BEAVERやtricotがたまにUPSETでライブをすると嬉しい気持ちになりますからね。

中井:そういうバンドって本当に長くうちでやってくれてるんだよね。みんな今売れて頑張ってるけど、うちでやり続けて10年選手もいるから。そういうバンドとは関係性も生まれるし、大事にしていけたらいいなって思うよね。

 

2YOU:ちなみに池下にライブハウスを作ったのはどういう意図があったのですか?

近藤:コロナで痛感したと思うけど、やっぱりライブハウスって一般の人から煙たい存在だと思うから、なるべく苦情の来ないような場所で、且つ駅から近い物件を探したときに池下かなと。ライブハウスって基本的に新栄か今池にあって、池下は厚生年金会館しかライブが出来る場所がなかったんだよね。厚生年金会館はライブハウスじゃないけど、音楽をやってる場所ではあったので「池下なら出来るんじゃない?」っていう軽いノリで決めました(笑)。だから池下に思い入れがあった訳じゃないんだよね。まあ最初はみんなそんなもんなんじゃないかな。バンド名だって最初は適当に決めるけど、そこから愛着が湧いていくじゃん。ライブハウスも一緒で、うちらも15年やって、池下という中途半端な街だけど、そこに対する愛着が湧いてきたなって思う。

 

2YOU:15年間で印象に残っているエピソードはありますか?

中井:「おいおい!」って思ったのは〇〇〇〇(書けません笑)。

近藤:凄いなって思ったのはTHE MACKSHOWと怒髪天のツーマンをやったときに、店の前の狭い路地にバイクがズラッと並んだのは衝撃だったね。怒髪天がドアウェイだったから。

中井:ドアウェイと言えば、横浜銀蠅とB-DASHのツーマンも凄かったね。お互いがアウェイっていう(笑)。

近藤:あとはKEMURIやOi-SKALL MATESのお客さんはハッピーな人が多いので、やってていつも楽しかった。お酒もいっぱい飲むし(笑)。

 

2YOU:あとZEPPET STOREやLADIESROOMやTHE SLUT BANKSのような世代のバンドがUPSETを愛しているのも印象的だなと。

近藤:そこは完全に中井だね。

中井:お互いおじさんだから付き合いやすいんじゃないかな(笑)。でもそれも人の繋がりだよね。そこを繋いでくれたのはTHE HATE HONEYの高木フトシだったりするし。そこから繋がって、繋がっての縁だからね。今名前が挙がったようなバンドって、一般的には認知されていないのかもしれないけど、バンドを長く続けているだけあってみんな本当にかっこよくて。俺はそういうバンドをライブハウスとして応援したいし、これからも一緒にやっていきたいかな。

近藤:うちの特色として面白いのは、そういうベテランバンドも出てもらいつつ、20歳そこそこの若手バンドもいて、それを手打ちのブッキングでやってるライブハウスっていうのは名古屋ではそんなにないんじゃないかなって思う。あとはアーティスト同士がうちで繋がっていくのは見てて面白いよね。お父さんと子供みたいな対バンもあるから(笑)。でもそういう交流から何かが生まれる瞬間は嬉しくなるね。

 

2YOU:交流を深めるにはもってこいの楽屋がUPSETにはありますしね。

近藤:バンドにも楽屋ばっか褒められるんだよ。

 

2YOU:昔はよくBBQとかやってましたしね。

中井:やってたねえ。

近藤:布団があるから泊まっていくバンドがいたり。

中井:またやりたいね。

 

2YOU:まだまだライブハウスとして従来の営業が出来ない状態が続くと思うのですが。

中井:本当に大変だけど、面白いっちゃ面白いんじゃないかな。だって絶対新しい何かが生まれると思うから。変わらなきゃいけないし、ここから何をするか、俺達おじさんも変わるために考えなきゃいけないじゃないかな。

近藤:15周年がこんなことになったから20周年までは意地でも続けたいしね。15周年が普通にやれていたらその後燃え尽きちゃったかもしれないけど、何もやり切れてないし、20周年っていう目標が出来て良かったんじゃないかな。あと5年は頑張れると思うよ(笑)。

interviw by 柴山順次

 

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