unitive

2002年の結成から2009年の解散までエモーショナルなロックサウンドを武器に下北沢を中心に全国で活動していたonsa。当時、そのバンドに在籍しドラムを担当していた大浦勝也がバンド解散後に就職したIT企業での経験をもとに独立したのが2018年。ITによる業務自動化事業を中心とした業務を続ける中、アーティストを支援するべく新たな事業を始めると彼から連絡をもらいコンタクトを取った。彼が代表を務める合同会社ベステンダンク内で始動するファンクラブのプラットホーム化事業、その名も「unitive」。このサービスが一体どんなものなのか。かつて自身もバンドマンとして全国でライブ活動をしてきた下北沢ERA界隈きってのヤンチャボーイがアーティストの為に始める事業とは。合同会社ベステンダンク代表、大浦勝也を訪ねた。

 

 

Q.まずは自己紹介をお願いします。

大浦:大浦勝也です。現在37歳です。大学1年の頃にふたつ上の先輩からジミー・イート・ワールドのコピーバンドをやろうって誘われてバンドを始めました。その延長で組んだのがonsaってバンドで、23歳の頃に『mizuiro sorairo』というアルバムでデビューしました。

 

Q.『mizuiro sorairo』は名盤ですね。当時は下北沢ERA界隈で活動していたと思うのですが、onsaの登場は衝撃でした。特に打ち上げが(笑)。

大浦:あははは。無茶苦茶でしたからね。よく怖いバンドだと勘違いされてました。

 

Q.あんなに繊細な音楽をしているのに(笑)。当時を振り返るとonsaはどんなバンドだったと思いますか?

大浦:ヴォーカルの岡やん(岡崎孝和)の歌が一番前にあるけど、一筋縄ではいかないバンドっていうか。今思うとドラマチックな曲を数多くやりたいと思っていたかなって思います。

 

Q.onsaが面白かったのはエモーショナルなサウンドと岡崎さんの伸びやかなヴォーカルの奥にハードコアの影響を感じたことだったんですよね。

大浦:岡やんはonsaの前にやっていたレトスピ(LET YOUR SPIRIT SOAR)でハードコアバンドとも一緒にやっていたし、それを僕と小山さん(小山敦史)がよく観に行っていたからハードコアもよく聴いていて。それが原点にあるし、当時のSTMで音源を売っていたバンドとかにも影響を受けていたから、そのシーンに入っていったんだと思います。onsaがSTMで3ヶ月くらいランキングに入っていた時は、ハードコアもメロコアもエモ的なバンドも混在していましたしね。良い時代でした。

Q.バンドの解散後は何をしていたのですか?

大浦:解散したのが28歳の頃だったんですけど、バンドをやっていた間はずっとバイトや派遣社員でITの仕事をしていて、その延長でバイトしていた会社に就職したんですよ。所謂ベンチャー企業ですね。そこでWEBのサービスを作ったり、色々やっていたんですけど、2017年いっぱいで会社を辞めて独立して2018年9月に法人化して今に至ります。それが合同会社ベステンダンクです。

 

Q.会社の業務としてはITによる業務自動化事業がメインとなっていると思うのですが、じゃあ何故今回2YOUで大浦さんにインタビューしようと思ったかというと、新たな事業としてアーティスト向けのファンクラブのプラットフォーム事業を始めるということでお話を伺いたいなと思いまして。

大浦:実はonsaが解散する頃から構想自体はあったんですけど、バンド活動をする中で常に思っていたことは「金がない」ってことだったんですよ。音楽をやっていたらどんどんお金が無くなっていくんですよ。普通に音楽だけじゃ食えないし、そうなってくると生活も辛いし。そこでスタジオ代やツアー費だけでもバンドの活動の中で賄えたら良いのになって何となく思っていたんです。それで考えたのがファンの方が活動を支援してくれる仕組みがあったら良いのになって本気で思ってたんです。それで去年独立したときに受託事業をずっとやっていたんですけど、それだけだとメインでやってる技術が廃れたときや時代の流れで駄目になったときに怖いし、自社で何か生み出したいと思っていたんですけど、僕が前いた会社のみんなとチャットしているときに色んなアイデアを出し合ったんですけど、結局全部ポシャって。

 

Q.どんなアイデアだったんですか?

大浦:わらしべ長者とか、聴かなくなったCDをサービスに送ってもらってプールしたお金を誰かが総取りするサービスとか。でも弁護士さんに相談したら超アウトで(笑)。

 

Q.賭博法とかに引っかかるのかも。

大浦:まさに。それで色々考えていく中で、やりたいと思っていたことのひとつであるアーティスト支援に着目して、「unitive」というファンクラブのプラットホームを作ることにしたんです。それで賛同してくれた仲間に手伝ってもらって進め始めたんですけど、実はonsaを解散する頃から考えていたことなんですよ。似たようなサービスとして、クリエイターに寄付するようなものはあったんですけど、ミュージシャンに絞ったプラットホームがないなって思っていて。それでバンドを解散して10年くらい経つんですけど、未だにそういうサービスがないってことは自分がやるしかないんだなって。

 

Q.ちなみにファンクラブのプラットホームを作ることがどうミュージシャンに還元されるのですか?

大浦:まずはファンクラブを自前で作って運営までしていこうと思うと数十万から数百万円は絶対にかかると思うんです。それをプラットホーム化して同じようなフォーマットでやることで費用を抑えることができるんですよ。なのでアーティストはサービスリリース前のアーティストの事前登録をしてくれたら永遠に利用料なしで使うことができます。プラットホーム化するということは、他のミュージシャンと差別化を図ることは難しいんだけど、逆に言うとシンプルな方がユーザーも使いやすいし横に行き易いと思うんですね。話を戻すと、事前登録してくれたバンドは無料で、サービスが開始してから登録してくれるバンドは月額500円でやろうと思っていて。なぜ無料じゃなくなるかって言うと、登録しているのに放置するようなことがないように。それでユーザーさんは300円からファンクラブに入るんですけど、その料金のパーセンテージがミュージシャンに支払われます。あとはそこで販売手数料なしの電子チケットの販売も出来るようにしようと思っています。そこはまた追ってホームページなどで詳しく説明しようと思っていますけど。あとは写真や動画の公開や販売、ライブストリーミングも課金ユーザー向けに出来たりするのが主なサービスですね。

 

Q.分かり易く例えるとmixiのコミュニティのような?

大浦:そうですね。あとは魔法のiらんどみたいな。フォーマットがあった上でミュージシャンたちがどんどんハックしてもらって好きに使ってもらえたらなって思っています。

 

Q.各アーティストがunitive内にファンクラブを持つっていうイメージですよね。

大浦:はい。それをまとめてunitiveで行うことで横の繋がりが出来たりユーザーに他のバンドに興味を持ってもらうきっかけになったら良いなって。

 

Q.とはいえ、いきなりunitiveに参加するのも怖いと思うミュージシャンもいると思うのですが。

大浦:これは完全にラッキーなんですけど、僕がonsaをやっていた頃に仲が良かったバンド今もシーンで活躍していて、そういうバンド達がunitiveに賛同してくれているんです。まだ名前は出せないんですけど、そういうバンドから意見を聞きながら作ってきたので、サービスに対する自信はあります。だから始まったときに「あんなバンド、こんなバンドが参加してるなら信頼出来る」って思ってもらえると思いますよ。あとは参加してくれているバンドを集めて各地でイベントもやろうと思っているので。それも楽しみにしてもらえたら。

 

Q.イベントは楽しみですね。ちょっと聞いているだけでワクワクするミュージシャンが参加していますし。まだ書けませんけど(笑)。

大浦:そうなんですよね(笑)。あとはユーザーがどこの地域に多くいるかがマッピングされるのでツアーを組む参考にもなると思うんですよ。どのくらいのキャパでやろうとか。そういうメリットもあると思いますね。

 

Q.大浦さんが全国をツアーするバンドマンだったからこその発想ですよね。

大浦:僕がこの仕組みを作りたいと思ったのはアーティストが直接的に活動を支援してもらえる世界なんですよね。それをunitiveという箱を使ってもらってアーティストの活動費にしてもらいたいんです。そういうサービスを作りたかったんです。

 

Q.具体的にどのような流れでアーティストにお金が入るのですか?

大浦:ファンクラブ会費の300円の50%がアーティストに入ります。あとは動画販売の70%、チケット代の100%、ECも作ろうと思っています。あとはライブ配信って実は凄くお金がかかるんですよ。それはファンクラブ会費の半分をいただくことで運用できるようにしています。そのサービス全般をunitiveで賄えたらなって思っています。

 

Q.あとはバンドが音源を作るのもツアーを回るのもお金が掛かるじゃないですか。そこに直接投資出来る楽しさもファン心理として実はあったりするかもしれませんよね。

大浦:そうなんですよね。それは足元を見るって訳じゃなくて、対価としてwin-winなんじゃないかなって思うんです。

 

Q.このサービスを開発したことでどんな世界にしたいと思っています?

大浦:本音で思っていることはアーティスト・ファーストな世界。音楽を作っている人がちゃんと報われる世界を作りたい。あと、最初はみんなよく分からないと思うんですよ。「ファンクラブのプラットホーム?」って思うのは当たり前というか。でもLINEが始まった時もTwitterが始まったときもそうだったと思うんですよね。でも今や立派なインフラで、あれがなかったらコミュニケーションが取れない人もいたりして、マストなサービスになっているじゃないですか。そうやってunitiveもバンドを組んだら登録するみたいなところまで持っていきたいんですよね。その結果、アーティストが活動しやすい世の中になったら良いなって思っています。

 

Q.そのサービスにunitiveと名付けていることがもう素晴らしいなと。

大浦:インディペンデントな人たちが良くいうユニティから名付けたんですけど、団結・結束の手段として、unitiveが存在出来たら嬉しいです。アーティスト、ファン、サービスの団結で素晴らしい音楽の世界を生み出せるサービスになるよう努力していきます。

合同会社ベステンダンク
unitive
大浦勝也

https://bestendank.jp/