カネヨリマサル

ビクターエンタテインメント「Getting Better Records」と「TRUST RECORDS」による共同インディーズレーベル「D.T.O.30.」(DON’T TRUST OVER 30.)の第1弾アーティストとして2019年にミニアルバム『かけがえなくなりたい』で鮮烈デビューしたカネヨリマサル。女子3ピースバンドが綴る日常が描かれた楽曲が共感を得て、数多くのイベント、サーキット、野外イベントなどでその存在をアピールしてきたカネヨリマサルが早くも2ndミニアルバム『心は洗濯機のなか』を完成させた。恋をすること、夢を見ること、そして恋に夢に破れること。その経験を、強い気持ちと強い愛で音楽に消化するカネヨリマサルの強さを感じて欲しい。女の子よ、大志を抱いちゃって。

 

2YOU:今作を聴いて女の子って最高だなって思いました。

ちとせみな:あははは。嬉しい。

 

2YOU:カネヨリマサルの音楽って女の子特有の感情が表現されていて、何処か羨ましくなるんですよ。

ちとせみな:そうやって言ってもらえると私の色んな感情が報われます(笑)。

 

2YOU:『かけがえなくなりたい』リリース以降、バンドの状況も変わったと思うのですが。

いしはらめい:私達を支えてくれる人が周りに沢山増えました。色んな方がライブを観てくれたり、SNSでカネヨリマサルのことを書いてくれたり、本当に感謝しています。

ちとせみな:自分達自身はあまり変わってないと思うんですけど、お客さんに観てもらえる機会が増えたことでそこに対する意識の変化はあるかもしれないです。自分本位じゃなく、ちゃんと観てくれる人を意識するようになったというか。

 

2YOU:『心は洗濯機のなか』はいつ頃から制作していたのですか?

ちとせみな:曲は常に作っていて、今作に収録されている曲も10代の頃に書いたものから最近のものまで、色んな時期の私達の日常を綴っています。今回のアルバムの中で一番新しい曲は「今を詰めこんで」ですね。

 

2YOU:「今を詰めこんで」は言葉や距離を超える究極のラブソングだなと。

ちとせみな:「両想い」って恋愛関係以外でもあるなって思っていて。例えば言葉にしなくても、会えなくても、通じ合っていることってあるじゃないですか。そういう繋がり方があることをこの曲では歌っています。愛を打ち明けなくても生まれる関係ってあるなって。

 

2YOU:歌詞のリアリティや日常を綴るということは実体験から書くことが多いですか?

ちとせみな:はい。全部実体験ですね。

 

2YOU:恋愛も、夢を見ることも、生きることも、描かれる情景や言葉に温度があるなと思いました。

ちとせみな:やっぱり本当のことしか歌いたくないって気持ちが常にあって、それは嬉しい感情も負の感情も、どれかに絞らないで、制限もなく、そのときの自分の思ったことを歌にしたいと私は思っているんです。

 

2YOU:思春期の女の子は特に楽しいことも沢山あるけど嫌なことや傷つくこともあって、その両方を歌った上で「ガールズユースとディサポイントメント」の「女の子は走るのです」という一節が滅茶苦茶真理だなって。カネヨリマサルの歌詞にはそういうパンチラインがあるんですよね。「私は銀杏BOYZになれない」とか。

いしはらめい:多くを語らずともひとつのフレーズに全部集約させるのは純粋に凄いなって思いますね。

 

2YOU:「私は銀杏BOYZになれない」という言葉だけで色々想像が膨らみますからね。そこから歌詞を追うことでどんどん深みが増していく。それがカネヨリマサルの武器なんだろうなって。その「銀杏BOYZになれない私」の恋愛観や生き方が「ガールズユースとディサポイントメント」に落とし込まれているなと。

ちとせみな:そうやって自分の青春時代や経験を曲にすることで、負の感情も受け入れられるというか、自分自身を受け入れることが出来るようになるんですよ。

 

2YOU:それを訊く女子が共感すると。

ちとせみな:特に誰かを励まそうとか、そういう気持ちでは書いていなくて、どれも自分のために書いた歌詞なんですけど、私自身が女子なので、女子に向けて歌っているようになっているのかもしれないです。それに自分のために書いたからといって、出来上がった曲を自分のものだけにしたいとは全く思わないし聴いてくれた人にものになったら嬉しいなって思っているので、聴いてくれた女の子に私の言葉が刺さってくれたら嬉しいなって思っています。

 

2YOU:歌詞を書くことがある意味セラピーで、それを誰かにも分け与えるという。

ちとせみな:そうですね。私は私のことを歌っていますけど、聴いてくれた人が自分を重ねて聴いてくれたら、それは本当に嬉しいことです。

 

2YOU:「ガールズユースとディサポイントメント」のMVで沢山の女の子が一斉に走ってるじゃないですか。あれが本当に素敵で、あの走ってる女の子の数だけそれぞれの青春があるんだなって思うと、みんな幸せになれ!って思っちゃいます。

ちとせみな:あははは。めちゃ良いMVにしてもらいました。私も気に入ってます。

 

2YOU:夢に破れて、恋に焦がれて、傷つくこともあると思うけど、そこからどうやって次の夢を見つけるか、次の恋を探すか、そのための一歩をカネヨリマサルの音楽が後押ししてくれるなと。「白い帽子」や「ラクダ」のような失恋ソングもきっと恋する女の子の処方箋というか、救いになっているんだろうなって思います。

ちとせみな:私は自分の負の感情を消化するために曲を書いてるんですけど、人間って心を洗濯出来ると思っていて。どんなに傷ついても持ち直して生きていかないといけないじゃないですか。そうやって心を洗濯することが私にとっては曲を作ることなんです。そのことが自分だけじゃなくて、何らかの形で誰かの「頑張ろう」って気持ちに繋がっているのであれば、本当に嬉しいし有難いです。

2YOU:「まだ」も葛藤の先の決意や決断を力強く歌っていますが、これはいつ頃書かれた歌詞なのですか?

ちとせみな:これは10代の頃に書いた歌詞です。人生の過渡期というか、色んなことに影響を受けた時期に書きました。進路だったりバンドだったり、色々なことに追い込まれている中で、そんな自分に対して「大丈夫だよ」って言ってあげるように歌っているんです。10代の頃に書いた歌詞を今書いたかのように歌えるってことは、あの頃から変わってないんだなって思ったり。を4〜5年前に書いた「シリウス」も今歌っても違和感がないんですよね。

 

2YOU:「シリウス」もそんなに前に書いた曲なんですね。前作で「東京タワー見るまで死ねない」と歌っていたバンドが「シリウス」では恒星を掴もうとしていて、それは前作からの経験で培ったバンドの自信の表れなのかと思っていました。

ちとせみな:実は自信とは真逆で、自信がなくて落ち込んでボロボロの状態で書いたんですよ。そのときの自分を支えてくれたのが空に輝く星だったんです。空の星を見ていると、恋も夢も掴める気がして。自信がないからこそ書けた曲だなって。あの頃と今では状況は色々違うけど、今の自分にも刺さる曲だと思っています。

 

2YOU:今作は歌を引き立てるアレンジも印象的でした。

いしはらめい:今まではとにかく何でも詰め込んでいたり、どう盛り上げるかを重視していたんですけど、今回は歌にどれだけ寄り添うかを意識しました。シンプルでありながらやりたいことはやるみたいな。

 

2YOU:そぎ落とした分、鳴っている音全てに意味があるなと。「シリウス」のドラムの音の抜け方とか本当にかっこいいです。

もりもとさな:疾走感を殺さないように意識しました。あとは聴いてハッとする仕上げ方にもしたかったので音には拘りましたね。

 

2YOU:「白い帽子」から「ラクダ」のエモゾーンもグッときます。切なさや儚さが歌われているんだけど、それを力強い楽曲で歌うことでより刺さるんですよね。

ちとせみな:悲しいって感情だけで終わらせるんじゃなくて、その悲しい出来事を踏まえてどう前に進むか。そういう気落ちを表現出来たかなって思います。

 

2YOU:色んな経験をして、それを曲にして、同じ境遇の女の子が共感する。男子はそれを聴いて勉強する。恋愛においても、夢を見ることも、色んな側面で強く生きるための過程がカネヨリマサルの音楽には歌われていると思います。バンドとしてこれから歌いたいこと、やってみたいことはありますか?

ちとせみな:たぶんこれからも私の日常を歌っていくと思うんですけど、それを色んな人が聴いてくれたり、愛されたいなって思うので、明確に「このステージに立ちたい!」っていうのはないけど、自分達の声が沢山の人に届くようなところまでいきたいです。そういう意味で有名になりたいです。

もりもとさな:CDを出して、憧れのステージに立たせてもらったり、色んな経験をさせてもらってきたんですけど、広い野外でもやってみたいですね。

いしはらめい:私はこの3人で曲を作ることがとにかく好きなんです。今は色んなことが大変な時期ですけど、止めてしまったら終わってしまうので、これからも3人で音楽を続けていきたいです。

 

2YOU:これからも女の子の代弁者として走り続けてください。

ちとせみな:はい。女の子は走るのです。

interviw by 柴山順次

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カネヨリマサル
タイトル:心は洗濯機のなか
2020年8月26日発売
¥1600円(+税)
DTOT-1004

http://kaneyorimasaru.com/