アイビーカラー

2016年2月に始動した大阪ノスタルジックピアノバンド、アイビーカラー。「永遠の愛の発信者」として数々のラブソングを発信してきた彼らが今年2月に発表した配信シングル『春風 / L』でバンドの新たなフェーズに突入した。これぞアイビーカラーという「春風」に対し、「L」で見せたこれまでとは明らかに違った表情。このシングルを引っ提げて開催予定だった3ヶ月連続東京企画「東京、春告げる風」は新型コロナウイルス感染症の影響で延期となってしまったが7月の延期公演に向け、改めて『春風 / L』について話を訊くことにした。バンドが大きく成長していく中での進化を感じて欲しい。

 

Q.最後にライブをしたのっていつですか?

佐竹惇:2月28日ですね。もうそろそろ約3ヵ月経っています。ここまでライブがないのは初めてですね。

 

Q.活動自粛中は何をされていますか?

佐竹惇:僕は家でずっと曲を作っています。でも逆に言うとそれくらいしかしていないかも。

碩奈緒:私も家でベースを弾いてるか、ドラマやアニメを観てるかですね。

酒田吉博:僕はドラムなので家で叩く訳にもいかないんですよ。かといってスタジオに入ることも出来ないので、とにかく楽器を触りたいです。

佐竹惇:曲を作っていてもやっぱりどこか上の空なんですよ。先が見えない中での曲作りなので、曲が完成しても今までのようにみんなに発表する訳でもなく。色んなことが予定通りにいかないんじゃないかっていう不安がとにかく大きいです。

 

Q.活動初期に掲げていたバンドの理想にこの1年くらいで近付いてきた印象もあって。その分、余計に辛いですよね。

佐竹惇:当初実現出来る兆しもなかった東京でのワンマンや、地方でのライブがソールドアウトすることとか、目指していたものに凄いスピードで近付いているのは自分達でも感じていました。でもそうやって階段を上れば上るほど、もっと先の景色が観たくなるし、それがどれだけ難しいかも感じるようになりましたね。

 

Q.近付いたからこそ壁の厚さを感じると。

佐竹惇:どんどん分厚くなっていきますね。

川口彩恵:今の状況なのでどうなるか分からないんですけど、決まりかけている大きなライブやワンマンもあったりして、今までとはまた違う不安もありますね。大きな会場にお客さんが全然来なかったらどうしようとか。

碩奈緒:不安もあるけど、この1年で明らかに私達のライブに足を運んでくれる人が増えたのは実感としてあるし、ライブハウスに来ない方にまで広がった印象もあって。なので私個人的にはこれからのアイビーカラーでどんな景色が観れるか楽しみです。

川口彩恵:どんどん会場が大きくなっていくことで、それに見合った成長をしていかないとなって凄く思っていて。不安だし、もっと頑張らないといけないなって。

 

Q.でも明らかに表情は変わりましたよね。

佐竹惇:レーベルが色んな機会を与えてくれて、自分達でも意識が変わっていくのが分かったんですよ。どっしり具合とか。

 

Q.そのどっしり具合は「L」に凄く表れていますよね。これまでとは明らかに違うなと。

佐竹惇:「L」はこれまでアイビーカラーが手をつけたことのないようなものを作りたかったんですよ。「春風」はかなり前からやっている曲で、なんならアイビーカラーより前にやっていたバンドの頃からあった曲なんですけど、吉博が入ったことでバンドに変化があったので、今の4人で「春風」をやったらどうなるか試したかったんです。そこに対して、「L」では吉博のバックボーンも落とし込みつつ、今の4人だからできる音楽を作ってみたかったんです。

 

Q.歌っている内容もアイビーカラーの持つパブリックイメージとは真逆で。

酒田吉博:最初に歌詞を読んだときは意外だなって(笑)。

佐竹惇:でも以外とすんなり歌詞が出てきたんですよ。

 

Q.アイビーカラーの歌うラブソングは恋愛の綺麗な部分を歌ってきたと思うんですよ。でも恋愛って綺麗なことだけではないじゃないですか。その部分を「L」では歌っていて。

佐竹惇:そうですね。僕らって結構清純派のイメージというか、爽やかそうって言って頂くことが多くて。そういうイメージを確立出来たのは勿論嬉しいんですけど、100パーセント清純な訳ではないじゃないですか。人間なので。そういう意味でも「L」ではもっと人間味を出した部分も見て欲しいです。

 

Q.そこを曝け出す怖さはなかったですか?

佐竹惇:受け入れてもらえるかは不安な部分もありました。でもバンドのアレンジが加わって力強い曲が完成したので自信もあったし、こういう側面も見てもらいたかったので不安はなくなりました。

碩奈緒:最初に惇がこの曲を持ってきたときは主人公が男性だったんですよ。でもちょっとクズな感じが凄くて(笑)。

佐竹惇:あははは。クズな感じ(笑)。

碩奈緒:このままだと最低な男の歌になるから主人公を女の子に変えたらどうかなっていう提案をしたんです。その方が女の子が聴いたときに共感を得られるんじゃないかって。

 

Q.「待ち合わせは現地で」とか「煙草とシャワーの往復」とか、生々しい描写もあり。

佐竹惇:確かにクズですね(笑)。でもクズな男を応援したい気持ちが僕にはあって。「あんな男は最低」とか女性シンガーに悪く言われがちじゃないですか。だったらその逆があっても面白いかなって。だから本当に性格が悪いのかもしれません(笑)。

 

Q.ちなみに「L」というタイトルにはどういう意味があるのですか?

佐竹惇:これはシンプルにラブホテルの「L」です。

 

Q.なるほど。余計に「春風」のピュアさが際立ちますね(笑)。

佐竹惇:確かに(笑)。

 

Q.「春風」は小、中学生の頃に好きだった子のことを思い出しました。いや、好きだった子というより、その子と一緒にいた景色とか場所とか、そういう間接的な風景が浮かぶ曲だなと。

佐竹惇:そう、そうなんですよ。そういう青春時代の風景って焼き付いているじゃないですか。そこを表現することが自分にとっては凄く大事なことだったりするんです。「L」の世界感とは対照的ではありますけど、「春風」は自分が表現したいことがはっきり出た曲だと思っています。だからこそ「L」が燃えるんですけど(笑)。

 

Q.みなさん、「春風」のような中学生の頃の思い出はありますか?

酒田吉博:ないです。

佐竹惇:即答(笑)。

酒田吉博:無でした。

佐竹惇:あははは。僕は生意気にも中2の頃に初めて彼女が出来たんですけど。

酒田吉博:早くない?

佐竹惇:今はもっと早いんじゃない?小学生でもスマホを持ってる時代だから、お付き合いし易いんじゃないかな。

酒田吉博:怖!

 

Q.「春風」はその頃の描写ですか?

佐竹惇:そうかもしれないですね。初デートの景色とかってやっぱり覚えていて。学校帰りにちょっと歩いた堤防の風景とか。初恋の人と過ごした時間や景色や目に焼き付いたものってみんなそれぞれあると思うんですよ。その景色を描いているから「春風」には気持ち意外の風景の描写が多いんだと思います。

Q.聴く人も自分の景色と照らし合わせて聴けるから感情移入するんですよね。だからアイビーカラーの曲って、全部自分の曲になるんですよ。

佐竹惇:ああ、それは凄く嬉しい。

 

Q.そういう意味でも「L」は衝撃だなと。これは実体験なのかなって勘ぐる人もいるかも(笑)。

碩奈緒:実体験だったらめっちゃクズですよね(笑)。

酒田吉博:この歌詞を初めてもらったときは「惇、こういうことしてるのかな」って思いましたから(笑)。

佐竹惇:もしかしたら女性に嫌われるかもしれない(笑)。

川口彩恵:でも私は逆に入り込みやすかったです。この歳になると「春風」より「L」の方がリアリティもあるじゃないですか。

 

Q.さらっと爆弾発言が出ましたけど。

酒田吉博:彩恵ちゃんに何があったんや(笑)。

佐竹惇:あははは。でも単純に「L」のような曲が音楽的にも好きなんだろうね。みんなのアレンジの力の入り方が凄かったし。

酒田吉博:個人的には王道Jポップとか恋愛ソングを聴いてこなかったからね。だからこういう曲の方が自分は作り易いっていうのもあるかも。

 

Q.吉博さんの個性やバックボーンが加わったことも「L」を生んだ要因になっているのかもしれないですよね。

佐竹惇:それは大きいと思います。

 

Q.今回、「春風」と「L」で大きな二本柱を提示したと思うのですが、まだ見たことのないアイビーカラーが出てくる可能性もある訳で。

佐竹惇:これからのアイビーカラーを考えたとき、今までの何倍も曲を作っていく中でむしろここからどんどん新しい側面が出ていく気がしています。出していかないといけないと思うし。その中で根っこにある「春風」のような世界観を大事にしつつ、「L」のような裏切りもしていきたいです。色んな側面から成長していきたいので楽しみにしていて下さい。

配信Single「春風 / L」

2020.02.09 release RCTN-1018

 

http://ibecaller.com/

interview by 柴山順次