ハローモンテスキュー

前作『生活』から約1年。メンバーの脱退を経て新体制となったハローモンテスキューがTONIGHT RECORDSよりミニアルバム『空白』をリリースする。2020年、コロナ禍における自粛により生まれた空白のとき。その日々の中で感じた葛藤をポップミュージックに昇華することで彼らの音楽は優しく手を差し伸べてくれる。ボカロPとしても活動する「残響P」こと708の生み出す楽曲をメンバーであるカドタリョウヤ、はたけが表現することでハローモンテスキューでしかない音楽を生み出す奇跡的なバランスで成り立つ3人に話を訊いた。

 

2YOU:ハローモンテスキューはどのように結成したのですか?

カドタ:元々は僕と708でバンドを組むことになって。708の強い希望でボーカルは女の子にしようって。

はたけ:そうなの?(笑)。

カドタ:それで708が昔一緒にバンドをやっていたはたけを紹介されたんです。その頃はたけは別のバンドをやっていて、ライブを観に行ったんですよ。

708:変なグラサンをしてベース弾いてたよね。

はたけ:あははは。顔を出したくなかったんですよ(笑)。そのバンドはメンバーが全員女の子のバンドで、当時はベースだったのでボーカルで誘われてびっくりしました。

 

2YOU:ギターボーカルに転身してどうでした?

はたけ:歌うのは好きだったし楽しかったです。でもギターを弾いたことがなかったから不安もあって。

708:そこを「いけるよいけるよ!」って煽てて(笑)。

はたけ:ギターを弾けるようになったら色々幅も広がるし、頑張ってみようかなって。

 

2YOU:活動拠点のメインが名古屋と岡崎ですが皆さん出身は?

カドタ:はたけが三好で708が豊田で僕が実家が岐阜で今は名古屋です。だから誰も岡崎はいないっていう(笑)。

708:僕が毎週のように豊田から岡崎CAM HALLまで自転車で1時間くらいかけて通ってたんですよ。高校生の頃にはたけと組んでいたバンドでもCAM HALLに出ていて。だから思い入れが強かったんです。

 

2YOU:今作はTONIGHT RECORDSからのリリースとなりますがレーベルとの出会いは?

708:僕ら、CAM HALLと新栄RAD SEVENがホームなんですよ。ライブの回数で言えばCAM HALLよりRAD SEVENの方が多くて。それで長尾さん(TONIGHT RECORDS/RAD CREATION)にお世話になっていて、打ち上げのたびに「TONIGHT RECORDSにはいつ入れてくれるんですか?」って言ってて(笑)。

2YOU:レーベル移籍、メンバーの脱退とバンドにとっては転換期だと思うのですが。

カドタ:メンバーの脱退は寂しいけど、メンバーが変わるごとにバンドが良くなっていかないと意味がないと思っていて。今はサポートドラムにお願いしているんですけど、僕らの経験とサポートドラマーの経験が上手い具合に合わさって、今凄くバンドが良い状態だと思います。

 

2YOU:そんな中、自粛もあってライブ活動が出来ないのはもどかしいですよね。だからこそ、このタイミングでのアルバムに『空白』と名付けられていることが妙にしっくりきて。色々リンクする部分があるなと。

708:僕は直接的な表現が得意じゃないから、色々遠回しな言い方で、こんな状況だけどちょっとずつ音楽を生活の中に浸透させたいって気持ちを込めていて。音楽がなくても生きていけるけど、音楽があったら楽しいじゃないですか。だから僕には音楽が必要だし、音楽で誰かの背中を押せるような曲が作れたらいいなって思っています。今だからこそ。

 

2YOU:ハロモンの歌は捉え方が色々あると思っていて。例えば「誘拐」をラブソングとして捉える人もいれば、僕はライブハウスだったり、閉店するお店だったり、辞めていくバンドマンに対するメッセージだと感じましたし。そうやって色んな解釈が出来るのは面白いなと。

カドタ:その解釈、凄く良いですね。面白い。

708:僕が歌詞を書くときは「これはラブソングだ!」って買い方ではなくて捉え方によって全く違って聴こえるようなミスリードが好きなんですよ。だから「誘拐」も色んな捉え方をしてもらえたならそれが正解です。

カドタ:708の曲はそういうのが多いよね。残響Pとしてのボカロもそうだけど、きっとこの歌詞には色んな意味があるんだろうなって思いながら演奏しています。

 

2YOU:708さんから歌詞の説明はないのですか?

カドタ:はっきりは言わないですね。でもバンドでアレンジするときに708の考えてることも聞くので、イメージは708に寄ってると思います。でもはっきりは言わないからどう弾いたらいいか考えながら演奏しています。

708:はたけはいつも「分からない」って言いながら歌ってます(笑)。

 

2YOU:はたけさんは歌う上で意識することはありますか?

はたけ:何も考えないことです。(一同笑)

 

2YOU:ああ、でもそれが逆にいいのかもしれないですね。708さんのイメージに寄せず、何も考えないで明るく歌ってくれるからフラットに聴けるし、色んな捉え方が出来るのかもしれないです。

708:滅茶苦茶ポジティブな捉え方(笑)。

はたけ:今言って頂いた通りです。

カドタ:いや、絶対違うでしょ。(一同笑)

 

2YOU:はたけさんの歌声って凄く明るいし個性も強いじゃないですか。でも708さんの歌詞って決して明るくはないじゃないですか。そのバランスというか、はたけさんが708さんの歌詞を明るく歌うことで、ネガティブをポジティブに消化して、最終的にはポップソングに昇華させるっていう。

はたけ:だってよ!!

カドタ:これからはそれを自分で言おう(笑)。

 

2YOU:「今日が終わっていく」の歌詞で衝撃だったのが「忘れないよう歌にしてみたけれど忘れてほしい」というパンチライン。これは鳥肌が立ちました。

708:僕は物事を強く言えるタイプじゃないから、恋愛においてもどっちつかずなことを言ってしまうんですけど、忘れたいことを忘れられないし、忘れたくないけど忘れてほしいことがあって。そういう日々の出来事で感じる感情を糧にして生きていければいいのかなって思ったり。

 

2YOU:「走馬灯」や「イエロウ」でテーマになってるのは「後悔」なのかなって思ったのですが、後悔していることってあったりします?

はたけ:やりなおしたいことはいっぱいあるけどパッと出てこないですね。言い出したらキリがないので(笑)。

 

2YOU:「あの日あの時こうしていれば」という言葉も出てきますが。

708:自分は「今が最高!」っていうポジティブな人間ではなくて「あの時こうしていれば」ってずっと後悔するタイプなんですよ。でもその後悔があるから次はこうしようっていう考え方が出来るじゃないですか。

 

2YOU:後悔の先にどう動くかですよね。ハロモンの曲はそうやって挫折からの希望というか、自分を奮い立たせる曲も多いのかもしれないですよね。はたけさんは歌っていてどうですか?

はたけ:私、その場の雰囲気とかノリで歌ってしまうので頭すっからかんです。(一同笑)

カドタ:でもレコーディングでは考えて歌ってなかった?

はたけ:あったかも。

カドタ:じゃあそれ思い出して。

708:学校の先生みたい(笑)。

はたけ:でも以前より感情を入れて歌うようになったのかも。昔は割と淡々と歌っていたけど、今作は歌詞の言葉や単語に意識を置いて歌ってる部分もあって。今まではそこまで意識を向けていなかったけど、言葉の響きや単語の意味をなんとなく感じながら歌は録りました。

 

2YOU:「なんでもない話」は感情の入れ方がこれまでのハロモンとはまた少し違うのかなと思いました。

はたけ:確かにあの曲は気持ちが入り易いですね。

708:僕らバラードが全然なくて今回やっと形に出来たんですよ。

カドタ:708にずっと注文してたんですけど中々バラードが上がってこなくて。そしたら満を持して名曲が来ました。

 

2YOU:「なんでもない話」は改めて言葉の責任というか、吐き出す言葉の重みを感じたりしました。言わなければずっと続くけど、言ってしまったら終わってしまう言葉とかあるじゃないですか。言葉にしたがあまり、取り返しがつかなくなる言葉とか。

708:恋愛においても、長く続くとなあなあになることがあるけど、言葉にしたら終わってしまうことってありますよね。恋愛に限らず、バンドでも仕事でも生活でも、何においても言えることではありますけど。言葉って人間の関係性を変えてしまうなって。

2YOU:「ばけのかわ」では何のことを歌ってるのですか?

はたけ:私は相変わらず深いことは考えないでポップに歌ってます。

708:これ、実はポケモンのミミッキュの「ばけのかわ」っていう特性からイメージした曲なんですよ。ミミッキュは可愛いけど強くて。そこからテーマをどんどん広げていった曲なんです。

カドタ:ミミッキュ、見た目の可愛さとは裏腹に滅茶苦茶強いんですよ。

 

2YOU:魔人ブウみたいなことですか?

708:ああ、そうですね(笑)。怖いけど可愛い。

 

2YOU:そうやって好きなキャラクターや物からイメージを膨らませて曲にすることってあったりします?

708:『生活』に入ってる「フランソワ」はまさにそうですね。

 

2YOU:「フランソワ」は何からきてるのですか?

708:「どうぶつの森」です(笑)。

 

2YOU:あははは。ちなみに新体制となって今のバンドの空気感はどうですか?

708:最近はよくカードゲームをしていますね。

カドタ:「どうぶつの森」がでたときは3人でやってたし、今はポケモンカードをやったり、もっと前はどうぶつの森のスマホ版、ポケットキャンプもやってましたね。

 

2YOU:えっと、ゲームの話じゃなくて(笑)。

カドタ:結局この3人の温度感は変わってないんですよ。レーベルに所属しても、新体制になっても根本は変わっていないので、陰キャながらも楽しくやっています(笑)。

 

2YOU:あ、でもゲームのタイアップとかは似合いそうですよね。アニソンとかも。

708:それはやりたい。滅茶苦茶やりたい。

 

2YOU:「今日が終わっていく」の疾走感とか、アニソンっぽさもあったり。

カドタ:ドラマじゃなくてアニソンですよね。

 

2YOU:タイアップもですけど、バンドとしてやってみたいことってあったりしますか?

カドタ:機材車が欲しいです。

 

2YOU:それはTONIGHT RECORDSに言って下さい(笑)。そうじゃなくて(笑)。

708:やっぱり今はライブがしたいですね。8月26日のRAD SEVENでのライブが半年ぶりのライブだったんですけど、こんな状況ではあるけど、早くこのアルバムを持って全国各地に行きたいです。また元気な姿でライブハウスで会えるのを楽しみにしています。

カドタ:活動の幅が広がっていくけど、音楽に対する誠実さと真摯な姿勢は忘れずに音楽を作っていきたいですね。

はたけ:生きてライブハウスで再会したいです。またみんなでライブハウス遊びましょう!

 

interviw by 柴山順次

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ハローモンテスキュー
タイトル:空白
1500円(+税)RCTN-1024
2020年10月7日発売

https://www.hellomontes9.com/