cinema staff

2003年、岐阜県にて結成されたcinema staffが9月18日に自身初のベストアルバム『BEST OF THE SUPER CINEMA 2008-2011/2012-2019』をリリース。新曲「新世界」「斜陽」を含む同ベスト盤は2枚組36曲のフルボリューム。「斜陽」は高橋國光(österreich/ex.the cabs)との共同制作曲となっており、10代の頃から切磋琢磨し合ってきた両者の再会の軌跡が生んだ楽曲だ。the cabs解散は当時の音楽シーンにおいて衝撃的な出来事だった。それは一番近くで活動を共にしてきたcinema staffにとっても大きな損失だったという。そして時が流れ実現した高橋國光とcinema staffの共同制作。この経緯からお互いへの思いなど、両者に話を訊く。(photo by takeshi yao)

 

Q.ベストアルバムのタイミングじゃないと中々聞けないと思うので、ぐっと遡ってメンバーが出会った頃の話を聞かせてもらってもいいですか?

飯田:めちゃくちゃ遡りますね(笑)。

三島:前身バンドを組んだのは高校生のときですね。

飯田:久野以外高校の同級生で。僕は中学生の頃からバンドを組もうと思っていたんですけど、高校に入学してすぐに岐阜のライブハウスに遊びに行って、そこで辻と偶然会ったんですよ。「同じ高校だよね⁈」って声を掛けて。

辻:懐かしい(笑)。

飯田:それで一緒にバンドをやることになって。その頃、三島はアコギでデュオをしていて。

三島:アコギでデュオ(笑)。

飯田:REALからcinema staffに改名したのは大学に入ってからだっけ?

久野:そうだと思うよ。俺は三島と大学で出会ったんだけど、バンド名の相談とかされたから。

 

Q.REAL時代は名古屋でライブとかしていたのですか?

三島:高校の頃は名古屋に出るっていう選択肢はなかったですね。岐阜のハートフルスクエア-Gっていうところで学生バンドが集まって無料ライブをするみたいな。REALは飯田が最初からオリジナル曲を持ってきてたから、コピーバンドに混じってオリジナル曲を演奏していました。ちなみに当時の飯田はまだギターを持ってなくて、立ちヴォーカルです(笑)。

久野:俺はこれをどんなテンションで聞いていればいいんだ(笑)。

高橋:いや、俺はめちゃくちゃ面白いけどね(笑)。

三島:その後、岐阜のBRAVOとかCASPERに出始めてジワジワと本気の活動になっていって。TEENS’ MUSIC FESTIVALに出たり。國光とはその全国大会で出会っているんですけど。

辻:高校生の頃はBRAVOの高橋店長が怖くて、誘われたライブは全部出てたよね。

三島:毎回きっちりノルマを払って(笑)。でもそこで本当に色んな出会いがあったよね。それこそLiSAちゃんがやっていたバンドともよく一緒にやっていたし。

 

Q.大学生になってからは名古屋のライブハウスでの活動が増えたと思うのですが。

三島:久野が入って今の形になってから名古屋のライブハウスでの活動がメインになっていったんですけど、最初に名古屋のシーンというものを意識したのはsoulkids、竹内電気、24-two four-、i GO、mudy on the 昨晩とかですね。このシーンに入りたいなってめちゃくちゃ思いましたから。

飯田:僕もHUCK FINNでsoulkidsとスパルタンX(現:明日、照らす)を観て衝撃を受けたのを覚えていますね。

Q.でもcinema staffはそこからデビューまでのスピード感が凄かったですよね。

三島:20歳でインディーズレーベルからCDを出すことになって。そのきっかけも実は國光が関わっているんですよ。the cabsの企画で渋谷屋根裏に呼んでもらったんですけど、せっかく東京に行くからもう一本ライブをしたいという事で高円寺CLUB LINERでもライブさせてもらって、そこにレーベルのスタッフがたまたま来ていて。その後、名古屋にmudy on the 昨晩を観に来てたレーベルの社長から直接誘われたんです。

 

Q.レーベル所属前にcinema staffとthe cabsは出会っていたんですね。最初の印象って覚えています?

高橋:初めてcinema staffのライブを観たのはTEENS’ MUSIC FESTIVALの同窓会ライブだったんですけど、リハで「Daybreak syndrome」をやっていて、それがめちゃくちゃかっこ良かったんです。「なんだこいつらは!」って衝撃を受けました。

三島:the cabsは演奏はヘロヘロだったけどやろうとしてることが自分達とめちゃくちゃ近いなって。あと、その日のライブで國光がギターを折ったんですよ(笑)。

高橋:あははは。そこでそんな結果を残したところで(笑)。

飯田:あの日、めっちゃ出てたよね。15バンドくらい?

三島:SUPER BEAVERもいたよね。

飯田:あの日一気に仲良くなって、その後レーベルも一緒になったし本当に大好きでした。

 

Q.当時、the cabsの解散をどう受け取り止めました?

久野:喪失感が凄かったですね。東京のバンドで最初に仲良くなったのもthe cabsだったし、活動する上でいつも意識していたバンドだったので。しかも最後のアルバム『再生の風景』がめちゃくちゃ良かったからこそ、そこでリタイアすることが悔しかった。正直、the cabsが解散してからしばらくは何かを失ったままの感覚でしたね。その頃からずっと心に何処かに引っ掛かっていたし、國光に戻ってきて欲しいなって思っていた。その場所を作れるのは俺達しかいないとも思っていたし。それくらいの関係性だったんですよ、俺達とthe cabsは。

 

Q.國光さんとの再会は?

飯田:去年の8月にアニメ「東京喰種トーキョーグール:re」のエンディング曲「楽園の君」を俺が歌うことになって、そのレコーディングで久し振りに会ったんですよ。the cabsの解散以来に。それで対談をしたんですけど、朝まで飲むことになって。

高橋:違うんですよ。瑞規くんが「お願いだから今日だけは飲もうよ」って言ってきたんですよ(笑)。

飯田:その頃ちょうど僕も喉の不調で3カ月間休んでいた時期だったから「ボロボロを経験してる同士飲もうよ」って(笑)。その後「楽園の君」のアコースティックバージョンもレコーディングしたんですけどそのときに國光が「楽園の君」をcinema staffでやったらどうかと言ってくれて。しかもライブでギターを弾いてもいいよって。

久野:それを聞いてまず國光がライブをする気があることにびっくりして。だけど「楽園の君」は飯田しか参加していない曲だから、cinema staffのライブでいきなりやっても唐突過ぎると思ったんですよ。だから一旦保留にしたんです。

 

 

Q.そのタイミングでベストアルバムのリリースが決まったと。

久野:はい。ベストアルバムを作っておいてこんなこと言うのもアレなんですけど、僕らは常に新しいことをしていきたいので、ベストアルバムを出すことより新曲を届けることのほうが重要で。だから今回のベストには新曲が2曲入っているんですけど、そのうちの1曲を國光とやったら面白いんじゃないかってミーティングでメンバーに提案したんです。

 

Q.國光さんはそれを受けてどうでした?

高橋:単純に嬉しかったですね。僕は18歳の頃から三島をコンポーザーとして絶対に超えられない壁だと思っていて。それと同じくらい一緒にやってみたいとも思っていたのでまさかこんなことが起こるなんて。とにかく嬉しかったですね。

 

Q.曲作りはどのように行ったのですか?

高橋:自分の思うcinema staffを頭で考えながら作りました。メンバー個々の音をまず頭で鳴らすんですよ。そこにどうやって自分の音を入れるか。その作業が面白かったですね。

辻:俺のギターも鳴ってた?

高橋:勿論鳴ってたよ。

三島:あ、そこに関しては俺のせいかも。國光のデモを弄ってメンバーに渡すときに辻なら何とかするだろうって丸投げしたから。

高橋:辻はオールマイティなギタリストだし自分がないものを持っているので期待していたけど、その期待以上に素晴らしいギターを弾いてくれたと思っているよ。

 

Q.これまでプロデューサーを立てて制作したこともあると思いますが、関係性も含めて、國光さんとの作業はまた違ったものだったのでは?

三島:全然違いますね。今回國光と一緒にやってみて俺は設計図があってそこを演出するのが好きなことに気付きました。國光は0を1にするんですけど、俺は1を10にする。それが今回のやり方でしたね。

飯田:最初にデモを貰ったときに完璧だと思いました。國光の曲に三島のアレンジが加わるとここまで完璧なものが出来るんだって、バスの中で聴きながら泣いちゃいましたから。新ためて思ったのは俺は三島のメロディが好きだってこと。本当に心から「俺はこれが歌いたいんだ」って思ったんですよ。それくらい「斜陽」は完璧ですね。國光と三島のバランスが完璧。

 

Q.レコーディングはどのように行ったのですか?

飯田:山中湖で合宿したんですよ。エンジニアのふたりも昔からcinema staffもthe cabsも知ってくれている人で。とにかく楽し過ぎてテンションの高いままレコーディングが出来ました。

高橋:あの日は僕の人生で一番楽しかった日だと思う。音楽に限らず、僕の人生であんなに楽しかった日はないよ。

久野:当時、cinema staffとthe cabsが一緒にいた時期って、レコーディング自体が修行だったんですよ。自分ととことん向き合わざるを得なかったし、楽しいものっていうイメージは全くなくて。だけどお互い経てきて、あんなにも楽しくやれたのは良かったよね。

 

Q.お互いがこの期間でやってきたことを見せあうような。

高橋:僕は何もやっていないですけどね(笑)。

飯田:「俺達はずっとバンドをやってきたぞ」っていうのは國光に見せつけれたんじゃないかな。

 

Q.國光さんはthe cabsの解散以降、cinema staffをどう見ていました?

高橋:これエモい話なんですけど、the cabsを辞めてからは音楽を聴きたくもやりたくもなくなっていて。そんなときにたまたま「great escape」が流れてきて。瑞規くんの声で一瞬でcinema staffだって分かったんですよ。それで即効調べて改めて曲を聴いたらとんでもなくかっこ良くて。それがめちゃくちゃ悔しかったんです。この感覚は久し振りだなと。

 

 

Q.突き動かされるものがあったと。

高橋:はい。音楽を作ろうって。でもまだ自分がライブをしたいとかは思っていなくて。そんな中、去年久し振りにcinema staffのライブを観に行ったんですけど、悔しいほどライブが良くて。それで「ライブがやりたい」って思うんです。だからcinema staffには2回ケツを叩かれているんです。

 

Q.素晴らしいですね。今回のベストにはもう1曲「新世界」という新曲も収録されていますが、この曲に出てくる「窓の外へ」という言葉は岐阜時代も、上京してからも、メジャーデビューしたときも、ずっとcinema staffが歌い続けてきたことですよね。

三島:そうですね。そうやってもがきながらも外へ外へ行こうとしてきたので。そうやって更新し続けることが俺達のモチベーションなんです。だから今回のベストだって全然節目のベストではないし、the cabsにだって何勝手にレジェンドになってんだよって思っています(笑)。

高橋:あははは。レジェンドじゃないけど(笑)。

 

Q.「新世界」で「時計が2時を告げ」「これから何が起きる?」という歌詞がありますが、これは大丸らーめんのことですか?

三島:大丸!

久野:やばい(笑)。2YOUのインタビューだなあ(笑)。

飯田:めちゃくちゃ深読み(笑)。

三島:でもやっぱり大丸はたまに無性に食べたくなりますね。

辻:よく一緒に行きましたよね(笑)。

三島:もう「新世界」は今日から大丸の曲にします(笑)。

久野:でも当時、深夜2時まで飲んでそれから大丸に行くっていうあの時間がなかったら名古屋シーンの結束はなかったかもしれませんよね。

三島:この曲の「行け」は大丸に行けってことかな(笑)。

 

Q.でもこの「行け」という歌詞からベストアルバムが始まるのは凄く良いですよね。ベストアルバムでありながら先しか見ていないっていう。

飯田:振り返ってはいるけど懐かしんではいないですからね。

三島:まだまだやりたいことがあるので。ライフワークとしての制作は限界まで続けたいし、海外でのライブもしたい。まだまだこれからですね。

辻:cinema staffって割とバンドのイメージが固まっていると思うんですけど、ここまでやってきた中でそれも少しずつ崩れてきたというか、解釈も広くなってる気がしていて。だからもと色んなバンドと対バンしたいし、幅を広げていきたいんですよ。とにかく面白いことがしたいですね。

飯田:個人的にピアノを導入したことで色んなライブが出来そうな気もしてるんですよ。アコースティックライブとか、ピアノだけでライブをするとか。そういう見せ方を俺達みたいなバンドがやれたら面白いと思うし、色んなことに挑戦していきたいですね。

久野:俺達は4人でバンドだけど、4人だけで生きている訳じゃなくて。意外とモチベーションは外にあるんですよ。あのバンドには負けたくないとかあのバンドと一緒にやりたいとか。今回國光とやったこともそうだし。そうやって周りのみんなと切磋琢磨しながらかっこいいものを作り続けていきたいですね。

 

Q.活動を続けてきた先にこんな再開があるのも音楽の素晴らしいところですよね。

久野:國光はツアーにも連れてくので!

高橋:僕は袖で酒を飲むだけです(笑)。

久野:その頃にはうちらの曲もかなり弾けるんじゃない?

高橋:じゃあ僕と辻でどっちがcinema staffのギターに相応しいか勝負しようか(笑)。

辻:俺が負けて袖で酒飲むやつじゃん。(一同笑)

 

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タイトル:BEST OF THE SUPER CINEMA 2008-2011/2012-2019
2019年09月18日(水)発売
PCCA-04817
¥3,500(税別)

 

『BEST OF THE SUPER CINEMA 2008-2011/2012-2019』 リリースイベント
2019年9月21日(土)タワーレコード梅田NU茶屋町店 16:00スタート
2019年9月22日(日)タワーレコード名古屋パルコ店 15:00スタート
2019年9月23日(月・祝)タワーレコード新宿店 21:00スタート

全国ツアー<BEST OF THE SUPER CINEMA JAPAN TOUR>
2019年11月4日(月・祝)千葉・千葉LOOK
2019年11月9日(土)大阪・梅田CLUB QUATTRO
2019年11月16日(土)東京・渋谷CLUB QUATTRO
2019年11月22日(金)北海道・札幌Mole
2019年12月8日(日)福岡・福岡Queblick
2019年12月15日(日)埼玉・西川口Hearts
2020年1月11日(土)兵庫・神戸 ART HOUSE
2020年1月13日(月・祝)香川・高松DIME
2020年1月18日(土)宮城・仙台MACANA
2020年1月31日(金)愛知・名古屋CLUB QUATTRO

ホールワンマンライブ<two strike to(2) night 〜覚醒の三茶編〜>
2020年3月28日(土)昭和女子大学人見記念講堂

http://cinemastaff.net/