Atomic Skipper × SideChest

2020年。バンドの在り方もレーベルの在り方も、その価値観ごと大きく変わらざるを得ない状況の中、BUNS RECORDSも例外ではなく新たな局面を迎えた。その足掛かりともいえるのがレーベル所属のAtomic SkipperとSideChestの配信リリースだ。BUNS RECORDSとしても配信リリースは初。この状況の中で音楽を届ける最前を選択したレーベル代表長崎慎の覚悟と決意をこの2作のリリースから感じることが出来る。今回2YOUではAtomic Skipper、SideChestにBUNS RECORDS長崎を交え座談会を決行。タイプの異なる2バンドと、それを擁するレーベルのグルーヴを感じ取って欲しい。

 

2YOU:コロナ以前に描いていた2020年の展開も色々あったと思うのですが。

長崎:そうですね。ライブもリリースも色々動いていたけど一旦全て駄目になってしまって。Atomic Skipperは35本あったツアーの28本がなくなったし、SideChestも6月に発売する予定だったシングルが延期になって。とにかくどう動いたら良いか全く分からなかったので何も出来なかったです。そんな中で何が出来るかバンドとリモートでミーティングを重ねる中で今までやったことのなかった配信シングルをリリースしてみようかって話になって。

 

2YOU:なるほど。ちなみにバンドはこの期間をどう過ごしていたのですか?

神門:無限に作曲していました。1日1曲は絶対作っていましたね。逆に言うとそれくらいしかやることがなかったので。

長崎:凄い勢いで曲を送ってきてたもんね。

久米:僕はその曲にベースをつける作業をしていましたね。あとは部屋の模様替えとか(笑)。

長崎:このタイミングでみんな部屋の掃除はしてたよね(笑)。なきゃの(中野)は?

中野:私は引っ越しかな。

長崎:みんなそんなんばっかりだよね(笑)。

 

2YOU:SideChestはどうですか?

伊藤:俺はパソコンを買いました。

戸田:そんな個人的なこと聞いてなくない?(笑)

伊藤:違う!パソコンで曲を作るんだって!(笑)

2YOU:スタジオには入っていたのですか?

神門:僕はデモにベースとドラムをつけてメンバーに送り付けていました。そのデモを持ってベースとドラムがスタジオに結構入っていたと思います。その成果もあってレコーディングがワンテイクで終わったので相当頑張ったんだなって思いました。

伊藤:凄いね。うちのギターとは大違い。

戸田:僕はこの期間、ずっとキョンキョンのドラマを見てましたからね。

伊藤:ほら。

長崎:どういうこと(笑)。

伊藤:戸田さんにデータを送っても全然打ち返してこないんだもん。

戸田:いや、なんかこう、波が凄くて。

伊藤:何の波?

戸田:ドラマの。(一同笑)

 

2YOU:あははは。長崎さんはレーベルとして苦しい時期だったと思いますが。

長崎:予定していたことが全部駄目になって、本当に大変でした。緊急事態宣言が出る前にアー写やMVを撮って動いていたんですけど、CDの発売自体が延期になってしまって。バンドにも会ってないし、ライブハウスにこんなに行かなかったのも初めてだったし、生活が一変しました。だからこそ緊急事態宣言が解かれてから初めてライブハウスに行ったときは味わったことのない感覚になりましたね。ちなみにバンドのみんなは何を考えてた?松岡、どう?

松岡:えっと、そうですね。あの…。え?

長崎:え!?

松岡:すみません、もう一回言ってもらってもいいですか?

長崎:絶対聞いてなかっただろ!(一同笑)

 

2YOU:松岡さんは自粛期間、どんなことを考えていました?

松岡:まずこれだけ期間が空いてしまったのが初めてだったので、久し振りにライブをするときはどんな感情になるんだろうって思っていました。この前配信ライブはやったんですけど、お客さんはいないし、反応もないし、ライブ自体は楽しかったけどやっぱりどこか寂しい部分もあって。良い経験にはなりましたけど。

中野:確かに普段中々出来なかったことにも挑戦出来たので良い経験にはなったなって思います。コロナ前はスケジュールがパンパンだったけど、時間が出来てカラオケに行って色んな曲を歌ってみたり、走り込んだり、そうやって自分を磨く時間の使い方が出来たのは良かったのかなと。

 

2YOU:久し振りに会ったメンバーを長崎さんはどう感じました?

長崎:単純にめちゃくちゃ成長したなって思いました。とくにドラムのふたりは得に上手くなったなって。

松本:うわ!急にきた!

小林:今日はこのまま喋らずに終わると思ってた(笑)。

伊藤:いや、慎さん(長崎)が気を遣ってちゃんとみんなに回してくれてるんだよ。

松本:そういうことか!(一同笑)

長崎:でも相当頑張ったでしょ?

松本:とにかく時間はたっぷりあったのでベースの久米さんとふたりでスタジオに1日8時間とか入っていましたね。

小林:今まではライブに向けてのスタジオが多かったけど、この期間は自分達を見直す機会にもなって。だからコロナ自体はマイナスなことだらけだけど、そういう側面ではある意味良かったのかなって。メンバーもそれぞれの時間をそれぞれ使っていて。

戸田:俺は寿司の配達をしてたけどね。

伊藤:俺はピザの配達です。(一同笑)

2YOU:今回の配信の曲はいつ頃に書いた曲なんですか?

神門:「ローカルヒーロー」は再録なんですけど「ロックバンドなら」は温めていたものを自粛中に書きました。僕が歌うと毒になっちゃうようなことでもなきゃのが歌うとまた違って聴こえるかなって。

中野:ちょうどこの歌詞が届いたときはバンドマンとして自分がどうありたいか分からなくなっていた時期だったのでハッとしたんですよ。だから滅茶苦茶納得しながら歌いました。

神門:僕が書いた意味としては、かっこいいことを誠実にやりたいってことで。

中野:うん。そういうシンプルなことだと思う。「ロックバンドなら」も「ローカルヒーロー」も歌ってることは一緒で、自分がどうありたいか照らし合わせながら「シンプルでいいんだな」って思って歌っています。

 

2YOU:SideChestの皆さんはAtomic Skipperの曲を聴いてどう感じました?

松岡:俺達には絶対作れないなと。

伊藤:ロックバンドがどうとか、恥ずかしくて言えないもんね。

神門:それ悪口でしょ(笑)。

伊藤:違うわ(笑)。だって俺が「あなたのヒーローになりたい」とか言い出したらギャグでしょ(笑)。

神門:確かに。

伊藤:確かにって、それ悪口でしょ。(一同笑)

 

2YOU:SideChestは歌詞の書き方がこれまでとは少し違う印象を受けました。

松岡:いつもは実体験から歌詞が出来ることが多いけど「Prima」は丸っきりフィクションなんですよ。だけどこれまでの曲のような挫折感もあるっていう。

伊藤:曲が出来る原動力は一緒だからね。幸せになりたかったり、振られたり。

長崎:じゃあ今後も曲は増えそうだね。

神門:何かあったの?

伊藤:やめとけ。(一同笑)

 

2YOU:Atomic SkipperとSideChestは対照的なバンドだと思うのですが、この2バンドをレーベルオーナーとしてどう見ていますか?

長崎:全く別のバンドだなって印象ですね。曲を作ってる2人が全くタイプの違う人間なんですよ。共通点があるとしたら、松岡となきゃのがどんな曲もポジティブに変換出来ることかなと。

伊藤:2人とも本当に凄いですよね。

神門:なきゃのの歌を聴いていると自分が歌えないことを悔しく思うことがあります(笑)。

伊藤:わかる!「松岡さんの歌、凄い!」とか言われてるのを見ると「いや、作ったの俺だから!」って思うもん。

神門:そうそう!

伊藤:「まず俺を褒めろ!」って思うよね。「松岡くんのメロディ最高」とか「それ!俺!」って思うことない?

神門:あ、いやそれはないかな。なきゃのが歌ってかっこいいならバンドとしてかっこいいってことだから。

伊藤:ちょっと!俺だけ小さいみたいじゃん!

長崎:っていうかさ、松岡となきゃのに歌われたら勝てるわけないじゃん。

神門:そうなんですよねえ。

2YOU:だから伊藤さんと神門さんはベジータなんですよね。

伊藤:え?

 

2YOU:松岡さん、中野さんという絶対的なヴォーカリストがいて、滅茶苦茶悔しい思いをしているけど、しっかり認めていて。自分が一番でいたいと思いながら「カカロット、おまえがナンバーワンだ」っていう気持ちもあるっていう。

伊藤:きっと滅茶苦茶上手い例えなんでしょうけど、すみません。ドラゴンボール、読んでないから全然分からないっす。(一同笑)

伊藤:ルフィってことですよね?

松岡:ルフィとはちょっと違うんだよなあ(笑)。

神門:でも松岡くんとなきゃのにかめはめ波を撃たれたら俺達じゃ撃ち返せないよね。

弱いから。

伊藤:弱いって言うな(笑)。

 

2YOU:今回、BUNS RECORDSとして初めての配信リリースだったと思うのですが、実際にリリースしてみて如何でしたか?

長崎:やっぱり僕はCDが好きだし、CDを作ることがポリシーでもあるんですよ。だけど、コロナだったり、時代のニーズの中で、今回は配信でのリリースがベストだったと思っています。だからってこれからCDをリリースしないってことは絶対になくて、ひとつのチャレンジとしての配信に挑戦出来たことは良かったなって。

 

2YOU:BUNS RECORDSとして守る部分と攻める部分、どちらも大切にしているのがよく分かります。

長崎:ありがとうございます。レーベルとして聞いてみたいんだけど、みんなはお互いをどう思ってるとかあるの?

小林:Atomic Skipperを観ていると若さが羨ましくなります。フレッシュだなって。

長崎:親戚のおじさんじゃん(笑)。

小林:自分達には出せない若いパワーを感じるんですよ(笑)。

松本:SideChestとはジャンルも年齢も違うけど、BUNS RECORDSとして良い関係を築きながら切磋琢磨していきたいと思っています。

長崎:どっちのバンドもそれぞれ良い部分があって、若いからこその勢いと、経験を積んでいるからこそ出来ることと、そこを見せ合って共存していって欲しいですね。勿論SUNsもmoon dropも。

 

2YOU:レーベルとしての目標はありますか?

伊藤:キャンプ行きたいです。

神門:ああ、行きたい!

長崎:そういう話じゃないでしょ(笑)。まあキャンプは常に行きたいけど(笑)。レーベルとしては、バンドにはそれぞれやりたいことを突き詰めてもらって、共有する部分は共有して、賛同してくれる人達と大きな輪を作っていけたらなって思っています。面白いことをやり続けたいです!

Atomic Skipper
https://atomicskipperoffic.wixsite.com/info/
SideChest
https://sidechest758.jimdofree.com/

nterview by 柴山順次 photo by みきちょん