OLEDICKFOGGY

日比谷公園野外大音楽堂でのワンマンを成功させバンドとして一回りも二回りも大きくなったOLEDICKFOGGYが前作フル・アルバム『Gerato』から1年9ヶ月ぶりとなる新作『POPs』を完成させた。オリジナルメンバーとしてウッドベースを担当するTAKEが持病のジストニアの治療のため無期限休養に入ることから現体制での作品は今作が一旦はラスト。『POPs』という言葉に隠された真意がメッセージとして落とし込まれた全6曲を収録した今作でOLEDICKFOGGYが提示するポップスとは。全方位に放たれまくったOLEDICKFOGGY節が炸裂する名作を生みだした6人に話を訊く。

 

Q.先ずはTAKEさん、病状は如何ですか?

TAKE:大丈夫…ではないですね。2年前くらいからスラップが出来なくなって、ピチカートで弾いていたんだけどそれも怪しくなってきて。思うように指が動かないんですよ。それで無期限休養に入ることにしました。

未来:一緒にやっていて、大丈夫なのかなって思ってはいたんですよ。もっと気にかけてあげれば良かったなって今になって思っています。

伊藤:無期限休養の話が出る前からレコーディングには入っていたから、こういうことになって「じゃあどうするんだ」ってなったんですけど、病状を良くするためには休むしかなくて。それで作品を完成させてツアーを終えるまでは一緒にやることに決めました。

 

Q.「春を待つように」はTAKEさんのことが決まってから書かれた曲ですか?

順堂:曲自体はその前に出来てたよね。

伊藤:5月くらいには出来てた。でも歌詞は聴いた人がTAKEのことだと思うだろうなって、ちょっと狙って書きました。だけどそれに引っ張られたというよりは仮歌に引っ張られて書いた部分があって。今回のレコーディングで初めて仮歌を歌ったんですよ。その仮歌に引っ張られた感じですね。普段、プリプロ自体やらないから。でもやっぱりプリプロって必要なんだなって思いました。レコーディングがかなり楽だったので。だからみんなやってるんだって。

未来:エンジニアさんにも「やったほうがいいよ」って言われたもんね。

 

Q.逆にプリプロしてなかったんですね。

順堂:プロプロするとお金かかるから(笑)。

未来:最初から頭になかったよね。でも今回やった方がいいってことが分かりました(笑)。

スージー:プリプロで録ったものを聴いてみて、そこから修正出来るから仕上がりがすっきりするよね。

 

Q.だからなのか、今作は楽曲と伊藤さんの歌のバランスというか、組み立て方というか、絶妙なんですよね。

伊藤:それはきっと仮歌があったからだと思います。歌詞も「ラララ」じゃなくて適当な言葉を最初から乗せていたので録っている段階からバランスが今までとは違ったんです。仮歌は「俺はベイシティ、お前もベイシティ」とか「みんなでベイシティ」とか適当にフリースタイルで歌っていたんですけど(笑)。でもその言葉に引っ張られて出来た歌詞もあるし。

 

Q.「Grave New World」の「君をセメタリー セメラレタリー」という歌詞はベイシティから引っ張られたのですか?

順堂:セメタリーは最初から言ってたよね(笑)。

伊藤:そうですね。「セメタリー」って言葉を思い付いて、何かいいなって。そこから広げていったのが「Grave New World」です。

 

Q.今作には『POPs』と名付けられていますが、これはポップスを体現するという意味ではなさそうですよね。

伊藤:逆にちょっと茶化すようなニュアンスですね。これ、偶然なんですけど、『POPs』って残留性有機汚染物質っていう意味があるんですよ。

 

Q.どういう意味なんですか?

伊藤:自然界に残り、なかなか分解されない有害物質。ダイオキシンとか。『POPs』で頭文字で何か意味がないか検索したら、たまたまそういう意味があることを知って、必然だったんだろうなと。

未来:なるべくしてなったタイトルだよね。

 

Q.ポップスを茶化すという意味では「不毛な錯覚」はバブルガム・ブラザーズのオマージュなのかなと。

未来:おお!分かりました?

伊藤:茶化してるけど好きなんですよ。これはバブルガム・ブラザーズの「WON’T BE LONG」と村下孝蔵の「初恋」のニュアンスなんですよ。

順堂:そこに黒人コーラス隊っぽさを入れたり。

 

Q.「エナジー」とか「トリガー」の部分ですよね。あれ、めちゃくちゃ笑いました。

順堂:笑ってくれるのが正解です(笑)。

スージー:俺と順堂君で黒人になりきってやったもんね(笑)。

順堂:ヒロ君(伊藤)のいないときに勝手にやりました(笑)。

 

Q.「不毛な錯覚」は叙情的な言葉や言い回しで滅茶苦茶くだらないことを歌っているのが面白いです。だってこれ、文学的に歌ったインポの曲じゃないですか(笑)。

未来:あははは。凄い理解力!バレてる!

 

Q.伊藤さんのドキュメントとして読み解くと絵が浮かんで笑ってしまいます。最初は上から目線なのに最後は女性に負けてるっていう。

伊藤:コンドームをつけてるときにイっちゃうみたいな。そういう悲しい歌です。

 

Q.音のバブル感と歌詞の場末感が昭和ですよね。

未来:もう令和なんですけどね(笑)。

 

Q.「Grave New World」で歌っていることも「北斗の拳」の「愛を取り戻せ」とリンクする部分があったり。

伊藤:ああ、なるほど。世界平和について歌っていますからね。

スージー:バブルガム・ブラザーズ、村下孝蔵、クリスタルキングって完全に昭和だ(笑)。

 

Q.世界平和という大きなテーマでありながら、凄く近くの話を歌っているなと。結果、それが世界平和に繋がるような。

伊藤:そうなんですよ。隣人を愛するべきなんです。世界って歌ってますけど、それはごく近くの人のことだったりしますから。そういう歌です。

 

Q.「WHY」で鳴っている音が色々と気になったのですが。

伊藤:あれはタイのピンっていう楽器を使っているんですよ。エレキ三味線みたいな。ネックはギターと同じくらいの長さなんですけどボディは小さくて。ヘッドに龍の頭みたいなのがついているのがポイントです。

 

Q.中期のビートルズっぽい音がしますよね。

順堂:ああ、シタールっぽいような。

伊藤:俺もシタールは好きだけど難し過ぎて出来ないですからね。タイのモーラムという伝統音楽をディグる収集家のドキュメントをNHKでやっていたのを見たんですけど、それで本を読んだりしてピンを知ったんです。みんな使ってるから俺もやってみようって。

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Q.この曲はドラムの重ね方も面白いですよね。

順堂:最初に録ったものにタイっぽさを出すために重ねていったんです。プリプロの段階では歌い回しにお江戸感があったんですけど、歌録りで全然違うものになったから、ドラムもモーラムっぽく重ねてみて。モーラムってスネアをやる人、シンバルをやる人がそれぞれいる練り歩きみたいな感じなんですよ。あのわしゃわしゃしたニュアンスを出す為に5テイクくらい重ねました。

 

Q.ライブではどう表現するのですか?

順堂:頑張ります。(一同笑)

伊藤:祭りみたいだよね。

順堂:そうそう。まあ、ライブでは目立つ音を拾ってアレンジすると思います。

 

Q.「レインコート」は新鮮でした。こういう変拍子の曲って珍しいですよね。

スージー:今回俺は3曲作っているんだけど、他の曲が結構かっちりしていたので変な曲を作りたくて。それでネタを探していたんだけど、明るいけどちょっと変な曲を作りたくなったんです。

 

Q.リフが印象的だからつい釣られて歌ってしまいます。

伊藤:だから歌を乗せるのは難しかったですね。1行で間奏に入っちゃうから歌詞の繋がりとか苦労しました。よっちゃん(yossuxi)が歌う曲とかは10分あれば書けるんですけど。

 

Q.今回yossuxiさんの歌う曲がないのは寂しかったです。

伊藤:よっちゃん、ソロアルバム出せばいいんじゃない? 12曲入りとか。

yossuxi:それ、聴きたい?

伊藤:シンガーソングライター、よしこ。「大塚の女」とか「大塚で生まれて」みたいなやつ作ろうよ。8cmシングルで。それをDIWPHALANXから出してもらって。

yossuxi:出してくれるかな(笑)。

 

Q.期待しています(笑)。「日々がゆく」もいいですね。これはバンドマンアンセムだなと。

伊藤:スージーが書いた曲を聴いて情けない男の歌を書きたくなったんですよ。曲が短いのでその中でどう表現するか言葉のチョイスは難しかったですけど、いい歌詞が書けたなと思います。

 

Q.「何者でも無く何者にもなれなくて…」という歌詞は上手くいかなかったライブの帰り道に聴いたらバンドマンはグッときそうですね。

伊藤:売れてないバンドマンはみんなそうでしょうね。

未来:自分は売れてるバンドマンみたいな言い方したけど、うちらも変わらないからね(笑)。伊藤:お客さんがひとりのライブとか普通にあったしね。この曲は誰かを応援したくて書いたわけじゃないけど、バンドマンに限らず、聴いて何か感じてくれたらいいですね。

スージー:この曲の語りのパートが凄く良くて、明るめのメロディにシャウトっぽい語りが乗るのが凄く合っているなと。これは大正解でしたね。

 

Q.明るいものの中に刺さるメッセージがあるのは『POPs』と名付けられた作品の中にポップなだけじゃないメッセージが含まれている今作にも合っている気がします。

伊藤:良い奴のフリして悪いことしてる奴っているじゃないですか。

 

Q.親身に相談に乗ってくれていた人が最終回で犯人だったみたいな。

未来:「ポートピア連続殺人事件」とか。

伊藤:「ムジナ」とかね。あと「アウトレイジ」も。

 

Q.そういう二面性は今作のジャケットにも表れていますよね。一見AOR的な爽やかさがありますけど中身は全く違うわけで。

伊藤:前作の『Gerato』のジャケもそういうイメージですね。

スージー:今回のジャケットも爽やかそうに見えて実は色んな意味が隠されているんですよ。

伊藤:後ろに原発があるし、きのこ雲もあるしね。

未来:言われたら気付くくらいの感じでそういうメッセージも隠れているんですよ。

 

Q.今作を引っ提げ2020年は「POPs TOUR 2020」と題したツアーが行われます。今回、ワンマンが多いですよね。

伊藤:ワンマンがこんなに続くのは初めてなので、本当に出来るのかなって思ってます。頑張らないと。

順堂:TAKEは最後のツアーだしね。

TAKE:怪我しないように頑張ります。あと悪化しないように。

伊藤:悪化はするでしょ。ファイナル、4時間だからね(笑)。

TAKE:4時間…。休めながらやります。

伊藤:まあ、嘘だけどね。よっちゃんは?全然喋ってないから意気込みを言っておいた方がいいんじゃない?ソロアルバムリリースに向けて。

yossuxi:それはまた別の機会に今後のアレとして。

未来:やろうとしてるじゃん(笑)。

yossuxi:広中さん(DIWPHALANX)、苦笑いしてるから辞めて(笑)。

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OLEDICKFOGGY
『POPs』
2019年12月18日発売
2,273円(+税)
DIWPHALANX / PX350

 

「OLEDICKFOGGY POPs TOUR 2020」
1月11日(土)静岡 沼津POCO(ワンマン)
1月19日(日)高知 CARAVAN SARY
1月25日(土)埼玉 熊谷HEAVEN’S ROCK VJ-1
1月26日(日)群馬 高崎CLUB FLEEZ(ワンマン)
2月01日(土)新潟 GOLDEN PIGS BLACK(ワンマン)
2月02日(日)宮城 仙台ENN 2ND(ワンマン)
2月08日(土)広島 CONQUEST(ワンマン)
2月09日(日)兵庫 神戸太陽と虎(ワンマン)
2月11日(祝)東京 新代田FEVER
2月15日(土)岡山 津山K2
2月16日(日)大阪 心斎橋CONPASS
2月22日(土)福岡 博多QUEBLICK(ワンマン)
2月23日(日)三重 四日市CLUB CHAOS(ワンマン)
3月01日(日)愛知 名古屋CLUB UP SET(ワンマン)
3月07日(土)大阪 心斎橋BRONZE(ワンマン)
3月21日(土)東京 新宿LOFT(ワンマン / TOUR FINAL)

https://www.oledickfoggy.net/

PHOTO : Cahbo