Bentham


昨年11月にCDデビュー5周年を記念したベストアルバム『Re: Public <2014-2019>』をリリースし、自らの軌跡を辿ることでバンドの在り方、音楽を見つめ直し、更に前に進むためにライブ会場限定盤『DO NOT DISTURB』を完成させたBentham。人気イラストレーター兼花屋の古塔つみが手掛けた7インチレコードサイズ仕様のパッケージをライブ会場で手渡しで販売するという音楽の届け方の原点に立ち返るツアーとなるはずだった「D.N.D. TOUR 2020」は残念ながら全公演中止となってしまった。現時点では今作の発表の仕方はアナウンスされていないが、ツアー全公演中止、『DO NOT DISTURB』発売未定といった逆境の中、Benthamに話を訊く。

2YOU:まずは昨年のベストアルバムの話から伺いたいのですが。

小関:今一度Benthamを色んな人に知ってもらいたいタイミングだったのと、自分達の曲を改めてピックアップするタイミングだったのでここからまたガツガツいくためのリスタートの気持ちでベスト盤を出しました。サブスク時代にベスト盤を出す意味合いだったり、フィジカルに対しての拘りをみんなで話し合いながら曲順も選曲も全てメンバーで決めて作ったベスト盤になりました。

 

2YOU:サブスクに対してどのようなフィジカルの拘りがありますか?

小関:サブスクに対してアンチな考えもないですし、国内外の多くの人に聴いて貰えるチャンスだなっていうのは勿論あるんですけど、やっぱり僕らとしては良い曲を良い音で録ってパッケージして届けることを大事にしてきたので、ジャケットに対する拘りもあるし、手にとって嬉しいものを作りたいっていうのはずっと思っていることですね。

辻:最初から最後まで通して聴いて欲しいから曲順にも拘ったんですけど、サブスクってアルバム単位というよりは曲単位じゃないですか。だから盤で通して聴いて欲しいっていう気持ちもありますね。

 

2YOU:フィジカルの醍醐味というか、音源を盤で手にする楽しさは『DO NOT DISTURB』がライブ会場限定であることだったり、ジャケットが7インチサイズだったりすることにも表れていますよね。直接届けることを大事にしているんだなって。

小関:だから『DO NOT DISTURB』を持って全国にライブしに行こうと思っていたんですよ。その矢先にコロナで全部中止になって。

須田:デジタルな方向にどんどん発展していく中でアナログなことをしようってタイミングだったんですよ。

辻:去年の年末くらいから曲も含めて仕込んでいて、2月の段階ではリハーサルにバリバリ入っていたので、まさかこんなことになるとは。

 

2YOU:今作を聴くと今の状況や情勢とリンクする部分が多い気がしたんですけど、年末から制作していたということは偶然なのですか?

小関:そうですね。全く意識していなかったです。自分でも「持ってるな」ってくらい歌詞がリンクしてるなと思いました(笑)。

 

2YOU:今作はメンバー全員が曲を作っていますがイメージの擦り合わせなどはあったのですか?

小関:コンセプトは特になくて、今のBenthamのナチュラルな部分をライブに来てくれる人に手に取ってもらうことだけ意識していました。それが自然と今の状況とリンクしたのは凄くリアルなことだなって思います。

 

2YOU:改めて今作をどう捉えていますか?

小関:今回初めてセルフプロデュースでの制作だったので、自分達の技量や作曲能力を再確認出来て、僕らって良くも悪くも邦ロックの音楽シーンに本当に振り回されてきたと思うし、振り回されてしまうような心持ちでやっていたので、メンバーに対して申し訳ないなって気持ちがずっとあって。そういう意味では今作は何にも捉われず、ゼロからイチを作る作業を怖がらずにやれた作品が作れたと思います。ここまで時間はかかりましたけど。

 

2YOU:今、邦ロックシーンという言葉がありましたけど、そのど真ん中というか、渦中にいながらどう感じていました?

小関:今思えばなんですけど、シーンのど真ん中に入り込んでいったとき、僕らは全然ど真ん中じゃなかったんですよ。Benthamって割と変化球を投げるタイプだし拘りが強いんですけど、そこを多少曲げてやっていた時期が少なからずあって。でもその遠回りも必然だったというか、その中で色々話し合ったり感じ合ったりしながら邦ロックというシーンの中で戦ってきたことは僕らの証でもあるし、じゃあここからどうするんだっていうのが今は大事なのかなって思っていますね。正直、今バンドに滅茶苦茶自信があるんですよ。「僕らなんか」っていうスタンスでは全くないので。だから敢えての会場限定盤を出したし「ライブが良かったら買ってよ」くらいのテンションだったので…。コロナファックです(笑)。

 

2YOU:このタイミングでの会場限定盤ですからね。しかもライブ会場で販売することに物凄く意味がある作品なので。

小関:そうなんですよ。この作品に詰め込んだものって、ライブ会場ありき、ライブありき、ジャケットありきなので。そこを度外視するのもなって。でもさすがに度外視したくなっていますけど。こういう状況なので。

 

2YOU:どの選択も全部正しいと思いますよ。でもこの作品はライブハウスで手に取ったときにやっと完成するのかなって思ったり。

辻:そうですね。今回完全にハンドメイドというか「メイド・イン・ベンサム」みたいな作品になったし、なんならCDを梱包する作業まで自分達でやったので、やっぱりそれをライブ会場に来てくれた人に手渡しで渡すことが僕らの拘りというか。その手作り感をちゃんと味わって欲しいとは思います。

 

2YOU:さっきも話に出ましたけど、デジタルの時代に物凄く温度を感じる作品だと思うので、ライブハウスで皆さんから受け取りたいですね。

鈴木:本当に早くみんなに手渡したいです。

須田:僕らもこんなにライブをしなかったことは初めてだし、ライブを観に行くことも出来ていないので、ライブ欲求が溜っているんですけど、不要不急の話じゃないですけど、無いなら無いでいい人もいる中、ライブがあることでプラスのなることって沢山あると思っていて。そこは最近凄く考えています。

辻:ライブってやる側も観る側も素になれる場だと思うんですよ。例えば僕だったらベースを弾くことが一番素になれるし、人に向かって発信出来る手段なんです。僕らがバンドを始めるずっとずっと前から根本は変わってないと思っていて、それこそビートルズとか、50年代の人達は最初はライブがメインで、色んな人に聴いてもらいたいからレコードを作って、何周もしてそこに辿り着いているんじゃないかなって。だからこそ演奏する場所を失くしちゃいけないし、今回気付くことは多かったですね。

鈴木:やっぱり人前で演奏することが僕らの根本にあるので、そこが無くなるのは辛いですね。無観客配信のライブもやったんですけど、やってみてお客さんがいるといないとでこんなに違うってことも気付かされたし。逆に今までのライブは本当にお客さんと一緒に作っていたんだなっていうのも分かったり。僕らがやりたいのはそうやって一番近い距離でコミュニケーションを取りながら一緒に作る音楽なんだっていうことが会場限定盤を作ったことだったり、ライブが出来なくなったことでより明確になりましたね。

小関:だから本当に早くこの作品が皆さんの手元に届くといいなって思っています。直接届けたいですね。

 


Bentham
タイトル:DO NOT DISTURB
KOGA-220
2000円
ライブ会場限定盤

https://www.bentham-web.com/

interview by 柴山順次 edit assistant by 田辺