ELLEGARDENのドラマー高橋宏貴とトリコンドルのギター久米優佑によって結成された2人組インストバンド、PAM。東京と札幌という遠距離構成ながらも音源のリリースを重ねながら全国各地でライブを繰り広げ2019年9月に1stフルアルバム『How have you lived ?』を完成させた2人。テクニカルでありながらキャッチーな楽曲を武器に、まるで小学生の友達同士がキャッチボールするかのようにライブで遊ぶ高橋と久米。出会うべくして出会った2人の出会いから話を訊く。
Q.久米さんは札幌在住とのことですが、まずはお二人の出会いから教えて下さい。
高橋:Scars Boroughで北海道に行ったときに久米がやっているトリコンドルと対バンしたんですよ。Scars Boroughは今活動休止中なんですけど。それで凄く仲良くなって「何かあったら一緒にやろう」って話していたんです。
久米:俺はELLEGARDENはもろ世代だし、Scars Boroughも好きだったから高橋さんのことは勿論知っていたんですけど、実際に会ったら物凄く優しい人で。きっと失言とかもあったはずなんですけど受け流してくれたり。
高橋:あははは。久米はとにかく印象に残っていたんですよね。俺がこれまでやってきたギタリストはみんな一流だし、上手いギタリストだって沢山見てきたんですけど、久米はなんか顔が残るっていうか。不思議とどんな人よりも強く印象に残っていたんですよね。トリコンドルもインストバンドなんですけど、ギターを弾いていた久米がボーカリストくらいの存在感があって。それできっと印象深かったのかも。それで誘ったんです。
Q.札幌と東京で実際にバンドを組むことに不安はなかったですか?
高橋:今はLCCもあるしデータでのやり取りをシュミレーションしたら東京と札幌の距離でも不可能じゃないと思ったんですよ。元々俺はある程度難解なインストバンドでドラムを解放して叩いてみたいと思っていたんですけど、久米はトリコンドルというもっと難解なインストバンドをやっているし、テクニックも備わっているから一緒にやったら面白そうだなって。
Q.お互いのテクニックを見せ合うように楽しんでいるライブが凄く印象的でした。本当に2人で遊んでるみたいな。
久米:まさにライブは2人で遊んでる感覚ですね。
高橋:うん。本当に遊んでいるもんね(笑)。
Q.もの凄く高いクオリティでファミコンをしている子供みたいな、ライブを観てそんな印象を受けたんですよ。
高橋:ああ、それは嬉しいです。テクニックかライブバンドかって言ったら、俺はその両方を持っていたいし、とにかく久米と音で遊びたいっていうのが根本にありますからね。
Q.僕は生活のBGMとしてインストを聴くこともあるんですけど、PAMの楽曲は高橋さんも久米さんも主張が強すぎて何かしながら聴けないんですよ。どんどん音が飛び込んでくるしガンガン展開していくし、音楽にしか集中出来なくて。なのにめちゃくちゃキャッチーっていう。そのバランスが絶妙なんですよね。
高橋:キャッチーでありたいっていうのはPAMの根本にありますね。人の心に残るような音楽を作りたいので。インストって言葉がない分、音がダイレクトに心に刺さると思っているんですけど、より伝わり易くするためにもキャッチーさは重要だと思っています。その中でどれだけ難解なことをするかっていう。
久米:聴き込まないと分からない拘りポイントとかありますからね。サラッと聴いても分からないような。
Q.確かに聴けば聴くほど発見があるから何回聴いても楽しいですよね。
久米:1回で全容を掴むのは絶対に無理だと思います(笑)。2、3回聴いて初めて聴こえる音とかもあると思うし。
Q.あとは曲単位で聴いてもアルバム単位で聴いても展開に物語性があるのが面白いなと。歌詞じゃない部分での起承転結がしっかりあって。
高橋:そこは久米がアルバムを作る上で拘ってた部分ですね。
久米:展開がないと自分自身が飽きちゃうんですよ。だからアルバムを通して聴いたときに大きな1曲になるようには心掛けて作りました。
Q.アルバムのラストを飾る「Ray」なんて完全に字幕が流れてきていますからね。
高橋:完全にエンドロールですよね。
久米:PAMの曲は基本的に僕がデモを作るんですけど「Ray」は高橋さんとジャムって作った曲なんですよ。
Q.どの曲もギターの重なり方が凄いですけどこれはデモを作る段階からですか?
久米:そうですね。やり過ぎちゃうんです。
高橋:久米は曲を作り始めると家から出なくなりますからね。
久米:ギターオタクなんでしょうね。
高橋:それは絶対そうでしょ(笑)。
Q.久米さんがギターオタクなのはライブで機材を見たら分かります(笑)。
高橋:ツアー中に機材が進化しますからね。ライブでいきなり増えてたり。
Q.高橋さんはこれまでと全く違うタイプのバンドだと思いますけど。ドラマーとして意識することはありますか?
高橋:ずっとメロディを殺さないように叩いてきたから、どうしても癖で久米のギターを邪魔しないような方向で叩こうとしちゃうんですけど、それをやめないと2人でやってる意味がないなって思っています。ドラムも暴れないとなって。
Q.だからこその高揚感がありますよね。突き抜けるように一緒に走っていってゴールを切るみたいな。それはそのままライブでも感じました。
高橋:ライブを観てもらってそう感じてくれたのは凄く嬉しいです。ベースが同期だしカチカチなライブをやってると思われがちだけど全然そんなことにですからね。むしろ逆。めちゃくちゃライブバンドだと思っているので。あとメンバーが俺と久米の2人っていうのも良いんでしょうね。フットワークも軽いし、俺達のバランスも良いし。それは曲作りもライブも普段も。
Q.めちゃくちゃ仲良さそうですもんね(笑)。
高橋:ツアー中は毎日酒飲んでます(笑)。練習より飲む方が圧倒的に多いもんね。でも俺達にとってはそっちの方が大事なんですよ。それが結果的に良いライブを生むんですよ。
Q.札幌と東京の距離の心配はいらなそうですね。
高橋:全然大丈夫です。コミュニケーションばっちりです。
Q.ちなみにPAMというバンド名の由来は?
高橋:POINT AT MEでPAMなんですけど、指を差すって意味があって。みんなが俺達を指差してかっこいいって言ってくれるようなバンドになろうって。それでPAMと名付けました。
Q.高橋さんと久米さんもお互いの音やプレイで指差しまくっていますもんね。
高橋:本当に。あとは俺達からも「どうだ!」ってお客さんを指差してますからね。それくらいかっこいいことを2人でやってる自信がPAMにはあるんです。
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PAM
タイトル:How have you lived ?
¥2,500-(税抜)
POCS-1829