interview by 柴山順次
2016年、名古屋にて結成された男女混合5人組ロックバンド、カヨ。ポップクィーン、サアヤの個性、楽曲制作の舵を取るワカの雑食性、各々の個性で楽曲を彩るイケヅ、モリシタ、ヒロミのオリジナリティ溢れるアプローチが奇跡的なバランスで落とし込まれた、ジャンルでは括れないカヨサウンドは唯一無二。2018年にリリースされたミニアルバム『PANIC COLLECTION』ではその雑多な音楽性を見事にコンパイルし、カヨというバンドのポテンシャルを見せつけた。そして2019年末に発表したシングル「WAKE UP!」「Catwalk」では80年代ポップスを現在にアップデートしたロック×ダンスミュージックを展開。無限の可能性を秘めたカヨを代表してサアヤ、イケヅタクマに話を訊く。
Q.カヨはどのように始まったのですか?
サアヤ:ドラムのワカが私の大学のサークルの先輩なんですけど、その頃から私はずっとワカとバンドを組みたいなって思っていて。でもその頃はワカが違うバンドをやっていたから一緒にバンドは出来なくて。その後、私はバンドメンバーを探しながら1人でアコースティックライブとかをしていたんですけど、ある日、本当に偶然にワカと名古屋の交差点でばったり会ったんです。久し振りに会ったら「今はバンドをやってない」って言うので、その場で「一緒にバンドをやろう!」と誘ったのがカヨの始まりです。ヒロミとモリシタは地元のライブハウス岡崎カムホールで知り合いました。
イケヅ:僕もサアヤとワカと同じ大学のサークルだったんですけど、カヨに入ったのは後からで。
サアヤ:今のメンバーが揃ってからは2年くらいですね。
イケヅ:キーボードがいた時代もあったり。結構色んなことを経て今に至ります。
Q.散々言われてきたと思いますが、カヨというバンド名からメンバーにカヨさんがいると思われることも多いのでは?
サアヤ:「カヨさんはボーカルですか?」って滅茶苦茶言われます(笑)。カヨっていうバンド名にはそんなに大した意味はないんですよ。ただ私が長いバンド名や横文字のバンド名だと覚えられないっていう(笑)。それで3文字以内のバンド名にしようと思ってパッと浮かんだのがカヨっていう言葉だったんです。意味は全くないんですけど。
Q.人名じゃなくて記号的な言葉なんですね。
イケヅ:そういうニュアンスですね。
サアヤ:カヨってかっこいいしかわいいじゃないですか。それに「誰がカヨさんですか?」って言われるのもトピックになるなって。
Q.じゃあ僕もまんまと引っ掛かったわけですね(笑)。
サアヤ:ははは。引っ掛かりましたね(笑)。まあ、一番の理由はバンド名も覚えてもらいたいから2文字にしたっていうことです。
Q.楽曲もジャンルレスというか、ボーダーレスなので、そこに記号的なバンド名がつくことでより世界観が強調される気もしますね。
イケヅ:好きな音楽がメンバー全員バラバラなんですよ。曲はワカが基本的には作るんですけど、そこに対してメンバー各々が好きなようにアプローチすることでジャンルレスな音楽が出来上がるんだと思っています。
サアヤ:「カヨはこういうバンド!」っていうものがあるんじゃなくて、作り出した音楽がカヨっぽいものであるかどうかを大事にしているんです。その結果、どんな音楽が生まれてもこのメンバーが作ったものが唯一無二なものであればそれがカヨの音楽なんだって自信を持って言えるなって。
Q.昨年末にリリースされた「WAKE UP!」には衝撃を受けました。ここを掘り下げるかと。
サアヤ:あははは。今回は割と挑戦な部分もあるんですけど、結果的にはちゃんとカヨっぽい曲になったなと。色んなことに手を出しているように見えるかもしれないですけど、自分達の中では今回の曲もちゃんとカヨっぽい曲になっているんですよね。
Q.自身ではカヨっぽさって何だと思います?
サアヤ:歌詞の面においては嘘をつかないで自分を追求することがカヨの世界を作り上げていると思っています。メンバーも自分の個性を楽曲に落とし込んでいるけど、そこに最後に私が私の中から湧き出てくるものを歌うことでカヨが出来上がるんだなって。そこをずっと追求しているし、リアルなものを作りたいと思っています。
Q.「WAKE UP!」「Catwalk」は80年代っぽいアレンジや音像が印象的ですが。
イケヅ:実はこういう攻め方はミニアルバム『PANIC COLLECTION』でも少しだけやっていて。あの作品に入っている6曲って見事にバラバラだったと思うんですけど、その中でも今回のシングルのような超ポップス的なニュアンスの曲もあって。そこを強く打ち出したのが「WAKE UP!」や「Catwalk」なんです。
Q.「WAKE UP!」のミュージックビデオも80年代感があって、懐かしさと何周もした新しさを感じました。
サアヤ:ミュージックビデオはまさにそういうイメージですね。
イケヅ:でも古い音楽をやってるイメージはそこまでなくて。逆に70年代とか80年代の音楽って今またリバイバルしてるじゃないですか。僕らもそういう音楽を今聴いて影響を受けているので、古い音楽をやっている感覚ってあまりないんですよね。そこがまた面白いんだと思います。
Q.普段はどんな音楽を聴いているのですか?
イケヅ:本当にこれっていうのがないんですよ。なんでも聴くので。
サアヤ:浅く広いことって良くないのかもしれないけど、私は割とそっちです。何でも気になっちゃうので。あと、一番聴いてる音楽が何かって言われたら、カヨを一番聴いてるかもしれません(笑)。自分達の曲、滅茶苦茶よく聴くんですよ。だから私の中ではカヨが流行っています(笑)。
Q.サアヤさんが「何でも気になる」というの『PANIC COLLECTION』を聴けばよく分かります(笑)。
サアヤ:かっこいい音楽を聴いたらすぐにやりたくなっちゃうんです。好奇心旺盛なんですよ(笑)。流行ってるものも、マニアックなものもかっこよければ何でも聴くし何でもやりたくなるんです。
イケヅ:「これが絶対に正義!」っていうのはあまりなくて、何でもありな感じがこのバンドの良いところだと思っていて。僕がカヨに入った頃には既にそういうバンドだったし、このバンドに入ったからこそ僕自身も聴く音楽の幅が一気に広がったと思っていて。それはカヨの振り幅の広さを聴いてもらえば分かると思うんですけど。
サアヤ:「カヨの音楽性って何?」って言われると色々ありすぎてパニックになるんですよ。だから前作はそういう音楽を集めたアルバムということで『PANIC COLLECTION』だったんです。全部詰め込めることが出来たので。
Q.そのコレクションがクレヨンだとしたら、今回のシングルはその中から紫だけで描いたような。
イケヅ:まさにそういうニュアンスですね。ここまでひとつのジャンルに絞って色濃く打ち出したのは初めてなので。
Q.パーカッションビートだったり、ボーカルのエフェクトだったり、80年代テイストが素晴らしいなと。
サアヤ:歌に関しては結構挑戦でした。それも好奇心なんですけど、凄くハマったなって。そうやって、これまでやったことがないことでも興味があるものは何でもやってみて、なんとかカヨにしちゃうんです。
Q.かなり個性が強く打ち出されている2曲だと思うのですが、だからといってバンドが今後この路線でいくかというと…。
イケヅ:全く違いますね(笑)。あくまでも沢山ある色のひとつだと思います。とか言ってますけど、今後のことは自分でも全然読めません(笑)。
Q.これから出会う音楽でまた変わりそうですしね。
サアヤ:その可能性は大いにあります(笑)。最近、なんかワカが躍りたがっているんですよ(笑)。だからそのうち前に出てくるかもしれないですし(笑)。
Q.あははは。ワカさんはどんな人なんですか?
サアヤ:まさにカヨです。バンドの中で一番好奇心旺盛だし、何でも気になるし、何でもやりたがる(笑)。
Q.だからこんな曲が生まれるんですね(笑)。
サアヤ:大学の頃からワカはずっとそういうタイプの人間だったんですよ。だからこそ彼とバンドをやりたかったし、交差点で偶然会ったときにチャンスだと思ったんです。私はワカが作る音楽を歌いたかったし、ワカが作る音楽に私の歌が乗ることで何かが起きる気がしていたので。
Q.運命の交差点だったんですね。
サアヤ:まさに。ばったり会えて本当に良かったです(笑)。
イケヅ:それが今に繋がって僕もカヨとして音楽が出来ているので色んな偶然に感謝ですね。カヨとしてはこれから色んなことに挑戦していきたいんですが、やっぱり地元の名古屋を盛り上げたいという気持ちが大きくて。今年の3月に開催するツアーファイナルもワンマンじゃなくて敢えてこのタイミングで名古屋バンドだけのフェスのような打ち出し方をするんですよ。年齢を重ねる中で仲間のバンドもどんどんいなくなってきたんですけど、だからこそ僕らはまだまだ頑張りたいし、単純にもっともっと名古屋を盛り上げたい。名古屋といえばカヨと言われるくらい頑張ります。
サアヤ:やりたいことはふたつ。カヨという音楽を確立することと、名古屋を代表するバンドにカヨがなること。そこに向かって頑張っていきたいです。
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Release Information
カヨ『WAKE UP!』
2019.12.18 Release
レーベル : GARDEN CITY RECORDS
[収録曲]
01. WAKE UP!
02. Catwalk
・Apple Music:https://apple.co/36tUWKY
・iTunes:https://apple.co/36wnAew
・TOWER RECORDS ONLINE:https://bit.ly/35kelho
・Amazon:https://amzn.to/2qNikE5
LIVE
カヨ「WAKE UP!」Release Tour『起きろ!カヨマニ!』
TOUR FINAL
3/28(土)今池GROW(愛知)
時間 : 開場 15:30 / 開演 16:00
料金 : 前売り ¥2,500 / 当日 ¥3,000(D別)
ACT : カヨ / 33Insanity’sVertebra / ZOO THE ANUALL PASSPORT / ES-TRUS / しらぬい / ネノコクランク / the old kinderbook / COMETO(O.A)