BiSH 大阪城ホール「And yet BiSH moves.」

 

光の中にいた。そして6人は光そのものだった。

 

2019年9月23日、12,000人の清掃員(ファンの総称)で埋め尽くされた大阪城ホール。次々と埋まっていく席をスタンドから眺めながら緊張と興奮を抑えるようにTwitterを開くとセントチヒロ・チッチの「いざ、尋常に」というツイートを目にする。尋常、すなわち平常。何も恐れず、逃げず、この大舞台に立つための資格を掴んできたBiSHの強さを感じる。正直、この時点で込み上げてくるものがあった。今日、またひとつ彼女達が新たな伝説を作り上げる。ここに立ち会えることに胸の高まりを抑えるのがやっとだ。

 

開演に先駆け渡辺淳之介が語った「BiSHは常に伝説と言われるライヴハウスでやってきました。BiSH、BiSHチームはこれからも伝説となる会場を埋めていく所存です。」というメッセージがそのまま落とし込まれた「BUDOKANかもしくはTAMANEGI」で始まったライブは、これだけ大きくなったBiSHが初心を持ったまま突き進み続けていることを宣言しているかのように感じた。続く「GiANT KiLLERS」「MONSTERS」「DEADMAN」では今回のライブがバンドセットであることの重要性が、いや、今夏のフェスシーズンをバンドとBiSHがともに駆け抜けてきたことをこれでもかと魅せつける。

 

当たり前だが大阪城ホールは広い。とんでもなく大きい。この空間を支配するBiSHを後押しするのが照明とVJの演出だ。「PAiNT it BLACK」で歌ってきた「いつか刺す光」とは今目の前のこの瞬間なのではと思うほど。全てに意味があって全てが繋がっている。BiSHとチームを取り巻く環境がどれだけ素晴らしいかは容易に想像出来る。目の前で繰り広げられているライブと光が交差する度に魔法をかけられている気分になる。そのタイミングで「MORE THAN LiKE」なんて歌われたら、ほらやっぱり、と。魔法は解けないまま「HiDE THE BLUE」「I am me.」と繋がり、僕らの明日だったり、目指した未来だったり、BiSHを通して自分のこれからも考えたりする。そうやっていつの間にかBiSHは僕らの生活に寄り添う存在になってきている。

 

「SHARR」では真っ白な衣装から真っ赤な衣装に代わり、映像と照明とシャウトがお互いを刺激し合い絡み合い物凄い熱量でステージから放たれる。「OTNK」「NON TiE-UP」といったBiSHがBiSHである所以を発揮した激しいナンバーでもそれは顕著に表れている。「NON TiE-UP」では誕生日の近いハシヤスメ・アツコを祝い清掃員がスマホライトでハシヤスメのソロパートに華を添える場面も。会場の椅子にこの演出を呼びかけるカードが貼られていたのだが、一瞬ハシヤスメの新曲の情報かと思ってしまった。しかし彼女のソロ第2弾が現状無いことは後のコントコーナーで明らかとなる。「stereo future」「FOR HiM」を経て始まったコントコーナーは「LiFE is COMEDY TOUR」を経て、不思議なハシヤスメワールドがパーインチュパしていた。特に言葉の説明はしないが、読んだまま、パーインチュパだ。そしてその寸劇から空気を一変させたのは『CARROTS and STiCKS』より披露された「DiSTANCE」「FREEZE DRY THE PASTS」、そしてBiSHをネクストステージに押し上げた名曲「My landscape」だ。「DiSTANCE」ではアイナ・ジ・エンドが空間ごと切り裂くように歌い、「FREEZE DRY THE PASTS」ではリンリンの圧倒的かつ刹那的な美を狂気的に魅せる。そしてこの世界感の布石であり、何本もあるBiSHの柱のひとつを決定付けた「My landscape」に圧巻される。

 

「これからも色んなものを失くしたり、変わることを恐れずに、一歩ずつ前に進んでいくので付いてきてください」とモモコグミカンパニーが語り披露された「Nothing.」は会場全体から歓声が上がるほど。僕自身、ずっと堪えていた涙がこの瞬間に溢れ出ることを我慢出来なかった。頼りない物語だったかもしれない、無い物ねだりだったかもしれない、だけどBiSHはいつもがむしゃらで、泣きじゃくった日々を超えて、光になったのだ。「光だけ信じていたい」と歌っていた彼女達こそが清掃員にとっての光なのだ。ちょっと待って、書いていてまた涙が出てきてしまった。

 

ラストスパートは「SMACK baby SMACK」でビシバシにやられた後、BiSHを広く知らしめることになった「オーケストラ」「プロミスザスター」を立て続けに披露。そしてラストの「beautifulさ」での12,000人のトゲトゲダンスはまるで祝祭、光の祝祭だ。「光の祝祭だ」とか、書きながら意味が分からないけど、あの光景を観てそれ以外の言葉が出てこなかった。「困難裂いて過去は忘れ晴れた明日へと行こうぜ」この歌詞に一体これまで何度救われただろう。一体何人が救われたのだろう。これを祝祭と言わず何と言うのか。

 

今回の大阪城ホール公演でBiSHが掲げた「And yet BiSH moves.」というタイトルはアンコールで歌われた「GROUNGE WORLD」に集約されている気がした。BiSHが辿ってきた5年間という道のりの中で、数えきれない程の悩みたちに直面しただろうし、戸惑うこともあっただろう。それでも前に進んできたBiSHはきっとまだまだその歩みを止めないだろうし、きっとまた何か新しいことを始めるんだろう。公演前に渡辺淳之介が話していた「長い道のりだったけど始まったばかりな気もする。」という言葉が頭をよぎる。そして最後は「BiSH-星が瞬く夜に-」で思いっきり感情をぶつけ合い、ダブルアンコールでは大阪出身のアイナが上京してからの思いを語り「ALL YOU NEED IS LOVE」を。あの頃のBiSHと現在のBiSHを繋ぐ印象的な歌詞がスクリーンに映し出され、会場一体となり大合唱の中幕を下ろした。

 

PEDROとしてのアユニ・Dの経験をはじめ、昨今メンバー個々のソロ活動も増えたことでひとりひとりが急激にパワーアップしていることは表情からもよく分かるが、その経験を母体であるBiSHそのものに6人が持ち寄ったときの圧倒的なパワー。このパワーに僕らは突き動かされているのだ。「And yet BiSH moves.」回り続けるBiSHに、渡辺淳之介に、ケツを蹴り上げられて、僕らも行かなくちゃ。そんなことを強く思う夜だった。

 

大阪城ホールを出て駅に向かう途中の信号待ち。男性2人の会話が聞こえてきた。「BiSHに出会えて本当に良かった」「明日からまた仕事頑張ろう」その何気ない一言が刺さり過ぎてしまいその場でしばらくBiSHのことを考えていた。青信号がステージからBiSHが放っていた光とリンクして涙が止まらなくなった。

 

 

 

2019年9月23日 大阪城ホール
And yet BiSH moves.

M1 BUDOKANかもしくはTAMANEGI
M2 GiANT KiLLERS
M3 MONSTERS
M4 DEADMAN
M5 PAiNT it BLACK
M6 MORE THAN LiKE
M7 HiDE the BLUE
M8 I am me.
M9 SHARR
M10 OTNK
M11 NON TiE-UP
M12 stereo future
M13 FOR HiM
M14 DiSTANCE
M15 FREEZE DRY THE PASTS
M16 My landscape
M17 Nothing.
M18 SMACK baby SMACK
M19 オーケストラ
M20 プロミスザスター
M21 beautifulさ

ENCORE
EC1 GRUNGE WORLD
EC2 BiSH -星が瞬く夜に-

W.ENCORE
W.EC 1 ALL YOU NEED IS LOVE

 

LIVE INFO

NEW HATEFUL KiND TOUR

2019年10月5日(土) 埼玉 サンシティ越谷市民ホール
2019年10月13日(日) 熊本 市民会館シアーズホーム夢ホール(熊本市民会館)
2019年10月14日(月・祝) 福岡 福岡サンパレスホテル&ホール
2019年10月18日(金) 京都 ロームシアター京都
2019年10月22日(火・祝) 静岡 沼津市民文化センター
2019年10月27日(日) 香川 レクザムホール
2019年11月3日(日) 愛知 名古屋国際会議場センチュリーホール
2019年11月4日(月・祝) 愛知 名古屋国際会議場センチュリーホール
2019年11月14日(木) 東京 オリンパスホール八王子
2019年11月16日(土) 山口 周南市文化会館Z
2019年11月17日(日) 広島 上野学園ホール
2019年11月23日(土) 石川 本多の森ホール
2019年11月24日(日) 長野 ホクト文化ホール・大ホール
2019年11月29日(金) 神奈川 相模女子大学グリーンホール
2019年12月4日(水) 東京 東京国際フォーラム
2019年12月7日(土) 北海道 札幌文化芸術劇場 hitaru
2019年12月13日(金) 宮城 仙台サンプラザホール
2019年12月14日(土) 岩手 盛岡市民文化ホール(大ホール)
2020年1月10日(金) 兵庫 神戸国際会館こくさいホール
2020年1月11日(土) 大阪 オリックス劇場
2020年1月18日(土) 栃木 宇都宮市文化会館
2020年1月22日(水) 東京 NHKホール
2020年1月23日(木) 東京 NHKホール

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