ライブハウスの現状報告と対策

コロナウイルスの蔓延により窮地に立たされたライブハウス。「3密」と呼ばれる条件に当てはまる業種であり、さらにクラスターが発生したことでその経営を自粛せざるを得なかったライブハウスで再び音を鳴らすためには何をすべきなのか。名古屋にてライブハウスを営む代表者にライブハウスのこれからと対策を話して頂きました。ライブハウスの火を絶やさぬために今考えなければいけないこと。

 

2YOU:2月末から3月にかけてイベントのキャンセルが増え、営業自粛に入られたお店も多いと思うのですが。

早川:E.L.Lは万全な対策をしながら数本だけライブをやりましたけど、基本的には演者さんやイベンターさんに延期をお願いしておりました。主催者さんによってはイベントをやりたいとおっしゃる方もいましたので、特典会のような人と人が触れ合うものに関しては完全にNGにするなど、対策をしながらやるものはやるといった感じでしたね。

長尾:RAD CREATIONはイベントの主催者に委ねていました。3月になってからはキャンセルのイベントも増えましたが、主催者が開催するといえば普通にライブはやっていました。

黒崎:HUCK FINNも3月いっぱいは主催者に委ねることが多かったのですが、4月に入ってからは完全に空気が変わったので、主催者や出演者がやりたいと言っても、こちらからお願いしてライブを中止または延期にさせてもらっていましたね。

中井:UP SETも一緒ですね。正直3月の断簡では、まさかここまで長引くとは思っていなかったんですけど4月になってからはこれはもう営業出来ないなと判断しました。

本多:CLUB ROCK’N’ROLLも同じスタンスです。

池山:THE BOTTOM LINEは全ての公演が主催者様判断でやらない方向で進んでいたのですが、延期なのか、中止なのか、そこをライブハウスとしても、主催者様としても決めかねていた状態でした。

斎藤:HeartLandは2月29日から止めているんですけど、実は大阪のライブハウスでクラスターが発生しましたが、そのアーティストが出演する予定だったんですよ。そういう経緯もあってイベンターが入っている公演も含め、安全第一で、小屋としてはやらない方向で決定しました。

木田:最初に要請が出された2月末の段階ではDIAMOND HALL、APOLLO BASEともに、まさかここまでになるとは思っていなかったので、3月中旬まで大人しくしていれば、その後はやれるんじゃないかって思っていました。今思うと甘い考えだったんですけど。結果的に2月28日からライブ営業は止めて、延期になった公演がまた延期になって、という状態でした。

田中:MUSIC FARMは3月末まで「なんとかなるさ」で営業していました。勿論出来る対策はしていましたがギリギリまで足掻いていましたね。4月に入ってからは流石に状況も変わりましたけど。

 

2YOU:ライブ営業が出来ない期間は皆さんどのように過ごされていましたか?

長尾:弊社はライブ営業だけでなくアーティストのマネジメントやグッズ工場も運営しておりますので、割り切って動いていました。ただレーベル部門のスタッフは仕事があるけど、音響スタッフは仕事がないので休業してもらったり、社員によって様々でしたね。

斎藤:出勤形態によって国からの保証がどうなるのか、そこを意識しながら、4月は社員を中心にひたすら掃除をしたり事務作業をしていました。自粛要請が出てからは何も出来なくなったので、配信ライブも含めて全てがストップしましたね。

織部:ZIONも4月からライブ営業を停止して、Tシャツを作っていました。

中井:正直、中止や延期の事務作業がいっぱいで4月はずっとその仕事で追われていました。スタッフには極力出社しないようにしてもらっていましたね。

早川:E.L.Lもひたすら延期と中止の対応でした。それが仕事の9割でしたね。

新川:stiff slackは3月に前のレコードショップから移転しましてレコード屋とライブハウスの融合系として3月27日にオープンしたのですが、本来、そこから6月1日までをライブハウスのプレオープンイベントと考えていたんですね。でも自動的に出来なくなり、全部中止になりました。だからライブハウスとしての営業を始めることも出来なかった状態です。

 

2YOU:4月のタイミングでライブが出来たお店はありますか?

榊原:MUSIC FARMは4月6日までライブはやっていました。

田中:とは言っても、お客さんゼロの公演も2本くらいあって。それでもライブがしたいっていう気持ちに店としては応えたかったので。

橋本:RAD HALLも4月3日に1本公演がありました。でもやはり結構叩かれましたね。

 

2YOU:やはり風評被害も大きかったですか?

斎藤:営業の問い合わせに「こんな状況でもやるのか」という問い合わせは頂きました。逆に「やって欲しい」という声も頂いたりはしましたけど。

近藤:元々ライブハウスはイメージ的に良いとは思っていないんですけど、そこでクラスターが発生したことが拍車をかけたのかなと。でも今はもう、接客を伴う業種はみんな矢面にあげられていると思うし、病院にしろ、スポーツジムにしろ、みんな一緒だなって思っています。ただ、国や政府の言う「こうしてください」に一番当てはまらない業種はやっぱりライブハウスなのかなって思いますね。なのでその中でライブハウスがどう営業をしていくかが今後の課題なのかなとは思います。

 

2YOU:どう対策するかですよね。クラスターが出ない対策なのか、ライブをするための対策なのか。勿論両方だとは思うのですが。

綿谷:そうですね。実際、6月からは地元バンドのブッキングを中心に営業を再開していて、ステージ位置だったり入場人数を制限するといった対策をとっているのですが、皆さんはどうですか?

矢神:うちも6月は2本だけライブがあって。対策としてはステージにアクリル板を立てて、人数も制限して、マスクと検温と消毒はマストという感じですね。

綿谷:うちは更にフェイスシールドの配布も視野に入れています。

田中:なるほど。MUSIC FARMはヴィジュアル系のバンドは多いので、フェイスシールドは問題でもあるんですよね。なのでキャパだったり、その他のやれることに取り組んでやっていくしかないのかなと。

 

2YOU:やはりキャパを制限せざるを得ない状況ですか?

近藤:まずは国が出しているガイドラインと、県が出しているガイドラインのどっちを守ったらいいのか分からない。椅子を置くのか、スタンディングなのか。動いちゃ駄目って言われても、それが成立するのか。距離だって物理的に取れないライブハウスもあると思いますし。なのでそこは個々で基準を考えるとして、クラスターが出たときの対処法だけは統一出来たらいいのかなとは思いますね。ライブハウスをハシゴするお客さんもいると思うので、クラスターが発生したときの対処だけ共有したいなと。

中井:クラスターが出たときにどうするかを決めないで営業をしていても万が一の際に世間を納得させられないと思うんですよね。

綿谷:なので出たときの対処ですよね。入場時に個人情報を書いて頂いて保健所に開示する場合があることを伝えるとか。

平野:全国の知り合いのライブハウスにサンプリングしたんですけど、県によって温度差があって。宮城県のように県が積極的に動いている県もあれば、関東のように東京の動向を見ている所もある。大阪は吉村知事が積極的に動いていて、無観客ライブに対する補助金が70万円出ますし、福岡も50万円出るようです。逆に広島や四国に関しては非常に消極的。松山は金銭的なフォローもなければガイドラインもない。ではそんな中で、愛知県はどうかと言いますと、我々の業種には全くそぐわない、いかにもお役所が作ったガイドラインだなという印象です。だからそのガイドラインを守ることだけでなく、クラスターが発生したときの対処法をどうするかだと思っています。

斎藤:まずは何か起きた際に連絡が取れることが大事だと思いますね。だからお客さんの個人情報を聞くことはマストなのかなと。本当は大阪のようにQRコードを県がやってくれたらいいんですけど。でも自分達でやるしかないので、そこは共有出来たらなと思いますね。

木田:個人情報を何処まで聞くか、そのラインは決めたほうがいいかもしれないですね。ライブハウスによって違うと混乱するかもしれないので。

長尾:ライブに参加して頂く方全員の個人情報を聞いておかないと、もしクラスターが発生したときに「対策してないじゃん」と言われてしまう。何かあったときに情報をすぐ保健所に提出出来る状態にしておくことが重要だと思います。

斎藤:うちは入り口にQRコードを読み取ってもらって個人情報を提出してもらいますね。

綿谷:QRは入場前にやるんですか?

斎藤:スマホでかざしてもらって、そこに打ち込んでもらうだけなので並んでいるときにやってもらうのが一番なのかなと思っています。

中井:スマホを持っていない人もいると思うので、身分証明書を提示してもらうとか、何パターンか方法がないと駄目ですよね。

矢神:TIGHT ROPEは独自でそのシステムを作ったんですけど、みんながてんでバラバラなことをしていたらいけないので統一した方がよくないですか?SPADE BOX、HeartLandは独自のシステムですか?

斎藤:Googleフォームを使っています。

矢神:ああ、なるほど。Googleだったらみんな出来ますね。

平野:個人情報を集めることは問題にならないだろうか?

斎藤:個人情報の使用目的をしっかり提示していれば問題ないかと思います。勿論扱いは慎重に。

田中:あの、単純に聞きたいのですが、例えばクラスターが出たとして追跡するのはライブハウス側なんですか?国がやるんですか?

近藤:クラスターが出たという情報があったら店側が登録者に〇月〇日にクラスターが発生したので保健所に行ってほしい伝えるんじゃないのかな。

田中:それ、ライブハウスがやるんですか?

平野:その件ですが、3月にとあるレストランで食事をした際に、後日「クラスターが発生しました」と連絡がありました。勿論保健所は保健所でやると思いますけど、レストランはレストランで対処していたので、ライブハウスで起きたことはライブハウスでも対処すると現時点では思っています。

木田:知り合いが感染したんですけど、近しい人には保健所から「あなたは濃厚接触者です」と連絡がありました。その連絡を迅速に行うためにもライブハウスは常に資料を提出出来る準備をしておくことが大事だと思いますね。

綿谷:何処から来ているか把握するためにも住所は絶対マストですよね。

中井:何が必要か愛知県に聞いたんですけど「連絡が取れるようにしておいて下さい」と言われたました。あとは各自で判断してやってもらいたいと。

新川:名前、住所、電話番号、メールアドレスを記入して頂いて、最後にIDチェックまで出来たら制度が上がるかなと。なのでstiffslackは説得力を上げるためにもIDチェック項目を入れようと思っています。

矢神:スマチケみたいに事前に登録して買って頂けると情報が分かるんですけど、そうなると取り置きではなくチケットの売り方もWEBで管理した方が分かり易いですよね。

中井:ぷらっときたり当日券を買ってくれる人もいるので、そういうお客さんにはその場で記載して頂いたりQRを読み込んで頂いたり、対策は何パターンも用意しないといけないなとは思います。身分証明書の写真を撮るとか。書いて貰っでも連絡が付かないじゃ意味がないので。

新川:IDの写真を撮ることが法的に問題なければそれが一番分かり易いですよね。

中井:必ず2週間で情報は破棄すると決めるとか。

黒崎:どちらにしても現時点でシステムを持っていないHHUCK FINNはGoogleで簡単にやれるならそこを統一するのが一番なのかなとは思いますね。携帯を持ってない方のみ手書きで書いて頂いて。

木田:Googleフォーム、簡単に出来ますしね。ただ会場によって規模が違うし各ライブハウスで事情は違うので、最低限統一することは決めたいですね。

矢神:個人情報、プラス検温。それは最低限やりましょう。それ以上は各ライブハウスが決めたらいいと思います。

平野:自分達の意見を役所に届けるためには個人ではなく集合体であるべきだと考えています。だから今日集まったことを協会のようなものに発展させていくことは大事だと思いますね。実は僕もそれを何回もやろうとして失敗してきたんです。でも今こそみんなで情報を共有してライブハウスを存続させないといけない。我々が倒れたらアーティストは表現の場を失います。アーティストが活動する場がなくなれば我々も飯のタネを失います。そうならないためにもみんなで情報交換しつつ、ライブハウスを守りましょう。


Electric Lady Land / ell.FITSALL / ell.SIZE
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平野 / 早川


CLUB UP SET
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近藤 / 中井


CLUB ROCK’N’ROLL
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本多


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SPADE BOX / HeartLand
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APOLLO BASE
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野口 / 木田


TIGHT ROPE
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HUCK FINN
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THE BOTTOM LINE
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R.A.D / RAD HALL / RAD SEVEN / Party’z / Toys
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