マイセルフ,ユアセルフ

宮川企画「マイセルフ,ユアセルフ」。このイベント名をライブハウスのスケジュールやフライヤーで見たことがある人も多いだろう。「マイセルフ,ユアセルフ」とは、岐阜県出身、名古屋経由、東京在住の宮川良樹がオーガナイズする個人イベントだ。ライブハウスでのバイト経験を活かし2002年よりイベントを開始した宮川が「マイセルフ、ユアセルフ」を立ち上げたのが2010年12月。以降、予想外な組み合わせでライブ好きを唸らせながら各地で企画を続けてきた「マイセルフ,ユアセルフ」が2019年10月4日に名古屋は新栄CLUB ROCK’N’ROLLにて開催される。出演はbacho、KOTORI、SuiseiNoboAz。この並びを観るだけで「マイセルフ,ユアセルフ」がどれだけ面白いか容易に想像出来るが、今回2YOUではオーガナイザーである宮川にイベント設立以前の話から現在、そしてこれからについて、話を聞いた。MOROHAのスタッフであったり、SuiseiNoboAzのライヴ制作など多岐に渡る活動と、自身のバックボーンを落とし込んだ「マイセルフ,ユアセルフ」。ライブハウスでこのイベントを見かけたら是非足を運んで欲しい。

 

 

Q.宮川さんが個人企画を始めたきっかけは?

宮川:僕は岐阜県出身なんですけど、18歳で上京して音楽の専門学校に入ったんですよ。そこでライブ企画をしたのが最初です。PANやピンクリボン軍が出てくれて。それが2002年なんですけど、あまりにも楽しかったのでその年の12月11日に下北沢 BASEMENT BARで初めての個人企画を開催しました。「でら・かっこいいがや」という企画なんですけど。

 

Q.名古屋弁!その企画にはどんなバンドが出演していたのですか?

宮川:THE BOOGIE JACK、中部TRACK、PAN、向風みたいな当時青春パンクと呼ばれていたバンドに出てもらいました。僕は岐阜出身ですけど名古屋のライブハウスに通っていたので、名古屋のバンドを軸にしたイベントを東京でやりたかったんです。

 

Q.宮川さんは今おいくつですか?

宮川:今年で36歳になります。だから青春パンク直撃世代なんですよ。ルーツでいえばゴイステ(GOING STEADY)の存在も大きいですし。あと個人イベントをやる上で大きいのはSET YOU FREEの存在ですね。僕が高3のときに名古屋のダイアモンドホールでNOT REBOUNDのレコ発をSET YOU FREEがやっていたんですけど、ゴイステ、氣志團、JERK BAITが出ていて。ゴイステが好きで観に行ったんですけど、名古屋のJERK BAITが大好きになって、デビューしたばかりの氣志團に衝撃を受けて、終電でみんな帰っていく中、トリのノットリを観て大好きになったんですよ。

 

Q.あの日のSET YOU FREEは面白かったですよね。実は僕もあの日、JERK BAITのスタッフとして現地にいるんですよ。

宮川:そうか、JERK BAITは後のi GOですもんね。同じ場所にいたんですね(笑)。あの日は僕にとって大きなきっかけの日だったから本当によく覚えています。それまではモーニング娘。とか学園祭とか、そういうライブしか行ったことがなかったので、ライブハウスでバンドのライブを観たのが初めてだったんですよ。それで自分でもやりたくなったのが今に繋がっています。

Q.「マイセルフ,ユアセルフ」を始めたのはそれからしばらく経ってからですよね。

宮川:初めて「マイセルフ,ユアセルフ」を行ったのは2010年の12月でした。それまではライブハウスのブッキングをしていたし、ライブハウスを辞めてからも個人企画はやっていたんですけど、個人イベントをもう辞めようと思った時期があって。それで最後のイベントとして行ったのが2010年12月の「マイセルフ,ユアセルフ」なんです。

 

Q.個人イベント辞めるためのイベントとして始まったと。

宮川:はい。最後のイベントのつもりでした。僕は竹原ピストル君が大好きなんですけど、2日間で昼と夜の合計3回、スリーマン、ツーマン、ワンマンをピストル君を軸に行ったんです。イベント名もピストル君の「マイセルフ」と「ユアセルフ」という曲名を合わせて。

 

Q.その日で終わらせるつもりだったのが続いたのは?

宮川:これもピストル君なんですけど、「マイセルフ,ユアセルフ」から3、4ヵ月経った頃、「一緒にやりたい人がいるからイベントを組んでくれ」と連絡がありまして。とは言え、僕はイベントを辞めたばかりだし、他の人からのお誘いは断っていたので悩んだんですけど、ピストル君のお願いならと思いまして。それからはピストル君を軸にイベントを組む企画として「マイセルフ,ユアセルフ」を行っていました。明日、照らすやタテタカコさんに出てもらって。

 

Q.初期はピストルさんありきだったんですね。

宮川:はい。実際にピストル君が出ないイベントは「マイセルフ,ユアセルフ」という名前ではやっていなかったので。でも1、2年経った頃にピストル君抜きでも「マイセルフ,ユアセルフ」でやり出したんです。ピストル君が出ていなくても、イベントとして「マイセルフ,ユアセルフ」という名前にしっかり向き合えるようになったというか。

 

Q.「マイセルフ,ユアセルフ」でしか観られないブッキングに毎回ワクワクさせられています。

宮川:でも自分の中では「もうやってるだろうな」って思っているブッキングというか。意外性を求めているつもりはないんですよ。ただかっこいいバンドを呼びたいだけだし、かっこいいバンド同士を出会わせたいだけなので。だけど実際にブッキングしたら初共演だったり久し振りの対バンだったりすることが多くて、周りからそう言ってもらえるんだと思います。例えば2015年におとぎ話とホフディランのツーマンをやったんですけど、10年振りくらいの再会だったみたいで。それも僕は全然狙ってやった訳じゃないんですけど。

Q.最近でいえば、新宿LOFTでPEDRO、CASCADE、SuiseiNoboAzというスリーマンも記憶に新しいですが。

宮川:あれも驚かれましたね。僕が企画を組むときはまず誰か軸になるバンドがいるんですよ。あの日で言えばCASCADEが軸にまずあって。そのタイミングでPEDROの映像が公開されて衝撃を受けてオファーしたんですけど、そこにSuiseiNoboAzが綺麗にハマって。

 

Q.宮川さんはSuiseiNoboAzのライブ制作も行っていますが、PEDROとCASCADEとはどう繋がったのですか?

宮川:CASCADEは僕がBASMENT BARでバイトをしていた頃にメンバーが別でやっているバンドとして出会いました。それで2009年にCASCADEが恵比寿リキッドルームで復活ライブをしたときに現場に付かせてもらったんです。今でこそメンバーと仲良くさせてもらっていますけど、最初は98年に豊田市白公園で開催された「GO!GO!ROCK’98」で初めて観て好きになりました。その後すぐ、名古屋のセンチュリーホールに母親とワンマン観に行きました。

 

Q.PEDOROは?

宮川:MOROHAとBiSHがエリザベス宮地さんの企画「東海サバイバル」で名古屋で対バンしたときに僕はMOROHAのスタッフで行っていたんですけど、それがちょうどオファーを出した直後だったんです。その日は直接話せなかったんですけど、宮地さんにオファーした事を伝えたらその事をアユニ・Dさんや関係者の方に伝えてくれて。それでやり取りが始まった感じです。実際にお会いしたのは「マイセルフ,ユアセルフ」の当日ですね。よく「どうやって呼んだんですか?」と言われるんですけど、僕はいつも普通にホームページから連絡しています。無視されることもありますけど。

Q.宮川さんがイベントを組む中で大事にしていることって何ですか?

宮川:さっきも少し言いましたが、大事にしているのはかっこいいかどうか。それ以外はないです。実際にもうやってる組み合わせだからとか、そういうのは全然関係なくて、実際にやったことのある組み合わせでもかっこよければ「マイセルフ,ユアセルフ」としてやりたい。10月4日に名古屋の新栄CLUB ROCK’N’ROLLでbacho、KOTORI、SuiseiNoboAzのスリーマンをやるんですけど、bachoとKOTORIはREDLINE TOURで共演したばかりなんですよ。でもそれは関係ないんです。この日は軸にまずSuiseiNoboAzがあって、SuiseiNoboAzとKOTORIを対バンさせたいって話から始まっていて、bachoとも中々タイミングが合わなくてお世話になれていなかったので今回は決めたかったんです。それが実現出来た日なので僕自身も楽しみですね。

 

Q.「マイセルフ,ユアセルフ」という企画のもとで行われるライブは「マイセルフ,ユアセルフ」でしかないものになりますからね。それはSET YOU FREEもそうですし。

宮川:それが理想ですよね。周りに左右されず、筋の通ったイベントを行いたいので。あとは、これもSET YOU FREEで自分が感じてきたことなんですけど、ライブの帰り道に、明日からではなく、今日から頑張れるような、人生の糧となるようなイベントを「マイセルフ,ユアセルフ」で作りたいんですよ。頭の片隅にこびり付いて「またライブに行こう」って思ってもらえるような、そんなイベントを作りたいですね。

 

Q.現在は個人企画を行っている人も多いと思うのですが宮川さんが個人イベンターとして意識していることはありますか?

宮川:個人イベンターでもこれだけやれるっていう底上げというか。メジャーのバンドとも筋さえ通せば個人でやり取り出来ますからね。あと、イベントのお得感を何処に持っていくか。僕が思うお得感って、チケットの安さじゃなくて組み合わせや演奏時間だったりするので、そこは組むときに意識していますね。あとは自分のバックボーン。これは本当に大事。僕だったら影響を受けているNOT REBOUNDの黒崎さんが店長を務めるHUCK FINNにJERKBAITやds☆TryyounGを観に行ってたからイベントでツアーを組んだときにHUCK FINNでお世話になったり。開催に対して説得力が生まれるのでそういうのは凄く大事だなって思いますね。

 

Q.あの当時のシーンを体験していた宮川さんが「マイセルフ,ユアセルフ」という形で表現していることにグッときます。「マイセルフ,ユアセルフ」これからも楽しみにしています。

宮川:何でも積み重ねだと思っているので。例えばバンドも新曲がかっこいいことは勿論大事ですけど、昔の曲を蔑ろにして欲しくなんですよ。自分の企画もそうありたいんです。何年も前の自分の企画がFacebookのアプリとかであがってくると「良いイベントやってるな!」って思いますからね(笑)。何年経っても共感出来るイベントをこれからも作り続けていきたいです。

 

宮川企画「マイセルフ,ユアセルフ」

日程:2019年10月4日(金)
会場:名古屋 新栄CLUB ROCK’N’ROLL
出演:bacho、KOTORI、SuiseiNoboAz

公式サイト

http://miyagawa-kikaku.com/