THE BOOGIE JACK

2020年の20周年イヤーを目前にTHE BOOGIE JACKは10作目となるミニアルバム『銀河台ディスカバー』を完成させた。2019年は自主レーベル「BURIKI’N RECORDS」を設立し完全DIYな活動を行ってきたTHE BOOGIE JACK。FREEDOM NAGOYA、TOKYO CALLINGをはじめ、フェスはサーキットイベントにも出演したことで初期からのファンだけでなく若いリスナーにもその存在を知らしめた彼らが19年目にして最高傑作を作り上げたと語る自信作『銀河台ディスカバー』は、活動を通し「生活そのものがTHE BOOGIE JACK」とヒライシュンタが言い続けてきたことを実証する作品となっている。ドラマーの青山真一がやむを得ぬ事情で一時バンドを休止する中、仲間達の支えでその歩みを止めることなくホバーボートで前に進むTHE BOOGIE JACK。来る20周年を控え、今何を思うのか。ヒライシュンタに訊く。

 

Q.THE BOOGIE JACKは来年20周年を迎える訳ですが、今作はそこに向けて放たれる作品として間違いなく最高傑作かと。

シュンタ:ありがとうございます。はっきり言ってめちゃくちゃ良いアルバムが出来たと思っています。

 

Q.バンドがメンバーの生活に根付いていることが本当によく分かる楽曲ばかりだなと。

シュンタ:10代の頃にTHE BOOGIE JACKというバンドを組んだときから、このバンドは自分の人生にとって生活そのものになるだろうなって思っていたんですよ。来年が結成20周年だって声を大きくして言っていくとは思うんですけど、大きく言いながらも自分の中ではごく自然なことだったりするんですよね。途中、活動休止した時期もありましたけど、今振り返るとバンドを組んだときに思い描いたままになったなって思っています。

 

Q.それは生活そのものになるという意味で?

シュンタ:はい。真ちゃん(青山真一)と大学の教室でTHE BLUE HEARTSが好きって話をした日の帰り道、電車に乗りながら漠然と「こいつとずっとバンドをするかもしれない」って根拠もなく思ったんですけど、今思うとあの瞬間がその後19年間続く生活の一部になった出会いだったと思っていて。大学で4年間一緒にバンドをやるとかじゃなくて、その枠に留まらない何かを感じたんです。これは本当に。

 

Q.19年間バンドをやり続ける中で休止やメンバーの脱退、そしてNAGOYA ROCK METEO開催と色んな転機があったと思いますが、活動再開後にTHE BOOGIE JACKを奮い立たせているのはNAGOYA ROCK METEOの存在も大きいのでは?

シュンタ:めちゃくちゃ大きいです。THE BOOGIE JACKは全員別で仕事をしているし家族もいるけど、ただ楽しいだけでやってるバンドじゃなくて。薄っぺらい言い方だし、こんなことを言うのはダサいけど、一生懸命やってるバンドなんですよ。家庭を持って、仕事をしながら、その全ての環境に良い訳をしないで、音楽が好きって気持ちを肯定する為にやっている。それがTHE BOOGIE JACKだし、それを形にしたのがNAGOYA ROCK METEOなんです。THE BOOGIE JACKの存在証明なんですよ、NAGOYA ROCK METEOは。

 

Q.今作の1曲目を飾る「Discover!!」はまさにライブハウスに居続けるバンドとしての存在証明のような曲ですよね。

シュンタ:ライブハウスって閉鎖的な空間だし、普通に生きていたらもしかしたらライブハウスに行かない人の方が多いかもしれないけど、少なくとも僕は20年間ずっとライブハウスにいて、そこにいる自分って、きっと本物の自分なんですよ。それはステージに立っている側だけじゃなくて、集まっているみんなもそうだと思うんです。仕事が上手くいかなくても、学校で嫌なことがあっても、ライブハウスで突き上げている腕には嘘がないと思うんです。

 

Q.そこに本当の自分がいると。

シュンタ:はい。よく「ライブハウスはストレスを発散する場所」って表現をするじゃないですか。でも僕は、ライブハウスにこそ本当の自分がいるんじゃないかなって思っていて。それは僕らもお客さんも。

 

Q.「初めて出会った本当の僕さ」という歌詞にあるように、ライブの写真にたまたま写り込んでいた自分を見て「こんな顔でライブ観てるんだ!」って思ったことがあって。「めちゃくちゃ笑って拳振り上げてるな」とか。あの瞬間に本当の自分に会った気は確かにしましたね。

シュンタ:そう、そうなんですよ。僕はステージからみんなのそういう顔を沢山見てきたから知ってるんですよ。本当のみんなを。写真を撮って全員に見せてあげたい。それくらい良い顔しているから。

 

Q.ライブ中、気付くとフロアのお客さんの顔を観てるときがあって。みんなどんな生活していてどんな思いでライブを観てるのかなとか考えてしまうのですが、「彼方のラブソング」にはそんな生活の先にある物語が描かれていて。僕は「ナイスなふたり」の続編と捉えたのですが。

シュンタ:ああ、なるほど。

 

Q.あの曲で描かれていた夫婦の何十年後の物語なのかなって。

シュンタ:その解釈は嬉しいですね。東京の祖父母が僕の住む鈴鹿に引っ越してきたんですけど、自分の何倍も生きてきたおじいちゃんとおばあちゃんを見ていると50年60年一緒にいるのってどんな感覚なんだろうって思うことがあって。実は今おじいちゃんが体調を壊して入院しているんですけど、おそらくこの50年とか60年で初めて2人が離れて暮らしていて。僕が病院に行くとおじいちゃんは「おばあちゃんはどうしてる?」って絶対に聞くし、おばあちゃんも家でずっとおじいちゃんのことを考えていて。そうやって生涯を添い遂げる夫婦もいれば、事故や事件で突然絶たれてしまう可能性もあるじゃないですか。そんなことを考えていたら傍にいる人との別れや終わりを思うようになって。だからこそ、今一緒にいる人との時間を大事にしたいなって改めて思えたし、終わりを考えることで今を感じることがテーマになった曲を書きたかったんです。

Q.「凪」は自分次第で風を起こせることを今のTHE BOOGIE JACKが歌う説得力があるなと思いました。

シュンタ:今のTHE BOOGIE JACKって追い風なのか向かい風なのかを考えたときに凪だなって思ったんです。舵の取り方次第で追い風にも向かい風になる。そんな風の吹いていない状態で、誰かの力じゃなく自分達の力で風を起こさなきゃいけないなと。そうやって今の僕らの状況をポジティブに書いたのが「凪」です。自分の中で見ている夢も、憧れも、希望もあって、それを見失わなければ前に進めると思って歌にしました。

 

Q.レーベルを初めてたことでよりリアルにそれを感じているのかもしれないですね。

シュンタ:今までの僕らってTHE BOOGIE JACKというバスにみんなで乗っていて、運転手がメンバーじゃないときもあったと思うんですよ。だけど今はホバーボートに4人だけで乗っているような感じがしていて。勿論手伝ってくれるスタッフや仲間はいるんですけど、気持ちとしてはメンバー4人だけで乗り込んでいるからこそ自分達で進めないといけなくて。

 

Q.そのタイミングで真ちゃんのライブ活動休止もあった訳ですが、そんな中、支えてくれる仲間もTHE BOOGIE JACKにはいて。だからホバーボートには4人しか乗ってないかもしれないけど、その周りにも沢山ホバーボートが並走しているなと。

シュンタ:そうそう。今回も真ちゃんがライブを休んでいる間はMA-くん(ex.ENTH)、エイジ(OVER ARM THROW)、チヨンさん(SHACHI)、フッキー(ex.VSMYBLUES/ex.NOT REBOUND/melting pot)が助けてくれて。そうやって僕らが救難信号を出したときは助けてくれる仲間がいるのは感謝しかないですね。

 

Q.THE BOOGIE JACKが前だけ見て走り続けているから仲間も一緒に走れるんだと思いますよ。「Maroon Red」で「青春は目の前だけ」と歌っているように、あの頃からずっと青春が続いているしメンバーが前しか見ていないからこそ歌える歌だと思うんです。あの頃本気で嫌がっていた「青春」という言葉を堂々と歌うことにもグッときますし。

シュンタ:あの頃は「青春」という言葉にアレルギーを感じていたんですけど、何が嫌だったかって、青春はブームじゃないしカテゴライズされるものじゃないと思うんですよ。俺達は40手前になった今も青春しているし。青春は若者のものだけじゃないし、心の底から湧き上がってくるものが青春じゃないですか。だから「みんなそうじゃなかったっけ?」っていう思いも実は込めていて。家族がいたって仕事をしていたって青春は出来るんですよ。

 

Q.現にTHE BOOGIE JACKのみんながそうですからね。

シュンタ:絵が描きたいけど仕事にならなかった人、描けばいいじゃないですか。歌が歌いたいけど食えなかった人、歌えばいいじゃないですか。そうやって夢を諦めかけてる人に「あの頃は良かったな」じゃなくて、今こそ青春だって歌いたいんです。

 

Q.そういう初期衝動や最初の気持ちをTHE BOOGIE JACKが持ち続けていることは「新栄町」から滅茶苦茶感じます。この曲を聴くと出会った頃のみんなの顔が浮かんできます。

シュンタ:僕ら、未だに新栄町で練習していますからね。この年齢になってまだ新栄町に通ってるなんて、あの頃は思ってなかった(笑)。僕は東京生まれ、鈴鹿育ち、たまたま大学が名古屋っていうだけで新栄には縁も所縁もなかったんですよ。それがバンドを始めて、CLUB ROCK’N’ROLLとAPOLLO THEATER(現APOLLO BASE)があったことで縁と所縁が出来たんです。来年結成20年を迎えるこのタイミングでそんな町のことを歌いたくなったんですよ。この町で沢山のバンドが生まれて沢山のバンドがいなくなったけど、今まさにバンドを続けようか悩んでいるバンドがいたら「THE BOOGIE JACKだってやってるから大丈夫だよ」って伝えたい。そういう思いを込めて書きました。

 

Q.そんな気持ちが込められた曲に名古屋のバンドマンが沢山コーラスで参加していることも素晴らしい。

シュンタ:先輩から後輩まで、色んなバンドマンに参加してもらいました。世代を繋ぐって言ったら自意識過剰なのかもしれないですけど、先輩にも後輩にも手を伸ばしたので団円が出来たような気がして嬉しかったです。次々と集まってくる仲間達のコーラスをミックスしながら団円が出来たなって。みんな忙しい中快く受けてくれて感謝しています。大切な曲になりました。

 

Q.19年やってきたことやこれからのTHE BOOGIE JACKが詰め込まれた濃い作品になりましたね。

シュンタ:全5曲と収録曲自体は少ないんですけど、その分どの曲も100%振り切っているので。物凄いエネルギーが集まったミニアルバムが完成したので絶対に聴いて欲しいです。ひとつ言いたいことがあるんですけど、今って音楽の聴き方も様々じゃないですか。でも今作はシンプルに買って聴いて欲しくて。心のそこからそう言えるものを作ったので、THE BOOGIE JACKをずっと応援してくれている人も、懐かしいなって思ってくれる人も、フェスでたまたま知ってくれた人も、全ての人に買って聴いて欲しい。これがTHE BOOGIE JACKの最高傑作だと胸を張って言える作品が出来たからこそ心からそう思っています。

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THE BOOGIE JACK
タイトル:銀河台ディスカバー
2019年11月6日発売
BRKRC-001
¥1500(税込)
WEB SHOP/LIVE会場限定

http://www.theboogiejack.com/